今年の朝鮮半島は、2000年の再現となるか
今年2010年は、2010年代の元年でもある。時代や歴史を10年単位で捉えると、何よりも最初の年が肝心だ。
今年は残念ながら初夢を見なかった。実は、10年前の2000年には金正日総書記が金大中大統領との首脳会談を受け入れた初夢を見ていた。それが、何と半年後に正真正銘、正夢となったから驚いた。
当時見た初夢についてコリア・レポートの2000年1月号(NO.393)の表紙(編集メモ)で次のように記していた。
「年末から年初にかけて北朝鮮を訪問しました。平壌では金正日総書記、それに対日担当の金容淳書記に会いました。金総書記には金大中大統領から預かった親書を手渡しました。金大統領の親書には南北経済共同体を提唱した真意が書かれていました。驚いたことに金総書記は『金日成主席の遺訓を守る』と述べ、南北経済共同体の設置にも首脳会談の開催にも同意しました。帰国直前に金容淳書記と会い、日朝間の懸案となっている『日本人拉致問題』の解決も求めました。これまた驚いたことに承諾し、直ちに引き合わせてくれました。万事うまくいき、日本に連れて帰ろうとすると、機上でハイジャックにあいました。あの『よど号』の連中らが同乗していたのです。そして今度は『ソウルに行け』と脅すのです。それで目が覚めました」
日本人拉致問題はそれから2年後に金総書記は認め、一部の被害者を日本に帰したが、南北首脳会談はこの年に電撃的に実現している。
振り返ると、2000年の年は、朝鮮半島ではいろいろと大きな出来事が起きたが、どれもこれも「吉報」ばかりだった。
核とミサイルで対決していた米朝間では10月に金正日総書記の側近であるNo.2の趙明録国防委第一副委員長とオルブライト国務長官の間でクロス訪問が実現し、関係改善に向けての米朝共同声明が発表されている。
南北間では6月に史上初の首脳会談が実現したのを皮切りに、1985年以来15年ぶりに朝鮮戦争で生き別れていた南北離散家族の再会が実現し、そして9月のシドニー五輪では五輪史上初の南北同時行進が実現している。首脳会談の結果、金大中大統領がノーベル平和賞を受賞したのもこの年だ。韓国人としては初のノーベル賞受賞であった。
外交面では金正日総書記が17年ぶりに中国を訪問し、また7月にはプーチン大統領が旧ソ連時代も含めてロシア最高指導者として初めて訪朝している。北朝鮮が英国やイタリア、スペインなど西欧諸国と関係を正常化したのもこの年からだ。
日朝間でも大きな前進があった。日朝国交正常化交渉が7年半ぶりに開催され、7月には日朝史上初の外相会談も実現している。2年以上も途絶えていた日本人妻の里帰りも再開した。
ちなみにその10年前の1990年の年をみると、これまた特筆すべき出来事ばかりだった。
米韓間で駐韓米軍削減合意(2月)、北朝鮮が朝鮮戦争で行方不明となった米軍兵士の遺骨返還(5月)、南北民間交流の実現(5月)、金日成主席の訪中(9月)、ソ韓国交樹立(9月)、金丸訪朝(9月)、北朝鮮に抑留されていた「第十八富士山」乗組員の帰還(10月)、中韓貿易事務所の相互開設(10月)、南北首相会談実現(10月)、盧泰愚大統領の訪ソ(12月)等等。
朝鮮半島の和平、緊張緩和の鍵を握っているのは過去も、現在も北朝鮮であることに変わりはない。良くも悪くも、北朝鮮の動向次第で決まると言っても過言でない。そして、その年の北朝鮮の方向性を暗示しているのが、毎年元旦に発表される労働党機関紙・労働新聞など3紙新年共同社説である。
今年の社説は、米国、韓国では大いに歓迎されている。対決姿勢が消え、対話を前面に打ち出しているからだ。また、軍事色が消え、経済重視を鮮明にしているからだ。
米国が好感を持っているのは「対話と交渉を通じて朝鮮半島の強固な平和体制を整え、非核化を実現しようとするわれわれの立場は一貫している」と平和協定締結を条件に非核化の意思を表明していることにある。また、韓国も、北朝鮮が李明博政権に対して昨年とは打って変わり「南北関係改善の道を開いていかなければならない」と融和的になっていることを評価している。このため一部では南北首脳会談への期待も高まっている。
日本への言及はなかったが、朝鮮半島を取り巻く状況、環境が好転すれば、過去の例をみるまでもなく、必然的に日朝関係にも好影響を与えることになる。米朝関係、6か国協議及び拉致問題の進展次第では、日朝首脳会談もあり得るかもしれない。
今年は、是非2000年の再現を期待したい。








コメント (6)
