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「母と娘」という関係について 9月2日中山千夏×香山リカ対論

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『幸子さんと私―ある母娘の症例』
2009年8月、創出版、中山千夏著

 皆が選挙の話で盛り上がっている時に全然違う話で申し訳ないなと思いつつも書きます。
 先日、グーグル問題に関する記者会見で日本ペンクラブに行った時、会長の阿刀田高さんと雑談を交わしました。その時、阿刀田さんから「今度、千夏さんのすごい本を出したんだって?」と言われました。その本というのは中山千夏さんの『幸子さんと私』という本なのですが、昨年亡くなった母親について、千夏さんが、実は自分はずっと嫌いだった、と書いたものなのです。8月3日に行った出版記念パーティーには井上ひさしさんにも発起人になっていただいたので、阿刀田さんは井上さんから本のことを聞かれたのかもしれません。
 千夏さんは直木賞に3回ノミネートされた作家であり、同じ作家の立場として、実の母親をそんなふうに作品にすることに驚かれた、というのが先の感想でした。千夏さんの役者仲間や作家としてのつきあいのある人たちからは、実際この本について、衝撃的だったという感想をいただいています。そして一方、自分も同じように母親と独特の関係にある、という娘の立場にある女性たちからは、千夏さんの気持ちは自分もよくわかる、という感想が届いています。

 千夏さんは天才子役として芸能界にデビューし、一世を風靡した人ですが、母一人子一人の生活が長く、母親との関係は独特でした。そしてその母親が昨年亡くなって以降、自分が囚われていた母娘関係について、本を書くという行為を通じて見つめなおしてみようと考えたのです。結論を一言で言うと、本の帯にあるように「生まれてこのかた『母に会いたい』と思ったことがない。」というものでした。
 私も2年前に母を亡くして、その時の感情は衝撃と哀しみでしかなかったのですが、それゆえに千夏さんの原稿を最初に読んだ時には、亡くなった母親に対して憎悪に近い感情を持ち、しかもそれを公にするという、そのことに驚きました。そして、親に対する感情はもちろん人それぞれでしょうが、「母娘」関係と「母息子」関係の違いというのもどうもありそうだ、と、この本を読んだ人の感想を聞くうちに思い始めました。母と息子の間には「マザコン」という言葉が存在するが、「母娘」関係でそれにあたる言葉がない。千夏さんは本の中でそれを指摘し、そのこと自体に、日本社会の中で「母娘」関係が社会的テーマとして過去あまり認識されてこなかった歴史的背景があるのだと書いています。
 母娘関係というのは、それ自体、この10年ほどの間に論じられるようになったテーマです。千夏さんは、自分自身の母娘関係について告白することを通じて、自分自身のカウンセリングを試み、同時にその個人的体験の中に普遍的テーマがあるのではないかと問題提起をしたわけです。

 『創』最新号では、精神科医の香山リカさんとの対談で、千夏さんの「母娘」関係について分析を試みました。それで9月2日(水)夜18時~、その中山・香山対論を公開の場で行い、この問題について一緒に考え話し合ってみたいと、トークイベントを設定しました。会場は神田神保町の東京堂書店(6階会議室)です。この問題に興味がある方はぜひ来てほしいと思います。参加費は500円。あらかじめ予約をしていただくと確実ですので、東京堂書店のHPにアクセス下さい。http://www.tokyodoshoten.co.jp/
 千夏さんのトークイベントは9月9日(水)夜18時~にも、紀伊国屋新宿南店で行います。http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/event.htm#minami_08。こちらは元『話の特集』編集長の矢崎泰久さんとのトークです。ぜひおいでください。

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篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
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2008年8月、筑摩書房

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