Calendar

2006年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« ブログ初心者の告白/confession of an untrained blogger
メイン
気候変動はすでに手遅れなのか/Too late to act? »

水増しされたクウェートの原油埋蔵量/Kuwait reverses its oil reserves.

20日付けロンドン発のロイター電は、業界紙、Petroleum
Intelligence Weekly (PIW)を引用し、クウェートの原油埋蔵量が2倍も水増しされていたことを報告している。PIWはかなり信頼のおける業界紙のようだが、購読するのに一番安いオプションでも年間2000ドルもするんで、原文は確認していない。

クウェートの埋蔵量については12月1日付けの記事でも言及した。

(引用開始)
11月10日、日産200万バレルの生産が可能だろうといわれてきたクウェート南部の大ブルガン油田は、実際は、それよりもかなり低い170万バレルが限界だと国営クウェート石油会社(KOC)のファローク・アル・ザンキ会長はブルームバーグに対し、発言している。

ブルガン油田はサウジアラビアのガワール油田に次いで世界第二の推定埋蔵量といわれる油田で、2004年の日産平均は135万バレルで、現在は130万から170万バレルの原油生産だが、「この油田はすでに使い果たしてしまい、日産200万、190万とがんばってみたが、170万バレルが精一杯だということが分かった」とザンキ会長は発言している。
大ブルガン油田が170万バレルでピークに達したことは、約550億バレル(約965億バレルと推定されるクウェート全体の半分以上)といわれてきた埋蔵量そのものも怪しいことになる。同じ週にIEAはこの油田から2020年になっても日産164万バレル、2030年にも153万バレルが可能だという予測を発表したが、それらの数字も、もはや希望的観測にすぎない。
(引用終わり)

ロイターの引用する業界紙によれば国営クウェート石油国営クウェート石油会社の内部資料によれば、クウェートに残された埋蔵量は確認、未確認を含め480億バレルだとしている。クウェートの公式発表は確認、推定、予想埋蔵量を区別しないが、内部資料によれば、480億バレルのうち確認埋蔵量はその半分の240億バレル(そのうち150億バレルが大ブルガン油田)に過ぎない。

この数字は「1997年末には965億バレルで世界合計のおよそ10%」(大使館ウエッブサイト)とも「973億バーレル(2004年末現在)」(日本の外務省サイト)とも言われてきたクウェートの原油埋蔵量の半分であり、確認埋蔵量に限れば、1/4だ。

まさにピーク論者、特にマシュ-・シモンズやコリン・キャンベルなどが指摘してきた中東諸国の「埋蔵量」が生産割当て制のために水増し申告されているのではないかという疑惑を裏付けることになる。1983年にロンドンのOPEC会議で合意された生産割当制は、加盟国はそれぞれ「埋蔵量」に応じた生産を許されるというもので、「埋蔵量」が多いところほど、たくさんの石油を生産できるシステムであり、それを担保にして金を借りることもできる。ピーク論者が問題にするのは「埋蔵量」は申告制であり、誰も確認していないことだ。

イラクが83年に297億バレルから翌年、400億バレルに「埋蔵量」を増やしたことに端を発し、90年にサウジアラビアが前年の1700億バレルから一挙に2580億バレルに「埋蔵量」を引き上げるまで、特に新しい油田発見の報告はないのにOPEC各国の「埋蔵量」は劇的に上昇した。クウェートの「埋蔵量」は84年の639億バレルから翌年には900億バレルに上昇した。しかも、OPEC諸国は毎年毎年何十億バレルを生産しているというのに、「埋蔵量」は当時の報告から減るどころか、むしろ、増えてさえいる。ピーク否定論者の多くは、これら人工的に水増しされた数字を拠り所にしている。(それぞれの国の「埋蔵量」の増加についてはASPOのページに詳しいデータが掲載されている。)

さて、現在、クウェートに残るとされる480億バレルの真偽について、PIWの報告に対し、クウェート当局者はコメントを控えているそうだが、ひとつ、おもしろい数字がある。「埋蔵量」が急増する前の639億バレルと480億バレルとの差は約160億バレルだが、これは、この20年ほどのあいだにクウェートが生産した原油の量とほぼ一致する。

クウェートの「埋蔵量」の水増しが事実ならば、世界があてにする原油の500億バレルが最初から存在しなかったことになる。そして、水増しはクウェートだけに留まらない。OPEC諸国全体ではこの水増しは7000億バレルほどに上る。

オイル・ピークが来るか来ないかなどと安穏と論議している時間はすでに過ぎてしまったようだ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/1582

コメント (1)

PIWの報道に国営クウェート石油会社(KOC)のファローク・アル・ザンキ会長が「正しくない」と反論しています。
21日付けのクウェートシティからの報道によれば、
ザンキ会長は「PIWがどこから情報をえたのかわからない」と言っている。しかし、それでもクウェートの埋蔵量が外部監査された信頼に足るものではないという事実は変わらない。
しかも、クウェートやサウジ・アラビアでは油層に水を圧入してようやく生産量を維持することがここ数年続いている。生産のピークを人工的に先延ばしにしているわけだが、これはいったんピークに達し、圧力を加えても生産量が維持できなくなると急激に減耗していく危険性を孕んでいる。イギリスの北海油田などはその例だ。例えば年2%、3%の減耗ならなんとか耐えられるかもしれないが、10%の減耗だと7年以内に生産が半分以下になることを意味する。

Profile

リック・タナカ(Rick Tanaka)

-----<経歴>-----

信州松本出身。
1980年、シドニーに漂着。
大学中退後、ラジオやテレビ、ウエッブ、雑誌、ニューズレターなどで執筆、制作、コンテンツ制作、翻訳/通訳、音楽マネージメントなどで活動。
1997年、それまで15年暮らしたシドニーから標高千メートルの高原の町カトゥーンバに引っ越し、執筆・メディア活動と並行しながら、消費を抑え生産する楽農生活に突入する。
2007年、大陸の東南に浮かぶ島にある人口300人の村に移住、オイル・ピークと環境ゲテモノ化時代に備える暮らし、近隣社会の構築を模索中。

BookMarks

-----<訳書>-----


『未来のシナリオ』
2010年12月、農文協

-----<著書>-----


『人工社会』
2006年3月、幻冬舎


『楽農パラダイス』
2003年、東京書籍


『おもしろ大陸オーストラリア』
2000年、光文社知恵の森文庫

-----<共著>-----


『Okinawa Dreams Ok』
1997年、Die Gestalten Verlag


『Higher than Heaven:Japan, war and everything』
1995年、Private Guy International

-----<訳書>-----


『沖縄ポップカルチャー』
2000年7月、東京書籍

『首相暗殺』
ロバート・カッツ著、集英社

→ブック・こもんず←

当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.