映画『ザ・コーヴ』上映とシンポジウム」ネット中継のお知らせ
直前に映画『ザ・コーヴ』上映中止事件が起きたため、6月9日のシンポジウムには参加希望者が殺到しています。定員は550人ですが、既にローソンでの前売券400は完売、予約のメールも定員を超えて届いており、あとは当日券を残すのみです。予約をしておいて欠席する人もいると思うので、当日、どのくらい当日席を確保できるかわからないのが実情です。ご不便をおかけして申し訳ありません。
ただ、会場に来られない方のために、映画「ザ・コーヴ」上映時を除いたシンポジウムなどはネットで中継します。
生中継を予定しているのは「THE JOURNAL」や「ourplanet-tv.」です。
冒頭の18時40分から19時、20時30分から21時半までのシンポジウムを中継する予定です。
その集会で最終発表されるアピールはこちらです。
〔緊急アピール〕映画「ザ・コーヴ」上映中止に反対する!
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」をめぐって、映画館が次々と上映中止を決めています。これを「反日映画」だとする一部の右派団体からの電話や街宣による抗議を受けての「自粛」措置と思われますが、2年前の映画「靖国」の上映中止事件とよく似た事態といえます。
こういう事態が一般化すると、評価が分かれるような問題作というべき映画は上映できないことになってしまいます。そもそも海外では広く公開されているこの映画が、作品で描かれた当事国の日本で公開できないというのは、日本における「言論表現の自由」がいかに脆弱かを示す事柄といえましょう。
この映画の内容や制作手法については、この間、批判も含めて様々な意見や評価が表明されています。そういう作品こそ、広く議論に供されるべきで、作品そのものを封印してしまうことは、その機会さえも奪うことになってしまいます。
言論表現の自由は、発表の場が確保されてこそ成立するもので、映画館も表現活動の一翼を担う場であることは明らかです。私たちは言論表現活動に携わる者として、上映中止に反対します。
また現在、全国の上映予定の映画館に中止を求める電話抗議がなされているようですが、それらの映画館が表現の場を守るという立場を堅持することを切望し、そういう映画館を応援します。
●賛同者(6月8日現在、五十音順)
青木理(ジャーナリスト)/有田芳生(ジャーナリスト/民主党参院比例区第61総支部長)/飯田基晴(ドキュメンタリー映画監督)/飯室勝彦(中京大学教授)/池添徳明(ジャーナリスト)/池田香代子(翻訳家)/石坂啓(マンガ家)/石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)/岩崎貞明(『放送レポート』編集長)/上野千鶴子(社会学者)/生方卓(明治大教員)/大谷昭宏(ジャーナリスト)/小田桐誠(ジャーナリスト)/桂敬一(立正大学文学部講師)/北村肇(『週刊金曜日』編集長)/國森康弘(フォトジャーナリスト)/是枝裕和(映画監督)/崔洋一(映画監督)/斎藤貴男(ジャーナリスト)/坂上香(ドキュメンタリー映画監督/津田塾大学教員)/坂野正人(映像ジャーナリスト)/坂本衛(ジャーナリスト)/佐高信(評論家)/佐藤文則(フォトジャーナリスト)/澤藤統一郎(弁護士)/篠田博之(月刊『創』編集長)/柴田鉄治(ジャーナリスト)/下村健一(市民メディア・アドバイザー)/ジェイソン・グレイ(ジャーナリスト)/ジャン・ユンカーマン(映画監督)/張雲暉(映画プロデューサー)/白石草(OurPlanet-TV代表)/杉浦ひとみ(弁護士)/鈴木邦男(作家)/想田和弘(映画作家)/田原総一朗(ジャーナリスト)/土屋豊(映画監督/ビデオアクト)/土井敏邦(ジャーナリスト)/豊田直巳(フォトジャーナリスト)/鳥越俊太郎(ジャーナリスト)/中山武敏(弁護士)/七沢潔(ジャーナリスト)/野田雅也(ジャーナリスト)/野中章弘(ジャーナリスト/アジアプレス)/橋本佳子(プロデューサー)/服部孝章(立教大教授)/林克明(ジャーナリスト)/原寿雄(ジャーナリスト)/日隅一雄(弁護士)/日高薫(ジャーナリスト)/広河隆一(『DAYS JAPAN』編集長)/藤井光(現代美術家・映像ディレクター)/森達也(作家・映画監督)/森広泰平(アジア記者クラブ事務局長)/安岡卓治(映画プロデューサー)/山上徹二郎(映画プロデューサー)/山本宗補(フォトジャーナリスト)/豊秀一(新聞労連委員長)/李纓(映画「靖国」監督)/綿井健陽(ジャーナリスト/アジアプレス)
※賛同者はさらに増えており、6月9日の〈「ザ・コーヴ」上映とシンポジウム〉で、最終的な賛同者を発表します。またその場で、賛同者から何人かに直接発言をしてもらう予定です。
アピールについての問合せ先:月刊『創』篠田博之 電話03-3225-1413 メール mail@tsukuru.co.jp
コメント (5)
■コメント投稿について編集部からのお願い
《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。
http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html
ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。
投稿者: 《THE JOURNAL》編集部 | 2010年6月 9日 01:42
怖さを抑え、賛同されたジャーナリストの方に伺います。「言論表現の自由」は総ての権利を無条件で超越するものなのでしょうか? 『批判も含めて様々な意見や評価が表明』されていれば、総て容認されるのでしょうか? 「言論表現の自由」の行使に拠る被害者が自ら反論する能力・手段を有していない場合、誰が、如何にして救済し護るのでしょうか? 今回の場合、イルカ漁に携わっている漁民の方々の人権は護られているのでしょうか? 昨今の「言論表現の自由」の濫用に怖さを感じて居ります。
今回のみ、ハンドルネームも記さず投稿します。
投稿者: 今回は匿名希望 | 2010年6月 9日 11:44
臭い物に蓋をするよりも
見て議論した方が“身になる”と思うがね。
投稿者: 匿名 | 2010年6月 9日 17:18
こんばんわ。
威力業務妨害を正当化したり、民族差別を助長するような映画が公共の福祉に合致するとは思えません。よって、そもそも表現の自由は映画製作者側にはありません。水銀の問題提起は他のやり方があるでしょう。
映画はこれから見ます。表現の自由を認めない私が検証のために映画を見るというのも変ですけどね。
投稿者: Moriya, Tomo | 2010年6月 9日 21:19
この表現の自由を考える時に「自由」をどうしても考えてしまう。
この「自由」を権利として、相手に押し付けるような言動はいかがなものかと思うのです。
これで思い出すのが、9・11です。テロ行為は許すことのできない行為ですが、フリーダムを御旗に自分達の意見を相手に押し付けるかの行動が、イラクやアフガンにおける行為でなかったかと思える面もあるのです。
表現の自由には、それを見聞きするものにその異議を共有できる物がないといけないとも思えるのです。特に広く公開する場合には、その配慮が必要で、一方的な表現が正しいかと言えば言い切れないと思うのです。
投稿者: 本田 勉 | 2010年6月10日 08:00