移民国家・日本の50年後の未来像
外国人ジャーナリストから、次のような質問を受けることがある。50年間で1000万人の移民を受け入れる能力が、今の日本社会にあるのか。歴史的にも、江戸期265年間の「鎖国政策」に代表されるように、移民の受け入れも外国人との共生もほとんど体験したことがないのだから、それだけの度量の大きさを日本人に期待できるのか。もっともな疑問である。
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外国人ジャーナリストから、次のような質問を受けることがある。50年間で1000万人の移民を受け入れる能力が、今の日本社会にあるのか。歴史的にも、江戸期265年間の「鎖国政策」に代表されるように、移民の受け入れも外国人との共生もほとんど体験したことがないのだから、それだけの度量の大きさを日本人に期待できるのか。もっともな疑問である。
1000年以上も移民鎖国時代が続いた日本は移民の受け入れに適さないという見方が一部にある。
私はそのような考えに異議がある。在日韓国・朝鮮人問題と格闘してきた経験から、日本社会には異なる民族を受容する土壌があり、日本人には移民を受け入れる潜在能力があると考えている。現在、日本人と在日コリアンが友人関係・信頼関係を確立していることこそが、その何よりも雄弁な証拠である。
日本型移民政策を実行に移す場合の日本の課題は日本語教育体制の整備である。日本の小学校、中学校は日本語のできない子供を教えた経験が浅いため、外国人を教育する体制になっていない。
定住外国人に対する日本語教育の重要性が認識されるようになったのは、1990年代に日系ブラジル人の子孫が大挙Uターンしてきた時からだ。
移民の受け入れが成功するかどうかは、全国各地で移民の定住支援などの業務を担う非営利組織(NPO)やボランティアの活躍にかかっている。日本が相当規模の移民を受け入れる場合には、移民からの生活相談に応じ、日本語教育など移民の社会適応を支援する「移民ソーシャルワーカー」の養成が課題となる。
近代日本の発展が人口増加基調のもとで実現したことに照らして考えると、人口減少期に入った日本は明治維新に匹敵する大改革を迫られる。日本人の生き方、国民の民族的構成、社会経済制度などを全面的に見直し、縮小した人口サイズに合った「新しい国」を建設しなければならない。
2009年4月22日の『ニューヨークタイムズ』に「日本から外国人労働者を追放するための手切れ金」という的を射た見出しの記事が載った。日本へ再入国しないことを条件とする「日系人失業者に対する帰国支援事業」を痛烈に批判したものだ。その中で、元厚生労働大臣の川崎二郎自民党衆議院議員がニューヨークタイムズのインタビューに応じ、次のような見解を述べている。
2009年に入り、農業の再生に向けた政策提言が次々と出されている。食料自給率を50%に引き上げる。コメの減反政策を見直す。農地法を改正し、農業生産法人への一般企業の参入を促進する。耕作放棄地の解消を図る、などである。
30万人を超える在日ブラジル人の多くが、愛知県豊田市から静岡県浜松市にかけた地域に住んでいる。この東海地方の一帯には、トヨタ自動車を筆頭にホンダ、スズキ、ヤマハなど、自動車産業が集中している。こうした大企業の系列メーカーが、価格競争力を確保するため、低賃金労働者として組織的に雇用しているからだ。
日本型移民政策の成否は、世界中の青少年を日本の大学や大学院などの高等教育機関に引き寄せ、高度人材に育て上げることができるかどうかにかかっている。その意味では、2008年7月、当時の福田康夫内閣が打ち出した留学生30万人計画は日本型移民政策の強力な推進力となるものである。
日本型移民政策の核心は、高等教育機関や職業訓練機関を活用して外国人を有能な人材に育成したうえで、就職を支援し、永住を認め、速やかに国籍を与えるという点にある。少子化で大学や農業高校などの教育施設の定員に相当の余裕が出るから、そこへ外国人を入れて教育し、将来の国民を養成するものだ。これは少ない費用で大きな効果があがる合理的な政策である。
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