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2006年11月23日

銀輪議員/on your bike.

米中間選挙の結果のひとつで大手マスコミが取り上げないニュースをもうひとつ。

APによれば、自転車「党」(といってもこちらは正式な「党」じゃなくて、巨人「党」とか、ああいう乗り,ですけど)というか,銀輪族というか、自転車の重要性を認識する政治勢力も民主党の躍進で,大きく躍進しそうです。

自転車「党」の議員(全員,民主党、ですね)で、ミネソタ選出のジム・オバースター(Jim Oberstar)は、90年代から自転車道の設置など,様々な自転車関連プロジェクトに連邦予算を獲得した実績のある人ですが,議会の交通委員会の委員長に就任する見込みです。昨年は自転車や徒歩通学を奨励する「Safe Routes to Schools」プログラムの実施に大きな役割を果たしました。

かつて自転車整備士をしていたこともあるオレゴン選出のピーター・ディファジオ(Peter DeFazio)議員は,道路や橋などを担当する議会の陸上交通小委員会の委員長に就任する予定です。やはりオレゴン選出でキャピタルヒルいちの銀輪族と言われるアール・ブルーナウアー(Earl Blumenauer)は交通委員会,もしくは歳入委員会の要職に就任の予定。

公共交通や自転車の重要性を認識した人たちが委員会の要職に就くことは、これだけで,クルマどっぷりのアメリカの交通政策が一夜にして変わることはないと思いますが,それでも、すこしはましになるのではないかと期待しちゃいます。

日本の国会ではどうなんでしょう、銀輪族なんているのでしょうか。

2006年11月22日

山頂にて/world oil production in November.

世界の石油生産の現状を示す数字が米エネルギー省のEIAから発表されました。それをオイルドラムのケバブがグラフにまとめています。

PU200611_Fig3_small-1.png

オイルドラムより)

高原状態なのか頭打ちと言うのか,通常原油(原油とコンデンセートをあわせた数字)の生産は昨年12月にくらべ1億バレルほど低下しています(一番グレーな部分)。それより,ちょっと薄いグレーが天然ガスをあわせたものです。一番薄いグレーは、その他のタールサンドやオリノコ原油やエタノールなどをあわせた数字です。これらの数字はちょこっと伸びていますが,これらはエネルギー収支が高く(したがって経費もかかり)通常原油や天然ガスの減耗を緩和することはできるかもしれませんが,穴埋めにはなりません。

グラフにはいろいろな人の予測が重ねられていますが,一番現実に近いのは薄緑色の線です。これは2003年にアリ・サムサム・バクティアリが予想したものです。これらの予想の中では一番古いもので2002年のデータに基づきながら,これまでのところ、一番正確です。バクティアリについては下記のエントリーを参照ください。

ハッピー・オイル・ピーク・デイ!?/Happy Oil Peak Day!?

ピーク以後の生き方/what solution?

余剰能力はもうどこにもない/no spare capacity

いっちゃん能天気なのが紫色の線です。どこまでも右肩あがりの上昇線を描いていて、ため息が出そうになります。これは日本のマスコミでもしばしば引用されるケンブリッジ・エナジー・リサーチ・アソシエーツ(CERA)のものです。設立者のダニエル・ヤーギンはピューリツァー賞を受賞した人かも知れませんが,すでにこんだけはずれていたら,信用しますか?しかも,これが2006年の予想ですよ。

誰の言うことが現実に近いのか,そして,現在という瞬間が歴史的にどこにいるのか,このグラフは如実に示しています。明日は昨日までのように右肩あがりにはいきません。自分の生活がどれだけ石油に頼っているのか、まず足下から見直してください。他人事じゃないんだから。

25基の原発/new clear haze.

ハワード首相の肝いりで発足した「原子力政策タスクフォース」の中間報告が発表されました。原発の経済性について,予想通り,石炭に温暖化のコストを転嫁し、相対的に高くしなければ太刀打ちできないとしています。しかし,温暖化は深刻であり,切り札は「げ」の字しかない。温暖化に真剣に取り組むつもりなら,最初の原発は,建設から10年から15年で建てられる。そして、2050年までに25基の原発、国内の電力需要の3割が担えるだろう。とまあ、勇ましい結論です。

報告書はウランの濃縮の可能性についても言及しています。現在は掘り出したイエローケーキを輸出するだけのオーストラリアですが,いよいよ、濃縮から「げ」の字、そして廃棄物の貯蔵まで含む、核サイクルに踏み出しそうです(外国から廃棄物を「輸入」することは禁止されていますが,それを解除する法案が来週,国会を通過する予定)。1年近く前に書いた記事の予想通りなので,ちょいとくらくらしそうです。興味のある方は下記の記事,ご参照ください。
参照:核サイクルへ加速するオーストラリア/Welcome to the new clear daze!

世界で確認されるウランの40%を抱え,現在は30%くらいを生産する国だけに、道義的には「げ」の字に進むことは何の問題もありません。どころか輸出したウランから生じる廃棄物まで面倒をみるのが筋ではないかと思います。最近は中国とのビジネスに深入りしていると言われるボブ・ホーク元首相は、核廃棄物はカネになると発言しています。推進者たちは、道義を枕に,だから廃棄物を受け入れましょうって方向ですが,もちろん,自分は、そこまでやる覚悟がないならウランを掘り出すなって方向です。

そして今回の報告書の殺し文句は温暖化です。つい最近まで,温暖化や気候変動を気にすることもなかった政権が、「げ」の字に踏み込まなけりゃ,温暖化対策とは言えない。そう言って,腕をねじ上げようとしています。

電力の供給は現在のところ州政府の管轄であり,連邦政府が決めたからと言って,原発がすぐに建設されるわけではありません。そして,州政府は今のところ,労働党がすべて握っており,今回の報告にも否定的な反応です。州政界の野党の保守勢力も冷ややかな反応です。いくつかの州では、原発禁止を州法で決めているところもあります。

