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古タイヤで家を建てる/a tyred old house

先週から、近所で家を建てている人のところに手伝いにいっている。この人は古タイヤを使って家を建てている。

IMG_0161.jpg

人間の必要は衣食住といわれるが、なかでも食は庭に野菜の種を播き、果物の樹を植えていけばどうにかこうにか、真似事くらいは経験できる。「食料自給」なんてことになると、目眩がくらくらしそうになるくらい、大変だろうなあと思うけど、土いじりはできる。「自給」するためにはそれなりの広さがいるし、鶏などの家畜の餌から穀物、しかも冬の分まで貯える、貯蔵もしっかりして、翌年栽培用の種取りもするなんてプロセスまで考えると、到底見当がつかない。

それでも、住に関する未熟さに比べたらずっとましなことは事実。シェルターとか住まいについて考えるようになってからも、ぼんやりとデザインはできるけど、結局は手に負えないだろうと思っている。これは専門家の仕事だ。素人にやれることじゃない。と。何しろ、大工仕事はまったくのしろうとで、うちで鶏を飼おうと決めた時も近所の知人に小屋から何から作ってもらわなければならなかったくらいだ。ふたつ目の鶏小屋もやはり、知人に作ってもらった。鶏小屋くらい、なんとか作れるようになったのは三つ目から。それから、雛用の小屋やアヒルの小屋を作り、家禽用の小屋ならなんとかこなせるまでになった。

翻ってみれば、生まれついてからずっと、専門家の建てた家の中で暮らしてきた。住まいを作るのは、大工や設計士などプロの仕事であり、家はお金を払って買うものであり、借家、アパートなら金を払って借りるものだと思いこんでいた。つまり、金でどうにかしなけりゃならないもの、プロの技術とプロの工具がないとどうにもならないものだと決め込んでいた。

だから、そうじゃない生き方をしている人を見る度にうらやましく思ってしまう。例えば、路上生活者は駅の構内や橋の下で、拾い集めた段ボールやシートでそれなりのシェルターを作ってしまう。他人が建ててくれた住居に、金の力でおさまることしかできない自分に比べ、彼らの自立心やたくましさに圧倒されてしまう。オーナービルドだとかセルフビルドがもてはやされる世の中だが、DIYシェルターの究極はこういう路上生活者じゃないかと思う。こういう人たちのたくましさに比べ、自分を含めた現代人のなんとひ弱なことか。自分で建てたものなら直すこともできるが、他人任せにしてると、耐震設計をごまかされても、せいぜい、文句をいうことしかできない。

そんな視点から、いつの日か自分でも家のひとつやふたつ、建てられるようになればいいなあと思いながら、最近は積極的に家を建てるのを手伝っている。

んで、古タイヤ。
産業廃棄物として捨てるのが当たり前な古タイヤを建材として再使用(リサイクルではなく、リユース)する、そのコンセプトは前々から気になっていた。アメリカでアースシップという名前で使われているのは聞いたことがあったが、実際に使われる例を見るのは初めて。なので、しばらく、お手伝いすることにした。

基本的には、コンクリートの基礎の上にタイヤを並べ、その中に粘土質の泥にセメント少々混ぜたものをこねて押し込んでいく。隙間にも、泥を流し込む。それだけ。タイヤが600もあれば、かなり大きな家の壁ができてしまう。1日、ふたりがかりでタイヤを20もやれば、かなり疲れてしまうが、雨の日や休みを計算に入れても、3ヶ月もすれば、ずぶの素人でも壁ができてしまうのだ。

古タイヤを使う利点は、同じ泥を使う日干しレンガだと、作って、それから積んで、と二度の作業になるが、これだと一回の作業で済んでしまう。タイヤのリムに泥を満遍なく詰めるのが、ちょっと難儀といえば難儀だが、ラムドアースのように、土を押し固める作業もいらないし、重い枠を移動させる作業も必要ない。枠のタイヤはそのまま壁の中に残していくからだ。これだけ厚い壁だと、保温効果も抜群だそうだ。

