« 移民ソーシャルワーカーの養成が急務である
メイン
日本人は多民族共生社会を創れる »

移民時代の日本語教育と多民族共生教育

 日本型移民政策を実行に移す場合の日本の課題は日本語教育体制の整備である。日本の小学校、中学校は日本語のできない子供を教えた経験が浅いため、外国人を教育する体制になっていない。

 定住外国人に対する日本語教育の重要性が認識されるようになったのは、1990年代に日系ブラジル人の子孫が大挙Uターンしてきた時からだ。

 日系ブラジル人の子供が日本の学校に行かない。なぜかというと、家の中でポルトガル語しか話さないから、学校では日本語能力が原因で授業についていけないのだ。結局、中学校はなんとか卒業する人はいるけれど、高校に進学する人はほとんどいない。もちろんまともな職に就けない。中には非行に走る少年もいる。今、そういう深刻な状況が生じている。

 欧州の移民先進国も同様で、言語の問題や低学歴のため職を得られない移民二世が暴動などを起こしている。その反省に立って、例えばドイツでは外国人に対して年間900時間のドイツ語教育とドイツ文化教育を行っている。

 政府は、外国人は義務教育の対象外と言うが、国籍に関係なくすべての児童に教育を受ける権利を保障した「児童の権利に関する条約」(平成6年条約第2号)を持ち出すまでもなく、そのような考えは間違っている。小学校・中学校が、日本語のできない在日外国人の子供を受け入れ、十分教育する体制を一刻も早く整えるべきだ。
 
 まず、定住外国人の初等中等教育を担当する国の機関として、文部科学省に外国人教育課を新設する。つぎに、日本語教員の養成、日本語補習授業制度の導入など外国人教育の充実を図るための予算措置を講じる。これらを行うだけでも、日本の外国人受け入れ態勢は目に見えて改善されるはずだ。のみならず日本型移民政策を本格的に展開するための基盤整備にもなる。

 在日外国人の子供が日本の学校で勉強し、日本語の読み書きができるようになれば、学校の授業も理解できる。進学の道も開ける。職を得ることもできる。成人後は、日本人とのコミュニケーションもスムーズにいくし、社会統合も進む。日本語には日本人の考え方や価値観など日本文化がすべて含まれているから、日本語をマスターした外国人は日本人とうちとけ、日本社会に適応する。

 日本型移民国家プロジェクトが始動すると、移民を対象とした日本語教育がますます重要になり、国の移民政策体系の中で社会統合政策の要と位置づけられることになろう。

 その場合、移民や移民二世に対する日本語教育は、日本語学校に中心的な役割を果たしてもらわなければならない。なんといっても日本語学校には50年を超える日本語教育の歴史の中で培ってきた知的財産と人材がある。約400の日本語学校は長年の現場経験に基づき開発した日本語教育法のノウハウや日本語教材を持っている。それに外国人を教育することでは真のプロの日本語教師を5000人も抱えている。

 来たるべき移民開国時代の日本語学校は、大学進学への予備校的な存在から脱皮し、日本型移民政策の最前線で活躍してほしい。海外にいる移民希望者に対する初歩的な日本語教育から、入国した移民に対する本格的な日本語教育までのすべてをお願いする。

 有力な日本語学校は、大学と連携し、留学生の日本語教育部門を引き受けることもできる。企業や地方自治体から委託を受けて、3カ月の日本語集中コースで、在日外国人の日本語能力を日常生活に不自由しないレベルにまで高めることもできるだろう。

 日本語学校で働く日本語教師は、日本に留学する外国人が最初に出会う日本人である。外国人にとって日本語の先生というだけでなく、日本社会の案内人であり、人生の相談相手でもある。日本語学校で学ぶ外国人が親日になるか否かは、一に日本語教師の人格、能力にかかっている。

 日本語学校の経営者に注文がある。「日本の顔」の日本語教師が体面を保って日本語教育に専念できるよう、かつ良い人材が日本語学校に集まるよう、給与・待遇面の改善を図ってもらいたい。

国にも提案がある。日本語教育の水準を高め、日本語教師の社会的地位の向上を図るため、「日本語教員免許証制度」を創設してはどうか。

 一方、移民の時代が来ると、日本の小中学校に通う移民の子供が飛躍的に増えるので、外国人と机を並べて勉強する日本人の小中学生に対する多民族共生教育が重要になる。

 多民族共生教育を実施するための前提として、子供の持つ個性の芽を摘んで「均質な日本人」をつくる教育から、個性の芽を伸ばして「多様な日本人」をつくる教育へと、日本の初等中等教育のあり方を根本的に改めなければならない。そのうえで、小学校から中学校まで、日本の子供が正しい外国人観を身につけるための共生教育を徹底して行う。そのための啓発科目を小中学校のカリキュラムの中に入れることも必要である。