しかし,だからといって原発が建てられないかと言うと,ことはそう簡単ではありません。

ひとつは数週間前,連邦最高裁が連邦政府の導入した雇用法に下した合憲判決です。雇用関係も,電力供給や鉱業認可と同様,これまでは州政府の管轄であると考えられていたエリアです。連邦政府の導入した雇用法は連邦憲法違反であると州政府は訴えたのでしたが,ハワード政権に任命された裁判官たちはこれを合憲としました。この判決の意味は大きく,オーストラリアの連邦制度を根底から覆すかもしれません。電力供給=原発、そして,ウラン採掘の是非もすべて,連邦政府が州政府の決定を覆すことができることを意味します。すでに,マクファーレン産業大臣はその可能性を示唆しています。「州政府が気候変動に真剣に取り組まない(=原発を受け入れない)なら,連邦政府がやるしかない」と言って。

もちろん,もっとソフトな道筋もあり得ます。ひとつの州が政権交代などにより,誘致に名乗りをあげれば、連邦政府は手厚い援助(=金)を差し出せばいいだけです。それぞれの州を競争させれば,われもわれもと原発の誘致に名乗りを上げることでしょう。日本でも隣り合う自治体を競争させるってこと,ありませんでしたっけ?


そんなこんな、予想通りの展開ではありますが,オーストラリアは時代遅れな核時代へ邁進しそうです。1950年代ならともかく、いまさらなあ。

(自分はこれまでにカカドゥ国立公園の中にあるレンジャー鉱山から,エストニアのシラマエにある高レベル核廃棄物貯蔵施設,そして,その間にある原発をいくつも見学し,そこで働く人や地元の人,科学者や電力会社の人間,大臣から官僚、いろいろな人に話を聞きました。そうした核経験を雑誌,ニュー・マチルダの最新号に書きました。エーゴで、しかもカネを払って購読しないと読めませんが,興味のある方はご覧ください。
http://www.newmatilda.com//home/getArticle.asp?NID=277&AID=1940)

2006年11月21日

山が燃える/bushfires rage.

先週の月曜、隣町の近所で落雷発火した山火事が燃えています。
いまのところ、家屋や人間へ直接の被害は出ていませんが,これまでに国立公園を中心に2000ヘクタールが燃え,風向き次第では隣町やうちの近辺もやられそうです。本日,麓では気温が40度を越し,山の上でも日陰で32度。

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シドニーモーニングヘラルド紙より)

うちの近辺だけでなく,西のオベロンやシドニーの北でも火事が発生しているほか,南オーストラリアやビクトリアでもかなりの数の山火事が燃えています。南オーストラリアでは4000人を超す消防団が投入されているそうです。まだ11月だというのに,まるで夏本番。乾ききった大地を火事が吹き荒れそうです。

もう,山火事は何度も経験していますが,地平線にもくもくとわき上がる煙に落ち着くことはありません。うちの近所でも400人を超す消防団,80台の消防車,15機のヘリコプターが消火活動に当たっているそうですが、焼け石に水。住宅地への延焼を防ぐのが精一杯。明朝は,時速80キロを超す突風が予想されており,まだまだ,危機はこれからです。

今日は朝早くから雨樋にたまった葉っぱや木の枝を取り除く作業をし、庭全体に普段よりたっぷりと水を撒きました。家の中、北と西の窓やドアに火の粉が舞い込まないよう目張りをし,バケツをいくつも用意し,庭を何度も歩き回り,火が来たときに燃えそうなものを片付けます。雨樋に栓をし、いざというときには水をためる手はずも整えると,もうあたりは暗くなっています。北の方の空が不気味に焼けています。

一段落して,ビールを一杯,まだ,これから,いざという時の非難に備え,荷物をまとめなくてはなりません。

あまり,ひどくならないといいなあ。

2006年11月17日

世界の笑い者/world's laughing stock.

ナイロビの気候変動枠組条約第2回締約国会議が終わりましたが,オーストラリアは醜態をさらしたようです。

中国や途上国の温暖化ガス排出を槍玉に挙げたイアン・キャンベル「環境」大臣は、一人当たりの排出量では比べ物にならないのを棚に上げて,と総スカンをくらったようです。「京都」を拒否し,「京都以降」を語るハワード政権を、FoEオーストラリアは「気候変動への取り組みを15年間遅らせようとしている」と非難しています。

ちなみに中国は総量では13.8%(世界2位)ですが,個人あたりの二酸化炭素排出量は0.7トン程度。これに比べ,オーストラリアは総量では1.3%(15位)と微々たるものですが,一人当たりになると5トン(4位)。ものすごい量です。

「発展途上国」の「発展」云々より,先進国の人間が「便利で豊かな暮らし」をあらため、これまでの「繁栄」のつけを払うのが先ではないでしょうか。

もっとも,京都に調印していないオーストラリア代表はあくまでもオブザーバー資格だったそうで、キャンベル大臣の話を聞いていた人はまばらだったようです。

つい最近(ルパート・マードックに言われる?)まで、ハワード首相は温暖化を心配する人たちを鼻でせせら笑い、「京都」に加わることを拒否しながら、「京都2」を呼びかけるオーストラリア政府には誰も真剣に耳を傾けるものはいません。

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(11月17日付けシドニーモーニングヘラルド紙のひとこま漫画。作者:Alan Moir)


ハワード首相が「経済が大切だ」って言うのも,オーストラリアの発電の8割近くが石炭で,暮らしも経済も石炭に大きく依存しているから。これを削るなんて、よほど勇気がなけりゃ。でも,待てよ,ハワード首相が明日,「京都」を締結しても、オーストラリアは炭素排出を減らさなくてすむじゃない。

森林による吸収分を含めた計算方法を強引にみとめさせたおかげで、一人当たりではものすごい量の炭素を排出しているにも関わらず,オーストラリアは先進国では数少ない,増加(1990年に比べ10%増加)が認められているのだから。

それなのに、「京都」を拒否するのはなぜなのでしょう。政治的な理由でしょうか。同じように「京都」を拒否するアメリカに連帯しているのでしょうか。わかりません。

「京都」は拒み続けるものの,最近になり,ハワード首相は温暖化を渋々認めています。しかし、これは石炭と並ぶもうひとつの外貨獲得鉱産資源,ウランを使う原発導入への布石なのかもしれません。温暖化の対策として原発,と。

政府発注の「原発開発の経済性をめぐる報告書」が明日,発表されますが、たぶん,その中では炭素取引が導入され,石炭が割高になれば,「げ」の字にも経済的な競争力があるってな結論になるのではないかと危惧しています。

2006年11月16日

京都でオイルピーク講演会のお知らせ/peak oil in Kyoto.

