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« イスラエル入植者がパレスチナの村を襲い、オリーブ園を焼き、発砲
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【ルポ・カンボジア】ゴムに追われる農民 »

中東和平問題 「パレスチナ人は災いだ、子どもを殺すことも許される」とラビは説教する

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パレスチナ自治区・ブリン村

 9月2日からオバマ米大統領の仲介で始まったパレスチナとイスラエルの和平交渉のカギを握るのはパレスチナ自治区に入り込んでいるユダヤ人入植者問題だ。先月31日にはパレスチナ武装抵抗組織ハマスが入植者を銃撃する事件が発生したが、その背後にはパレスチナ農民が入植者に襲撃され、農園を破壊され、ときには生命を奪われるという日常がある。先日本紙でオリーブの村がユダヤ人入植者に襲われ、オリーブ園が焼かれ、子どもが撃たれて入院したという現地 NGOからの報告を掲載したが、その村でこれまでどのようなことが起きていたのか、現地取材をもとに、報告する。

 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のブリン村がイスラエル入植者に襲撃されたのは7月26日のことだった。現地NGOは次のように伝えてきた。

「7月26日、70人を超える武装したイスラエル入植者がパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のブリン村を襲い、オリーブ園を焼いた。発砲した入植者の弾に当たり、子どもが1人、重傷を負って病院に運び込まれたという情報もある」

◆オリーブの木が焼かれ、泉に毒

 ブリン村は西岸地域の北寄りにある典型的なパレスチナの農村だ。ふたつの山に挟まれた谷筋に幹道が走り、斜面には一面オリーブ園が造成されている。村の総面積は3200ヘクタール。そのうち2000ヘクタールがオリーブ園で占められている。村人の家は谷筋とふたつの斜面の裾野に固まっている。

 2010年2月上旬、日本の農民ら数人とこの村を訪ねた。村人の話は想像を絶するものだった。この村を囲む山の上に、イスラエルからの侵入者による入植地が2つある。そこから折に触れて、徒党を組んだ入植者が村を襲撃する。10代の子どもから老人までいる。銃や火炎瓶をもち、オリーブの木を燃やしたり抜いたり、家に火をつけたりする。この村では1万1000本から1万2000本のオリーブの木が焼かれたり引き抜かれたりしたと村のリーダーが話してくれた。

 乾燥地帯に位置するパレスチナでは水は貴重な資源である。この村には3ヵ所に湧き水があり、生活や営農はこの水に頼っていた。その湧き水に入植者が化学物質を投げ込んだ。百数十人の村人が体調不良を訴えたという。1999年には村のモスクが焼き討ちされた。

 ロケット弾が入植地から村に打ち込まれたこともある。"シャロン1"、"シャロン2"と名付けられた2発である。シャロンというのは軍人上がりの、パレスチナに最もきびしい姿勢を占めしたイスラエルのタカ派政治家で,2001年から2006年にかけイスラエル首相を務めた。

 山の上の入植地にはユダヤ教の司祭であるラビ(※)もいる。ブリン村の長老の1人が、ラビは入植者のユダヤ人に、次のように説教しえいると話した。

「パレスチナ人は自分たちにわざわいをもたらす存在だ。だから子どもを殺すことも許される」「ここにきて20年も待った。今こそブリン村の住民を追い出す時期がきた」

◆夫を殺されて

 一方の斜面の中腹にある1軒の家に案内された。こちらの斜面は家が少なく、それも下のほうに固まっているので、ただ1軒だけ孤立している。このお宅のある斜面の頂上に入植地があり、そこからやってくる入植者に何度も襲われている。つまりこのお宅は入植者とのせめぎあいの最前線に位置する家で、ここに住む一家が襲撃に耐えかねて出て行けば、こちら側の斜面に広がるオリーブ園は侵略者である入植者のものになってしう。

