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「拉致成果ゼロ」の安倍政権

 小泉訪朝、金正日総書記との日朝首脳会談からまる5年経ちました。この間、小泉さんの2度目の訪朝(2004年5月)で5人の拉致被害者の家族の帰国が相次いで実現したものの、横田めぐみさんや有本恵子さんら残り12人については依然として「消息不明」のままで、拉致問題は停滞したままです。

 昨日、拉致被害者家族や救う会などが決起集会を開き、拉致問題解決のため北朝鮮への制裁をさらに強化するよう求めていましたが、これは、当然の要求だと思います。というのも、安倍政権は「北朝鮮が誠意を示さなければ、制裁を強める」「拉致問題で進展がなければ、制裁を追加する」と何度も公言していたわけですから、「公約」である以上、約束はきちっと守らなければなりません。

 家族会らが信頼を寄せている中山恭子首相補佐官(拉致問題担当)も確か昨年12月、拉致問題に進展がない場合の経済制裁強化について「そういうことも考えるのが、自然な流れだ」と述べ、検討に前向きな姿勢を示していました。今年3月の日朝作業部会に続き、今度の作業部会でも全く進展がなかったわけですから制裁を強化してしかるべきです。ところが、どういう訳か、肝心の中山さんの口からも「制裁強化」という言葉は聞かれません。

 「拉致問題」が看板の安倍政権が発足して、ちょうど1年。家族会の期待とは裏腹に安倍政権は何ら結果を出せないまま退陣することになりました。それでも、家族会や救う会からは安倍さんへの批判の声は一切聞かれません。むしろ同情的です。北朝鮮に拉致を認めさせ、被害者とその家族の帰国を実現させ、大きな成果を挙げて退場した小泉さんへの過小評価に比べるとあまりにもコントラストで、理解に苦しみます。自らが担いだ安倍さんを批判することは自己批判につながるという矛盾もあって庇うほかないのかもしれません。

 家族会や救う会が安倍総理を高く評価した理由の一つは、北朝鮮に対して対決姿勢を鮮明にし、一貫して強硬策を取ってきたことにあるようです。日本独自の制裁措置の発動、朝鮮総連への締め付けなど、まさに安倍さんは期待にたがわず、北朝鮮への圧力と制裁を強めてきました。しかし、政権末期、特に参議院選敗北後の北朝鮮への対応は明らかに弱気で、妥協と譲歩を示していました。

 例えば、日本の対北支援、経済協力の前提が「全面解決」から「解決」そしていつの間にか「進展」へと、大きく後退しています。自民党総裁選で「拉致問題」を「売り」にしている麻生太郎幹事長にいたっては進展の定義について、今年5月、まだ外務大臣の時の国会答弁で「「北朝鮮は『(拉致問題は)解決済みで問題はない』と言っている。『ない』から『ある』に変わるだけでも進展だ」と、「解決していない」とみなせば、「再調査に応じる」と言えば、進展とみなすと、進展の「ハードル」を下げてしまいました。

 「日本としてはあせって(日朝協議を)懇願することはしない」(原口幸市前日朝国交正常化交渉担当大使)筈だったのに6か国協議の場で盛んに北朝鮮に秋波を送ったり、譲歩を引き出すためこれまで拒んできた人道支援を示唆したり、北朝鮮が強く求めていた「過去の清算」も北朝鮮が誠意を示さない限り、協議には応じない筈だったのに根負けし、今度の日朝作業部会では協議に応じています。

 「意味のない協議を続けるつもりはない。北朝鮮には時間稼ぎをさせない」(安部総理)はずだったのに、今度の作業部会では拉致問題では合意を見ぬまま「早期国交正常化のために努力することで」一致したばかりか「可能な限り作業部会をひんぱんに開催していく」ことで合意しています。

 もっと、驚いたことがあります。麻生さんは今年3月福岡市での講演で「拉致の話が進まない限り、1円も払うつもりはない」と威勢のいいことを言っていましたが、調べてみますと、IAEAに北朝鮮の核施設を監視する資金を提供し、また日朝作業部会を前後して北朝鮮の水害支援を呼び掛けた国際機構に日本赤十字社を通じて3千万円の「寄付」まで行なっていました。

 制裁強化どころか、現実には妥協の道を歩み始めていたのが安倍政権の実態です。「安倍政権が敷いた制裁のレールを次の政権も引き継いで」という幻想を抱くと、また失望と落胆することになるでしょう。来月13日が「更新日」となる、北朝鮮経済制裁措置を次の政権が延長するのかどうか、11月1日が期限切れの「テロ特措法」と並んで注目されます。

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コメント (2)

新首相選抜中の福田氏 麻生氏拉致問題解決に2人共力をそそぐと演説しているが麻生氏は圧力を 福田氏は対話をと両極にわかれた方法を説くが。
 俺が俺党の首相ならこう企画する チョコレートを定期的に援助してチョコレート癖を北朝鮮にはやらせ禁断症状をつくりだしてから解決策を要求すればスムーズに帰ってくる これは人間をよく観察した結果うかんだ案。

核保有が金正日の態度を大きくしている。
核保有問題を進展させないと拉致問題は解決しない。
「拉致成果ゼロ」という結果責任は問われるべきだが
核査察を実施できなければ核保有問題を進展せず、
結果的に拉致問題も進まない。
IAEAへの資金提供は「驚くこと」ではないのではないか。

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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