「脱北家族」への過保護
日本政府は脱北家族に対してあまりにも過保護です。氏名も履歴も顔写真も公開しようとしません。二年前に日本人妻の平島筆子さんが帰国した時の対応も同じでしたが、その時はやむを得ませんでした。平島さんには北朝鮮に残してきた子供と孫がいたからです。
ところが、今回の脱北家族には北朝鮮に残してきた家族は一人もいないということです。それが本当ならば、神経を使う必要性はありません。6年前に偽造パスポートを使って不法入国者した金正日総書記の長男、金正男のときはマスコミに好きなだけ撮らしたわけですから。
今回一つわかったことは、夫婦は、56歳の元漁師と62歳の妻とのことです。姉さん女房は北朝鮮では本当に珍しいです。妻の家柄が良いから年下の男性でも結婚ができたのでしょう。妻の家系が気になります。
また、専門学校生の長男は30歳で、たこでなく、いかの漁師の次男は26歳とのことですが、長男と次男は独身だったのでしょうか。年齢的には結婚しても、また子供がいても不思議ではありません。過去の脱北者のケースからしてこの場合は、リスクが伴うので残してきたか、離婚してきたかのどちらかです。もし、そうならば北朝鮮に残してきた家族がいるということになります。
まあ、日本政府とマスコミが人道的な配慮から彼らの詳細を伏せても、彼らが韓国に行けば、遅かれ早かれすべてがわかります。韓国のマスコミがほおっておかないでしょう。時間の問題です。
それと、船は兄弟が操縦し、両親は船酔いで吐いたというのもどうかと思います。元漁師の父親が吐き、専門学校生の長男が弟と交代で操縦していたとはどう考えても解せない話です。家計を助けなければならない長男が、それも30になっても、専門学校に通っていたとは、これも気になります。
また、当初は、「一家はたこ漁師次男が生計を支え、苦しかった」と言われていましたが、朝日新聞(6月6日付)は「一家はたこ漁師である次男の収入で、地元では経済的に恵まれている方だった」と書いていました。ということは、「生活が苦しく、1日おきにパンを食べるのがやっとだった」と言っていたのとはあまりにも矛盾しています。家族全員が時計をはめていたほどですからひょっとすると「貧困からの脱出」ではなかったのかもしれません。
微量ながら覚せい剤を所持していたことも含め、今回の脱北には何か深いわけがありそうです。万に一つ、今回の亡命が覚せい剤絡みなど「犯罪からの逃亡」ということならば、日本政府の「過保護」は汚点を残すことになります。