ちょいと急ですが,今月27日,京都大学で「石油資源・環境の将来を考える」講演会が開かれます。物理探査学会の主催です。講演者はASPO-International(国際ピークオイル+天然ガス研究学会)の代表,ウプサラ大学教授のシェル・アレクレット、ASPO-Australia(オーストラリアピークオイル+天然ガス研究学会)代表のブルース・ロビンソン、そして京都大学の芦田譲教授です。お近くの方はこぞってお出かけください。

ーーー以下、転載ーーー
日時:平成18年11月27日(月) 14:00~18:30
場所:京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
京都市左京区吉田本町京都大学吉田キャンパス内
参加費:無料、同時通訳付き(イヤホン無料貸出)

社団法人 物理探査学会では京都大学で開催する第8回SEGJ国際シン ポジウムの機会を利用して,広く一般の皆様を対象に一般公開講演会を 開催します.
この講演会では,2年ほど前から高価格になった石油について,なぜ価格 が高騰したのか,またこの石油の将来は我々の生活とどのように関係して くるのかをお考え戴くため,海外および国内からお呼びした講師の方々に 「石油ピークについて」と「石油ピークへの対応策」に話題をしぼったご講演 をお願いしました.この機会に、是非石油ピークについてのご理解を戴き,我々の生活を支えるエネルギーについてお考え頂きたく思います.
講演内容
1.石油ピーク:そのリスク
ウプサラ大学教授 シェル・アレクレット
2.オーストラリアにおける石油ピークの影響
石油・天然ガスピーク研究会オーストラリア世話人
ブルース・ロビンソン
3.日本における石油ピークの認識
京都大学教授 芦田 讓
4.公開討論会-石油ピークとその対策-
ーーー転載終わりーーー

2006年11月14日

中国とピーク/China awakes?

ピークや温暖化について,世界からの情報を追うのにここ何年か世話になっているサイトがいくつかあります。そのうちのひとつは、世界のメディアから関連情報をクリッピングするpeakoil.comです。2年ほど前に,ヒューストンのテク技術者が始めたサイトで、日本ではあまり知られていないようですが,お隣,中国ではかなり注目されているようです。

先日,このサイトの訪問者をISPを国/都市別に表示する地図が掲載されました。ピークなどの問題に興味を持ち,心配する人間がどこにいるのか,どんな人間なのか気になるところです。サイト開設者のアーロンによれば、NSAや米軍関係もかなり頻繁、定期的に来るそうです。

postats_3mo.jpg

訪問者は世界各地に広がっていますが、ひときわ目を引くのは北京の上の巨大な丸です。なお,円の大きさは訪問者の数に比例しています。この地図の元になった国別アクセスの表を見てみましょう。
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訪問者の数が一番多いのはもちろんアメリカ。そして、その次にカナダ,英国がきます。この辺りまでは順当ですが,驚くのはその次に中国が来ることです。しかもアーロンによれば,中国の数字は過去3、4ヶ月だけのものだそうで、それ以前には中国からの訪問はまったくなかったそうです。つまり,ここ3、4ヶ月というわずかの期間に、イギリスから過去2年間のアクセスに匹敵するほどのアクセスがあったことになります。

これはどう解釈したらいいのでしょうか。中国をズームインしてみると,以下のようになります。

beijing.jpg

アーロンによれば,政府関係ももちろん、あるそうですが,ほとんどは大学や企業からのアクセスだそうです。

中国では12月に石油生産ピークの原点を解き明かすマット・シモンズの「砂漠の黄昏」の翻訳が出版されるそうですが、peakoil.comサイトへのアクセス急増はエネルギー政策/オイルピークへの取り組みが大きく変動する前触れなのかも知れません。

すくなくとも、ガワールがピークに達することの世界的な意味が理解されようとしていることだけは間違いありません。

2006年11月13日

さよならオーストラリア/ship a hoy.

11月9日に発表された世界各国の豊かさを計る国連人間開発指標によれば、もっとも暮らしやすい国は6年連続でノルウェーだそうです。これは世界の177カ国・地域について、個人所得だとか、文盲率、福祉や医療、寿命など人間社会を総合的に評価した結果だそうです。これによると、オーストラリアはアイスランドに次いで,第3位。

うーん。自分がいま,愛想を尽かして見切りを付けようとしているのは、公式には世界で3番目に住みやすい,豊かな場所なのか。
少々戸惑ってしまいます。

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でも、この指標、表紙からもわかるように水問題を取り上げてはいますが、ただでさえ乾燥した大陸が「千年に一度の干ばつ」に首根っこをむんずとつかまれている状態なんか,あんまり考慮していないようです。
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schnews568号より)
毎日聞こえてくるのは干ばつのひどさや,淡水化プラントやダムを建てる話だとか,水のリサイクル、不作,肉や穀物,野菜、果実の値上がり,水不足から生じる話題ばかりで,オーストラリアの豊かさって,けっこう、砂上の楼閣のようなところがあると思います。温暖化とオイルピークという歴史的な現実から眺めれば,この国の暮らしやすさは底の浅いもので,とても長続きするようなものには見えません。

ちなみに、日本は7位ですが、こちらも食料自給率が4割くらいではとても心もとない状態です。今日の「豊かさ」にしても添加物のてんこもりじゃ,とても,薄っぺらく見えます。

最近の拙著を読んだ人とか,友人たちはすでにご存知かと思いますが,ここ10年ほど、「ここではないどこか」へ逃げ出したい気持ちは募るばかりです。友人と田舎に土地を買ったり,国内もあちこち,いろいろ検討しましたが、干ばつは全国的です。どこにもオアシスは見つかりません。雨が降らないと,食べるものも作れず,水や食料をめぐり,醜い争いになりそうです。しかも、この国には石炭やウランがふんだんにあります。アブラの供給が途絶えたりすれば,すぐに,そっちへ誘惑されてしまいそうです。

