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毎日新聞8月21日付の「足利事件裁判官アンケート」はいい記事だった

 8月21日付の毎日新聞が掲載した「足利事件 最高裁・地裁8裁判官 本紙アンケート」はいい記事だった。足利事件で判決をくだした、あるいは再審請求を退けた裁判官8人の実名をあげ、自分の判断を今どう思うかアンケートをとった結果を紹介したものだ。今では裁判官をやめて弁護士になっている人も含め、大半が「回答なし」や「取材には応じられない」との回答なのだが、電話取材した時の相手の態度など詳しく報じ、「率直に誤り認めよ」という元東京高裁判事のコメントも載せるなど、記事を書いた側の思いが伝わってくる紙面だ。

 日本では役所などでも重大なミスを犯しても個人の責任は曖昧にされてしまうのだが、裁判官の責任というのはもっと問われていい。国家権力を行使する立場に置かれ、判決によっては被告を始め関係者の人生や生命をも奪ってしまうのだから、誤った判断をした場合の責任が問われるのは当然だ。国家権力を行使するというのはそれくらい重たいものだという認識を持ってほしい。そうでないと、足利事件のように、どう見ても再審を開かないとおかしいケースでも、それまでの判断を維持して事なかれに終始してしまう裁判官は後を絶たないだろう。
 足利事件のようにずさんな取調べと、予断を持った裁判官によって冤罪が作られたというのは国家犯罪と呼んでいいものだ。その決定に参画した捜査官や裁判官個人の責任が全く問われない、今の日本のシステムはどう考えてもおかしい。たとえ過失でも民間なら死亡事故を犯した人は刑罰を課されるし、最近は医療ミスを犯した医者も責任を問われる時代だ。民間がそうなのに、国家権力を行使するというもっと重たい立場にある捜査官や裁判官の過失が問われないのは本末転倒だ。このことをもっとマスコミは追及してよいと思う。
 本当は裁判員制度導入をめぐる議論でも、足利事件のような冤罪はどうすれば防げるかといったことはもっと論じられてしかるべきなのだが、8月3日からの洪水のような裁判員報道が、制度を詳しく紹介するだけに終わってしまったのが残念でならない。あれではマスコミが裁判所のPRに終始したようなものだ。

 足利事件は、犯罪報道のあり方についても大きな問題を提起したが、当時の報道を反省するとともに、今回の毎日新聞のような国家の責任を追及するようなジャーナリズム本来の取り組みを行うことこそが必要だ。
 私も事件当時の各紙の紙面を見てみたが、例えば菅家さんの自宅の家宅捜索でアダルトビデオが大量に見つかったという話を朝日新聞始め各紙が大々的に報じている。これは菅家さんが性的変質者だという警察側の偏見をマスコミがそのまま流布した例で、マスコミが警察の広報機関になりさがっている実態を示したものだ。
 各紙とも足利事件についての当時の報道を検証する紙面を作ったが、率直に言うと、報道側の痛みがあまり伝わらない記事だった。そのなかで一番感心したのは東京新聞6月28日付の「本紙の検証」だ。末尾にこう書かれている。
 「菅家さんは無実だという視点から、捜査の矛盾点などを継続的に報道してきたのはフリージャーナリストと民放テレビ局の記者だった。菅家さんの再審開始の決定は、司法の敗北であると同時に、大手メディアの敗北でもある」
 ここまで書けるのはやはり東京新聞ならではだ。私も連載を持っているから身内ぼめになってしまってはまずいが、こういう記事が読めるのが東京新聞のすごいところだ。

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日本経済新聞8月7日夕刊より

2009年8月30日の国民審査で一票の格差を是認する裁判官として那須、涌井の2名を実名を挙げて紹介したことが注目される。 また、今回態度が不明の6人新任裁判官に対しては、審査広報上で各人のこの問題に対する所信を述べよと呼び掛けた点も特筆される。 

衆議院(2.277倍)、参議院(4.868倍)だそう。

都会ほど一票の重みが少ないんだろうと想像する。
田舎は少数だから尊重するという事か?
違憲裁判での判決も何やら判然としない文言となっている。

それにしてもこれは「格差」ではないのか?

先進国ではこげな格差はあり得ないらしいが、どげんかせんといかん。
議員定数を減らすというのは民主も自民も同じだが、その際この問題はどうなるのか?

少なくともこの件で合憲はとした上記2名の裁判官は罷免せんといかんでしょう。

私的には私道裁判で裁判官が出してきた「和解案」が建築法違反!の内容で、弁護士になり代わり一喝。
結果即勝訴となったが、判事の程度にも呆れたが、弁護士も似たようなもの(この時何も発言せず!後で聞けば司法修習の同期だそう)なので、権利は「戦わないと克ちえない」と思った次第。

これが普通とは思わないが、先の小沢問題を見て分かる通り、司法も劣化している。
検察は行政だが、一応ここでは司法に入るという前提。

こんばんわ。

今起きている問題として、早急に再審が必要だ思っているのは

・御殿場事件(青年達が収監中)
・高知白バイ事件(元バス運転手が収監中)
・飯塚事件(昨年処刑)

です。

どれも裁判所の間違いによる冤罪ではなく、「警察、検察の証拠捏造」による犯罪であると思っています。

どれも地元の新聞や全国紙が、官側に都合のよいものを垂れ流し、事実を隠蔽したと思います。

警察は自分達の都合で、なんでもやっていいのか?

マスコミは、警察のポチでいいのか?

卵の側に立たなくていいのか?

毎日新聞が送ったアンケート用紙なんか捨てた!!
と息巻く裁判官もいたと書いてありました。ほんとにお粗末な人間性です。
裁判官は、研修もかねて検察官にもなると聞いたことがあります。これでは検察に都合の良い判決しか、出せる訳ないですよね。

国民の人権無視、成果主義の裁判官たちに、いつか国民からの大きなバッシングの波が押し寄せると思います。

こんばんわ。

警察や裁判所を批判する記事に、コメントがつかない気がしますね。

自分にはあまり関係ないと言う人が多いのかなあ。

このニュースはご存知ですか?

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篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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