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2011年3月10日

「家族よりも公務を」という週刊誌の皇太子一家叩きに疑問

 「愛子さま不登校」問題が起きて一年がたった。『週刊新潮』3月10日号がグラビアで「不登校から1年」と題して、母親と一緒に下校する愛子さまの写真を掲載している。こういう隠し撮り写真が週刊誌に掲載されるのは、皇室タブーが支配的だった時代には考えられなかったことだ。

 写真の説明文では、愛子さまが「ここ数カ月は早退が少なくなり、最後の授業まできちんと出てから下校されています」という学習院初等科関係者のコメントが紹介され、順調な回復ぶりであることが強調されている。

 しかし、ことはそう単純ではない。同誌特集記事の見出しは「ご家庭だけに目を向けられる皇太子殿下へのご諌言」。皇太子が2月23日の誕生日を前に行った会見で、娘の不登校や妻について心配して語った言葉を捉えて苦言を呈しているのである。つまり、皇太子一家は公務よりも家族のことを優先的に考えているのではないか、というわけだ。

 『週刊新潮』はこの間、一貫してこういう論調だ。例えば2月24日号「冠動脈硬化『天皇陛下』が口にされないご心痛」。2月11日から検査入院した天皇の病状を心配した記事なのだが、「口にされないご心痛」とは皇太子夫妻のこと。天皇が検査入院している日に皇太子一家がスケートを楽しんでいたというのを非難がましく取り上げているのだ。

 この論調は同誌だけではない。4月29日の英国ウイリアム王子の結婚式に皇太子夫妻が出席することについて、『週刊文春』2月17日号は「国内公務はドタキャンすることもあるのに、海外公務は準備万端で行かれるのか」と懸念する声を紹介している。

 また『週刊朝日』も昨年11月12日号「『確信的だ』と宮内庁幹部が嘆く雅子さまの『新しい公務』観」という記事で、雅子妃が公務を欠席しながら、娘など家族との時間を大切にしていることを批判的に書いている。

 でも、どうなんだろう。週刊誌のこういう論調は、本当に国民の気分を反映しているのだろうか。非難を受けようと娘のためになりふり構わず付き添いを続けてきた雅子妃の母親ぶりを、私はある意味で感動的だとさえ思うのだが、いったいどちらの見方が多数派なのだろうか。

2011年3月 5日

小向美奈子容疑者に関するテレビ・週刊誌の大騒動に疑問を呈する

 格調高い「ザ・ジャーナル」に似つかわしくないネタかもと少し不安だが(笑)、小向美奈子騒動について書いておきたい。タレントの小向美奈子容疑者が2月25日、フィリピンから帰国。覚せい剤譲り受けの容疑で逮捕された。逮捕状が出され、フィリピンにいることが報道されてから2週間余、連日のように繰り広げられたマスコミとの攻防戦は異常というほかない印象だ。

 「小向美奈子にまた『逮捕状』」と最初の報道を行ったのは2月9日発売の『週刊文春』2月17日号だった。発売前日の8日から騒動となり、フィリピンに滞在しているとの報道もなされたため、9日には数十人の報道陣がマニラ入りしたという。小向容疑者は10日にはホテルを引き払ったが、11日にテレビ朝日系の取材チームが街中で遭遇し直撃。番組で放送した。スクープ映像などと言われているが、街で見つけて声をかけただけの中身だ。

 さらに『週刊文春』3月3日号によると、フジテレビも彼女の新たな滞在先のホテルを突き止めて、隣室に部屋をとり、張り込みを敢行。ところが、現地スタッフが撮影しているところを小向容疑者側に見つかり、騒動の末、取材テープを奪われてしまったのだという(但し同誌の取材にフジテレビ広報室は「今のところ確認はとれていない」と回答している)。

