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米朝交渉は年内再開、日朝は年越し »

オバマ大統領の「アジア演説」を読む

 昨日(16日)は、講演のため長野県の佐久平へ。信濃毎日新聞主催の講演会で「北朝鮮情勢のこれからを読む」をテーマに、核問題や米朝・中朝関係、そして拉致問題について語った。

 核問題も、拉致問題も日米の民主党政権下で解決できなければ、半永久的に難しくなるとの理由を説明し、どんなことしてでも両政権の任期中に解決しなければならないと力説した。

 北朝鮮が「経済大国」を「強盛大国」の一環として看板に掲げているならば、目標の2012年までの残り3年の間に核問題も、拉致問題も解決して外交的孤立と経済苦境から抜け出さなければならない。核問題の相手であるオバマ政権にとっても2012年は任期最後の年となる。米朝とも、決着を付ける構えである。

 そのことは、オバマ大統領が14日に日本で行ったアジア外交演説から垣間見ることが出来る。

オバマ大統領は北朝鮮に対して「米国は北朝鮮に(孤立とは)違う将来を提示する用意がある」「北朝鮮には国際社会に統合していく未来もありえる」「貧困のままでなく、貿易や投資や観光が北朝鮮国民へのより良い機会を与えるという経済的機会のある未来を持てる」「不安定さを増すのではなく、安全と尊敬の未来も持てる」と呼びかけた。

 もちろん、米国から提示された未来は「6者協議へ復帰し、これまでの合意を守り、NPTへの復帰と朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化を行うことだ」との前提条件付だ。果して、北朝鮮はこのオバマ演説をどう受け止めているのだろうか、知りたいところだ。

 演説には「何十年にわたって、北朝鮮は、核兵器開発の追及も含む、対決と挑発の道を歩んだ」とか「北朝鮮が国際的な義務の履行を拒否することは、同国の安全を低下させるだけで、より安全にはならない」とか「自国民をぞっとするような抑圧の下に置いている」とか、北朝鮮を刺激する部分もあることはあったが、総じて、ソフトな内容となっている。少なくとも、北朝鮮を「悪の枢軸」と、また金正日総書記を「ならず者」と呼んだブッシュ前大統領のそれとは大違いである。

 これまでならば、売り言葉に買い言葉で、北朝鮮はこの種の発言には必ず反論、反発する。しかし、17日現在、北朝鮮の外務省も、メディアも沈黙を保ったままだ。

 ボズワース特別代表の訪朝を早期に実現させるため反論を控えているのか、それとも今日(17日)から訪問する韓国での発言を聞いたうえで、まとめて論評するのか、韓国でのオバマ大統領の言動と北朝鮮の反応が俄然注目される。

 オバマ大統領の演説でもう一つ気になったことがあった。日本人拉致問題について触れた部分で「(北朝鮮は)日本人の家族に対し、拉致された人たちの行方を完全に明らかにしなければ、近隣諸国との完全な関係正常化もない」と発言したことだ。

 日本のメディアも、関係者もオバマ大統領が拉致問題を触れたことを高く評価していたが、発言を吟味すると、それほど高い評価には値しないのではないだろうか。というのも、オバマ大統領は「日本人の家族に対し、拉致された人たちの行方を完全に明らかにしなければならない」と抽象的な発言にとどめ、「拉致被害者を日本に帰国させなければならない」と、日本が主張する生存を前提とした発言にまで踏み込んでいないことだ。

 換言するならば「どうなっているのか、安否を明らかにすべきである」あるいは「生存しているのか、亡くなっているのか、(家族に)説明する必要がある」としか、オバマ大統領は言っていないのである。

 繰り返すまでもないが、政府が認定した安否不明の残り12人の拉致被害者については「全員生存している」というのが日本政府の立場だ。従って、拉致問題の解決とは、北朝鮮が生存者を全員帰国させることが前提となる。ところが、オバマ大統領は、日本の立場を十分に知りつつもそこまでは踏み込んでいないのである。なぜだろうか?

 思えば、日本では評判が悪かったヒル米国務次官補も2年前、下院外交委員会の公聴会での証言で「拉致問題の解決は、愛する者を失った家族にとって幸せでないケースもあるだろうが、家族は何があったのか説明を受ける権利がある」と意味慎な発言をしていた。また、クリントン政権当時、国務省北朝鮮担当官だったケニス・キノネス氏もほぼ同じ頃、韓国メディアとのインタビューで「私は北朝鮮が日本に解放する拉致被害者がこれ以上いるとは思わない」と語っていた。

 ヒル次官補の前任者としてブッシュ政権発足時に北朝鮮問題を担当したケリー元次官補にいたっては「「北朝鮮の核の脅威に最もさらされているのは韓国でもなく、中国でもなく、日本だという現実も直視する必要がある。非核化の実現には日本の貢献が欠かせないだけに、拉致問題で日本の政治家が厳しい決断を迫られる時期が来るかもしれない」とさえ、言い切っていた。

 安否不明者の問題について日本の外務省は、これまでに米国に一体どのように説明してきたのだろうか?「生存している」と、確信を持って説明してきたのだろうか?生存していることを十分に説明し、納得させているならば、今回のような発言にはならなかったはずだ。

 もう一つ、気になるのは、拉致問題を解決しなければ「近隣諸国との完全な関係正常化もない」との発言の中の「近隣諸国」は日本や韓国を指しているのであって、米国ではないことだ。オバマ大統領から改めて言われるまでもなく、「拉致問題が解決しなければ、国交正常化しない」ことは日本政府の基本である。鳩山民主党政権でも、この基本方針には変わりがない。岡田克也外相がクリントン長官との会談(9月21日)で「拉致・核・ミサイルの問題全体がきちっとしないと国交正常化はない」と言明したばかりだ。

 従って、仮にオバマ大統領が「米国との完全な関係正常化もない」と言ったならば、日本にとっては心強い。強力な「援護射撃」となる。関係者が異口同音に言うように「北朝鮮への強いメッセージ」にも、大いなる圧力にもなる。

 結局のところ、オバマ大統領の拉致問題に関する発言は、当たり障りのないものに終始したとしか評価しようがない。米国への過剰な期待は、禁物だ。

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コメント (4)

はじめてここに投稿します。                                         辺真一さんの言うとおりです。今年の8月までの自民党主導政権は、外交・防衛問題についてはアメリカに頼りっぱなしきました。そんなことをするのは、世界中で日本国だけであります。他の国がそのようなことをしたら、主権放棄とみなされてしまいます。民主党政権には、他国に頼らない外交と防衛を実践してもらいたいと強く思います。

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>オバマ大統領は北朝鮮に対して「米国は北朝鮮に(孤立とは)違う将来を提示する用意がある」「北朝鮮には国際社会に統合していく未来もありえる」「貧困のままでなく、貿易や投資や観光が北朝鮮国民へのより良い機会を与えるという経済的機会のある未来を持てる」「不安定さを増すのではなく、安全と尊敬の未来も持てる」と呼びかけた。

しかし、このような未来になったら、金正日総書記の居場所はないでしょう。彼が亡くなった後の後継者に対するメッセージと見るべきなのでしょうか?彼の所業が明るみに出れば、当然国際刑事裁判所の定める、「人道に対する犯罪」などにも抵触してくることでしょうし。

ウイリーサンとオバマサンへ明けましおめでとうこざいます今アンはふとってにきびも出来でやばいことになりましたしことあけましておめでとうこざいとしおになりましたいつしきアンよりアンも世界を平和にしたいでいつしきあんより

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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