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« 「核なき世界」への想像力がオバマをノーベル平和賞に導いた
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気球少年とメディアの病理

 オバマと「核なき世界」の理念ばっかり、書きすぎたので、ちょっと違う話題を。

 コロラド発のその「ニュース」に接して、僕は思わず、ずいぶん昔、日本で起きた「風船おじさん」の出来事と、故・植木等がクレイジー・キャッツ時代に歌っていた「スーダラ節」の「♪わかっちゃいるけどやめられない♪」というフレーズを思い出してしまった。古いね。

 ことの発端は、10月15日に、コロラド州フォートコリンズに住むファルコン・ヒーネ君(6歳)が、自家製のヘリウム気球に乗ったまま、誤って上空に飛んで行ってしまったとの家族からの通報だった。地元警察が大々的な追跡・捜索活動を展開して、CNNなど全米テレビネットワークは、この気球の飛行を2時間近くにわたって生中継して視聴者は固唾を飲んで気球の行方を見守った。ところが着地した気球には誰も乗っていなかった。場合によっては、途中で少年が落下した可能性もあるとして、さらに大騒ぎになった。ところが、ファルコン君は、自宅の屋根裏部屋にずっと隠れていて無事だったことがわかった。ああ、よかったね、でこの出来事は済まなくなってしまった。何とこの騒ぎ自体が自作自演のでっち上げだったことがわかったのだ。

 この家族は、今年、アメリカの人気リアリティ・ショー番組『ワイフ・スワップ』に出演していて、一躍地元の人気者になっていた「有名人」だった。父親のリチャード氏は、元気象予報士でアマチュア科学者。宇宙人やUFOの研究なども手掛けているという。母親のマユミさんは日系の女性。『ワイフ・スワップ』は何度か僕もみたことがあるけれど、2つの全くバックグラウンドが異なった家族のあいだで母親だけを取り換えてみて何がおこるかを楽しむという趣向の番組だ。性的なニュアンスを含む夫婦交換(スワッピング)を逆手にとってファミリー番組にしたといういかにもアメリカ的なショーなのだが、この100回目の番組にファルコン君一家は出演して人気を博していた。

 自作自演の疑惑が浮上したのは、無事が確認されたあと、CNNの「ラリーキング・ライブ」に家族そろって出演した際に、ファルコン君が「だってこれはショーのためだって言ってたじゃん」と父親に発した言葉が飛び出したのがきっかけだった。以降、ファルコン君一家は、うそつきの汚名を背負うことになった。地元の保安官事務所の結論は、夫婦が計画立案して家族に協力させた、その動機は、世間の注目を集めて、テレビのリアリティ・ショー番組との契約を有利にするため、という全くもって情けないものだった。

 この騒ぎをみて僕が思ったのは、ずうっと生中継していたテレビ関係者のなかには「なんだか変だなあ」と気づいていた人たちがかなりいたのではないか、という疑問と、テレビに露出することが人間の生き方・価値感をいかに変容させてしまうか、という病理だった。そして、メディアの「♪わかっちゃいるけどやめられない♪」と延々と中継を続けたもうひとつの病理。そんななかで、例の「ハフィントン・ポスト」のアリアナ・ハフィントン女史が、MSNBCの生番組に別件で出演した際に、司会者に対して「坊やの無事が確認された今の段階で、何でいつまでもこの話題を延々と報じ続けるのか!もっとほかに報じるべき重要なことがあるでしょ!」と食ってかかっていた。このやりとりから実にいろいろなことを考えさせられる。このやりとりの模様は以下にアクセスするとみることができるので、おすすめしたい。
http://www.huffingtonpost.com/arianna-huffington/a-funny-thing-happened-on_b_323120.html

 どこの国でもメディアの病理は一緒なのかもしれない。僕は、あえて、日本の元精純派タレントの件や、認知症に苦しむ元女優のことには触れないことにしよう。

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「ワイフスワップ」もそうであるが、ザ・ジャーナルも参考にしていると思われる「ハフィントンポスト」と言う名前にもユーモアが入っている。(私のブログの題名も色々な意味を込めて、そうであり、当サイトでもチャレンジしてきたつもりである)
日本でオーマイニュースは、うまくいかなかった。
世界的に従来のメディアは変化しなければ生きていけない所まできていると同時に受身であった我々にも変化が問われている。
私は、あえて言う。
「ザ・ジャーナルよ!小沢一郎と庶民をビックリマンモスさせたノリピーの単独インタビューを取りに行け!」

