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2012年4月14日

消費増税報道もミサイル報道も、おかしくないか

 北朝鮮ミサイル騒動は、なんとか終息しそうだが、この何日間かのテレビの報道は、首を傾げたくなるものだった。北朝鮮と日本両国政府がメディアを使って牽制しあい、情報戦を展開していたわけだが、日本のマスコミ、特にテレビは、あまりにも無自覚なままそれに全面的に乗って危機煽りを展開した。13日朝のワイドショーなどは、まさに戦時報道のようだった。

 北朝鮮もひどい国なので批判するのはよいが、少なくとも日本政府とは距離をとってジャーナリズムとしての見識に基づいた報道をしてくれないと、北朝鮮の国営放送と立場こそ違え、似たようなレベルの報道だったと言わざるをえない。昨年の原発報道に対する市民からの不信感は、ジャーナリズムが政府と一緒になって報道を展開したことへの疑問から生じたものだが、大手マスコミはそのことへの自覚がなさすぎる。

 最近ひどいのは、新聞の消費税増税報道もそうだ。消費税増税そのものについては、いろいろな考え方があるし、仮に新聞社が増税はいずれ必要だと考えても、それ自体はよしとしよう。ただ、それを政府の代弁をするかのように紙面で展開するのは問題だ。権力監視がジャーナリズムの役割なのだから、増税の是非論と別に、政府の今のやり方が民主主義に照らしてどうかとか、政府としてやるべきことをやっているのかといったことを批判していくべきではないだろうか。

 その点でいうと、4月6日付の朝日新聞の社説「消費増税と政治 言い訳やめて、本質論を」はひどい。こう書いているのだ。

〈いまや日本のリスクは、「決められない政治」なのだ。違う点は争っても、一致する点は前向きに議論し、きちんと決める。そんな当たり前の政治の作法を確立しよう。有権者の審判は消費増税を決めたあとに仰げばいい。民主党の公約違反の責任はそのときにとってもらおう。〉

 決めた後に解散、というのが「公約違反の責任」をとることには、どう考えてもならないだろう。公約と違うことをやって、決めたあとに解散すればいいという考え方こそ、民主主義を愚弄するものではないか。醜悪な野田政権がその民主主義を愚弄する方向につっ走っている時に、少なくともジャーナリズムのすべきことは、市民の多数の声を代弁して、それはおかしい、ということではないだろうか。この社説は、本来やるべきことと反対のことを主張していないか。

 朝日新聞は、昨年、原発報道への市民の不信の声を聞いて、「脱原発」へと紙面方針を転換させ、「原発とメディア」など、自らの責任も問う形で、検証を行ってきたはずなのに、いったいこれは何なのだと思わざるをえない。この社説にはさすがに腹がたって、投書でもしようかと思ったが、どうせボツになるだろうからとやめた。

 今の新聞・テレビは、昨年、原発報道であれだけ強い批判を受けたのに、何を批判されたのか理解していないように思えてならない。権力監視どころか、ほとんど権力の代弁者になってしまっているのではないだろうか。

2012年4月13日

木嶋佳苗判決公判に約1300人の傍聴希望者が殺到!本誌も傍聴

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 4月13日、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗被告の判決公判がさいたま地裁で開かれました。予想通り死刑判決で、内容は新聞・テレビをご覧いただきたいのですが、驚いたのは傍聴希望者が40数席の一般席を求めて約1300人も押し掛けたこと。といってももちろん大半はマスコミが動員した人たちなのですが、シルバー人材センターから派遣された、いかにもという感じのお爺さんたちや、一目で動員とわかる人たちが100、200人単位で地裁前に群がっているのです。ほとんどお祭り状態でした。「創」からは、編集者2人とマスコミ志望学生らが計9人で並んだのですが、2枚も傍聴整理券を引き当てました。

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 並んでいたなかには、佐野眞一さんや北原みのりさんらおなじみのライターのほか、「創」の常連執筆者・阿曽山大噴火さんや、久々に見かけた佐木隆三さんらの顔も。北原さんは発売中の「創」に木嶋佳苗被告についてのインタビューが載っているのですが、「『創』のインタビューはなかなか評判になっています」とご本人のコメント。阿曽山さんは、TBS「サンデージャポン」の仕事でしたが、大勢の人を見て「どう見ても入れないなあ」とつぶやいてましたが、無事入れました。

 木嶋被告については、ネットなどで「ブスだ」「いやそうでもない」と論争になっているようですが、見た印象は「フツーのオバサン」。傍聴人が法廷に入ると、既に木嶋被告は入廷していて、弁護人席の端に座っていたのですが、服装もホントにフツーで、風景に溶け込んでいるという感じでした。きょうは判決文が読み上げられる間、ずっと証人席で裁判官の方を向いていたため、傍聴席からは後姿しか見えませんでした。

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 午前10時開廷後、裁判長が判決文朗読を始めたのですが、まず「判決理由から読みます」と言った直後に報道席から何人もの記者が飛び出していきました。主文を後回しにするのは死刑判決とほぼ決まっているためです。恐らく午前のニュースで一報を流すのでしょう。大事件の判決公判はいつもそうなのですが、とにかく報道席の記者たちがひっきりなしに出たり入ったりするため、判決文朗読がよく聞きとれません。また裁判長も、どう見ても傍聴人がわかるように伝えようという意志が皆無で、ぼそぼそと早口で朗読するので、断片的にしか聞きとれないのです。

 法廷が緊迫したのは11時45分頃、いよいよ量刑についてのくだりで、死刑判決の理由に入ったあたり。最後に主文の「被告人を死刑に処する」が読まれた時は、さすがに法廷に緊張が走りました。死刑という言葉はやはり重たいもので、閉廷直後、木嶋被告も少し緊張したような顔をしていました。

 死刑事件なので控訴は確実で、次は高裁での審理に移ることになります。

Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

BookMarks

創出版
http://www.tsukuru.co.jp/

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-----<著書>-----


『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

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