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襲撃された家のドア鍵

 一家の主はイマイマン・スファンさんという女性だった。49歳、娘さんやお孫さん14人と住んでいる。夫は2002年、家の中にまで入り込んできた入植者の一団に銃で殺害された。勤勉な農民だった。夫の写真が室内に飾られていた。このときの襲撃では室内に石油をまかれ火をつけられた。

 これまでの襲撃でオリーブの木23本が燃やされ、馬や羊が殺されている。外壁には銃弾の跡が残っている。襲撃の間、子どもたちはただ震えるしかなかった。

 このお宅の庭に立って谷筋を通る幹線道路を見ていると、イスラエル軍の車両が2台、猛スピードで通り過ぎるのが見えた。スファンさんが傍らで言った。

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イマイマン・スファンさん

「昨日は山の向こうの別の村が攻撃された。今日も攻撃がありそうだとみんな家を離れないでいる」

 入植者の襲撃がある前に、必ずイスラエル軍がやってくるという。そんな軍の動きをイスラエルの市民団体がそっと知らせてくれる。イスラエル軍は襲撃されている地区の周りに立ち、住民が駆けつけるのを妨害する。入植者と軍はいったいで動いているのである。

 7月26日のブリン村での襲撃事件をウエブサイトを通して国際社会に報じた現地NGOは次のように書いている。

「昨日の出来事は、イスラエルによる占領開始以来、占領地全土に渡って長い間パレスチナ人やその財産に対して入植者たちが行ってきた典型的な犯罪行為の一部でしかない。毎年オリ−ブの収穫時にピ−クとなるこのような暴力行為は、暴力行為を止めさせることも加害者を罰することもしようとしないイスラエル軍と司法当局の一貫した対応の結果である」

◆心も破壊

 村の長老が語った。

「ユダヤ人入植者は家やオリーブの木を焼き、村の住人を銃撃するばかりでなく、私たちの心も襲う」

 1999年に村のモスクが入植者の焼き打ちにあい、全焼した。やっと1カ月前に建て替えたモスクが完成した。そうしたら、「また燃やしてやるという脅迫が届いている」

(写真:天明伸浩 2010年2月撮影)

※ラビ〖(ヘブライ)rabbî〗
《わが師の意》ユダヤ人が宗教的指導者に対して用いる敬称。ユダヤ教の聖職者。(大辞泉より)

【関連記事】
■イスラエル入植者がパレスチナの村を襲い、オリーブ園を焼き、発砲
http://www.the-journal.jp/contents/ono/2010/08/post_11.html

■中東和平交渉、「入植」巡り決着持ち越し(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100916-OYT1T00648.htm

■中東和平:凍結期限切れ後、入植再開の意向(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/news/20100916dde007030012000c.html

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 あきれ返った話である。
 しかし、全ては、宗教と言う、閉ざされた世界で起る、あたりまえの現象である。
 人は、閉ざされた世界で、権力を握り、これを行使する時、いかようにでも残虐になり得るし、恥知らずにも生り得るという事である。
 これは、第二次大戦以前の、大日本帝国でその軍隊が行った事であり、ドイツでナチスが行った事と、完全に同列である。
 周りから、監視され、批判される事の無い、閉ざされた世界では、どのようなサディズムも容認される、それが今、イスラエルで起っている現象である。
 そこでは、善良な市民が、何ら自らを顧ることなく、欲望を吐き出し、宗教者が、如何様にでも、恥知らずになりうるのである。

 そして、このイスラエルの暴虐を保障しているのが、アメリカの政治世界なのだが、これを支えるアメリカの国民自体が、これまた、世界的視野を持たない、視野狭窄の、愚かなるナショナリスト(米国民)なのだ。

