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福島原発事故で百万人が死ぬんだって──世界を駆け巡る報道を検証してみた

 福島第一原発事故で今後100万人が死亡―。そんなセンセーショナルな記事が英紙インディペンデント電子版で8月29日(現地時間)に報道され、複数の韓国メディアがそれを大々的に伝えた。さらに日本でこの報道がインターネットで脱原発の市民運動の間で拡散され、一部で騒ぎになっている。しかし、この報道、どう検証してもおかしい。

 アジアの経済情報を中心に情報を発信しているインターネット情報紙『サーチナ』は9月1日、「3月に発生した東北大震災時に起こった福島原子力発電所の爆発事故による死亡者数が、今後100万人に達すると英紙インディペンデント電子版が29日(現地時間)、報道した。複数の韓国メディアがこの報道に注目し、詳細を伝えている」という前文とともに、インディペンデントの報道を伝えた。

福島原発事故による死者は、今後100万人以上と英紙が報道―韓国(サーチナ・9月1日)

 インディペンデントの記事は「Why the Fukushima disaster is worse than Chernobyl」というタイトルで、相馬市からの特派員電として8月29日電子版に掲載された。

 同紙は現地ルポを混じえながら、福島事故がチェルノブイリより深刻な理由を複数の学者の証言でつづっている。中でも有力な証言が、7月に日本の市民グループの招きだ来日、被災地を回り、講演や記者会見を行ったクリス・バズビー博士の言葉である。次のような表現で書かれている。」

"Chris Busby, a professor at the University of Ulster known for his alarmist views, generated controversy during a Japan visit last month when he said the disaster would result in more than 1 million deaths. "Fukushima is still boiling its radionuclides all over Japan," he said. "Chernobyl went up in one go. So Fukushima is worse."

 ECRR(欧州放射線リスク委員会)の代表者で議長であるクリス・バスビー氏は、「内部被曝の世界1の権威です」と日本の市民運動で紹介されている。福島原発事故すぐ後の3月30日に博士は、事故の影響を計測、次のようなレポートを発表している。

ECRRクリス・バズビー論文「福島の破局的事故の健康影響」(Peace Philosophy Centre・7月23日)
『福島の破局的事故の健康影響 欧州放射線リスク委員会(ERCC)のリスクモデルに基づいた解析第一報 』(英語の原文pdf)

 以下、この論文の「結論と勧告」を抜粋します。
 「1.ECRRリスクモデルにより福島事故の100キロ圏の住民300万人に対する健康影響を検討した。100キロ圏内に1年居住 を続けることにより、今後10年間で10万人、50年間でおよそ20万人がガンを超過発病すると予測された。直ちに避難を行うことでこの数字は大きく減少 するだろう。100キロ圏と200キロ圏の間に居住する700万人から、今後10年間で10万人、50年間で22万人が超過発ガンが発生すると予測された。これらの予測値は、ECRRリスクモデルおよびチェルノブイリ事故後のスウェーデンでの発ガンリスクに関する疫学調査に基づいて算定されたものである」

  博士は来日中、広範囲にわたって放射線量を計測すると当時に、講演会や記者会見を繰り返し行った。その一つ、7月18日に行った講演会で、博士は以下のように述べている。
(岩上安身オフィシャルサイト「2011/07/18 ECRR議長クリス・バズビー博士来日講演会」より)

「さらに100~200キロ圏内を、1μSv/hの平均線量だったと計算する。そうすると、ここでも同じような数字が出る。今後50年で200キロ圏内で合計40万人(通訳さんは22万人と仰ってますが、バズビー博士は、『four hundred thousand 』と仰ってます)の癌発生が増加する。これはあくまで予測だ。我々はこの予測を確認しなければならないだろう。だが我々はこの予測には自信を持っている。」

 福島原発事故によるガンを超過発病数が、3月の論文では200キロ圏内で22万人、来日後40万人に増えている。身近に調べてそれだけ深刻だったということだろうと解釈できる。しかし、いろいろ調べたが、博士が来日中、「100万人が死亡する」と語った記録は出てこない。だがインディペンデントの記事は、確実に「more than 1 million deaths」と述べている。それも癌発生数ではなく「死亡数」なのだ。

 それはまあ、人間、いつかは死ぬのだが、それにしてもこの記事、どう見てもおかしい。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

若干、主旨違いかもしれませんが・・・。
先のイラン紛争で、明らかになってきているひとつに、【情報戦】があったと言うことである。
画一情報になり、反対意見がない。その情報の信憑性に疑問を投げかける情報が封じ込められるか、沈黙になる。
私は、真実に近い情報はあるが、真実となる情報は、この世にないと思っている。かく言う私の情報も真実でないと思っている。
真実に至る道は、いくつもあり、それらは真逆の情報にも存在する。
多くの方が、ネット情報に注視するのも、多くの情報の組み合わせに真実の情報があると感じているからでないかと思う。
画一的な情報にこそ、不気味さを感じる。
更にそれが操作された情報であるなら尚更である。

