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2010年6月15日

【第35回】政治家に訊く:金子洋一

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───────【基本情報】───────

名前:金子洋一(かねこ・よういち)
政党:民主党
選挙区:参議院神奈川選挙区
生年月日:1962年6月28日

───────【質問事項】───────

─政治家になろうと思ったきっかけは?

 幼少の頃から政治に興味がありました。大学時代に弁論部に入り政治を勉強し、卒業後は経済企画庁(現内閣府)に入庁、いわゆる官庁エコノミストとして生活していました。出世していくなかで、縄張り争いや他省庁との調整など自分の仕事に疑問をもつようになりました。

 2001年からはパリに本部があるOECDでエコノミストをしていました。帰国を目前に控えた2003年4月、学生時代の同級生で現内閣官房副長官の古川元久氏と連絡をとる機会があり、そこで民主党候補として出馬しないかという誘いを受けたことが直接のきっかけです。

─出馬した選挙区はどこですか?

 2003年に立候補した選挙区は私の妻の出身地、三重県伊勢市です。伊勢市の選挙区は大変広く、今の事務所から南端まで約150キロの距離があります。立候補した当時は高速道路の総延長距離は10キロもなく、片道3時間半かけて行っていました。

 自民党が非常に強い選挙区で、2度連続で落選しました。民主党は2度連続で落選すると次回の選挙に出られない規定がありましたので、その後東京のシンクタンクで働くようになりました。

 その後、昨年7月末に私の生まれ故郷の神奈川県で、参議院の補欠選挙がありました。神奈川県連の公募に応募したところ、運良く候補者として選んでいただき、選挙も勝たせていただきました。

─エコノミスト時代は具体的にどういった業務をしていましたか?

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 景気対策のとりまとめや景気動向指数をつくる作業のほかに、消費者行政も扱っていました。

─政治家になってからも経済への問題意識が強いですか?

 自分が景気に関する仕事をしてきましたので、政治家としても景気を良くする仕事をどうしてもやりたいです。今の経済状況は厳しく、昨年度末の新卒学生の10人に2人は働き先がみつからないような事態になっています。こんな状況を何とか解決したいです。

─「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟(デフレ脱却議連)」はどういった活動をしていますか?

 2008年9月のリーマンショック以降、欧米各国の中央銀行は金融緩和を進めました。日本銀行(日銀)は緩和しなかった結果、経済にマイナスの影響が出ました。円高が進み輸出がガクッと減り、国内需要は盛り上がっていません。金融政策を中心に対応しようと集まったのが「デフレ脱却議連」です。

 議連のメンバーは衆院・参院あわせて約130人の民主党議員で、参議院の事務局長を私が務めています。

 日銀に対してインフレターゲット政策や、長期国債買い切りオペをしてもらえるよう促して経済活性化を図っています。

─量的金融緩和政策についてはどう思いますか?

 2006年までに行われてきた量的緩和は日銀がある程度の物価上昇率にならない限り解除しないと言っていました。日銀は解除条件を満たしたと判断して解除し、その結果景気が悪くなりました。世の中の投資家や企業の信頼が得られない限り効果がでません。日銀は経済主体に対する期待をつくらせることは大切です。

─日銀はデフレ脱却に対して消極的なのでしょうか?

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 きわめて消極的です。アリバイづくりしかしていません。新産業政策といって1兆円貸し出すと表明していますが、産業政策は30年も40年も前の話で、デフレが脱却できるわけがありません。現在の日本のデフレギャップ、つまり潜在的GDPと実際の経済規模の差は35兆円あります。そこに1兆円出したところでまったく効果がありません。

 財政政策について、私は今以上の財政政策の引き締めには反対です。20兆円国債を発行して公共事業につぎ込むようなことで日本経済が回復するかというと必ずしもうまくいかないと思います。

 金融政策では世界で標準的になっているインフレターゲットや国債買い切りオペ、先進国は不況期にどちらかの政策を打ち出しています。両方やらない日銀に最低でもどちらかに手をつけてもらいたいです。

 日銀は金融緩和を行い、信頼性を取り戻す必要があると思います。 

ブログで「国家財政を考える会」に反対した理由は

 いま経済の状況が悪く、世界的にはギリシャ危機でユーロが市場最安値になっています。逆に言えば円高になっています。輸出しにくい円高傾向の状況で、増税や財政再建は慎まなければいけません。

 リーマンショック以降回復傾向にある現状で、金利引き上げや財政の引き締めをしてブレーキをかけるようなことがあれば、企業や投資家は未来永劫景気回復しないと思い、設備投資も控えてしまいます。

─日本をどういった国にしたいですか?