この論説は、パレスチナ側から視点のものですね。イスラエルにはイスラエル側の言い分もあるはずです。私の知る限りにおいては、イスラエル国内のイスラエル人とアラブ系の人の人口構成比とそれに伴うイスラエルへの移民政策が問題になっていることが、イスラエルのヨルダン川西岸地区への入植地拡大を進める原因になっているはずです。アラブは大家族性でイスラエル国内での人口が爆発的に増える一方、イスラエル人は核家族なので、人口の増加は緩やかであり、各国からイスラエル人の移民を受け入れることで、イスラエル国内でのイスラエル人の割合でようやく過半数を維持しているはずです。もちろん、移民を受け入れるにしても狭い国土なので、未開発のウエストバンク地区に住宅地を増やすということをするしかなく、これらのことはイスラエルから見ると、国防以外のなにものでもないのです。イスラエル人はナチスドイツに迫害をうけていたので、アラブ人を国内から粛正するという暴挙には出ていません。あくまで合法的に人口比を保とうとしているのです。この人口比はそのままクネセットにおける議会の多数派の数となって反映されるので、アラブ人が多数になってしまうことは、議会でもアラブ人が多数派を占めてしまうことを意味するのです。これは、イスラエル人からすれば、国の滅亡を意味する絶対に受けいられない条件なのです。そのために入植を止められないのです。日本国内における小沢派vs反小沢派等というおよそつまらない権力闘争とははるかに次元が違うのです。これらのことを考慮せずに、感情的にイスラエルが悪いなどとどうして言えるでしょう。

入植という暴力行為は犯罪でもあるにもかかわらず、国際社会はこれに何もできないでいる。それでよいはずもないのに。

両国間の紛争ではない。入植は一方的な犯罪行為である。

「パレスチナ人は災いだ、子どもを殺すことも許される」とラビは説教するという。
これは、過去、ナチスがユダヤ人虐殺を行った思想と変わらないではないか。

アメリカは両国間の和平のために仲介するというが、本当にやる気があるのだろうか。
宗教右派は常にイスラエルを支持しているのではないのか。
アメリカは強硬な姿勢でイスラエルに入植停止を迫るべきではないか。

>やまかかしさん。
もの凄い理論で、感心しました。
ユダヤ人を「理論的に」抹殺しようとしたヒトラーと、同じ程一方的な無茶苦茶な理論ですね。
ヨルダン川左岸の「未開発地区」に人口を拡げるのが国防ですと?
勿論、彼らに取っては<国防>でしょう>
未開発とは、「ユダヤ人がまだそれほど住んでいない」と言う意味では無いのですよ。
先祖代々そこに住んでいる「地元民=パレスティナ人」を、文字通り兵力で「たたき出して」土地を奪って居住地区を広げていく行為は、15世紀の海賊、16世紀の大航海時代の「植民地獲得」と同じ次元の蛮行でしかありません。
貴方は、イスラエルに住んでいらっしゃるのか、アメリカなのか、或は霞ヶ関に巣喰って居られるのか存じませんが、よくもまあこのような暴論を抱ける物だと、感心しています。
大野氏の前のエントリー『オリーブ畑・・・』にコメントしましたので、繰り返しませんが、現実を知らないにも程が有ります。
ちなみに、<入植>と言う表現すらおかしいです。
他人の土地を軍隊に守られて暴力的に強奪する訳ですから、そのまま『土地の強奪』としか言い様がありません。
「盗人にも三分の理」ですらあり得ない、人間的行為とは言えないやり方でしか「国防」が敵わない事自体が、彼らの存在自体が最初から非合法である事の明白なる証です。
建国のいかさまは、既に半世紀以上たって引き返せない以上やむを得ないとしても、自分達の国境の中にとどまって居なければならない国民の筈です。

あまり深入りすると、善悪の問題でなく、人生観の差に起因するので、哲学、理念の空論に陥るので、避けます。
戦争とか争いごとによって、多大の悲劇を受けるのは、いつも関係のない民衆、やりきれないです。今も、アメリカも仲立ち人として、解決に心を砕いていますが、今までの挫折の連続を見ると、残念ながら、期待できないでしょう。
人間の業の執拗さ,死んでも、解脱できない人間の悲しさのみが、募ります。
直視しなければいけない、したくないと、心が揺れ動きます。

