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グアンタナモ・ダイアリー(余聞)

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 最初にお知らせ。グアンタナモ収容所と基地で取材したテープの一部をTBSのCS放送(TBSニュースバード)の『ニュースの視点』という番組で放送します。それも、今日(17日月曜日の午後3時からと午後9時から)いきなりの放送なので、お時間のある方はご覧になってください。タイトルはこの連載とおんなじ「グアンタナモ・ダイアリー」です。

 僕らがグアンタナモの取材からニューヨークに戻って来たら、タイムズスクエアの自動車爆弾未遂事件で街は大騒ぎになっていた。容疑者は、去年アメリカ国籍を取得したパキスタン出身のファイサル・シャザド被告(30)で、国内の世論は一気に「あなたの隣にもテロリスト」風のパニック状態になっていた。またメディアがそれを大いに煽っているようにも見受けられた。コネチカット州の小さな町にある被告の自宅前には大勢の報道陣が詰めかけて、テレビ局は中継をつないでいた。シャザド被告は、中堅マーケティング企業のアナリストをしていて、パキスタンからの帰化アメリカ人のなかでは、悪くないポジションにあったといってもいい。父親はパキスタン陸軍のエリート軍人である。彼はパキスタン系アメリカ人の女性と結婚して2人の小さな子どもがいた。その彼がなぜタイムズスクエアに自動車爆弾を放置するまでに至ったのか。16日付のニューヨークタイムズは、これぞ調査報道という詳細な関係者インタビューと現地取材で、シャザド被告のこころの遍歴を跡付けていた。それを読んでいて、シャザド被告が2003年に友人に送ったE-mailの内容が紹介されていた。それによれば、彼はグアンタナモ収容所の収容者たちが手錠をかけられ、しゃがむように強制されている写真を貼り付けて、「恥を知れ、ブッシュ!」と書き込んでいたことがわかっている。アメリカで生活するようになって、彼はイスラム教の国出身の自分のアイデンティティを深く考えるようになり、過激化(radicalization)していったのだが、まだ謎が多いと記事は結んでいた。オバマ政権で比較的筋を通すことではブッシュ時代の司法長官とは一線を画していたエリック・ホルダー長官までもが、タイムズスクエア事件のあと、テロ容疑者には「ミランダ・ライツ」(黙秘権や証言拒否の権利、弁護人選定の権利)の告知を制限してもいい、などと言い出す始末だ。

 グアンタナモ収容所という存在自体が、テロ行為や自爆攻撃を「再生産」しているのではないか、という自分たち自身を見つめる視点は、そこにはない。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

金平さん。
久しぶりに金平さんらしいTVリポートをみました。もっとたくさん取材してください。私たちは、きちんとした報道の成果をみたいのです。先日、テレ朝で、鳥越俊太郎さんたちが「スクープSP」で検察の裏金疑惑について徹底的に追及しておられました。こころざしのある方々はまだテレビの世界に生き残っていると私は信じております。もっとも金平さんのいる局は、今やもっとも検察べったりの局ですものね。筑紫さんがお亡くなりになってから、金平さんのおられるTBSはもうTBSではなくなってしまったのですね。あの局をつくられてきた先輩の方々があの世で嘆いていおられる姿が目に浮かびますよ。

金平さま

グアンタナモからお帰りなさい。

9:00PM の放送を見ました。
「疲れた」と仰っていましたが、グアンタナモに着いた初日が、金平さんの顔は一番疲れて見えました。
それから日毎に、金平さんの表情に、ジャーナリストとしてのパワーとエナジーがどんどん増しているのが分かりました。

ドイツの女性記者の「ここは全く管理されていない場所」という見方が非常にリアルで、普段、人は「管理される」のをある意味疎ましく思いますが、「管理されない」ということの恐ろしさに、背筋が冷たくなります。

アフガン・パキスタン組の生声も興味深かった。
英語があまり上手ではないのでしょうか、彼等の発言も表情もとても幼く見えたのと、そして、彼等の国が本当に貧しいのだという事が切々と伝わってきて、それがまた悲しかった。

普段「TBSニュースバード」は、意識的に見ないようにしているチャンネルです。
筑紫さんが「TBS は死んだ」と仰った言葉は、あれから更に TBS が醜く死んでしまっていることを予言するかのような、本当に情けない報道を垂れ流し続けています。

金平さん、
私は、金平さんのナイーブな感性に信頼を置いています。
今夜は久しぶりに、とてもいい角度の報道を見られた事を感謝しています。

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Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

BookMarks

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『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


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2009年5月、かもがわ出版、共著


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『ホワイトハウスから徒歩5分』
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慶應義塾大学出版会、部分執筆


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2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

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『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

『世紀末モスクワを行く』
1994年12月、パルコ出版

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