 景気、安全保障などボトルネックになる問題が山積みです。目の前にある問題を政治家が解決することで、民間企業や1人1人の市民が目標を持って推進しようという動きが大切だと思います。また、推進しようとする時に邪魔になるものを政治家が取り除いてあげることが理想的な形だと思います。

2010年6月2日、《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

2010年6月 3日

【第34回】政治家に訊く:尾立源幸

───────【基本情報】───────

名前:尾立源幸(おだち・もとゆき)
政党:民主党
選挙区:参議院大阪選挙区
生年月日:1963年10月9日
ホームページ:http://odachi.info/
Twitter:http://twitter.com/odachi_moto

───────【質問事項】───────

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── 政治家になろうと思ったきっかけは何ですか?

私は、政治家になる前に税理士と公認会計士をやっていました。言うまでもなく、税理士は税金の額を計算してそれを納める仕事で、公認会計士は企業の決算書をチェックする仕事です。

そのなかで、納税者がイヤイヤ納税をする場面がたくさんありました。特に税理士の仕事をしているときに多かったのですが、理由は「税金の使われ方がようわからん」というものでした。そこで、納税者に税金の使われ方が理解されるよう、もっと税金の使い道を透明化しなければ、と感じていました。

もう一つは、私が公認会計士として決算書を作っていたとき、すでに国の財政赤字が膨らんでいました。現在では860兆円と言われていますが、財政赤字の増加を止めるために、どこかのタイミングで財政赤字を食い止めなければいけない。その二つの思いがあって、参議院選挙に出馬することを決意しました。

── 財政赤字の削減はどのように解決していくべきだと思いますか?

単純に言って、方法は3つしかないと思っています。一つは「出るお金」をできるだけカットするという方法。「事業仕分け」がこれに当たります。もう一つは入ってくるお金を増やすこと。これには二つの方法があって、一つは今の税率でも自然に税収が増えるよう、国の経済を成長させ、税収を増やすこと。もうひとつは、それをやりつつも、最終的にはどうにもこうにもならないときには、税率を上げることです。民主党が政権を預かっている4年間で、無駄のカットと自然に税が増えるような成長戦略を実行していきます。それでもどうしようもないときは、次の総選挙で負担のお願いをして、その代わりに負担に対して「医療、年金、教育がこうなります」ということをきちんと示して選挙を行わなければならないと思います。

── 尾立議員は大阪選挙区選出ですが、大阪区民の空気はどのような感じですか?

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それはそれは厳しいです。大阪では橋下府知事が支持されていますが、その理由は、前知事が官僚出身でほとんど何もやらなかったのに比べ、橋下知事は行政改革ということで大阪府の財政の立て直しを有言実行しているからです。大阪府民は本物と偽物を見分ける能力が高いですので、「やろうと思えばできる」ということがわかっているんです。

──「もっとやれ」という声が多いのですか?

そうですね。「もっとバンバンやらんかい」という声が多い。事業仕分けの結果、これまでほとんど知られていなかった税金の使われ方が見えてきました。では、そこを切れば国民の生活が困るかというと、そうでもないということばかりです。だから大阪からは「もっとやれ」という声が多いですね。

お金の流れが透明になり、情報公開がきちっと行われ、自分の収めた税金がこういうふうに使われているのかと納得していただければ、足りないものは足りないと言うことでみなさん負担していただけるはずです。ただ、現在はここがブラックボックスとなっていて、納税者も税金はできるだけ少ない方がいいと感じてしまっているのです。

