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公安情報流出騒動と第三書館の本をめぐる異様な事態

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↑ 第三版表紙

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↑ 削除だらけの第3版の中身

 公安情報が大量にネットに流出した事件をめぐっては、ようやく警察がそれを認めて謝罪した。イスラム教徒そのものをテロリストとみなして捜査の対象にしていた日本の公安警察の内部事情を明らかにしたこれらの文書は、今後、イスラム社会にも波紋を投げるのは必至で、深刻な影響はむしろこれから世界的に拡大していくはずだ。

 そして、もうひとつ。ここで紹介したいのは、その内容をそのまま本にした第三書館『流出「公安テロ情報」全データ』の問題だ。これも極めて異例の事態に至っている。

 周知のように、この本についてはプライバシー侵害を理由に、そこに自分の情報が載っているイスラム教徒らが出版差し止めの仮処分を申し出、裁判所に認められている。ところが今回、異例なのは、その決定を受けた第三書館側が、その訴えられた人の情報だけを削除して第2版を発売するという行為に出たからだ。しかも、それが発売されるのと同時に、掲載された他の人が同じ申し立て行い、その第2版も差し止め命令。本に掲載された人たちは他の人も次々と弁護士に相談し、弁護団も結成された。

 結局、出版差し止めの仮処分申し立ては3次にわたってなされ、3次とも認められた。ところが第三書館はさらに、ほとんど削除だらけの第3版を25日に出版した。削除といってもそれを落とすのでなく、問題部分を網伏せにして、そこに情報があったことはわかるようにしてあるから、網伏せだらけの本なのだ(写真参照)。しかも、この間、第1・2版については、トーハン・日販は取扱拒否を決めたが、他の取次は注文だけには応じたため、いずれも完売。それ以降も書店からの注文が出版社にはたくさん届いているという。

 弁護団はこうした第三書館の出版行為に対しても抗議し、損害賠償請求訴訟を起こした。この第3版については全取次が扱いを拒否したため、書店によっては既に客注を受けているところもあるのだが、本は流れないという事態になった。一部の書店では混乱も起きているようだ。

 極めて異例の事態というほかないが、問題は、第三書館がどういう理由で本を出し続けているのか、弁護団がどういう主張をしているのか、詳細が報じられていないことだ。

 そこで、ここで比較的基本的な資料に限定して双方の主張を紹介することにした。というのも、弁護団の方は昨日付で専用のサイトを立ち上げたようで、これを見ると経緯がよくわかるからだ。ただ当然のことながら、非難している第三書館の生の資料はそこでは紹介していない。そこで弁護団のサイトのアドレスを紹介するとともに、ここでこの間、第三書館が関係者に発した文書を2つ紹介する。ひとつは12月2日付の「『自殺』を迫られている、出版メディア」、もうひとつは12月9日付で裁判所に提出した陳述書だ。これを紹介するのは、別に私が第三書館の立場を代弁するためではもちろんない。この異常ともいうべき事態について議論するのに、第一次資料がやはりきちんと公開された方がよいのではないかと思うからだ。ついでに言えば、弁護団の方は、よく知っている梓澤和幸弁護士が弁護団長、また一方の第三書館の北川社長も面識のある人でもある。対立している両方が一応知り合いだ。さらに、第三書館も加盟している中小出版社の団体「流対協」もこの件で見解を公表している。それも紹介しておこう。

■出版差し止めを求めたイスラム教徒らの弁護団のサイト
http://k-bengodan.jugem.jp/

■第三書館が公表した文書2つ
・12月2日
http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/shinoda101227_3.jpg

・12月9日
http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/shinoda101227_2.jpg

■流通対策協議会の見解
http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/shinoda101227_1.jpg

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

外事三課からの情報流出を当局が認めた。当たり前である。犯人を探さないといけないのだから情報流出そのものを認めないと事件化出来ない。勿論、内密に捜査をしていたはずだから、犯人をおおよそ特定出来たのだと私は思った。しかし、それなら発表と同時に逮捕しないとまずいわけで、今の所、犯人逮捕のニュースは聞いていない。これとは別に情報管理の問題や国際関係の信用問題や、今後の公安の活動に支障をきたすなどのニュースコメントばかりだったが、忘れてはならないことがある。今回の流出情報の中に公安が個人情報を入手するにあたり、ちゃんと裁判所の許可をとっていたのかどうか?許可をとらないものは協力してくれた個人又は企業もいたことになるわけだから、勝手に公安に協力して人様の個人情報を【公安に流出させていた】企業又は個人の特定も急がれる必要がある。例えば【私の知らない間に勝手に企業が私の個人情報を公安に流出させていた】らたまったものではない。【電話会社や銀行や証券会社等が】裁判所からの令状がないのに【勝手に公安に流出させていた】としたら、私は【その企業を知る権利が当然ある】当たり前である。今後のお付きあいや、これからのお付きあいに際しての参考にしなくてはならないからだ。流出とは【誰が誰に】していたかによって、【流出】と表現されたり【協力】と表現されたりする。やってる行為は一緒である。

とりあえず第三書館は昔お世話になったのでつぶれないでほしいものです。

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篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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2008年8月、筑摩書房

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