【第14回】政治家に訊く:蓮舫
2009月10月23日

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昨日、10月22日(木)、民主党参議院議員の蓮舫(れんほう)氏と別件でお会いしたのですが、その際、時間をさいて「政治家に訊く」の取材を受けていただきました。

───────【基本情報】───────

名前:蓮舫(れんほう)
政党:民主党参議院議員
選挙区:東京
生年月日:1967年11月28日
好きな食べ物:台湾バナナ
ホームページ:http://www.renho.jp/

───────【質問事項】───────

Q1:なぜ政治家になったのですか?

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仙谷由人さんから打診があったのが政治家になるかを考えた一番のきっかけです。何が出来るんだろうかという考え方をしたときに、もっとも自民党政権で光があたっておらず、政策が真剣に語られたり施策が講じられてないなと思ったのが「子ども」だと思いました。

私はメディアにいたときに、ドキュメンタリー番組のレポートをしたことがありました。私も子どもがいましたが、今の子たちがおかしくなっているなと思ったころです。栃木県黒磯市(現那須塩原市)で13歳の中学一年生が英語の先生のお腹を十数カ所刺して殺めてしまった事件を2ヶ月ほど取材したことがありました。この事件を契機に同じような事件が連鎖して起こりました。子どもたちにインタビューするときに、まず目を合わせる子どもがいない、返事がない、日本語がしゃべれない、「あなたは○○くんとクラブが一緒だと思うけどどういう子だった?」と聞いても「別に」「わかんない」などと答える。つまり会話ができません。照れとか隠すためじゃなくてコミュニケーションが取れないという子が一人や二人じゃなくいました。最初私の勘違いかなと思いましたが、いくつもの現場で取材してて同じようなことに何度も出会いました。

また、町を取材して思ったのは、どこの町も同じということです。畑があって、山があって、魚のいない川があって、そしてコンクリートで固められた道路があって、閉ざされた空間の地域にあるものはビデオ屋とファーストフードとファミレス、本屋、カラオケというどこにいっても同じ光景が広がっていました。私は日本のどこにいるんだろうと思うぐらいで、どこも一緒でした。そこで育った子どもたちはテレビをつければ銀座は映る、渋谷も米国もとにかく楽しいものばかり見られるけど自分の周りはどこも同じようなものと閉塞的なものばかりで、想像力が広がらない中にいます。

その時コミュニケーション能力が減っている理由ってなんだろうと思いました。しゃべらなくても買い物が出来る環境が広がっているんです。コンビニ、自販機、大型スーパー、レンタルビデオ、本屋、ファミレス、どこもお金があれば会話しないでも何でもできてしまう、そうするとトレーニングされないで子どもがどんどん育っていって、家庭が子どものコミュニケーション能力を意図して高めていかないと地域はないし会話する場所もなくていきなり学校に行ったら友達ができなくどうしたらいいかわからない、学校がつまらなくなる、すると保健室に行くんですよね。保健室もいけなくなったら、不登校になるんですよね。不登校になるまで親の無関心が続くと今度は自宅の一番いい空間から出られなります。引きこもりになります。そこに私は「キレる」とかなぜか手が出てしまう現象が起こるんだということを漠然と感じていました。

自分の子どもだけが事件や事故に巻き込まれなきゃいいなと思って親は育てるけれど、この子たちは同世代の子どもたちと一緒に育っていくわけで、自分の子どもたち以外もいい環境を大人が用意してあげないとみんなおかしくなっちゃうということにふっと気付いたんです。これまでの政治は子どもは有権者じゃないから、子どもへの政策は惨憺たるものでした。その現状もメディア側にいて知っていたので、じゃあ政治家になって子どものことに真剣に向き合える人間でずっといたいなと思ったのがきっかけです。

Q2:子どもの環境について気づいたのは打診をうけてからだったのですか?

フラッシュバックしましたね。なんだろう、自分の持っている問題意識って何かなと思った時に出てきた話です。

Q3:これまでの政権に対する怒りもあったのでしょうか?

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児童虐待がニュースになって、新聞の一面を飾っていたのって久しいでしょう。今は社会面の一行ですよ。同じですよ、内臓破裂して、頭蓋骨が陥没して、虐待で死んだ子どもなんて衝撃じゃなくて慣らされてきています。慣らされて関心がなくなると国は予算をつけなくなります。そうするとどうするかというと、児童養護施設に入る子どもの7割は虐待児ですが、施設は満員で、どこに行くでしょうか。0歳児の赤ちゃんがいる乳児院は空きがあるでしょうといって年齢制限を撤廃したんです。乳児院にまで虐待児を入れているんですよ。こんな届かない政策は絶対やっちゃいけないんだと思います。

細野[豪志]さんが言っている障害者施策も同じだと思います。基本的に頑張れる人には「頑張ってくれ!」と言っていいと思います。でも頑張れない人に頑張れというのはきついですよ。

─セーフティーネットが壊れている?

雇用のセーフティーネットって、50年前に作られて、終身雇用で男性中心で、ひとつの企業に40年間勤め上げるっていう制度設計で作られた雇用保険が、いまや期間工とか派遣とかパートアルバイト、あるいはフリーター、ニートの人たちは入れないんだもの、そんな制度ないでしょう?一方で規制緩和して、非正社員を増やしておきながら、セーフティーネットには手をつけてこなかった。特別会計で埋蔵金だけ増やしているというような非効率な国というのは、変えるしかない。ここはわたしが政治家になってから感覚がリアルに変わってきて、「ムダがいっぱいあるじゃない?!なんでこんなところにお金があるのに、そのお金を必要としている人や子どもに回せないの?」これは政治家になって、わたしの原点。だから今回の政権交代はいいきっかけだし...早く変えないとダメですよね。

Q4:07年の参院選、今回の衆院選とどちらも候補者の立場でありませんでしたが、「政権交代」はどのように感じましたか?