「二大政党制」という見せかけだけでの民主主義にもすっかり飽きてしまいました。これから,議論して、腹をくくらなけりゃならない重大な問題が山積みされているというのに,どちらの政党も似たり寄ったり、グレーな袋小路で立ち尽くしているような気分で、ため息が出るばかりです。「暮らしやすさじゃ世界第3位」の場所には,暮らしやすい明日を作り出すための政治体制も見いだせません。もう,この国には,どうにも未来が見いだせないのです。

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そんなこんなで,もう5,6週したら、この国をしばらく離れることにしました。クリスマスの翌日,シドニーを出航する船に乗る手配をちょうど終えたところです。ドイツ船籍の貨物船,というかコンテナ船ですが、これに揺られて5、6日。大陸の東岸から2千キロほど離れた島に出かけます。そこで,骨を埋める場所を探し、最低でも数ヶ月、あちこち見て回るつもりです。住めそうな場所が見つかるといいなあ。

もちろん、どこへ流れていっても,そこにはそれなりの問題があることは承知してます。でも,沈没しつつある船の上で,それにしがみついて、デッキチェアの位置をあれこれ,議論するのは性に合いません。できれば、まだ時間のあるうちに,船から逃げ出すネズミのように,ケツをまくりたいのです。

(なお,どさ回りにはピュータをもっていかないので、このブログもクリスマス以降、何ヶ月になるかわかりませんが,更新することはありません。あらかじめお断りしておきます。)

2006年11月11日

アメリカ初の炭素税導入/just do it.

アメリカで火曜日に行われた投票で民主党が両院で過半数を占めたことは日本でも大きく報道されていますが、同じ日にロッキー山脈の麓に人口9万人ほどの町で重要な法案が可決されたことは見過ごされているようです。

MSNBCによれば、コロラド州ボルダーで、炭素税の導入が可決されたそうです。ヨーロッパではすでにいくつかの国で導入されており、日本でも導入が検討された炭素税ですが,世界最大の汚染国,アメリカで初めてだそうです。

具体的には電気の使用量に応じ,料金に上乗せという形でそうで徴収されるようで平均家庭ではひと月,$1.33、企業は$3.80 の「値上がり」になる見込み。年間に百万ドルとが見込まれる税収は、家庭や企業でエネルギー効率的な使い方を広める目的に使われるとのこと。

ロッキー山脈の麓,コロラド大学のある人口9万人ほどの学園町はこれまでにも環境問題への取り組みで名を馳せてきた場所なので、あり得ることではありますが,58%が賛成票を投じたそうです。

ボルダーはすでに「京都議定書」を独自に「採択」し,二酸化炭素の減少(90年レベルの7%減)に取り組んできました。市で排出されする二酸化炭素の半分が発電によるものであることから,今回の「炭素税」導入へとつながった、USA Today紙はそう説明しています。

なかなか動こうとしない連邦政府,国に働きかけるのは大切ですが、住民レベル、地方自治体レベルでやれることはある。取りかかれるところから取りかかれ,ということでしょうか。

2006年11月10日

マードックの豹変/at his majesty's request.

標高千メートルの高原もぼちぼち初夏の気配,それもそのはず,先月終わりから夏時間が始まりました。果物の木にはそれぞれ,小さいながらもたくさんの実がなっています。サクランボの中にはぼちぼち色づき始めたものもあり,うまくすれば,もう何週間かあとには食べられそう。

暑くもなく,寒くもない,ぬくぬくとした気候にさそわれて,あっちで草取り,こっちで種まきなど、朝から日が暮れるまで外に出ていることが多いこのごろです。冬の反動ですかね。

庭をふらふらする時のおとも、以前は乾電池式ラジオを使ってましたが,それが壊れて買い替えるときにソーラー・パネルのついたものにしました。一応、蓄電池がはいっているので,日が暮れたり,曇ったりしてもしばらくは鳴ってますが、だんだん音が小さくなり,しまいには消えてしまいます。でも、そういう時って,あんまり外へ出ないので,不都合ではありません。日のある間,庭仕事しながらラジオを聞くという本来の目的にはまったく何の支障もありません。ソーラーにしてから、乾電池を買うこともなく、捨てることもなくやってきました(唯一の難点は、庭をあちこちして、音が小さくなり,そのまま置き忘れ,夜中に雨に降られること。2台ほど、それでだめにしてしまいました)。

今日は朝からぬるま湯のような気候の中,ラジオで世界の情勢を把握しつつ,隣の公有地で火事対策作業です。ラジオからはクリケットの実況中継も聞こえてくるので,はい,これも夏の始まり。ですね。

うちの東と南には住宅が建て込んでいるので、ブッシュファイヤー(山火事)が来るとすれば,うちの西と北、ブッシュが茂る公有地のほうからしかありません。うちから15メートルくらい、枯れ枝や枯れ草、可燃物があまりない状態で夏を迎えるのが理想です。公有地なので本来はお役所が管理するべき場所ですが,他人をあてにしてはいられません。火事になってから,あれこれ文句を言ってもあとの祭りです。んで、祭りならあとよりも先の方が好きな体質だけに,火事がきてもなるべく燃えないような体質を心がけます。特に,ここ数年は干ばつの影響で,ブッシュファイヤーの季節が早まり,長引く一方なので,気が抜けません。拾い集めた枯れ枝は冬の薪用として積み重ね,枯れ草は鎌で刈り取り,集めて果樹などのマルチにする。そんな作業を繰り返します。あまり暑くなってからだと疲れちゃうので,山火事のシーズンが本格化する前に終えておきたい作業です。ほあ。

今年もすでに大陸のあちこちで山火事が発生しています。幸いなことにあまりひどい事態には至ってはいませんが、第二次大戦末期の干ばつ,そして,1901年の連邦結成当時の干ばつが比較に出されるほど、大陸は乾いています。まあ、60年に一度,もしくは百年以上に一度の規模なんてのは頼りになる記憶や記録があり,なるほどって思いますが,ラジオでは「千年に一度」って言ってます。うーん,先住民族の記憶に基づくものなのでしょうか。それとも「史上最悪」を言い換えただけなのでしょうか。とにかく、これから3、4ヶ月,どれほどの大火が乾いた大陸をなめ回してもまったく不思議ではないことだけは確かです。