 こうした騒ぎで事態を把握した小向容疑者は、14日、これまで何度か取材を受けてきた『週刊ポスト』の独占インタビューに応じた。21日発売の同誌3月4日号「逮捕直前完全独占告白 小向美奈子『覚醒剤と妊娠とイラン人』」がそれだ。その中で彼女は、フィリピン滞在が逃亡目的だという報道を否定、薬物使用の容疑も否認し。近々出頭する意思を告げた。

 その記事が出たのは1週間後だが、小向容疑者は、取材に応じた2日後の16日には帰国するつもりだったようだ。実際、座席の予約も行っていたため、報道陣が空港に殺到したのだが、結局本人はその便に乗らなかった。どうやら搭乗手続き後のドタキャンだったようで、機内アナウンスで名前を呼ばれ、同乗予定だったスタッフの女性が携帯電話でそのことを知って「うそ」と慌てながら降りていった。そのため飛行機の出発が遅れたのだという。取材陣が殺到していたのを見て、小向容疑者が慌てて帰国を取りやめたのだろう。

 結局、実際の帰国は25日になったわけだが、その際も、フジテレビとテレビ朝日が帰国便に同乗。機内電話で中継を行ったという。『週刊文春』3月10日号によると、機内レポートを行ったのは、あの故・中川昭一代議士の長女でフジテレビに入社した女性だったという。もちろん機内でも小向容疑者を撮影。本人からプライバシー侵害だと抗議され、客室乗務員からも注意されたという。その後、成田空港に着いた時の騒動の映像は各局で放送された通りだ。

 空港で逮捕された小向容疑者は、女性の留置設備のある武蔵野署に移送。今のところ接見禁止がついているという。

 薬物汚染は社会的問題だから報道するのは当然だ。しかし、この間の小向報道、いくら何でも騒ぎ過ぎではないだろうか。今回の覚醒剤譲り渡しの容疑というのはそもそも立件が難しく、不起訴になる可能性もあるという。容疑が固まってもいない段階でこれだけ騒いで、不起訴だった場合、マスコミはどうするのだろうか。週刊誌はともかく、テレビ局も大騒ぎになったのは、民放各局が夕方のニュース戦争を展開しており、しかもその時間帯はナンパなワイドショーふうのネタがウケルということで、しのぎを削っていることの反映だ。視聴者の関心が高いから、というのがテレビ局が大きく取り上げる理由なのだが、でもその視聴者たちは、テレビや週刊誌が騒ぐから関心をかきたてられているのではないだろうか。

2011年3月 3日

3月16日18時~「無縁社会」について議論する会(『創』主催)開催!

 そもそも「無縁社会」というのはNHKが考えた造語ですが、いまや現代社会のひとつの現象を表すキイワードとして定着しつつあります。そもそもNHKがこの問題に取り組む発端は「ワーキングプア」でした。そのキャンペーンを発展させ、深めた企画が「無縁社会」だったといえます。

 その「無縁社会」について、当のNHKの社会番組部ディレクター板垣淑子さんをお呼びして、映像を紹介しながら議論しようと思います。またNHKは現在、このキャンペーンに局をあげて取り組んでいるのですが、番組への反響や取材・報道態勢、その後の取り組みなども伺おうと思います。

 3月16日(水)夜18~21時。会場は千駄ヶ谷駅前の東京体育館第一会議室。
 http://www.tef.or.jp/tmg/access/access.html

 参加費500円(当日会場受付にてお支払いください)。定員は150名。
 体育館の中の会議室なので映像設備はいまいちですが、何とかなると思います。
 
 当日飛び込み参加OKですが、もし座席を確実に確保したい方は「3月16日参加希望」という件名で、お名前・連絡のつく電話番号を記入の上、下記へ予約メールを送って下さい。送信先 masudoku@tsukuru.co.j

 またはファックスで上記と同じ内容を03-3225-0898(創出版FAX)へ送って下さい(できれば返送用のFAX番号も)。

 主催は月刊『創』編集部です。興味のある方はぜひおいでください。

Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

BookMarks

創出版
http://www.tsukuru.co.jp/

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-----<著書>-----


『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

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