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ボズワース訪朝と米朝交渉の展望 »

米朝交渉は年内再開、日朝は年越し

 ボズワース北朝鮮政策担当特別代表が12月8日に平壌を訪問する。これにより6か国首席代表会議を最後に1年間、中断していた米朝公式対話が復活することになる。

 オバマ政権初の米朝直接交渉は、訪米した李根外務省米国局長と米国のソン・キム6か国首席代表との接触の結果である。6か国協議が断絶中でも米朝間にニューヨークチャネルが作動していたから実現できたともいえる。

 日本の鳩山民主党政権は発足から2か月以上経過したが、日朝は拉致被害者の安否の再調査と制裁の一部解除で合意した昨年8月の日朝合意を履行するための交渉に入れないままでいる。

 衆議院選挙後、北朝鮮のナンバー2、金永南最高人民会議常任委員長は訪朝した共同通信社代表団との会見で、次期民主党政権に対し、日朝平壌宣言を尊重し「実りある関係」をつくることを呼びかけた。そのうえで「関係改善の展望はあくまで日本当局の態度にかかっている」と述べ、次期政権の対応を注視する考えを示した。

 これに対して鳩山首相は「実りある関係を築き上げたいということであれば、当然、北朝鮮政府の対応にかかっている」と、逆に北朝鮮が先に前向きな対応を取るよう促した。ボールは北朝鮮側にあるというのが、鳩山総理の認識だ。

 実務担当の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使も共同通信と会見で「もし新政権発足後、接触を提起してくるなら、実務的に判断することになる」と、間接的な表現ながら日本に呼びかけを行ったが、岡田外相もまた「1年前、日朝間で拉致問題の再調査に合意したが、進んでいない」ことを認めながらも「当面は北朝鮮から何らかの働きかけがあるのかを見極めたい」と動く気配を全く見せなかった。

 岡田外相は9月17日の初閣議後の記者会見で「オバマ政権が誕生して、そういう意味では時間の利益は、こちら側にある。従って、焦ることなくじっくりと対応していけばいい。もちろん、拉致の問題等もあるので、ゆっくり構える訳にはいかないが、焦って我々からいろいろな提案をする必要はないと思う」と、日本から仕掛ける考えのないことを明らかにしていた。

 それでも、鳩山政権がこの2ヶ月間、何もしてこなかったわけではない。北朝鮮を動かすためそれなりのシグナルは発信してきた。鳩山総理が国連での演説で「日本は日朝平壌宣言に基づき、国交正常化を目指す。拉致問題で北朝鮮が再調査などで誠意を示せば、日本も前向きに対応する」と呼びかけていた。英語によるスピーチでは「ノースコリア(北朝鮮)」と呼ばず、正式名の朝鮮民主主義人民共和国のイニシアルである「DPRK」を使うなど、北朝鮮に配慮もみせた。しかし、北朝鮮も静観したままで、日本に働きかけようとしない。一にも、二にも米朝交渉を最優先しているからである。

 鳩山首相は所信表明演説で「考え得るあらゆる方策を使う」と意気込みを示していた。また、その後首相官邸で拉致被害者家族と面会した際には「北朝鮮側の意思を動かさなければいけない。そのためには、いろんなやり方がある。そのやり方をこれから真剣に考えていきたい」と誓っていたが、まだ有効な方策が見つかってないのが現状だ。

 膠着状態打開のため鳩山政権が野中広務元自民党幹事長の特使派遣説や鳩山総理自身の電撃的訪朝を検討していると一部週刊誌などで取り上げられていたが、いずれも単なる観測、憶測記事に過ぎず、現状はそのような環境にない。

 一方、山崎拓元自民党副総裁は中国から帰国後の26日、北朝鮮が小沢一郎幹事長の訪朝を求め、小沢幹事長は自ら赴かず、腹心を訪朝させ、親書を持参させる考えのようだとの観測を述べていたが、腹心の訪朝で北朝鮮が軟化するとは思えない。少なくとも、クリントン元大統領クラスでなければ、金正日総書記の心を動かすことはできないだろう。そのような腹心が果たしているだろうか?

