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グアンタナモ・ダイアリー(4)

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↑ 収容所内のニンテンドー(キャンプ4)

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↑ 収容者の遠影(キャンプ4)

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↑ 同上

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↑ フェンスに囲まれる収容所

■5月1日(土) 監視下でものごとを伝えるということ

 今日も日差しが強くなりそうだ。朝の7時半から軍事法廷が再開される。カドル被告は欠席。カドル被告の取り調べを行った尋問官の女性(きのうからの続き)に続き、中年のFBIの男。ロシア語と心理学を修めたという。警察大学を出たとか。午後には5人目のFBIの30歳台の男性だった。基本的には同じ質問の繰り返しだ。検察側は取り調べが適正に行われ、拷問や強要など一切なかったことを強調する。さらにいかにカドル被告が危険人物かを描き出そうとする。弁護側はどちらかというと押され気味のように見える。

 さて、きょうは火曜日に僕らを含む何人かが映像を全く撮影できない活字メディア用のツアーに入れられたことに抗議して再取材を申し入れていたことへの回答が来た。午前10時から僕らを含む5人の取材が許可されたという。それでさっそく、相棒のシエラとともにビデオカメラを手にして「キャンプ4」「キャンプ6」へと向かった。

 それにしても何でこんなにカメラ取材を制限するだろうか。そのこと自体が相当に変だ。セキュリティ保持の問題があるとしても、それ以上の強烈な「意志」が働いている。それはどう言えばいいか、「服従」を求める「意志」だ。メディアに関わる人間に対して「服従」を求める「意志」。収容所の限られたスペースで取材中にも兵士たちが常に監視している。不愉快である。このような監視状況下で何ができるか。どのように物事を伝えるか。そこで考えたのは、逆に監視を受けている状況そのものを何とか映像を見ている人に生々しい形で伝えられないか、ということだった。とにかく収容者の撮影については、きわめてナーバスになっており、顎が映っているだけでダメ。遠景からのショットでさえダメ。収容者の声はダメ。廊下を歩きながらリポートをし続けるのは距離感がわかるからダメ。運動場は監視塔が入りこんだものはダメ。とにかく収容者の近影はネックダウン(首から下の映像)だという。フェンスも長く続いている様子はダメ。フェンス越しにパンをしてはダメ。監視塔はダメ。セキュリティ・チェックを受ける箇所はダメ。収容者を監視している兵士の顔は絶対にダメ。ダメなものはダメ。だが、自分で映像を撮れただけでもゼロよりは百倍マシだと思う。要するに何をどう伝えるか、なのだ。撮影した映像は、夕方、別室でまた厳しいチェックを受けた。それでも何も映さないで評論するよりは数百倍マシだ。記者たちのあいだで色分けがはっきりしてきて、アメリカ系のメインストリームの記者たちと、「それ以外」の記者たちのあいだに微妙な溝のようなものが生まれてきているように感じる。自然に朝飯のテーブルもそのように分かれるし、夕食のテーブルもそのように色分けされる。それで僕らは当然、中東系を含む「それ以外」の記者たちの仲間入りをしている。

 昨夜、野外映画場に行ったブラジルの新聞記者ロベルトによると、きのうはイラク戦争を題材にした映画『Green Zone』が上映されて大受けだったそうだ。奇妙なことに、映画の始まる前に国歌が流れて観客全員が立ち上がって忠誠を誓うのだが、そのあとに、政府の戦争政策を批判的に扱う「良心的な」軍人が主人公のこの映画は、喝采を受けていたのだそうだ。ちなみに今夜の上映は『アリス・イン・ワンダーランド』。『クレイジー・ハート』とかもあって、みんな新作が続々だ。まさかグアンタナモで『ファーレンハイト911』(華氏911)はやらなかっただろう。どんなに観客が入ったとしても。

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金平茂紀(かねひら・しげのり)

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1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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