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トロント・ダイアリー(3) ── G20の各国記者のわけのわからない迫力 »

トロント・ダイアリー(2) ── 内側と外側の目の眩む落差

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↑ 炎上するパトロールカー

 今日のトロントは荒れた。昨日(25日)に引き続いて、今日も大規模なG8/G20に対する抗議集会とデモがあった。もともと今回の取材では、「サミット会場の内側と外側」というテーマで取材をすることを考えていたので、昨日も今日もハンディ・カメラをもって同僚のSierraとともに取材に出た。外は雨模様だ。インターナショナル・メディア・センターに終日いても、ブリーフィングやペーパーを待っているだけなので、正直に言って退屈きわまりないこともあるのだが、それも仕事は仕事として割り切るしかない。経験的に言えば、雨の日のデモは荒れる。

 最初のうちは実に平和裏の集会・デモだったのだ。人数はきのうの数倍、おそらく1万人以上は集まっていた。掲げているスローガンも、女性差別反対、母子保健(中絶権つき)の改善、反・貧困、反イスラエル(パレスチナ支援)、トランス・ジェンダー、グリーンピース、地球温暖化への対処、動物の権利保護、反原発、鉄鋼産業のユニオン団結、中国によるチベット・ウイグル弾圧反対、タミール人の人権擁護、ベトナムのクリスチャン擁護、社会主義インター、アナーキスト・グループなど、とにかく千差万別。まとまりのない反権力グループの集合とういう様相だった。警察の警備は昨日と同様、グループとは距離を置いて、過剰な警備を避けている印象だった。

 その様相が一変したのは、解散地点で警察によって、それ以上の前進をブロックされたあたりからだった。行き場を失ったエネルギーが出口を求めるかのように、デモ隊のなかの少数の40人くらいのグループ(彼らは全員が黒ずくめの衣服で、顔も黒い布で覆っていた)が、デモの出発点の方向に逆進しだしてからだった。道路の舗石をはがして手に持ち始めたあたりから嫌な雰囲気が漂ってきた。なぜ僕らが彼らについて行ったのかと言うと、彼らの真後ろに同行して進んでいたバンドがなかなかいい音楽を奏でていたからだった。昨日も彼らは路上を演奏しながら行進に加わっていた。名前を尋ねたらChaotic Insurrectionというのよ、と答えてくれた。12人編成の日本のシカラムータのようなバンドだった。その直前に前記のグループがいたのだ。彼らはダウンタウンの店舗のウィンドウ・ガラスを壊し始めた。

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↑ デモ行進中の Chaotic Insurrection。彼らの演奏は魅力的だった(筆者撮影)

 これは何かが始まってしまうという予感が的中した。みると前方で火の手があがっている。警察のパトロールカーが炎上している。その周りをデモ隊が行き場を失って右往左往している。パトカーが何度か小爆発を繰り返し、付近一帯は一気にカオスの状態になった。先ほどの集団はウインドウを手あたりしだいのように壊し始めている。嫌な気持ちが広がった。通りのウィンドウに石を投げつけている女性は、見るとまだほんの少女のようにみえた。この怒り。この現実に対する憤り。

 苦労して、サミットのインターナショナル・メディア・センターに戻った瞬間、そこは外とは全くの別世界だった。G20が始まって、記者の数が一気に増えた。なかでも中国からの記者団が圧倒的に目立ち始めた。

 サミット会場の内側と外側のこの目も眩むような落差。僕はその両方を見ようと思う。

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↑ 壊されたウィンドウ・ガラス。逮捕者は300人を超えた

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↑ フェンス越しに睨みあうデモ隊と警官隊

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↑ 対デモ態勢の警官

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カナダは穏やかな国かと思ってた 
デモは権利ですが暴力を使ったら

負けです。 他の手段でアピール

して欲しかった。 教えて欲しい

事はいっぱいありますが 一番は

経済大国にならなければどうして

いけないのでしょうか?

幼稚な事聞いてしまいました。

この先もお気をつけて取材して

ください。     かしこ
 

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金平茂紀(かねひら・しげのり)

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1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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