« 2011年8月 | メイン | 2011年10月 »

2011年9月14日

東電OL事件ゴビンダさん支援集会が盛況!来日家族が15日『創』の集会に

 9月14日、東電OL事件ゴビンダさん支援集会が開かれたが、会場はほぼ満席。予想以上に多くの人が集まり、この問題への関心の高まりを示した。来日しているゴビンダさんの家族が挨拶(写真)、再審無罪を勝ち取った布川事件や足利事件の冤罪被害者らも駆けつけて熱いメッセージを送った。

 この事件、周知のように7月21日の読売新聞のスクープの後、次々と新事実が明らかになっている。特に被害女性の膣内や遺体の胸などにゴビンダさんと異なる体液や唾液が残っていたことが判明。無期懲役で服役中のゴビンダさんが犯人でないことはもはや明白になりつつある。

 それにしても驚くのは、今頃になって、検察が隠していた証拠が次々と明らかになっていることだ。それらが裁判の段階で開示されていたら2審の有罪判決はなかったことは明らかだ。しかも今回判明した膣内に残っていた精液のDNAなど、捜査段階で鑑定すらなされていなかった。

 事件捜査の杜撰さ、検察の不利な証拠を隠しての起訴、誤判としか言いようのない有罪判決と、刑事裁判そのもののあり方を考えさせるような事柄の連続で、ゴビンダさんはもう14年も獄中に囚われたままというひどい話だ。

 10年間、コツコツと支援活動を続けてきた「無実のゴビンダさんを支える会」の人たちが今回の集会の主催者だが、彼らの活動がなければ、この真実が明らかになることはなかっただろう。今夜の集会で挨拶した事務局長の客野さんの発言など、聞いていて胸が熱くなった。彼らの奮闘にもエールを送りたい。
http://www.jca.apc.org/govinda/

 ゴビンダさんの家族や支援者は、15日、下記のように精力的に要請行動や街宣などを行った後、夜には月刊『創』主催の原発報道批判の集会で発言を行う。ぜひ多くの人にこの冤罪事件に関心を持ってほしいと思う。

 15日のゴビンダさん家族の予定:東京高検要請(午後2時~2時30分)、東京高裁要請(午後3時前~3時30分)→司法記者クラブ会見(3時45分~4時15分)→マリオン街宣(午後6時~7時)→緊急シンポジウム「原発とメディア」で挨拶(午後8時頃)

2011年9月 9日

森達也著『A3』講談社ノンフィクション賞受賞をめぐる場外バトル

 森達也さんの本『A3』が先頃、講談社ノンフィクション賞を受賞したことは既に報じられているが、9月5日の授賞式の前に、これに対する抗議が講談社に対してなされている。こういった賞を授賞したという理由で抗議が行われるということ自体異例だが、これはオウム真理教という微妙なテーマを扱っていることに伴う事態といってよいだろう。

 抗議を行ったのは日本脱カルト協会という団体と、青沼陽一郎・藤田庄市・滝本太郎の3個人。2日にこの両者が合同の記者会見を開き、抗議を行った事実を公表した。弁護士の滝本さんはオウム事件の被害者でもあるが、日本脱カルト協会の理事でもある。青沼・藤田両氏はジャーナリストだ。

 2つの抗議文はいずれもネットに公開されている。以下の通りだ。
http://www.jscpr.org/activity.htm#20110903
http://sky.ap.teacup.com/applet/takitaro/20110903/archive

 2日の会見と抗議については3日付の朝日新聞と産経新聞が報じた。産経新聞は結構大きな記事だ。ネットにアップされた記事は以下の通り。
http://www.asahi.com/national/update/0903/TKY201109030104.html
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110902/trd11090221060023-n1.htm

 滝本さんと青沼さんは『週刊文春』7月28日号でも『A3』を批判するコメントを出しており、これに対して森さんは発売中の『創』9・10月合併号で反論。また森さん自身のブログでも言及している。http://moriweb.web.fc2.com/mori_t/index.html