yamadataroさんへ
アメリカも仲立ちとして、解決に心を砕いているというのはまやかしでしょ。イスラエルはアメリカからの軍事援助でかろうじて成立している国家です。
イスラエルが国内でパレスチナ人にイスラエル人と同等な権利を認めて民主主義的になり、パレスチナ人と共存していけばいいではないですか。
だいたい、ユダヤはナチスからのホロコストを受けたと言っていますが、聖書のヨショア記における記述では、ユダヤの一族はエリコの町の住民をラハブの一族を残して皆殺しにしていますし、又アイの町を殲滅したと記述されています。この様なほとんどホロコストに近い歴史を大事にしている民族です。主イエスの兄弟ヤコブに石を投げつけて殺したのはユダヤの民衆です。
主イエスを磔刑にしたのもユダヤのひとです。
イスラエルはパレスチナ人の共存して生きる道を探るべきです

ユダヤ人とアラブ人の共生は強制移住がなされる前から普通に営まれてきました。
エルサレムは三大宗教の聖地ですが根は同根です。
それだけに微妙なものがある。
それぞれがそれぞれのしきたりを守りながら尊重しあってきました。
アラブ人はナチスに協力してユダヤ人狩りや迫害に参加もしていませんし、ヨーロッパに内在するユダヤ人差別にも無縁でした。
ユダヤ人はイスラエル建国の理念にシオニズムを置き、一方追い出されたアラブ人たちはかつて住処だった地の名を冠して新たな流浪の民が生まれました。
パレスチナ人という・・・
いつかそこに帰るべくあくなき夢と差別と排撃の思想になったシオニズムと戦うために。

山椒魚 様

アメリカを絶対視しているのではなく、仲介者が日本であれば、一番いいのです。中立的な日本が積極的に仲介者に名乗り出ない現状で、イスラエルの仲間であると分かっていても、アメリカを批難出来るとも思いません。
「イスラエルはパレスチナ人と共存して生きる道を探るべきだ。」のお言葉は、全面的に支持します。

 時々パリ様、全く同感です、こんな論理があるとは驚きに耐えません。

 yamadataro様、イスラエルはアメリカが産油地帯に打ち込んだ楔であるという評価を御存じないようですね。
 
 ところで貴方も私も共に小沢一郎ファンであると認識していますが、私が「金権小沢」という評価を見直し注目するきっかけとなったのは時の小泉首相に対し「パレスチナ人の行動はテロなのか、私は民族解放闘争と思っているが首相の考えは」と国会で論戦を挑んだという記事を見て以来です。
 当然小泉首相はまともに答えられず逃げました。

 隷米主義者と自立国家・独立国家論者はここが違うのですね。
 

蝦夷っ子様

小沢氏を支持する最大の理由は、常に孤独者であることを知りながら、政治改革を目指しておられるところです。自分の性格が、誰でも出来ることより、新しい仕事の開拓に挑戦するのを好みますので、自然と、小沢氏の行動に自分をダブラセています。
政策の違いについては、他の人と議論をしますが、個人的批難はしないのは特に素晴らしい。
ずいぶん前に田原氏と話していた内容が、政権交代時に実現している。予算委員会など官僚が答弁するのではなく、政治家が答弁するとか、各省に100名ぐらい政治家が入るなど、実現していることが多くあります。年月がたっても重要なことは、ぶれないのも、心を打ちます。
アメリカにしろ中国にしろ、表面的には柔らかくとも、大国主義を掲げており、愉快ではありません。どのように振舞って、自主性を発揮するか、改革者小沢氏に期待したいのですが。

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Profile

大野和興(おおの・かずおき)

-----<経歴>-----

1940年愛媛県生まれ。
農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。
「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」実行委員会代表。

BookMarks

-----<著書>-----


『食大乱の時代』
2008年7月、七つ森書館


『百姓が時代を創る』
2008年2月、七つ森書館(増補版)、共著

『日本の農業を考える』
2004年4月、岩波書店

『百姓は越境する』
1991年8月、社会評論社

→ブック・こもんず←



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