── その意味では、今回の事業仕分けで今まで見えなかったものがたくさん明らかになりました

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まさにそのとおりで、税金や保険料のみならず、今回は免許証の更新料や宝くじの収益の使われ方なども議論することができました。実は、この二つは国家予算ではないので野党時代は口出しができず、国会で議論できませんでした。政府の外でお金のやりとりがされているため、「そういう決まりです」といわれると、それで引き下がるしかなかった。今回、それを土俵に引きずり込めたのは大きいと思います。独占的な権限が与えられたり、または独占的な権限が与えられてないにもかかわらず、実際には競争原理が働かずに天下り団体が独占してしまっているという状況は、政治家がきっちり管理しなけらばなりません。それが現在では「民間だから」という理由で中途半端になっています。これが国民にとっての隠れ徴税や裏負担になっています。

── 事業仕分けは見学者も多かったのですが、お客さんを入れると気持ちが盛り上がりますか?

見学者が多いのは勇気づけられる反面、圧力団体もきますので諸刃の剣ではあります。ただ確実に言えるのは、見学者を入れ、中継も入れることによって私たちもいい加減なことをできない、国民のみなさまの立場に立って発言しないといけなかった。私利私欲で手ぬるい判断をすると全部コチラにしっぺ返しが来ます。そういう意味で、緊張感を与えていただけたことは非常によかった。会場ではヤジや拍手は禁止なのですが、そうはいっても熱気は伝わってきていました。

── 読者からの質問にもあったのですが、事業仕分けで天下りを一つ一つチェックするのは大変なので、一律に給料を「800万円以下に」ということはできないのですか?

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国家公務員の給料についてはいろんな形で規制ができるのですが、公益法人については現在は民間団体なので「役員の給料を800万にしろ」ということを政府としては言えません。そこが難しいところです。

しかし、天下りと補助金などの金の流れはセットになってますから、天下りをやめれば金も流れない。逆に、金を止めれば天下りもなくなります。この二つが効果的なのですが、一番早いのは金の流れを止めて天下りをなくすことです。ですので、我々ができるのはカネの流れを止めること。それが事業仕分けで実現できました。

── 一つ一つの事業を細かく精査するのではなく「すべての予算を一律2割削減」ということはできないのですか?

たとえば、すべての事業を荒っぽく2割削減すれば8割の予算が残ります。ではその8割でどのような事業を行われるのかというと、役職員の人件費は温存されたままで、その他の仕事の予算を削減して仕事をするようになってしまう。こうなると、真水のお金で法人の外に出て行くお金が逆に少なくなってしまい、国民が不利益を被ることになりかねません。なので、そこは構造を一つずつ見つつ、予算を削減しても役職員の人件費や管理費に消えないようにしていかなければならないのです。

── 今後、事業仕分けはどのように発展していくのでしょうか?

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5月からは省庁別の事業レビューをやりはじめました。これは、私たちが実施した事業仕分けをひな形として、各省庁にも同じことを実施してもらおうというものです。日本の省庁でははじめての取り組みで、全省庁の約5000事業で実施することになっています。今回だけでこのすべてが実施できるわけではないのですが、この5000事業の事業シートはすべて公開していますので、国民にもマスコミにも見えるようになっています。

──事業仕分けの第3弾はいつ行われるのですか?

第3弾の日程はまだ決まっていませんが、事業仕分けは常に実施しなければ効果が出ません。だから、行政刷新会議の事業仕分けと、省庁レベルで始まった事業評価レビューは車の両輪となり、二本立てで実施していかなければなりません。

願わくば、いつかは国会議員が関与しなくても、各省庁が自分自身のメカニズムとしてちゃんとしたコスト意識が組織の中に入り込むのが理想的です。自分たちが始めた事業は自分たちで評価する。そういう文化を各省庁のなかにも根付かせていきたいと思っています。

2010年5月27日、《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

Profile

政治家(国会議員・公認候補者・知事・市長...引退した方々など)の基本情報はもとより、政策から人柄までが分かるような「生きた」データベースを、取材や対談を元に構築してゆきます。
党や団体のイメージではなく、あくまで“政治家本人”にスポットをあてたコンテンツです。
できるだけ取材予告しますので、その政治家に対して“言いたいこと”や“聞きたいこと”がありましたら、コメント投稿ください。その場合、内容は簡潔にお願いします。
このページを通じて、閲覧者・政治家・編集部おのおのの相互理解が深まり、更に深い意見交換が生まれることを願っています。

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