インディペンデントの記事では、バズビー博士をknown for his alarmist viewsとし彼の反原発の姿勢を紹介し、対する原子力業界の学識者のコメントも紹介しながら、事故の発表の遅れ、事実の隠蔽、歪曲、パニックを防ぐための情報操作の片棒を担ぐメディアなど、人々の不信感の根拠を紹介しています。

言葉尻を捉えて吹き上がる日本のメディア、「被害者に鞭を打つ」といったセンチメンタルな批判意見を、国民の内心を代弁している素振りで報道し、口塞ぎをしてしまう、実質的には表現の自由が守れない日本の風土を考慮すると、日本では自由な発言ができないと博士が考えたとしても、それは合理的な判断であり、バズビー博士が日本以外のメディアに100万人以上の死者の可能性を発言していることは考えられると思います(無いとは言い切れない)。

他のメディア、インタビュー、報告書を調べることも検証の一環として大切と思いますが、他に同様な記載が無いからインディペンデントの記事はおかしいというのでは検証としては説得力がありません。

本来的には、バズビー博士に「発言の意図」を聞いてみること、インディペンデント記者への問い合わせがジャーナリズムとしては必要な検証と思います。

福島原発事故に絡めての投稿です。
先ほど、農水省より除染実証実験の一部が公表されました。
ひまわりについて、本体に取り込むセシウムは、期待以上でなかった結果について、作物内に取り込むセシウム量が非常に少ないと言うことを明確にしたとも言えます。
つまりは、農作物内に含有するセシウムは、少ないとも言える。
このほかの作物については、未だ公表されていないようですが、おそらく同様の結果になると推察できます。学者や科学者でないので、確かと言えませんが、ただ生産者の見方として、農産物にカリウム(セシウム)は大量に必要としません。そのことから鑑みて、セシウムを作物により、吸収させる手法は有効と言えるか疑問も見えてきました。
初期のほうれん草などや最近のきのこ類にセシウムが検出されたことから、表面に付着しているセシウムが、問題であるとも推察できます。きのこ類は、枯葉や枯れ木など土中表面にでてきます。その際に作物に付着することが予測されます。つまりは、地面表面のセシウムが風やその他の要因で作物表面に付着する量が、内部含有量より、多くを占めるとも言える。
今後、農産物ごとにセシウムの取り込み量を実験することは、農産物の安全性を示す指標ともなりえます。
屋外と隔離された環境や低濃度のセシウム検出農地などで、農産物のセシウム含有量を推察することもできる。
こうした研究は、今後に繋がるものになりえる。
色々な実証研究を世界に発信もできる。
ひまわりでこうだったから、検証は終わりでなく、まだまだ検証できる内容は、数多くあるはずと思える。

どのコラムに投稿するか散々迷った挙句の投稿です。
農業関係と原発関係内容です。
まず、今回の台風15号で、被災・被害に遭われた方々の心痛をお察しします。
この台風は、今後についても福島周辺の方々に被害を拡散しているのでないかと思えます。
1番の懸念は、この台風の雨や強風で、落ち着いていた放射性物質を拡散させたおそれがあるのでないかと危惧します。
このことは、新たなホットスポットを作り、農産物にも影響を与えていないかを思えるのです。
我が家も、この台風で刈残しの稲は、倒伏し、水に浸かり、当分仕事になりません。
これまで、水稲で放射線検査が実施されたからと言って、この災害以後が、以前と状況が異なるために新たに検査することが、食品の安全性を守る農業者の使命でもあると思うのです。
同じ生産者としては、本当につらいことを言っていますが、生産者自らが、美味しく、安全に食べてもらう意思表示しないと、食べて頂く方々に申し訳ないと思う。
私がこう言わなくても、すでに対応しており、余計なお小言かもしれません。
更に除洗された地域や特定の場所も多少の変動があるのでないかとも危惧します。
線量調査は、絶えず行なっていると思われますが、再度直ちに確認作業の必要性も感じています。

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Profile

大野和興(おおの・かずおき)

-----<経歴>-----

1940年愛媛県生まれ。
農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。
「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」実行委員会代表。

BookMarks

-----<著書>-----


『食大乱の時代』
2008年7月、七つ森書館


『百姓が時代を創る』
2008年2月、七つ森書館(増補版)、共著

『日本の農業を考える』
2004年4月、岩波書店

『百姓は越境する』
1991年8月、社会評論社

→ブック・こもんず←



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