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パレスチナ クスクスと難民

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 土壁がところどころ崩れた年代物の建物に案内された。中に入ると、白衣を着た中年の女性が大勢忙しく働き、クスクス(couscous)の食材を作っている。土間にあぐらをかくようにどっかりと座り、粉をこねる女たちは全員この地域にある難民キャンプのクスクス生産組合のメンバーだ。パレスチナでは人びとのあらゆる活動がイスラエルの占領と重なる。

 その加工施設はPARC(パレスチナ農業復興委員会)の農産加工施設のひとつ。西岸地区の中心都市ラマラから東に向かい、ジェリコの郊外にある。昨年までここはナツメヤシの実の選別と箱詰め工場だった。それが近代的な選別機の導入に伴いよそに移転、その後女たちの働き場となった。

 女たちはそれまでは難民キャンプの中で集まり、作業をしていた。1948年、欧米の後ろ盾を得てこの地に建国したイスラエルは、531ヶ所の村と町を破壊して住民を追放、72万6000人がヨルダン川西岸とガザなどに避難、難民キャンプをつくった。その後も続く占領地域の拡大や土地接収で、生活と生産の場を奪われる人たちが増え続けた。

 難民生活は世代を越えて続き、生存の基盤の失った結果として貧困層が多い。この加工場で働く女性たちの多くは夫を失った人たちで、クスクスの食材加工で得る収入が主な収入源となっている。

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 クスクスというのは家庭料理で、通常は家で作り食べる。小麦粉を捏ね、時間をかけてにひねり、捏ね、米粒ほどの粒にする。その様子は練達のそば職人のふるまいを想起させる。

 できあがった粒は15分ほど蒸し、乾燥させる。女たちはそれを共同作業することで商品化し、収入源に育てた。PARCはその女たちの活動を助け、より精密な乾燥や選別の施設を用意し、販売先を開拓。訪れたこの日はイタリア向けの製品が作られ、箱づめされていた。パレスチナでは小麦はあまり生産されておらず、輸入されているが、ここで使う小麦粉は地元産をと生産も始めている。

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農業に携わる一人として、土地と水の確保が、重要だとわかります。
それを、略奪する行為は、そこに生きるものの生命を奪う行為である。

国防を論議する時に、「領土」を守ることを含めて論議する人もいる。ここは、我が領土で壁を作り交流を分断することに何の意味があろう。

自然に生きるものすべては、大きな世界の中で流れて生きている。
それを、壁で囲い狭い中で生きることができると思っているのだろうか。
壁で遮るから、中は澱み・腐り、いずれ死に絶えることすらあるのに・・・。

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Profile

大野和興(おおの・かずおき)

-----<経歴>-----

1940年愛媛県生まれ。
農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。
「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」実行委員会代表。

BookMarks

-----<著書>-----


『食大乱の時代』
2008年7月、七つ森書館


『百姓が時代を創る』
2008年2月、七つ森書館(増補版)、共著

『日本の農業を考える』
2004年4月、岩波書店

『百姓は越境する』
1991年8月、社会評論社

→ブック・こもんず←



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