脱石油時代を生き抜けるかどうか、それは近代社会が大量輸送と大量消費のために大量生産した「ごみ」をどうクリエイティブに活用するかにかかっている(リユースであり、リサイクルではない)。だから、古タイヤを建材にするアイデアがおもしろいと思う。最近はメインストリームの建築家のなかからも船積用コンテナーなど、ふんだんにある安価な素材を建材のベーシックなユニットとして活用することを提唱する連中がでている。最近見かけた例は下記。
http://www.andrewmaynard.com.au/styx01.html

藁をベールにする器械をわざわざ輸入しなけりゃならない国で、ストローベール建築がエコな建築だなんて本末転倒、こっけいなこと言っている人たちより、本来的な意味でずっとエコだと思う。

詳しいことは、次の本に書く予定だが、うん、古タイヤの家、これなら自分でもできそうな気がしてる。

そうそう。
パワーツールとかを使う度に、かつて一緒に仕事をしたドイツのバンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのことを思い出す。ドリルやジャックハンマー、鉄板をひっぱたいて音楽を奏でる連中だ。80年代には何度か日本ツアーもやったことがある。そのバンドのシンガー、ブリクサ・バーゲル
トが最近、ホーンバックというDIYチェーン・ストアのコマーシャルをやっているんだそうだ。かつての同僚が知らせてくれた。
http://blog.veer.com/archives/000889.html

まあ、リーバイスのコマーシャルをやろうとしたり、マキタとかリョービなど、ドリル会社がスポンサーになってくれないか、なんて真剣に願ってた連中だから、驚きはしない。うちのコンピュータじゃ見れないけど、蚊取り器(っていうのかなあ?)、敷石、ドリル、ペンキのスポットに出ているそうで、かなりおもしろいようだ。あとで図書館に行った時、ついでに覗いてみようっと。

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コメント (3)

この構造は、今話題になっている、日本の家屋・マンションの耐震構造に役立てられないかと思います。
手作りでという訳にはいきませんが、このタイヤハウス(柱の一部ですか)は揺れに強いのではないでしょうか。
縦揺れ・横揺れ、どちらにも対応できそうです。

qooさん、どうも。
古タイヤを使った建築というのは、もちろん、最近のことなので、過去のデータというものがありません。研究が必要なエリアだと思います。
しかし、一般的には日干しレンガとかの泥建築は耐震性が強いと読んだことがあります。(どこだったか忘れた)

どうも、突然ですがたまたまみつけてしまいました。オイラも自分で家建ててますが、古タイヤを利用している人はすごいと思います。あなたの活動はとても興味があります。がんばってください。ちなみにウチの近くに山ほど古タイヤあるんで、何とかならないか気になって調べてみました。おいらは基礎に使えたらと思ってます。

Profile

リック・タナカ(Rick Tanaka)

-----<経歴>-----

信州松本出身。
1980年、シドニーに漂着。
大学中退後、ラジオやテレビ、ウエッブ、雑誌、ニューズレターなどで執筆、制作、コンテンツ制作、翻訳/通訳、音楽マネージメントなどで活動。
1997年、それまで15年暮らしたシドニーから標高千メートルの高原の町カトゥーンバに引っ越し、執筆・メディア活動と並行しながら、消費を抑え生産する楽農生活に突入する。
2007年、大陸の東南に浮かぶ島にある人口300人の村に移住、オイル・ピークと環境ゲテモノ化時代に備える暮らし、近隣社会の構築を模索中。

BookMarks

-----<訳書>-----


『未来のシナリオ』
2010年12月、農文協

-----<著書>-----


『人工社会』
2006年3月、幻冬舎


『楽農パラダイス』
2003年、東京書籍


『おもしろ大陸オーストラリア』
2000年、光文社知恵の森文庫

-----<共著>-----


『Okinawa Dreams Ok』
1997年、Die Gestalten Verlag


『Higher than Heaven:Japan, war and everything』
1995年、Private Guy International

-----<訳書>-----


『沖縄ポップカルチャー』
2000年7月、東京書籍

『首相暗殺』
ロバート・カッツ著、集英社

→ブック・こもんず←

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