今回の衆院選は、公示してから全国100箇所以上応援に行きました。2年前の参院選も全国応援しに行ってます。手に取るように町の反応が違いました。こんなに空気が変わっているんだと実感しました。今回の選挙は、10人いる場所で街頭演説すれば100人集まりました。100人の場所では300人になります。人が全員立ち止まってくれる、ものすごい期待度です。07年の参院選も期待は感じましたが、当時はどちらかというと農村地域です。今回は日本全国です。空気が違うというのは実感しています。表には言いませんでしたが、絶対に政権交代できると確信していました。

でもここでおごってはいけません。そこでおごってしまった4年間を私たちは見ているだけに、石にしがみついてでも頑張らなきゃいけないんです。

─海江田さんの演説を取材した際、蓮舫さんが応援にいらしてて、[こういうのは]もう少し人が集まりやすい場所でやってくれないかな〜と思いました。

私たちは[民主党は]人が集まるような、そういう経験がないんですよ。(笑)

こわいよね、来年の参院選は...

Q5:「こういう日本にしたい!」という[具体的な]ものはありますか?

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みんなが誇れる国にしたいです。日本であるということが自分のアイデンティティとしてがっちり根元にある国にしたいです。日本という国が恥ずかしいとか、願いが叶えられないと誇りを持てなくなってくると思います。子供は生まれる場所も国も親も選べないから、そこは政治がシステムとして作らないといけないと思います。こういう経済状況で色んな働き方がありますが、仕事がなくなれば家もなくなるという信じられない国になってしまっていて、家も仕事もなくて追い出された人間がどうやってプライドを持てますか。家庭がある人は捨てるしかないなんてこんな話おかしいですよ。なぜここまで放っておいたのかなという思いがあります。

少子化で学校がつぶれているという時代にまだ受験をしなければいけないのか、学校があれるとか全部おかしい。今私が思う誇りというのは、子どもたちが生き生きとできる社会は大人がどうどうとしている社会だし、国家がみんなを捨てていないという国です。今は見捨てられていると感じている人が多いんだと思います。

Q6:地域についてどうお考えですか?

実は国だけではありません。地方自治の問題も同じです。本当は届かなければいけないところに基礎自治体がいて、それでも届かないところに都道府県があり、それでもダメなときに国があるというのが本当の地方主権だと思います。今は全部一緒くたになっています。この点をしっかり整理してあげたいです。そして必ず見捨てないと思えるものを一つは行政がやらないといけないと思います。

Q7:当選した2004年の最重視政策では「ママフェスト」を掲げ、子ども政策に力をいれていましたが、今は子ども政策から少し変化があるのではないですか?

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ほんとにいろんな事をさせられるんですね、いい経験をたくさんさせてもらっています。総務委員会にいったり、文科、予算、今回の事業仕分けは農水、防衛ですからね。任命された時にはどこまでいくんだろうと思いました。ここまでいったら全部いきたいぐらいです。

─そこまでできるんですか?

やります!基本的に私の考え方はシンプルで、税金がどう使われているかという軸足だけ持っていれば、どこの省庁の政策でも対応できると思っています。専門性がなければその省庁の立案作業ができないかというと、そういうことはないんだと思います。専門性は役所がもっているはずですからね、そこは一緒にやりましょうっていう話で、政治は指示を出して、行政監視をして、そして決算、あとは予算を繋いでいく作業だと思うんです。

難しくしちゃダメなんですよ。なぜこんなにテレビに出る政治家は難しく言っていたんだろうと思います。私はわかりやすい言葉を使いたいと、5年間ずっと維持してきてるつもりです。

Q8:わかりづらいと言えば、事業仕分けで出てくる「概算要求」というのはどういうものですか?

「概算要求」も難しい言葉です。あれは「おねだり予算」のことです。各省庁がちょっと甘えながらここまで出してもいいかなというものです。これまでもらっていた1,000円のお小遣いを、「中学生になって上げてあげるから、いくらほしいか言ってごらん?」と言われ、「3,000円は言いすぎかな...2,500円にしとこうかな」、こうやって様子見しながら子どもも親に言うでしょう?これがおねだり予算、つまり概算要求なんです。

これからが事業仕分けで、何に2,500円使うのか内容を出してきなさいと聞いたときに、「参考書、ゲーム...」と言ってきます。「じゃあゲームはいらないでしょう、削りなさい。それじゃあ2,000円にしましょう」という作業が事業仕分けで、これからそれをやるのです。

─得意そうですよね...

そうね、数字はウソつかないからね。

───────【こだわり】───────

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赤ペン!

これじゃないとダメなんです。

秘書もいつも持ち歩いてます。

メディア時代からずっとコレなんです。

書きやすいよね〜

国会でも、予算の質問の時もほとんど持ってますよ。

集めてるワケじゃないですよ、使ってるだけですから。(笑)

2009年10月22日、参議院議員会館:《THE JOURNAL》編集部取材&撮影


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