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グアンタナモ・ダイアリー(8)

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↑ NBCのショワナ(左)と相棒のシエラ(右)

■5月7日 グアンタナモで4人の仲間が取材禁止を食らった

 相棒のSierraのもとに昨日午後、グアンタナモに残留しているNBCのショワナからメールが入った。Sierraは性格がよくて女性にもモテる。現地にいた時から、ショワナとは特に気があっていたようだった。ショワナはとても愛くるしい若い黒人女性だ。カメラマンと記者の仕事をたった一人で全部やっていた。すごい。そういうわけで、Sierraのもとには自然に情報が入ってくる。世の中はそういうものだ。そのメールが僕に転送されてきて中身を見て驚いた。僕らの面倒をみていたターニャ・ブラッドシャー少佐が何やらステートメントを読み上げているビデオ映像が添付されている。僕らがグアンタナモを離れた後も残留していた記者たちのうち、4人の記者に軍事法廷の取材禁止が言い渡されたのである。そのなかにはマイアミ・ヘラルドのキャロルも含まれていた。ほかの3人は、僕らと同じ机に座っていたCanWest Newspapersのスティーブン・エドワーズ記者(たぶん一番年配の記者)、トロント・スター紙のミッチェル・シェパード記者、トロントのグローブ・アンド・メール紙のポール・コーリング記者である。取材禁止の理由は、軍事法廷取材のルールを破ったからだという。その内容を読んで呆れた。4人の取材禁止記者たちは、軍事法廷で証言したカドル被告の訊問官たちのうち、陸軍の訊問官のひとりの名前を報じたのがルール違反だというのである。だが、実際は、この訊問官の氏名は、すでに公知の事実としてアメリカ、カナダなどのメディアでは再三報じられている元軍曹=Interrogator #1 なのだ。この元軍曹は2005年9月に、アフガニスタンのバグラム収容所での「虐待」行為で過去に5ヶ月間収監された経歴のある人物である。バグラム収容所で、アフガニスタン人のタクシー運転手が拘置中に死亡した事件に関連して、この元軍曹の名前が挙がっていたのである。有名なアレックス・ギブニー監督のドキュメンタリー「Taxi to the Dark Side」でもその事件が扱われている。NHKのBSでもこのドキュメンタリーは放送された。だから日本でもこの元軍曹の名前は公知となっている。僕はグアンタナモのメディア・センターで法廷生中継のモニターを通してその顔・証言ぶりをみていたが、いかにも荒っぽそうな訊問官タイプだった。やはり軍事法廷など、軍による軍のための裁きであって、カンガルー・コート(いかさま裁判)に過ぎないのだろうか。

 ガチガチの旧ソ連みたいなことが、やはりグアンタナモで起き続けているのである。収容所の存在自体が理不尽だから、自由な取材を許さない理不尽が不可避になってしまうのだ。隠しておかなければならないことがらこそがグアンタナモ収容所の本質なのである。

 ニューヨークに戻ってから、一緒にプレスツアーに加わっていた各国の記者たちがどんな記事を書いていたのかをちょっと読んでみたが、ドイツ人ジャーナリストのドロツィアのコラムはなかなか面白かった。彼女はちゃっかりグアンタナモ基地内で、ヘアーカットの店に入り、ジャマイカからの契約従業者に10ドルでカットをしてもらっていた。そこでいろいろなことを取材していた。グアンタナモ基地での仕事はジャマイカよりも、よほど条件がよくてお金が稼げる、兵士たちもここで勤務すれば、さまざまな特典が与えられる云々。

 仮にもう一回でもグアンタナモに行ける機会があれば、今度はもっと準備万端整えて行こうと心に誓う。その機会が収容所閉鎖のセレモニーであれば尚更よいのだが、それは僕がニューヨークに住んでいるうちには起こらないかもしれない。

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"Taxi to the Dark Side".

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官房機密費に関する野中発言。

何時まで経っても、この話題が取り上げられませんね。

ここに登場するジーナリストも全滅なのですか。

我と思う方、先陣を切ってください。

大手マスコミと同じように、
ここに登場するジーナリストも無視を決め込むなら、全て黒ですね。

 

↑ 私もずっと気にしてその後の詳細(野中発言)をチェックしてるのにパタリと情報無し!やっぱり
止められてる?誰に?

アメリカは歴史が浅いから芸術とかにコンプレックスをもっていたけど ピンチをチャンスに変え
(現代アート)スポーツも次々作り出し憧れの国だったのに グアンタナモのような事を聞くとインディアン相手の西部劇がまだ続いているようで悲しいです。

元来のフロンティア精神を取り戻してほしい! 

金平様、今回の英国の総選挙、アメリカではどのように受け取られているのでしょうか?アメリカの最大の同盟国・イギリスの動向はホワイトハウスは非常に気になっていると思います。
日本にいては何も伝わって来ないので、是非、レポートお願いします。
特にアメリカの保守層、共和党の面々がどう位置づけしているか、知りたいです。

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金平茂紀(かねひら・しげのり)

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1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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