干ばつの影響は山火事の恐れだけではありません。干ばつは農業を直撃しており,それにともなう食料品の猛烈な値上がりが心配されています。フツーのオーストラリア人はメシの値段が多少上がってもあまり気にかけないかもしれませんが,水と穀物で作られるビールの値段も上がりそうで,こちらにはかなり敏感に反応するのではないかと思います。

オーストラリアでは、小麦などの穀物はともかく,金になるというだけで,綿や米など大量に水を必要とする作物を無茶な取水をしながらやってきたわけで、干ばつのダメージは壊滅的です。今頃収穫の冬作穀物は1360万トン(昨年比63%減)という予想です。野菜や果物,そして肉類の生産も大幅に減り値上がりが予想されています。オーストラリアは世界でも有数の食糧輸出国なので、影響は世界的です。日本などにも牛肉や米などを安く輸出していましたが,それも過去のことになりそうです。


ハワード首相は「農家や田舎に暮らす人には同情するし,それなりの手当をするつもりだ。経済への影響が心配だ」と相変わらず,経済が最大の関心なことのようですが、農産品は金額ベースで輸出の4分の1を占めているので,経済への影響も深刻なものになりそうです。

これを機会に、たくさんの水を必要とする米や綿栽培がオーストラリアで可能なのかという議論が始まる一方,農業そのものをもっと降水量の多い大陸北部に移してしまえ、いや,大陸北部から水を引っ張ってこよう,などという乱暴な議論も出ています。

干ばつでひからびているのは農地だけではありません。

シドニーの水瓶,ワラガンバ・ダムは南部のショールヘイブン地方からパイプラインで水を引っ張ってきて,ようやく4割を保っている状態で,それをしなければ2割を切るところまで貯水量が減っており、うちの近所,リスゴーからも取水しようという話が進んでいます。メルボルンなどビクトリア州全域も水不足。アデレードやパースも青息吐息,降水量が多いイメージのタスマニアも干ばつ状態です。なのに、都市を北へ移そうという意見はなかなか聞こえません。

この壊滅的な干ばつに対処するため,ハワード首相は州政府との間で火曜日に水に関する緊急のサミット会談を開きました。火曜日は「国を止める競馬レース」と呼ばれるメルボルンカップの開かれる日(ビクトリア州では公休日)であり、オーストラリア的な伝統を無視するのかという声があったり,サミットが発表されたのが日曜日のことであり,付け焼き刃な臭いがすることは事実です。

田舎の干ばつや都市の水不足に危機感を抱いたということもあるのでしょうが,ハワード政権の気候変動に対する取り組みが変わってきていることは事実です。

スターン報告書がきっかけなのか,報告書が発表される直前に,大規模なソーラー発電所の建設が発表されました。800ヘクタールに太陽の動きををトラッキングする2万枚の鏡を配置し,年間27万MWhを発電する発電所だそうで,ビクトリア州のミルデュラに2013年の完成を目指して建設されるとのこと。これで4万5千世帯の電力を賄えるそうです。似たような規模のソーラー発電所がいくつか,各地に建設されるそうですが、詳細は発表されていません。

もっとも、スターン報告書については「オーストラリアの二酸化炭素排出は世界の1%程度。何をやろうが中国やインドが何もしなければ,すぐに帳消しになる量だ」とハワード首相。相変わらず,渋々とした調子は相変わらずです。それなら,中国やインドからの輸入を控えれば良さそうなものですが,そんなことをすれば,経済への影響が大きいだけに,もちろんおくびにも出しません。

「中国とインド」といえば、温暖化対策にはこれらの国をくわえなければだめだ、とハワード首相と同じような口にする世界の大物がいます。

世界最大のメディア網を牛耳るオーストラリア系アメリカ人のルパート・マードックです。

ハワード政権と同じように,9月末あたりからですが、これまで温暖化を心配する人たちを笑い者にしてきたマードック系のメディアが豹変しています。世界中のマードック系メディアの温暖化に対する態度も急変しています。


マードックは今週、東京で行った講演で、それがイギリスで衛星テレビを経営する息子の一人、ジェームスに言われたものだと認めています。(ちなみに、この講演,日本のメディアは取り上げていないか,取り上げても「日本での事業拡大に意欲」てなレベルでしか見ていませんが、ここでマードックはアメリカのイラク政策を支持したことを後悔しないと語ったほか、温暖化についても世界中のオフィスをカーボン・ニュートラルにすることなどを発表しています。)

マードックがそれぞれの新聞やテレビの論調に直接口を出すタイプのメディア経営者であることを考えると、世界のメディア王の変節は温暖化対策にも大きな影響をもちます。賛成するかどうかはともかく,マードック系のメディアを敵に回したいと願う政治家はあんまりいないはずです。

ハワード政権の温暖化への態度の変節には、「だから原発を」って持ち出す口実にしたい意図も見えますが、マードック・メディアと連動しているような気がします。

マードックの豹変の影響はオーストラリアだけにとどまらないでしょう。中間選挙の影響もあるでしょうが,「京都」を拒み続け、温暖化に懐疑的なブッシュ政権の取り組みにも影響を与えるでしょう。それはそれで、地球にとってはいいことなのでしょうが、市民社会にとってはどうなのでしょうね。一人の人間の見方に世界の命運がかかっているなんて,とっても前近代的な気がするのは自分だけでしょうか。

2006年11月 6日

人生の達人に生き方を学ぶ/an old sage.