 移民時代に生きる日本人の子供の未来は、外国人とどのような人間関係を築くかによって決定されると言っても過言ではない。日本人が外国人と良好な関係を結ぶには、民族の誇りを持って他の民族とつき合うという心の用意がなければならない。およそ自らの民族と文化に誇りを持たない国民は、異なる民族と文化に寛容になれないからだ。

 ということは、愛国教育と多民族共生教育は矛盾するものではなく一体のものである。外国人と共生する社会を実現するためには、「民族の心」と「寛容の心」を兼ね備えた日本人の育成が肝要だ。そのような心の広い日本人が主流派を形成する社会がすなわち「共生社会」である。

 家庭、学校、職場、地域社会において、地球上にはいろいろな民族が存在すること、すべての民族の存在意義を認めること、日本人としての自覚を持つことを青少年に教え込む啓発活動を展開する必要がある。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/6757

コメント (5)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 現行の入管政策を変え、労働政策も、国籍や人種にかかわらず、働く人がきちんと守られるようにする。

 そうすれば、坂中さんのご意見は、とてもいいものだと思います。

私はブラジル人が多い地域に住んでいる者です。ブラジル人学校の運動会の炊き出しにも参加させていただいております。

それはおいといて、問題のある外国人がいるのも事実です。
特に、集団で日本人を尾行するなどの(嫌がらせをする)シナ系の外国人が増えており、そういった者は治安面で抑えていかないと後でとんでもない事態に陥りそうです。

<問題の動画>
http://www.youtube.com/watch?v=GenpeqJzQKU

日本が移民受け入れ、混合人種化は避けられないし、必要である、

航空ビッグバンの時代、すでに、体を自由に世界中に安価移動できる時代に突入している。

移民しかり、移出民も必要である。

若くして、世界のあらゆる、人種と交わり、肌で世界の現象を体感する。

今尚、徳川300年の鎖国遺伝子

が、」今日の日本人精神となり、世界に羽ばたけない、狭い日本だけの近視眼的、経済、政治オンチをつくりだしてしまった。

今日の政治混乱もトヨタ問題も、鎖国遺伝子の原因があるのでは?

世界に揉まれていたら、こんなぶざまな、政治醜態などみせなかったであろう。

他人の眼を気にし、横並びで、自分の意見が言えない。意思決定が遅い。

右で番犬に吼えられたら、左へ、逆も同じ様に、羊国民は群れをなす。

10年も学校で英語を勉強しても、
外国でしゃべれない。こんな民族どこに有り?

移民を受け入れる前に30年かけて、若い人々を世界に放り出せ!

血の果てで死のうが、そんな事かまうな!

それから移民を」受け入れろ、現況では、鎖国日本人は無理。

JALなぞ、格安航空会社として

再建し、日本人を大量に外国に吐き出せ、勉強させろ!

前原みたいな、世界の動きが読めない近視眼政治家じゃ無理だね。

何が、ナショナルフラッグの存続だ、人員整理に退職移までの年数で、優待航空券を付加する?

バカも休み休み言え、血税を

この前原大臣も、世界を知らない

低脳大臣だ。

移民など前に英語を第二公用語として、国民が喋れる様になること。

外務大臣、総理くらい英語をしゃべれないなんて、喜劇いや。悲劇。

英語を公用語にしないと、日本は消滅するぞ!

世界は恐ろしい変革のスピー-ド

進んでいる。取り残されるのは日本!国境を意識するな!

移民とはにカケテ、日本語にカケテ
国民よそれでいいのかと下駄を預けてきたわけですね。住人がそれに気がついてくれると良いですね。

コメントを投稿

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

坂中英徳(さかなか・ひでのり)

-----<経歴>-----

1945年生まれ。
慶応大学法学研究科修士課程修了。
70年に法務省入省。
東京入国管理局長を最後に05年に退職し、外国人政策研究所を設立。
法務省在職時から現在まで、在日韓国・朝鮮人の法的地位問題など一貫して在日外国人問題、外国人政策と取り組み、そのキャリアは35年以上に及ぶ。
その経験と見識に基づき、今後50年間で1000万人の移民を受け入れる「日本型移民国家構想」を提唱している。
現在、移民政策研究所所長・人道移民支援センター長。

BookMarks

-----<著書>-----


『出入国管理及び難民認定法逐条解説』
2007年2月、日本加除出版


『入管戦記』
2005年3月、講談社


『日本の外国人政策の構想』
2004年12月、日本加除出版

『今後の出入国管理行政のあり方について』
1989年1月、日本加除出版

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.