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2010年1月 4日 15:04
事務局様
都合の良いコメントしか受け付けない坂中英徳の投稿を禁止して下さい。
投稿者: 池田 虎正 | 2010年1月 5日 14:52
私が思うここ数年の南北関係は、盧泰愚大統領以後、北の軍事的行動のちの、南の経済的融和政策、双方の人的文化的交流などによって少なからず相互関係を深め、双方の発言土台を築いてきたように感じますね。
もっとも大韓民国の憲法では、国軍は自国防衛の為の軍であり、祖国統一は平和的に指向するものですから、北の軍事行動に対し南も発言こそ強弁である事もあったが、韓国が境界線進入、領海侵犯などはありえなかったでしょう、結果的に南が受け身的になることで築ける関係である事をMH,MB氏らが理解した上で継承し、北とは和平路線である事を強調しながら今に到っているのでしょう。
拡大解釈でしょうけど、核開発=軍事行動からなる一連の対米交渉や温首相の訪朝などは、過去の南北関係の拡大版だと受け止めている方が、韓国人の中にいらっしゃるのも事実です。
ミサイルを発射した意味が南進か対日軍事作戦であるか否かはKCIAによる相当な裏付けが無い限り韓国メディアは、日本のメディアのように大騒ぎする事はないでしょうが。
隣国に存在しておいて、一時の日本メディアの騒ぎぶりは当然労働党も理解しているわけでしょうから、「日本個別交渉相手に値せず」はある意味北朝鮮側の当然の主張なのでしょう。独自性ある北朝鮮との外交交渉や拉致問題を軍事力の裏付けや独自の情報網なしに望む事は、結局「他国と連携して」となる、さらに日朝単独交渉を望むとなると、現在においては米国依存や中韓へ取り次ぎ依頼をせざるを得ないし、タダではない。
6ヶ国協議再開が日朝交渉のキッカケになれば幸いです。
今年もよろしくお願い致します。
投稿者: m木村m | 2010年1月 5日 15:56
辺さん
初めて投稿いたします。
2002年に5人の拉致被害者が帰国して、さらに2年後ジェンキンス氏と曽我さんの娘さんたちが第3国経由で帰国してからこの事件は一切進展がありません。外務省も公安も彼らからかなりの事情聴取をして相当量の情報を持っている。それが一向に表に出てこないことが問題を複雑にしているように思えます。当然北に不利な証言が日本のマスコミに漏れてひとり歩きすれば、まだ北にいる拉致被害者の身に危険が生じる。ここまでわかっていて、政府の動きが見えないので田原発言もあったように思います。羽毛田氏といい、藤崎氏といいもちろん官僚に舐められている最終責任者は総理ですが、外務大臣と外務省の動きが悪過ぎます。なんで暮れはロシアで今トルコなんでしょうか?
投稿者: Tommy Sanada | 2010年1月 5日 18:09
坂中英徳さんのブログにコメントが投稿できないのはシステム上の問題です。現在、調査&対応中ですのでいましばらくお待ち下さい。近日中に投稿が出来るようになると思います。
なお、これまで何度も述べてきていることですが、THE JOURNALでは記事に対する批判的な意見を削除することはありません。削除対象は下記のリンクにあるように、最低限の社会的マナーが守られていない投稿に限っています(ブロガーには削除権限はありません)。
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投稿者: 《THE JOURNAL》編集部
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2010年1月 5日 19:21
前にも書いたけど、この人の論説はどうしてこんなに中身が無いんだろう。
日本政府が
・攻撃的軍事力を持たない
ということで、持ち札が少ないため打つ手が見つからないことはわかる。
この人の場合は更に
・北朝鮮を対等な国家として扱わないければいけない
・北朝鮮の犯罪行為、約束違反について非難してはいけない
という縛りがこの人の思考回路にあるらしいため、言ってることがとんちんかん。
2000年(米朝共同声明、南北融和)なんて、その裏で北朝鮮がどういう動きをしてたか今となってはすべて明らかなのに、何が「吉報」なんだか。
必要以上に北朝鮮を敵視するのは何の益も無いので止めたほうがいいと思うが、必要以上に北朝鮮を擁護する立場の言説と言うのはかなり有害だと思う。
この人が”ピョン・ジンイル”という名前を持っていなければ、歯牙にもかけられない凡庸なプロバガンダだと思う。
投稿者: おやおや | 2010年1月 6日 12:49