3冊まとめての3冊目は「共生共貧:21世紀を生きる道」です。
著者の槌田劭は自分の好きな作曲家,アーヴォ・ペルトと同じ年,1935年生まれだそうですから,今年71歳になる人生の大達人です。もともとは京大などで教えていた科学者ですが、1973年に第一次オイルショックの経験から,地元京都で「使い捨て時代を考える会」を結成,リヤカーを引いて古紙の回収から生活の見直しを始めた脱石油時代型暮らしのパイオニアです。

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槌田には、これまでにインタビューなどで2度ほどお目にかかったことがありますが,身のこなしの軽い仙人のようなひょうひょうとした人です。この本は2年前に京都で話を聞いたとき、1981年出版の「共生の時代」(樹心社)と一緒にいただき、それ以後,何度も何度も,繰り返し読んでいます。

なぜ,繰り返し読むかといえば,ひとつは彼が実践者であるからです。スローなんとかって言葉がはやりになっており、ねこもしゃくしもスローなんとか,パーマなんとかなんて口にします。しかし、現実にそれを実践する人はあんまりいません。槌田の場合はそんな言葉がもてはやされる何十年も前から、ちょうどパーマカルチャーがオーストラリアで編み出されるのと同じ頃から「使い捨て時代」とオイルピークを見据えた暮らしをしています。

この本はオイルピークの歴史的な瞬間を意識する人,自然の限界を悟り,その中で慎ましやかな暮らしを模索する人,パーマカルチャーをありがたがる人間にはまず読んでほしい本です。自分も彼の教えている京都精華大学へ学びにいこうかなんて思ったことは一度や二度じゃありません。

オイルピークへの対策を考えるときには大きく分けて2つの道筋があります。

ひとつは現状維持派。例えば,現在うちに2台のクルマがあるとします。ピーク以降これを維持するためにはどうしたらいいだろうと知恵を巡らせるのが現状維持派です。アブラの入手が難しくなり、値段が高くるなら,何か代替になる燃料はないか,エタノールか,バイオ燃料かそれとも電気自動車かハイブリッドか。そう思いを巡らせるのが現状維持派です。

もうひとつの道筋は、これを契機にこれまでの暮らしぶり,現状を見直す方向です。現在,2台あるクルマは果たしてそもそも必要なのだろうか。そう考えてみることです。もし、1台でもやっていけるなら,問題は半分解決したことになります。もし,多少の不便をしても、2台ともなくてもやっていけるなら,ヴォアラ,もう代替え燃料をどうしようかなんて悩む必要はなくなります。

最近も,インドで暮らしてる友人が訪ねてきて,トイレットペーパーの話になりました。73年のオイルショックのときにはアメリカだけでなく,日本でもうわさ話からトイレットペーパーのパニックになりました。みんながみんな、インド人のようにトイレットペーパーを使わない暮らしをしてりゃ,あり得ない話だよね。うーん。そのとおり。けつを拭くのに紙をつかう、トイレットペーパーが必要だ,そういうアタマがあるから、それが不足すると耳にすると大変だとパニックになる。でも,はなっから,そんなもの、必要としない生活をしていればパニックりようがありません。

とは言っても,人間というものは、楽をしたがるもので,いまの便利な暮らしが維持できるなら,むざむざ投げ出そうとは考えないものです。なるべくなら,いまの暮らし方を維持したがるものです。トイレで紙を使わない生活を夢見ながら,未だに自分もトイレットペーパーを使っています。しかし、オイルピークは歴史の必然です。必ず,訪れるものです。

そして、ピークの本質は食料問題です。そこまで理解しても,自分などは,大変だ、なんとかしなくっちゃ、自分の食べる分くらいは自分で作るようにしよう。そう考えるものです。

ところが槌田はこう言います。
「世に”常識”とされていることが正しいとは限らない。非常識と思えることが真実だということもある。食をめぐる常識には,そのようなことが少なくない。二十一世紀には環境と資源の限界に直面して,飢える未来が待っているだけに、食をめぐる常識には注意したい」。

そして、
「栄養水準を熱量ではかり,成人男子が一日に必要な熱量は二千四百キロカロリーなどと言われる。しかし,生活の仕方の違いや体質によっても異なるものだ...機械的な数字でいのちの働きを表すことは,命の強靭さや弾力性を思えば無理である。日常生活のあり方や体質改善の努力によっては,どこまで摂取カロリーを減らして大丈夫なのか,私にはまだわからない」と告白します。

が、自身の断食をやった経験から,半分でも暮らしていけるんじゃないか。槌田はそう説きます。食糧難時代がきても,需要そのものを減らせばへっちゃらだ、と。そっちへ向かうのです。一日千キロカロリーでやりくりできれば,従来の食糧供給で二人の人間を養うことができる。槌田はそう言います。そういう言葉を目にすると,何のかんの言っても自分を含めて,人間ってのは現状維持派なんだなあと認識します。

槌田は自分自身のエネルギー需要をどこまで削れるか,それをまるで楽しむかのように、苦しそうな様子もなく,軽々とやってしまいます。すごいなあ。いい加減な自分には、断食はとてもできそうにありませんが,少しずつ、食べる量やエネルギー消費を減らしていこうと心がけています。そして,できるかどうかわかりませんが,いつの日か,仙人のような槌田のいる場所にたどり着ければいいなあと思います。

2006年11月 3日

バイオ燃料は切り札か/biofuel=biodisaster.

バイオ燃料がピーク以降の時代の切り札的存在として世界各国で盛んに開発が進んでいます。以前にも書きましたが,村とか部落単位とか小規模なものならともかく,海外から輸入したり輸出したりということになると,これはもう,本末転倒、環境破壊にほかなりません。

署名の締め切りまであまり時間がありませんが,バイオ燃料議論への参考資料ということも含め,Global Forest Coalitionのシモーン・ロヴェラからの要請(エネルギーブレティン経由)を訳出しておきます。賛同する方は下記へメールをお送りください。

ーー
親愛なるみなさま、
バイオ燃料の危険性について、気候変動枠組み条約会議へ送る手紙を下記に付します。バイオ燃料を輸出用に大規模に生産することは、環境や社会に悪影響をもたらすものであることから,バイオ燃料の輸出入に対する助成金など不公平な支援全ての即時撤廃を要求します。地域や国単位でのバイオ燃料生産には、持続可能な形態があるかもしれないことは認めるものの,バイオ燃料の生産が先住民族や地域社会、生計に否定的な影響をもたらさないよう,厳重な規則と実効措置がとられることを求めます。
この手紙への署名を集め始めたところですが,賛同される団体,個人は11月4日までに(simonelovera@ yahoo.com)へその旨連絡ください。この件について、意見も歓迎します。
よろしく。

