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« サウジの埋蔵量は水増しか(ウィキリークス)/how long?
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砂漠の誤解か(ウィキリークス)/Memories are made of this.

ガーディアン紙の報道で暴露された外交電について、アル・フセイニがウォール・ストリート・ジャーナルで反論しています。

アル・フセイニは、アラムコの公式発表されている埋蔵量についてまったく異論はないが、米外交官がアル・サイフのコメントとして引用した7160億バレルの「埋蔵量」に異を唱えたのだとしています。

7160億バレルは可採埋蔵量と非可採埋蔵量を含む「原始埋蔵量」のことである。サウジアラビアの生産可能な埋蔵量、いわゆる「確認埋蔵量」は2600億バレルだと公式発表されている(アル・サイフは、生産可能な埋蔵量は「原始埋蔵量」の約51%、すなわち、3580億バレルくらいだろうと言っている)。

つまり、アル・フセイニはアラムコの「確認埋蔵量」やアル・サイフの推定にも異論はない。ただ、「原始埋蔵量」を「確認埋蔵量」と混同すると、サウジアラビアの生産キャパが何千億バレルも水増しされてしまうと米外交官に言ったのだが、それが誤解されたと言っています。

ウィキリークスが暴露する外交電は、米外交官が自分の聞いた話、収集した情報をワシントンに報告したものです。暴露された文面はいくつかのフィルターのかかった生情報であり、検証されたものではありません。だから、それを読む時にはそれなりの理解が必要になるのは事実です。しかし、まあ、逆も可能なわけで、本当はあの時、そう言ったのだけれど、どうせ誰も反論できないだろうから、言い繕っちゃおうというケースもあるかもしれません。

重要なことは、現代社会は砂漠の王国の生産する原油にその存続を依存しています。サウジアラビアの埋蔵量や生産可能な率は、したがってきわめて大事な数字です。しかし、サウジアラビアの発表する数字はどれも検証されたものではなく、第三者の検証がない限り、どうにでも言いくるめることができるということです。

とりあえず、昨日お伝えしたアル・フセイニの発言を米外交官が引用したとされる外交電の該当部分を訳しておきます。
(前略)
12月1日行われたアラムコの掘削シンポで、上級副社長で現石油探索生産部長のアブダラー・アル・サイフは、サウジの埋蔵量を7160億バレルと発表し、そのうち51%が回収可能だとした。アル・サイフは、歴史的な傾向をみれば、今後20年には、埋蔵量が9000億バレルに拡大し、回収可能な原油の率は70%に上るだろうと明るい見方を示した。
アル・フセイニはこの見方に組せず、公称確認埋蔵量(7160億バレル)のうち、多ければ3000億バレルは「推測による資源」であり、過大報告されていると発言した。アル・フセイニは、そのかわり、すでに確定した埋蔵量、そしてこれまでの生産量や現在の技術で採掘可能な量についてのみ焦点を当てた。それは3600億バレルであることは誰もが同意している。アル・フセイニの考え方では、もともとの確定埋蔵量の半分である1800億バレルの生産を超えれば、その後はゆっくりとしかし確実に生産は減少し、どんなに努力をしてもそれを止めることはできない。アル・フセイニの計算によれば、これまでほぼ1160億バレルが生産されており、その決定的な分水嶺に到達するまで、残りは640億バレルということになる。日産1200万バレルならば、分水嶺には14年で到達する。アラムコは、次の10年、日産1200万バレルを上回る生産をあげることが可能ではあるが、分水嶺到達以降に始まる容赦のない生産減をふりのけるためだけに最大の努力を払わなければならなくなるだろう。アル・フセイニによれば、生産の高原状態は15年ほど続き、そのあとには生産減退が始まるということだ。
アル・フセイニは油田の減耗率が今後のアラムコや世界の生産の日程の鍵を握ると説明した。生産を上げるということは、すでに生産中の油田に新たな生産キャパシティをただ単に加えることだけではない。減耗率を加味すれば、新たな油田の生産は減耗する生産を補い、さらにその上、上昇する需要を賄わなければならないからだ。IEAの推定では、世界の減耗率は4%と見積もられている。2006年のアラムコの発表によれば、サウジアラビア全体のの減耗率は2%と見積もられている。
アル・フセイニによれば、日産200万バレルが需要増を満たすために必要であり、400万バレルが現存する油田の減耗を補うために必要となり、世界的には、少なくとも600万バレルの生産増が必要とされるだろう。
アラムコが計画するような生産増を達成できないもうひとつの理由は、補助資源の欠如である。例えば、アラムコは2009年までに1250万バレル原油生産を目論んでいるが、それが到達できないのは、原油の量が不足しているからではなく、熟練エンジニアや技術を持つ建設会社や精製のキャパが不足しており、産業用インフラの開発が遅れていたり、生産工程のマネージメント不足(しっかりした生産計画やテクニックを持たずに、過度に掘り出してしまうと、その油田のトータルな生産力を損ねることになる)によるものだ。
(後略)

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リック・タナカ(Rick Tanaka)

-----<経歴>-----

信州松本出身。
1980年、シドニーに漂着。
大学中退後、ラジオやテレビ、ウエッブ、雑誌、ニューズレターなどで執筆、制作、コンテンツ制作、翻訳/通訳、音楽マネージメントなどで活動。
1997年、それまで15年暮らしたシドニーから標高千メートルの高原の町カトゥーンバに引っ越し、執筆・メディア活動と並行しながら、消費を抑え生産する楽農生活に突入する。
2007年、大陸の東南に浮かぶ島にある人口300人の村に移住、オイル・ピークと環境ゲテモノ化時代に備える暮らし、近隣社会の構築を模索中。

BookMarks

-----<訳書>-----


『未来のシナリオ』
2010年12月、農文協

-----<著書>-----


『人工社会』
2006年3月、幻冬舎


『楽農パラダイス』
2003年、東京書籍


『おもしろ大陸オーストラリア』
2000年、光文社知恵の森文庫

-----<共著>-----


『Okinawa Dreams Ok』
1997年、Die Gestalten Verlag


『Higher than Heaven:Japan, war and everything』
1995年、Private Guy International

-----<訳書>-----


『沖縄ポップカルチャー』
2000年7月、東京書籍

『首相暗殺』
ロバート・カッツ著、集英社

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