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北朝鮮のシリア核移転疑惑の推移

 北京で明日(27日)から再開される6か国協議を前に新たな難問が持ち上がりました。北朝鮮のシリアへの核拡散疑惑です。

 北朝鮮のシリアへの核協力疑惑を最初に伝えたのは、ニューヨーク・タイムズで、9月12日付に「イスラエル官吏らは北朝鮮が核物質の一部をシリアに販売していると考えているとみなしている」と報じました。

 これまでの米英の報道を整理すると、

 ①北朝鮮の貨物船が9月3日、シリア北部のタルトゥース港に韓国籍を装って入港した。

 ②貨物船から降ろされた荷物には「セメント」と書かれていたが、中身は核物質と設備である。

 ③イスラエル戦闘機が3日後の6日、貨物が移されたシリア北部の施設を空爆した。

 ④空爆前にイスラエルの先鋭部隊が、施設に侵入し、核物質を確保した。精密検査の結果、「北朝鮮産」であることが確認された。

 ⑤イスラエル政府はこの事実をブッシュ大統領に伝え、事前に空爆の了承を得ていた。

 あり得るかもしれない話です。ところが、米国務省のアンドリュー・センメル国務省核拡散防止担当副次官補が9月14日、「シリアは秘密供給者から核装備を獲得したようだ」とコメントしているにもかかわらず、ホワイトハウスはブッシュ大統領も、ライス国務長官も、ゲーツ国防長官も事実確認をしておりません。

 ブッシュ大統領は20日、この問題について「北朝鮮は核拡散をしてはならない」と警告を発したものの、シリアへの核流出に関する事実確認については3度も回答を拒否していました。ライス国務長官も「正直解明すべき疑問が多くあるが、我々は北朝鮮が核計画のすべての面で疑問を解明してくれるよう期待している」と曖昧にしています。

 また、強硬派のゲーツ国防長官も「もしそうした活動が行われているとしたら、非常に深刻な憂慮の対象となる」と語ったものの、やはり情報の信憑性についての確認は避けていました。また、報道はされたものの、イスラエルの先鋭部隊が浸透した時期や確保した物質についてもまだ具体的に明らかにされておりません。

 しかし、何よりも不思議なのは、イスラエル当局が空爆を認めているのに、シリア当局はイスラエル機の「領空侵犯」を認めながら、空爆の事実については沈黙を守っていることです。何か表沙汰にできない理由があるのかもしれません。

 もう一つ不可解なのは、シリアNo3のバース党幹部(サイド・エリアス・ダウド党組織部長)が訪朝していたのに西側のメディアがその事実を伝えるまで北朝鮮が公表しなかったことです。同じ時期に訪朝したミャンマーやイタリアの外交使節団の平壌到着を伝えながら、シリア党代表団の入国を伏せていたのは何とも不自然です。帰国直前の22日になって、金永南最高人民会議常任委員長が一行を接見したと、朝鮮中央通信は伝えていました。

 米英のマスコミから疑惑を追及されている北朝鮮外務省報道官は18日、朝鮮中央放送とのインタビューで、シリアとの核協力説は「6カ国協議と米朝関係の進展を不満に思う不純勢力による陰謀だ」と主張し、6か国協議出席のため北京に到着した金桂寛外務次官も「シリアとの核取引説は気の狂った者が作り出したもの」と、全面否認しています。

 北朝鮮の海外への核輸出、移転は米国にとって越えてはならない「レッドライン」の筈です。ブッシュ政権が北朝鮮との和睦に応じた第一の目的が核の拡散を阻止することにあります。仮に、核関連ではなく、ミサイルや通常の兵器であったとしても、北朝鮮からの武器の輸入を禁じた昨年の国連決議に反する訳ですから、問題です。ミサイルなどであれば、国連は、シリアにペナルティを課さなくてはなりません。

 貨物船に積んであったものが何であったのか、6か国協議の場で問題になるのか、また今後解明されるのかどうか、米国の対応が注目されます。

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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