シモーン

---
下記に署名するNGO、先住民族団体,農民運動,そして個人は、気候変動枠組み条約会議の参加者に対し,バイオ燃料の輸出入に対する助成金などの不公平な支援の全てを即時撤廃することを要求します。

バイオ燃料の地域社会レベルにおける生産と消費は、発展途上国において、特に地方の女性の持続可能な生計において重要な役割を果たすであろうことを我々は認めます。小規模で、しっかりと管理された持続可能な形であれば,国家レベルにおいても、バイオ燃料は有益でありえます。しかし、バイオマスの消費と生産のありかたは、地域社会との関連で慎重に分析されなければなりません。それは、持続可能な生活様式を維持し、それを強化する適応可能な方法を取り入れるべきで,需要の増加や社会経済的な状況の変化につきものの健康への悪影響や、副作用を避けなければなりません。ソーラー・エネルギーは伝統的なバイオマスにとって代わる持続可能な選択肢であり得ます。

バイオ燃料の国際的な取引は食糧自給や、地方の暮らし、森などの生態系に否定的な衝撃をすでに引き起こしています。しかも、これらの悪影響は急速に蓄積するものと見られています。バイオ燃料を輸出向けに大規模に生産することは、木やサトウキビ、トウモロコシ,アブラヤシ、大豆などの作物の大規模な単一栽培につながります。これらの単一栽培は、すでに世界中で地方の人口減少や森林伐採の最大の原因になっています。バイオ燃料源としてのこれらの作物への需要が急速に高まれば,次のような事態が生ずることは避けられません。

●土地の奪い合いがすすみ,土地集中や小規模農家駆逐,森などの生態系の広範囲にわたる農地化が更に進行する。

●現在食糧の生産に使われる耕地が燃料作物の生産に転用される結果,食品の価格は目の玉が飛び出すほど高騰し,社会の最貧層をさらに貧しくさせ,飢えや栄養失調を引き起こす。
●地方における失業と人口減。
●先住民族や地域社会の伝統、文化、言語、精神的価値の破壊。
●人間の健康や生態系を悪化させる農薬の広範な使用。
●流域の破壊と川、湖や水系の汚染。
●かんばつなど、地域的な気候の劇的な変化
●遺伝子組み替え作物が広範に使用されることから巻き起こされる先例のない危険。

これらは特に女性や先住民族に悪影響を及ぼします。経済的に底辺におかれ,水や森といった天然資源に依存する人たちを直撃します。

バイオ燃料は、災害を作り出すことに他なりません。(潜在的な)生産国の既存の法的な拘束力、標準、規則や取り締まり体制は、上記のような影響を防ぐには全く不十分です。バイオ燃料の国際的な需要は、マレーシアやブラジルといった主要供給国の生産をすでに上回っており,アブラヤシやサトウキビのように有害な作物の生産拡大を大きく促進しています。生産国のNGOや社会運動は、上に述べたような社会や環境への悪影響は大規模な単一栽培には避けられないことであることを強調しており、これらの作物を「責任ある形で」単一栽培する可能性をすでに拒否しています。

バイオ燃料の輸出入にはどこもグリーンなところがないばかりか,持続可能でもありません。我々は先進各国に、植民地主義の一形態にすぎない形で途上国の地域社会や先住民族の土地や生計を破壊するのではなく、みずからのエネルギー消費を持続可能なレベルに下げ、これまでそうした行動をとらずに積み重ねた環境への負債を支払い、ソーラー・エネルギーや持続可能な風力エネルギーへの投資を劇的に増やし、地球の気候システムを破壊してきた責任をとるよう求めます。

我々は全ての政府に対し,国レベルにおけるバイオ燃料の生産が先住民族や地域社会の生計や生態系を破壊しないようにすることを確約するよう、環境と社会的な標準や規則を作り上げ,実効することを求めます。企業は生産から発生する社会的な損害,環境的損害に対し責任をとるよう厳格に求められるべきであり、もし,企業が環境や労働法に違反した場合、速やかに起訴されなければなりません。
Signed (as of 30/10):

Global Forest Coalition
Pacific Indigenous Peoples Environment Coalition
Institute of Cultural Affairs, Ghana
Oilwatch
Red America Latina Libre de Transgenicos
Elsa Nivia
RAPALMIRA
RAP-AL Colombia
Acción Ecológica, Ecuador
Instituto de Estudios Ecologistas del Tercer Mundo, Ecuador
Fundacion para la Promocion del Conocimiento Indigena, Panama
FASE-ES, Brazil
Ecological Society of the Philippines
Forest Peoples Programme, UK
Asociacion Indigena Ambiental, Panama
Worldforests, Scotland
Bhartiya Kissan Union
Robin Wood, Germany
Sarhad Conservation Network, Pakistan
Centre Internationnal d'Etudes Forestières et Environnementales, Cameroon
Onehemisphere, Sweden
WALHI/Friends of the Earth-Indonesia
KEPS/HKCA, Pakistan
Munlochy Vigil, Scotland
Grupo de Reflexion Rural, Argentina
Timberwatch, South Africa
Fundacion Ambiente Total del Chaco, Argentina
Corporate Europe Observatory
Costa Carrera, Chile
Tom Lines
Rob Law

(原文)
Please find below an alert to the Conference of the Parties of the Framework Convention on Climate Change on the risks of biofuels. The letter calls upon governments to suspend all subsidies and other forms of inequitabe support for the import and export of biofuels, in the light of the negative environmental and social impacts caused by the large-scale export-oriented production of biofuels. While recognizing that some forms of locally and nationally oriented biofuel production could be sustainable, the letter also calls for strict regulations and effective enforcement measures, to ensure biofuel production at the national level does not impact negatively upon Indigenous Peoples and local communities, and their livelihoods.
We just started gathering signatures to this letter. Please let us know before Saturday 4 November (at simonelovera@ yahoo.com) if your organization is willing to support it. Other feedback is welcome too.