 滝本さんはその森さんの対応を含めて、連日、自身のブログに書き込みをしている。
http://sky.ap.teacup.com/takitaro/

 『A3』への授賞を決めた選考会の議論は、発売中の雑誌『g2』(講談社)に公開されており、なかなか興味深い。特に中沢新一さんが選考委員としてこの作品をどう評価したかは、関係者の注目を浴びていた。9月5日の授賞式には、中沢さんが選評の挨拶に立ったのだが、なぜか「挨拶は短くと言われたので」とほとんど内容に踏み込まなかった。

 ちなみに、この授賞式とパーティーには、アレフの荒木浩さんや「光の輪」の広末さんら元オウム関係者も会場に来ており、会場の片隅で両人が議論を行うという、これもノンフィクション賞授賞式では異例の光景が見られたものだ。

 『創』は森さんと滝本さんに顔をあわせての討論を呼びかけたが、今のところどうも難しい様子だ。青沼さんらの抗議は、講談社ノンフィクション賞の選考委員に中沢新一さんが入っていることをも批判しているが、講談社としては抗議には対応せずの方針らしい。
『創』としてはこの論争、次号で取り上げようと思っている。

2011年9月 3日

島田紳助引退騒動の背景にあるものは何か

 8月23日のタレント島田紳助の引退騒動が大きな話題になっている。『週刊文春』9月1日号によると、紳助が今回、事務所に呼び出されたのは会見2日前の21日深夜。そこで幹部から、暴力団との関係を示す携帯メールをつきつけられたという。事務所側は謹慎や休業という処分を考えていたようだが、紳助は引退を決意。会見当日の昼まで話し合いが続いていたという。

 その引退会見の日、問い合わせが殺到したというのが、ノンフィクションライター森功さんだった。『週刊現代』5月7・14日号で今回の事態を予見するような記事を執筆していたからだ。この4カ月前の『週刊現代』の記事は、見出しが「ガサ入れで見えた『暴力団と芸能界』」。大阪府警の暴力団担当刑事の証言を紹介したものだが、今読み返すと、府警が暴力団と芸能界、特に山口組と吉本興業の関係についてどう考えていたかよくわかる。その意味で極めて参考になる記事だ。

 府警の刑事の証言は、今回紳助の会見で「Bさん」と紹介された極心連合会会長宅への家宅捜索で、紳助直筆の手紙や写真が見つかったという話なのだが、この記事を紳助も吉本興業も否定してしまったため、当時は大きな騒動にはならなかった。

 それと今回の引退のきっかけになった携帯メールだが、『週刊朝日』9月9日号が書いているように、もともとは2007年6月に作成された府警の捜査報告書だという。その年にタレント羽賀研二と、元プロボクサーで今回の紳助の会見で「Aさん」と紹介された渡辺二郎が恐喝事件で逮捕されたのだが、その捜査過程で押収された渡辺二郎の携帯電話から出てきたもの。この恐喝裁判で検察側が証拠として提出したものだという。

 それが今この時期に吉本側に提示されたのは偶然の要素もあるだろうが、4カ月前の刑事の証言の報道といい、吉本ないし紳助と山口組の関係に対する警察の意向が背景として作用していたといえるだろう。ちょうど2007年に吉本の創業家当主だった林マサによる告発手記が『週刊新潮』に掲載され大きな騒動になったが、ここでも問題になったのは吉本と山口組との関係だった。この3〜4年、吉本と山口組の関係について、府警が大きな関心を持ってきたことは間違いない。

 今回の騒動が暴力団排除条例を全国的に整備してキャンペーンを展開しようとしていた警察庁にとって、願ってもない事態なのは確かだ。1日の定例会見で警察庁長官はさっそくこの問題を取り上げ、暴力団排除を訴えた。

 昨年の大相撲野球賭博騒動も、以前も書いたように警察主導だった。今回の騒動が今後どう展開するか見るうえで、騒動の背後に権力の意志が働いていることは認識しておくべきでないかと思う。

Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

BookMarks

創出版
http://www.tsukuru.co.jp/

最新号
↓ ↓ ↓

詳細はコチラ

-----<著書>-----


『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.