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参議院選前に拉致被害者帰国の「仰天情報」 »

「第二の平島筆子事件」の余波

 4年前に北朝鮮から日本に脱北してきた石川一二三(朝鮮名:ト・チュジ)さん突然北京を経由して平壌に帰ってしまいました。2年前に北朝鮮に戻った平島筆子さんと同じケースです。

 石川さんは北京の北朝鮮大使館で「悪い人間にだまされ(日本に)誘拐された」「日本は氷のように冷たかった」と語っていましたが、「悪い人間にだまされた」というのは、北朝鮮当局からそう述べるように言われたか、あるいは保身上そう言わざるを得なかったのかどちらかでしょう。北京の北朝鮮大使館で「金正日将軍万歳!」叫んだ平島さんを連想してしまいました。

 国から生活保護を受けながら、人道団体からサポートされながら「日本は氷のように冷たかった」と言うのは言い過ぎだとは思いますが、政府の場合、彼女から「冷たかった」と言われてもある意味で仕方のない面もあります。

 日本人妻や在日朝鮮人脱北者は法的には「不法入国者」あるいは「難民」扱いとなっているので、国籍を含め身分が定まっていません。このため就職もままならず落ち着いた生活ができません。また飢えた貧困の、怖い国から来たということで周辺から色眼鏡で見られ、疎外感を感じる脱北者もいます。

 かつて、日朝政府間合意に基づき正式に一時里帰りした日本人妻がそうでした。日本の親族の中には、驚いたことに数十年振りの再会を拒み、門前払いした人もいるほどでした。結局親族には誰一人会えないまま、涙ながら北朝鮮に「帰国」した日本人妻も何人かいました。

 平島さんもそうでしたが、北朝鮮に子供や孫、家族を残し単身脱北した人の精神的苦痛と苦悩は想像以上です。正月やお盆に一人で過ごさなければならない孤独感、肩身の狭い思いをしている家族への「贖罪意識」、そして高齢からくる将来への不安や絶望感から、苦しくても最後は子供、孫と共に一緒に住もうと北朝鮮に舞い戻ってしまいます。

 今回の場合も、支援団体の説得を振り切る形で北朝鮮に行ってしまいました。そして、北京での日本非難の記者会見です。これでは何のためにリスクを侵して受け入れたのかわかりません。このままでは北朝鮮に「日本も拉致しているではないか」との「反撃の材料」を与えるだけです。脱北問題と拉致問題を相殺させるわけにはいきません。

 彼女には帰国後は北朝鮮当局の事情聴衆が待ち受けています。脱北ルートから手助けした協力者の身元まですべて打ち明けてしまうかもしれません。彼女の「証言」を基に脱北をバックアップした人道団体やNGO関係者らが北朝鮮当局によって「指名手配」され、引渡しを求められるかもしれません。

 先頃青森に漂着した北朝鮮の「ボートピープル」の問題は日本政府に脱北者問題への新たな課題を突きつけましたが、何はともあれ、現在日本で暮らしている脱北者が北朝鮮に戻らないで済むような精神的、物理的ケアーを施すことです。日本にいる脱北者の面倒すら見られず、どうやって新たな脱北者を受け入れることができましょうか。

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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