Simone Lovera
Campaigns coordinator
Global Forest Coalition

Bruselas 2273
Asunción, Paraguay
tel/fax: 595-21-663654
www.wrm.org.uy/GFC/
Email: simonelovera@ yahoo.com

The undersigned NGOs, Indigenous Peoples Organizations, farmer’s movements and individuals call upon the Parties to the Framework Convention on Climate Change to immediately suspend all subsidies and other forms of inequitable support for the import and export of biofuels.

We recognize that the local production and consumption of biomass plays an important role in sustainable livelihood strategies of, in particular, rural women in developing countries. Certain small-scale and strictly regulated sustainable forms of biofuel production can be beneficial at the national level. However, the modalities of biomass consumption and production must be carefully analyzed in conjunction with communities, to introduce adaptive measures that will maintain and enhance the patterns of sustainability, while avoiding negative impacts on health and the adverse effects inherent to increases in demand or changes in socioeconomic settings. Solar energy often offers a sustainable alternative to traditional biomass.

Meanwhile, international trade in biofuels is already causing a negative impact on food sovereignty, rural livelihoods, forests and other ecosystems, and these negative impacts are expected to accumulate rapidly. Large-scale, export-oriented production of biofuel requires large-scale monocultures of trees, sugarcane, corn, oilpalm, soy and other crops. These monocultures already form the number one cause of rural depopulation and deforestation worldwide. The rapidly increasing demand for these crops as a source of biofuel will lead to:
• increased land competition leading to further land concentration, the marginalization of small-scale agriculture and the widespread conversion of forests and other ecosystems;
• arable land that is currently used to grow food being used to grow fuel, leading to staggering food prices and causing hunger, malnutrition and impoverishment amongst the poorest sectors of society;
• rural unemployment and depopulation;
• the destruction of the traditions, cultures, languages and spiritual values of Indigenous Peoples and rural communities;
• the extensive use of agro-chemicals, which deteriorate human health and ecosystems
• the destruction of watersheds and the pollution of rivers, lakes and streams;
• droughts and other local and regional climatic extremes; and

• the extensive use of genetically modified organisms leading to unprecedented risks.
These effects will have particularly a negative impact on women and Indigenous Peoples, who are economically marginalized and more dependent on natural resources like water and forests.

Biofuels are a disaster in the making. Existing legally binding standards, regulations and enforcement mechanisms in the (potential) production countries are absolutely insufficient to prevent the above-mentioned impacts. International demand for biofuels is already surpassing supply in key countries like Malaysia and Brazil, giving an important push to the expansion of destructive crops like oil palm and sugar cane. Initiatives to produce these monocultures “responsibly” are rejected by many NGOs and social movements in the production countries themselves, who have emphasized that the above-mentioned negative social and environmental impacts are inherent to the large-scale production of monocultures.


There is nothing green or sustainable to imported or exported biofuel. Instead of destroying the lands and livelihoods of local communities and Indigenous Peoples in the South through yet another form of colonialism, we call upon Northern countries to recognize their responsibility for destroying the planet’s climate system, to reduce their energy consumption to sustainable levels, to pay the climate debt they have created by failing to do so until now and to dramatically increase investment in solar energy and sustainable wind energy.
We also call upon all governments to develop and effectively enforce environmental and social standards and regulations that ensure that national biofuel production industries do not destroy the livelihoods and ecosystems of Indigenous Peoples and local communities. Corporations should be held strictly liable for any social and environmental damage that has occurred and they should be effectively prosecuted if they do not uphold environmental and labor laws.


Signed (as of 30/10):

Global Forest Coalition
Pacific Indigenous Peoples Environment Coalition
Institute of Cultural Affairs, Ghana
Oilwatch
Red America Latina Libre de Transgenicos
Elsa Nivia
RAPALMIRA
RAP-AL Colombia
Acción Ecológica, Ecuador
Instituto de Estudios Ecologistas del Tercer Mundo, Ecuador
Fundacion para la Promocion del Conocimiento Indigena, Panama
FASE-ES, Brazil
Ecological Society of the Philippines
Forest Peoples Programme, UK
Asociacion Indigena Ambiental, Panama
Worldforests, Scotland
Bhartiya Kissan Union
Robin Wood, Germany
Sarhad Conservation Network, Pakistan
Centre Internationnal d'Etudes Forestières et Environnementales, Cameroon
Onehemisphere, Sweden
WALHI/Friends of the Earth-Indonesia
KEPS/HKCA, Pakistan
Munlochy Vigil, Scotland
Grupo de Reflexion Rural, Argentina
Timberwatch, South Africa
Fundacion Ambiente Total del Chaco, Argentina
Corporate Europe Observatory
Costa Carrera, Chile
Tom Lines
Rob Law

Profile

リック・タナカ(Rick Tanaka)

-----<経歴>-----

信州松本出身。
1980年、シドニーに漂着。
大学中退後、ラジオやテレビ、ウエッブ、雑誌、ニューズレターなどで執筆、制作、コンテンツ制作、翻訳/通訳、音楽マネージメントなどで活動。
1997年、それまで15年暮らしたシドニーから標高千メートルの高原の町カトゥーンバに引っ越し、執筆・メディア活動と並行しながら、消費を抑え生産する楽農生活に突入する。
2007年、大陸の東南に浮かぶ島にある人口300人の村に移住、オイル・ピークと環境ゲテモノ化時代に備える暮らし、近隣社会の構築を模索中。

BookMarks

-----<訳書>-----


『未来のシナリオ』
2010年12月、農文協

-----<著書>-----


『人工社会』
2006年3月、幻冬舎


『楽農パラダイス』
2003年、東京書籍


『おもしろ大陸オーストラリア』
2000年、光文社知恵の森文庫

-----<共著>-----


『Okinawa Dreams Ok』
1997年、Die Gestalten Verlag


『Higher than Heaven:Japan, war and everything』
1995年、Private Guy International

-----<訳書>-----


『沖縄ポップカルチャー』
2000年7月、東京書籍

『首相暗殺』
ロバート・カッツ著、集英社

→ブック・こもんず←

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