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2009年10月 9日

週刊誌を読む:人気キャスター降板とテレビ局の内部事情

「不況による制作費カットなのか。彼女自身の決断なのか。人気キャスターの突然の『進退』は波紋を広げた」

 『アエラ』10月5日号「滝クリ『降板』の真相」の書き出しだ。
 フジテレビ「ニュースJAPAN」のキャスター滝川クリステルさんの「降板」が話題になっている。発表が降板直前だったことも憶測を呼んだ。
 『週刊新潮』10月8日号には、本人が報道局長に六月頃辞意を伝えたと書かれている。
 七年間、この番組中心の夜型生活を続けてきて、自分なりの転進を考えたらしい。
 ただ一方で、局側にもこれを「渡りに舟」と受け止める空気があったという。『週刊現代』10月10日号は、降板は主に局側の事情によるものだとして「滝川クリステルをクビに!」という見出しをつけている。
 それによると、もともとフジテレビの子会社である共同テレビの局アナだった彼女は、昨年十月に芸能プロダクションに移籍。それまで年収約一千万だったのが、契約料三千万円強へとギャラが跳ね上がったのだという。
 今テレビ界では、業績悪化のために制作費の切りつめが進み、出演料の高いフリーアナやタレントを局アナに切り替える動きが進んでいるらしい。

「昨年はフジの20億円に対し、日テレは100億円のコストカットを行っている。この10月には、日曜の夜の報道番組『真相報道バンキシャ!』の女性キャスターが女優の菊川怜(31歳)から、局アナの鈴江奈々(29歳)に交代。もちろんコストカットの一環だ」(週刊現代)

 『週刊女性』10月13日号によると、その波は報道・情報番組だけでなく、例えばテレビ朝日は「平日深夜0時台のバラエティー番組を原則終了し、ランキング形式の通販番組をスタートさせます。この番組にはタレントを一切出さず女子アナのみ。さらに通販も自局で運営するので、これなら低コストで高い収益を挙げることができます」という。 
 将来的にそれでいいのかと思わざるをえないが、背に腹は代えられぬということなのだろう。タレントを局アナに替えることは別に問題はないが、テレ朝のように「放送外収入」を増やすために通販番組を拡大するというやり方は、どう考えてもおかしい。実際、テレビショッピングは儲かるらしいのだが、メディアが番組ソフトや報道情報で勝負をするという本来のあり方を放棄したよう見えて首を傾げざるをえない。

 でも活字メディアの苦境はもっと深刻だ。マスコミが自分たちはいったい何のためにこの仕事をしているのかという原点をもう一度思い返してほしい。そういう時期に来ているような気がする。果たしてメディア界はこれからどうなってしまうのだろうか。

*  * 《編集部より》 *  *

『週刊誌を読む』は、「創」編集長・篠田さんが東京新聞に連載(北海道新聞・中国新聞も転載)しているコラムで、その週に注目を集めた週刊誌の記事を取り上げ、論評するものです。

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Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

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