 結局のところ、日本政府の対応は12月8日から始まる米朝交渉の成り行きに左右されることになるだろう。仮に米朝交渉が進展し、6か国協議再開のメドが立てば、それに合わせて日朝交渉を進めていく考えのようだ。可能ならば、遅くとも北朝鮮への制裁期限が来る来年4月までに北朝鮮と再交渉を行い、制裁の一部解除を見返りに北朝鮮に再調査を履行させたいところだ。

 日朝双方とも「相手の出方を待つ」と静観していることからこの分だと日朝対話は年越しとなりそうだ。

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<北朝鮮のウランに群がる超大国>

北朝鮮のような小国が、何故米国や中国、ロシアなどの超大国を相手に傲慢な外交姿勢を採り続けることができるのだろう。

北朝鮮にはタングステンなどのレアメタル資源が豊富にあることはよく知られている。その中でも核爆弾の原料となるウランの埋蔵量は韓国統一院の推計では400万トンとも言われている。

現在世界全体のウラン埋蔵量が480万トンといわれ、第1位のオーストラリアが114万トンと言われているので北朝鮮の埋蔵量は桁外れでもある。

かつてスターリンは金日成からの申し出を受け、北朝鮮への武器供給と引き換えにソ連に49年頃からウランを9000トン提供してもらっている。

これによってソ連は米国に並ぶ核大国になった。その後金日成はソ連の技術支援を受け自国でも核開発を進めるようになり、それが今日、金正日にも受け継がれていった。

ところでここ6年間くらいの間、ウラン価格が10倍にも値上がりする中で核大国の中国やロシアだけではなく米国も北朝鮮のウランに高い関心を寄せている。

中国はもともと友好国である北朝鮮のウラン開発に取り組んでいたが、北朝鮮はウランをネタに米朝との国交正常化を実現し「権力の世襲」を認めない中国を牽制しようとしているようだ。

とにかく米国、中国、ロシアといった超大国やフランス、イギリス、イランなども北朝鮮のウランは喉から手が出るほど欲しがっている。これが北朝鮮の強気外交を支えているのだろう。

優先順位として日本の政権交代のチャンスよりアメリカとの交渉が先というのはスジとしてそうでしょうね。

日朝交渉は米朝交渉よりもわが国の空気やマスメディアがそれを受けて尻ごみし、強硬路線支持を論説でもぶち上げている以上、いかな新政権といえども難しいハードルが国内にこそ待ち受けており、北朝鮮側としては米国と話をまとめさえすれば日本は船に乗り遅れるなとばかりついてくるとの読みも、アメリカがなんであれ日本は国益と人質を天秤にかける交渉なぞするなという感情的な反発をこの政府が押し切れるものか見据えたいという腹もあるのでしょうが、検察の問題でも神保、宮台両氏が懸念していたようにコントロールに置きたいと権力を握っても、政権自体のイメージが旧来の密室政権の愚をおかさぬ開かれた政権党であるとするといかに検察の暴走を抑えたいと思いつつも権力の恣意性を逆にマスコミにつつかれやぶへびになる怖れもあり、大ナタが振るえないジレンマに献金疑惑とともに苛まれ、悩ましい日々を送るというなんともじれったいことになっているのも、日朝交渉の現状とダブって見えるのは皮肉といえば皮肉。
中国さえ味方にすれば対北カードに有利ということでもなくなってしまい、中国政府でさえ北朝鮮に有効的な圧力をかけれずじまい。
国境に人民軍を大勢張り付けた程度で北がびびるはずもなく、ならばロシアにとふり幅を向けたり、南の韓国へ色目を使ったり、本当にこの国のやり方は自らのおかれた地勢的条件を最大限利用するイヤラシサと狡猾さが際立っている。
資源外交でも活かさず殺さずで値切って買い叩いて漁夫の利を得ている中国を北朝鮮は面白くないと思っていて、EUやアメリカの貿易代表部に盛んにビジネスを持ちかけ米朝正常化を見越してすでに平壌の街に外国人のビジネスマンが多く見かけるようになったとも言われているようですが、レアメタル、イリジウムは携帯電話には欠かせない鉱物資源であり、携帯電話で世界シェアから遅れをとっている日本も指を咥えて見ているわけにも行かない。
アフリカから輸入してるが、北朝鮮なら海を隔ててすぐ隣だしコストも抑えられる。
本音は腹に隠しても、外交は建前を立てて行うものでありこれができないうちは自立国家だなんだというのは絵に描いたモチである。
とはいうものの現在、日本は眼中にない。
日朝交渉は年越しということにせよ、ドラスティックに変わるということもないのでしょう。

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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