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テロ支援国指定継続へ

 米国は4月30日、2006年版のテロに関する国務省報告書を発表し、北朝鮮を引き続きテロ支援国に指定しました。米国がテロ支援国リストから解除しなかった理由として、報告書は二つの理由を挙げていました。

 一つは、拉致問題で「日本政府は北朝鮮の国家機関によって拉致されたとみられる日本人12人の消息の全面的解明を求め続けている」と指摘しました。
 もう一つは、「よど号」問題で「北朝鮮が1970年に日航機よど号乗っ取り事件を起こした元赤軍派メンバー4人をかくまっている」と非難していました。

 ブッシュ政権は、北朝鮮側のテロ支援国指定解除の要求を拒否し、拉致問題が進展しない限り、外さないでもらいたいとの日本側の要求を受け入れた格好となりました。訪米し、ブッシュ大統領に働きかけたばかりの安倍総理はホットしたことでしょう。

 しかし、気になることがあります。今回の報告書では日本人拉致以外韓国人拉致も含め他の外国人拉致については全部削除してしまったことです。また、昨年の報告書に比べて、日本人拉致に関する記述も著しく短縮していました。

 昨年は、「韓国政府は朝鮮戦争以後約485人が拉致、抑留されたと推定している」と韓国人拉致問題についても触れていました。
 また、他の国の拉致被害についても「他の国の国民も海外いたるところで拉致されたとの信頼すべき報道がある」と書かれていました。それが、今回の報告書では一言も触れていませんでした。

 さらに、日本人拉致についても前回の報告書では「北朝鮮は2003年に生存拉致被害者5人と2004年には大部分の子供ら8人の拉致被害者家族の日本帰国を認めた。他の拉致被害者の安否に関する問題が日本と北朝鮮との間で進行中の協議の主題として残っている。11月には北朝鮮が北朝鮮で死亡したと発表した2人の遺骸を日本に送還した。この問題はまだ残っている」と、長めに言及されていましたが、今回は「日本政府は北朝鮮の国家機関によって拉致されたとみられる日本人12人の消息の全面的解明を求め続けている」との一言で終わっています。

 また、昨年の報告書には2005年9月に核問題で合意した6か国協議共同声明については全く言及されていませんでしたが、今回の報告書では「2007年2月13日の(核合意の)初期措置により米国は北朝鮮をテロ支援国指定から解除する作業を開始することで合意した」との文言を挿入していました。意味深長です。

 また、昨年同様に「北朝鮮は1988年の大韓航空機爆破事件以後いかなるテロ支援活動も支援していない」とわざわざ付け加えています。これらは、今後、北朝鮮の態度いかんによっては解除する用意があることを暗に示唆したものと受け止めることもできます。

 今回の米国務省の発表に、北朝鮮は敵性国交易禁止対象の解除と同様にテロ支援国解除問題をブッシュ政権の対北関係改善の意思のバロメーターとして注視してきたが、どのような反応を示すのか、核合意の初期段階措置の履行と合わせて注目されます。

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Profile

辺 真一(ぴょん・じんいる)

-----<経歴>-----

1947年東京生まれ。
明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。
1980年 北朝鮮取材訪問。
1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。現編集長。
1985年 「神戸ユニバシアード」で南北共同応援団結成。統一応援旗を製作。
1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。
1991年 南北国連同時加盟記念祝賀宴を東京で開催。北朝鮮への名古屋からの民間直行便開設に助力。
1992年 韓国取材開始。(以後今日まで二十数回に及ぶ)
1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。
1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。
2003年 海上保安庁政策アドバイザー。
2003年 沖縄大学客員教授。
現在、コリア・レポート編集長、日本ペンクラブ会員。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
「辺真一のコリア・レポート」

-----<著作>-----


『「金正日」の真実』
小学館、2003年1月


『金正日「延命工作」全情報』
小学館、2002年11月


『強者としての在日』
ザ・マサダ、2000年11月


『「北朝鮮」知識人からの内部告発』
三笠書房、2000年1月


『北朝鮮亡命730日ドキュメント』
小学館、1999年6月


『北朝鮮100の新常識』
ザ・マサダ、1999年5月

『ビジネスマンのための韓国人と上手につきあう法』
ジャパン・ミックス、1997年12月

『朝鮮半島Xデー』
DHC、1994年8月

『表裏の朝鮮半島』
天山出版、1992年4月

-----<共著>-----


『読売 VS 朝日 社説対決 北朝鮮問題』
中央公論新社、2002年12月

『韓国経済ハンドブック』
全日出版、2002年3月

『一触即発の38度線』
飛鳥新社、1988年7月

-----<訳書>-----


『北朝鮮が核を発射する日』
PHP研究所、2004年12月

『凍れる河を超えて(上)』
講談社、2000年6月

『凍れる河を超えて(下)』
講談社、2000年6月

『私が韓国をキライになった48の理由』
ザ・マサダ、1998年9月

『潜航指令』
ザ・マサダ、1998年7月

『生きたい!』
ザ・マサダ、1997年7月


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