<テレビの麻薬性について>
金平さん、アメリカからの肩の力が抜けたレポートにホッとしています。
さて、テレビの魔力については、日本でも良く感じる事です。
私は、食いしん坊ですので、安くて美味しい料理を出してくれる店はとても大事にしています。
しかし、そんな店から、度々裏切られてきました。(勝手に私が思っているだけですが…)原因はテレビです。
店がテレビ番組で取り上げられた途端にそれは起こります。ゆっくりと食事できていた店に長蛇の行列ができます。
次に、店は食事の時間制限を設けたりします。そこまで行くと地元の人間、お馴染みさんは二度と近づきません。さらに店主は可能なら隣の店舗を買い取り、店を拡張します。
次は、支店です。様々なショッピングモールやデパートから出店のお誘いがかかります。そこまで行っちゃうと、店主は料理人から足を洗い、完全に経営者としての立ち位置に変わります。
料理人も二番手、三番手迄は味が保ててもそれ以上に拡大すれば、味で評判を落とします。そして、いつの間にか、行列は消え、ひっそりと閉店を迎えます。
できるだけ、知り合いの店主には、テレビに出ない様に説得しますが、テレビに出れば、一時的には大儲けできますので、逆らい難いのです。
評判を落としてからは、お願いしてもテレビは取り上げてくれませんので、金を払っても取り上げて貰おうとします。
読者のセグメントができる雑誌ではこの様な事は起きづらく、やはりテレビは誠に罪作りな存在です。

ふむん。テレビ関係者が途中で「なんかへんだ」と気づいても、視聴者が気づいていないと考えられれば放送を続ける価値は彼らにとってあったんでしょうね。彼らというのは放送している側と視聴者側両方ですけど。
でまぁ、その2時間なにがしだけでなく、ここ20年間とか、ずっとそうなんでしょう。

後付けではなくて、オヤジの息子へのキスの仕方と息子の表情、気球に下げた箱のチャチさ、どこか不自然なニュース映像でした。something wrongと直感しました。映像の持つ情報量。事実は嘘をつかない。

金平様

 アメリカの生情報いつも勉強させていただき有難うございます。

 ハフィントン・ポストも金平様のコラムで知り、時々チェックさせていただいています。

 ところで最近のアメリカの動きですが、海外から見ると少し変わってきたのかなという感じがします。現地でのご印象はいかがでしょうか。

 ノーベル賞に関するCNNの世論調査での反対の多さ、医療保険についての大デモ、東欧でのアンチミサイル網設置の取り消しへの非難など、オバマ大統領の各施策或いは動向について、反発が激しく、支持率もだいぶ落ちているとの印象です。

 オバマ大統領の、国連重視、緊張緩和路線に対して、ビジネスが苦しくなる産軍複合体系の反発があるのは分かりますが、チェンジに沸いたアメリカの一般の人々の反応は如何なのでしょうか。

 勝手なお願いですが、何かの機会にそのあたりについての見方を取り上げてご教授いただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。

               

全くお粗末で由々しき問題ですね。 日本でも過去に浅間山荘事件、三島由ゆきお割腹自殺事件等を見てきました。 あの時とは時代も変わり一言ではくくれませんが 重大な時を共有したいという事が画面を見続けてしまうのかしら?  美しい元女優をあんな風に晒さなくてもいいのにと私は思いました。 どれだけ彼女を愛してたかなんて個人的なこと。
長門さんの気持ちが分かりません。 懺悔ならひっそりと自分の中ですればいいことです・・・。

凄く根本的な事ですが、アメリカ又は欧米のでなかったら、こんなに取上げられてないですね。確かに色んな物が見えるので非常に興味深い、しかし同時に世界の一国にしか過ぎない。

アメリカってそんな凄い、ご大層な国なんですかね。一挙手一投足が報じられる。丸で国自体がセレブです。日本のみならず世界的に、全ニュースに占めるアメリカ・欧米発の割合が異常に多過ぎ。そんな風に扱ってるから、余計調子こくのでは?

