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2009年11月 9日

カンボジアで進む外国企業のプランテーション化

 いまアジア、アフリカ諸国で多国籍企業や産油国、食料不足国などによる農地の買い占めが進んでいる。そこに代々住み、耕して地域の人々の食料を作ってきた小農民が土地た水など地域の資源から引きはがされ,都市に流出と行った事態も目立ち,国連食糧農業機構(FAO)も「新植民地主義」と警告を発するほどだ。そうした実態の一端を、日本の国際協力NGO、日本国際ボランティアセンター(JVC)のカンボジア事務所代表としてカンボジアの農村で活動する山崎勝さんに聞いた。(聞き手:大野和興)

───────【インタビュー】───────

−カンボジアにおける土地問題をお聞きしたいのですが、農民が住み、耕していた土地から排除されるというような動きは

山崎:道ができると土地の値段が上がりますね。政府の高官とかそういう情報を持っている人が土地を買って高く売る。そういう事例はたくさんあります。また、大きな企業が入ってきて、政府の高官の一声でそうした土地が企業に囲い込まれる事例は多いです。農地だけでなく、みなが生活林として使っていた森がある日囲い込まれて住民がそこから追い出されるという例もたくさんあります。

−そうやって囲い込まれた土地は、その後どう利用されるのですか

山崎:多くはプランテーションに変わる。アグリビジネスの直営農場です。バイオ燃料用のキャッサバとか油やしとかが多いですね。カシュウナッツやゴム林もあります。森の場合も、焼かれてそういった農場に姿を変えています。

−そういう例は多いですか

山崎:あちこちに出ています。北のラオスに近いところでは中国の企業がだいぶ入ってきている。政府が土地提供を中国企業に約束しているということもあります。

−そうした場合、農民への補償はあるのですか

山崎:ない場合いが多い。二束三文で買い叩くというのもあります。最近は援助の関係で外からの目がありますから、お金を払い指したという形だけはとるという例が多い。

−そうしたことに対する抵抗はありますか

山崎:土地を取られた農民がプノンペンに出てきて国会前に座り込んだりというのはよく見ます。取られて土地に立てこもってという例もありますが、土地売買に絡んでいる有力者がボディーガードを送り込んで強制的に排除したりする。その際撃たれたり暴力を受けたりという事件が起こる。

−カンボジアの農業や農地への海外からの参入は

山崎:中国、韓国の企業がたくさん入っていますね。特にアグリビジネス関係がいっぱい入ってきている。今回の経済危機で撤退したところもありますが、目的は自国の食糧確保と、食料ビジネスへの参入の両方があるようです。カンボジアはコメはすでにアフリカに輸出を始めていますから。

−それは農地への進出と食料取引への参入という形ですか。そうなるとこれまで自分たちが食べていた食料が外国へ持ち出されるということになりますね

山崎:そうですね。コメの自給率は100%を超えているのですが、その一方でコメが食べられない農民も増えています。土地についても、農民の側も生活が苦しいですから、売値が安くても売ってしまう傾向がある。しかし一度手放すと、もう取り戻せないですから、土地なしになって、町に出てスラムに住むしかなくなります。カンボジアは人口の7割が農民で、いずれも小規模零細層です。そこが崩れてきている。
 今回の経済危機で、工場がたくさんつぶれました。働いていた人たちは、多くがふるさとの村に帰っていった。土地があって家があって貧しくても食べられるということの大事さもわかってきている。このとき、土地がなくて帰れない人が多くいて、困っていました。

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サトウキビ原料の製糖工場(ラオス・サワナケート周辺 2009.4 《THE JOURNAL》取材班撮)

−そこで大事になるのが、村で暮らしていける道を作り出すことですね

山崎 そうです。JVCがやっているように、零細農業でも食べていけるために、もうちょっと生産を上げていきましょうとか、そういう発想で考えたほうがいいんじゃないかと思います。

−国の農業政策はどんな方向を

山崎 大規模化して輸出していくという方針ですね。そのためには外国資本もどんどん入れて、農民は土地を売ってその企業に雇ってもらう。農民も、買ってくれるなら売りたいという人が多い。土地に値段がついたので、土地担保でお金が借りられるようになったので、多重債務者が増えています。JVCのプロジェクト地域でも多いです。

【関連記事】
■日・メコン首脳会議 現地で起こるゴムブーム(11/7)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/11/post_420.html

2009年11月 5日

タイと山形の農民を招いて自由貿易を考える


自由貿易を進めれば金融危機も貧困も環境破壊もすべてが解決し、うまく行くという自由貿易神話が、世界中に蔓延しています。日本の新政権も、例外ではありません。本当にそうなのでしょうか。

タイと日本の農村から、自由貿易のもとでひとびとの暮らしに何が起こっているか、ひとびとは足元でどう対抗しようとしているかを報告いただき、討論します。

報告いただくお二人は、村に住み、耕している農民であり、運動者でもあります。現状と対案を提起いただくと同時に、アジアに住むわたしたちがどうつながり、何ができるか、これからの運動をどうつくっていくか、を参加者全員で討論できればと考えています。ぜひ、ご参加ください。

(当日の討論光景をアップしました)
http://www.ustream.tv/recorded/2502185
※最初の質問者の際に配線トラブルがありノイズが入ります。一度音声を下げて2,3分進めてあらためて再生してください。申し訳ございません。

■自由貿易神話を越えて ─アジアの村からの報告─

【日時】
11月6日(金)18:30〜20:30

【報告者】
バムルン・カヨタ(タイ農民、東北タイ・オルタナティブ農業ネットワーク)
菅野芳秀(山形・長井市農民、アジア農民交流センター共同代表、置賜百姓交流会)

【場所】
総評会館5階「501会議室」

【地図】
http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html

【参加費】
500円

【主催】
脱WTO・FTA草の根キャンペーン
フォーラム平和・人権・環境
日本消費者連盟
ATTACーJAPAN
協力:アジア農民交流センター、日刊ベリタ
問い合わせ:市村忠文(フォーラム平和・人権・環境 電03−5289−8222)/大野和興(rural@berita.jp)

2009年11月 4日

「効率と生産性」の論理を抜け出すことから ── 農業政策を検証する(中)

◆農業ってなんだろう

 農業とはなんだろうとよく考える。種を蒔く、芽が出る、花が咲く、実が実る、穫りいれる、この一連の過程で人の行為が中心的にかかわるのは最初の「種を蒔く」ときと最後の「取り入れる」ときだけ、後は自然の力が主人公で、人の行為はそのサポートをしているに過ぎない。こうして農業という営みを突き詰めていくと自然の力にいきつく。

>>続きは「THE JOURNAL×Infoseekニュース」で

Profile

大野和興(おおの・かずおき)

-----<経歴>-----

1940年愛媛県生まれ。
農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。
「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」実行委員会代表。

BookMarks

-----<著書>-----


『食大乱の時代』
2008年7月、七つ森書館


『百姓が時代を創る』
2008年2月、七つ森書館(増補版)、共著

『日本の農業を考える』
2004年4月、岩波書店

『百姓は越境する』
1991年8月、社会評論社

→ブック・こもんず←



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