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今朝の朝日新聞生活面で『負けないで!』著者・小笠原さんを大きく報道! »

東電OL殺害事件再審めぐる大報道の裏事情

 突然大報道が始まったので驚いた人も多いだろう。原発で東電が問題になっている時だけになおさらだ。しかも、かつて東電は、この事件を報道する際に事件名から「東電」という呼称をはずしてほしいとマスコミに要請していた経緯もあるから、東電自体驚いたに違いない。

 昨日は、冤罪を訴えているゴビンダさんを長年支援してきた客野さんに何度電話してもつながらないと思ったら、マスコミからの取材が殺到していたらしい。再審弁護団がコメントを出さなかったため、マスコミは客野さんのところに押し掛けたようだ。

 なぜそうなったかというと、今回の報道、新たな鑑定結果が出たことを受けてのものではあるのだが、実はその正式な通知はまだ弁護団になされていない。正式な手続きがある前に、独自に情報を入手した読売新聞が21日朝刊一面トップですっぱ抜いた。それを他紙が慌てて追いかけ、各紙が夕刊で横並びとなったのだ。

 弁護団は正式に通知があったら会見するつもりらしいが、昨日の段階では、コメントを控えたという。ゴビンダさん以外のDNAが検出され、再審開始の可能性が大きくなったという報道にほぼ間違いはないのだが、正式な結果が知らされていない段階で会見を開くわけにはいかなかったということらしい。

 足利事件、布川事件と冤罪事件が次々と明らかになっているなかでの今回の鑑定結果、その意味するところは大きい。特にこの事件では、これまで支援運動が相当熱心に行われてきたのだが、大きな進展はないままだっただけに今回の突然の事態に驚いた人も多かったろう。

 さて問題はこれからだ。昨夜来の報道を見ると、もう再審開始が決まったかのような印象を受けてしまうが、足利事件のように決定的な新証拠であれば、菅家さんが突然釈放といった展開になったのだが、今回はまだそう簡単ではない。だから、今後、マスコミがどんな報道を行うかが重要だ。

 例えば産経新聞はきょうの朝刊で、土本武司・元最高検検事のコメントに依拠して「新証拠『足利事件とは違う』」という中見出しを掲げている。新証拠の評価が法律家によって分かれるなかで、どちらに軸足を置いた報道をするかで、かなり印象は異なる。再審開始へ向けた報道がなされるか、否定的な報道になるかで、世論も違ってくるし、今後の再審をめぐる攻防にも影響が出そうな気がする。

 いやそれよりも、マスコミがこの報道を1日だけで忘れ去ってしまうのではないかという危惧もある。特に今回は、読売の単独スクープだったために、「特オチ」を恐れる意識が働いて各マスコミとも昨夜から今朝にかけて大きく報道したが、そもそもこういう冤罪事件を長期的にフォローして、自ら問題提起していくという機能が、今のマスコミには著しく低下している。昨日のような大報道になっても、各社が独自の素材を持っているわけではない。だから、明日からまたマスコミが見向きもしなくなってしまう怖れもあるわけで、ここは弁護団や支援の方々に、ぜひがんばってほしい。「報道先行」であったことは両刃の剣でもあるからだ。

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御用記者クラブ住人自身及び篠田氏も含むメディア業界人は
”特落ち”を恐れると言うが過去に特ダネを抜かれて左遷された記者は存在するのでしょうか?
おそらく直属上司から叱責をいただくぐらいでそれ以上はありえないのでは?
”特オチ”を官、御用達記者クラブ等の談合の免罪符に利用しているのが醜い
又今回の読売のスクープ?
官情報のスクープってリーク以外あり得ない訳で読売は必ず見返りを出している、関係を表している
三面の読売、警察情報に強い読売
読売はそれだけ警察に便宜供与を図っている、関係を表している
ところで新聞社の出せる便宜供与って、なんなんでしょうかね???
篠田さん、今は10人に1人はこの辺は見えていますから、御安心を

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Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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