世界的なパワーバランスのみならず、人種や(まぁ奥さんは日系ですが、でもいつもはエンタメもニュースも白人か一部黒人・ヒスパニックだけ)国の存在価値の差とか、世界的ニュースの内容を見ると、「彼ら」は日々そういう物を広言し回ってるように感じます。し回ってなくても、そういう面の拡大再生産はされてます。非常に妙な世の中ですね、今の世界は。
(このコラム自体は面白いです、ただ非常に大きな視点・俯瞰で見た時にという事です、もっと平準化しないかなと)

「田原番組」で例によって変更報道がなされている。斉藤氏が官僚であったという事に議論をコジツケて、こともあろうに竹中ニタニタ屁理屈王を登場させ、田原と星と三人で大塚氏を攻撃している。もし、竹中らがいう様に国民にとって良かったなら、自民党は負けなかったでしょう。西川氏に問題が有りそうだから、鳩山邦夫元総務大臣罷免に国民が怒って、民主党に入れたのでしょう。少なくとも西川氏よりも斎藤氏の方が現時点では良いと亀井さんも考えたのでしょう。亀井さんは国民が選んだ代議士で、民主党との連立政権の金融担当大臣でしょう。純粋な民間人と言っても、これまで奥田氏、牛尾氏をはじめ丹 羽氏なども役員に入っており、何らかの関わりや、或いは西川氏のある問題にスルーして来た責任を考えると、現実問題として、純粋の民間人からの起用は難しかった思います。斎藤氏があらゆる交流関係の力を使って、鳩山邦夫氏などが問題にした闇の部分を洗い出す事が出来たなら、竹中氏らの口先だけの誤魔化し・ペテンも天下に曝されるでしょう。それでなければ斎藤氏を選んだ意味がないものと思います。竹中がけしからんと吼えるのも後しばらくでしょう。それよりもマスゴミが焦点をぼかして、官僚の天下り問題に 摩り替えるのはいかがでしょうか?

一般人には良く分かりませんが、「民主党には政権担当能力がない」と自民や御用学者・御用メデイア・御用評論家が選挙前にほざきましたが、自民党ではもうダメだという事は分かって、国民は民主党を選んだわけです。それと同じで、斉藤さんではダメだといっても良いかも知れません。分かっているのは、西川氏では失敗であったという事ではないでしょうか?

テレビの影響ってすごく大きいと思います。そうやって出演する芸能人など始め素人も見ている人にも知らず知らず何かしら注入されてる気がする。日本ではアメリカの番組のパクリというか同じ様な番組ばかりやってますよね(業界ではそれが普通?)ワイフスワップみたいな番組もやってると思う。私も大女優の件は、時々見かけると胸がざわざわします。散々迷惑かけた上に、何もかも分からなくなり嫌も応もない状態をテレビに晒すのなんて...事前に了解を取っていれば話は別ですけどね。美しい女優として売っていたのにその夢をファン共々台無しにした様な気がします。「たまちゃ〜ん」騒動の時に感じたざわざわとお同じたぐい。言い過ぎかもしれないけど偽善的な感じがしてしまいます。芸能界薬物やアルコール報道も、その他軽薄なバラエティも食うや食わずで困っている人たちを尻目に果てしなく食べ続ける番組等々...もうそろそろ「わか〜っているならやめてくれ♪」って感じですね。
昔はまじめな番組の中にばかばかしいお笑いがアクセントだったんじゃないかと思います。堅苦しいばかりがいいとは思わないけど。。そうそう今度「ジャーナる」って番組がやると広告で見ました!?

日本でテレビの影響がそれほど大きいのは、テレビ局が限定されているからでもあるのでは?この既得権益を解放し、電波でなくケーブルを普及させれば、テレビ局なんてあっという間に増えて、一番組の影響なんてもっと減少すると思いますが。

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Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

BookMarks

-----<著書>-----

ブログが本になりました!
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『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


『米原万里を語る』
2009年5月、かもがわ出版、共著


『テレビニュースは終わらない』
2007年7月、集英社

人気のWeb日誌、出版!
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『ホワイトハウスから徒歩5分』
2007年6月、リトル・モア


慶應義塾大学出版会、部分執筆


『ジャーナリズムの条件4』
2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

『電視的』
1997年12月、太田出版

『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

『世紀末モスクワを行く』
1994年12月、パルコ出版

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