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ケネディ去りて、ハトヤマ来たる

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エドワード・ケネディ(公式HPより)

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NYタイムズ紙の日本の選挙報道

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同じ(鳩山党首の顔写真が掲載されている)

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カナダ・モントリオールの新聞にも


 エドワード・ケネデイ上院議員の死去(8月25日)は、アメリカのメディアでは格別に大きな扱いで今も報じられ続けている。王室や天皇家のないアメリカ社会のなかで、ブルーブラッド(高貴な血筋)の家系のひとつとして、ケネディ家は屹立している感がある。だから栄光と悲劇に彩られたケネディ家の歴史は、アメリカという国の歴史のさまざまな起伏を代弁しているかのような捉えられ方をしてきたのだ。兄のJ・F・ケネディ大統領は暗殺され、同じくもうひとりの兄のロバート・ケネディ元司法長官も大統領選挙運動中に暗殺された。エドワード・ケネディ自身も大統領をめざしたが、彼の運命を変えたのは、1969年、自らの運転で自動車事故を起こして、現場を立ち去ったことから通報が遅れ、同乗していた女性秘書を死亡させたことだった。この事故で彼の政治生命は致命的な打撃をこうむったと言われている。その後、彼は政治的な活動を地道に続けて復権を遂げ、80年の大統領選では大統領選挙に挑んだが、ジミー・カーターと民主党の候補者指名を争って敗れた。民主党リベラルの重鎮であり、オバマ政権の誕生の立役者である。彼がいち早く、ヒラリーではなく、オバマ支持を公表したことで大きな流れができた。彼の死去が今後のオバマ政権の行方に何らかの影響を与えるのではないか。これから注視すべき点だ。ボストン市内の葬儀会場には多くの市民が弔問に訪れている。

 さて、エドワード・ケネディ死去を1面トップで伝えた26日のニューヨークタイムズ紙の同じ1面に、珍しくも日本に関する記事が掲載されていたのだ。1955年以来初めての本格的な政権交代が次の選挙で起こるだろうとほぼ断定的に予測する記事で、同紙のファクラー東京支局長が執筆している。つまり、鳩山由紀夫氏が日本のリーダーになる可能性を見越しての内容だった(Mr.Hatoyama, who is likely to become prime minister if his party wins, is seen as a consensus builder who will work to maintain party unity and avoid a strong personal imprint on its policies.)。ジェラルド・カーティス・コロンビア大学教授のコメントは「選択肢をもったことは、日本の政治風土に激越な変化をもたらすだろう。日本は偉大な潜在力をもつ国である。欠けているのは指導力と明るい未来図を描ける政治家だ」というものだった。

 カナダのモントリオールに休暇で来てみたら、同市の英字紙The Globe and Mail紙も8月28日付の紙面に「日本の政治に激震」(Japan's Political earthquake)の見出しで東京発の独自記事が掲載されていた。こちらの記事には、カーティス教授に加えて、山口二郎・北海道大学教授のコメントも引用されていた。「民主党自体が十分に国民の信を得ていると言うよりも、自民党以外の唯一の政権担当政党としての選択肢だから。その意味では民主党は試練にさらされる」と。

 アメリカやカナダの政治風土と日本のそれとでは比較のしようもないほど、日本の政治状況は前近代的だが、それにしても、変化に対する注目度はある程度はあるのだということが自然に読み取れる。問題は変化が本物なのかどうか、ということだ。外地から注目しよう。時代は刻々と変化している。ケネディが去り、ハトヤマが登場するように。願わくば、僕らメディアのありようも変わるべし。

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「ケネディが去り、ハトヤマが登場するように。」

新しい時代がやってくる予感がします。
友愛リベラリズムの登場を。

ケネディー家に関しては色々本を読みまるで小説の世界みたいと思ったものです。
自分が知っていた歴史上の人物が次々とこの世を去って行く事に時間の流れを感じます。

我が国の政権交代がどの程度世界を揺り動かしているかは分かりませんが 新しい一歩の始まりで有る事を願ってます。
金平さんのブロ覗くのが楽しみな私であります。

55年以来、93年の下野を除き、ほぼ50年の半世紀も、一党中心政治が続いてきた日本、まずそのことに政権交代が実現したいま改めて驚く。
55年といえば、日本では保守合同・55年体制開始の重要な屈折点だが、米国ではのちの公民権運動へいたるモンゴメリー・バス事件が起きた年だね。
そして09年のいま。日本では自民党の完全な下野・政権交代時代の到来が実現し、米国では黒人初の大統領・オバマ政権時代の開始となった。
少なくとも、今回日本の庶民の多くが民主党に希望を託したのは、彼岸でのオバマのCHANGEの姿勢に影響されたためであることは間違いない。
でも、日米には大きな違いがあるように思えてならない。つまり、庶民自身の覚悟の違いだ。日本では、「社会も制度もボロボロだし、いいかげん民主党に一回政権をやらせて、お手並み拝見しよう」。米国だと、「黒人初の大統領、新たな米国の時代、誇りを取り戻し再生するために、強い決意でオバマを支持しよう」。日本の庶民は覚悟が弱い。傍観者的だから、民主主義の民としての責任感・コミットメントが薄い。米国の庶民は、今回は少なからず決然たる覚悟で、自信喪失中の米国を変革しようという責任感・コミットメントがあった。何も、隣の芝は青く見える、というわけじゃなく、事実として。
ハトヤマ来たる。けれど、日本の庶民の熱狂・シュプレヒコールはあまりなく、厳しく言えば彼岸のCHANGEの真似事だ。民主党のどこが良くて民主党に票を投じたのか、明確に言える人はほとんどいないだろう。そしてそれはあまりにも問題だ。それが問題だと知っているのに、ムード良ければ全て良し。目を背けて「民主党にやらせてやろう」「お手並み拝見してやろう」。傲慢だ。あまりに態度のデカい社会だ。いつから「私たち国民」は偉くなったのか。
主権在民の魂はいまだ、風に吹かれて。

選挙報道に冷めている私は変でしょうか。4年前の郵政選挙でも小泉さんなんか支持していなかったので、あの圧勝も眺めていました。今回もあっちからこっちに揺れただけにしか見えないのです。その中で、平和憲法や死刑廃止などコツコツと仕事をしている政治家が埋没して落選しています。今回は自民党に反省して欲しい、今回だけは民主党に入れたけど勝ちすぎだ、こうした国民の言葉は、ムードで投票したけれどCHANGEしすぎるのは恐い、という声にも聞こえます。確かに自民党の古さが抜けたのはいいのですが、首相の職を放り出した福田氏、安倍氏、少子化対策が自分の子作りだった小渕氏、口八丁の石原家の長男も当選するんですね。中でも小泉改革と世襲制のダブル批判の中で小泉さんちのぼんぼんが当選するのはどうしてでしょう。政治一家、スター性に弱いのはどこの国も同じなんですけれどね。

Yuki Tojoさん | 2009年9月 2日 19:21

ご投稿から4.5日が経過した「遅れ馳せの反応」を申し上げます。

1.Tojoさんのこの短い文章だけからでも、Tojoさんの客観的で理性的で的確な観方・考え方が十分に読み取れます(皮肉ではありません、私も同一人種だと思っていますので)。

2.然し、私には、Tojoさんに二点、日本人に関する事実誤認があると思われます。
1)引用【彼岸でのオバマのCHANGEの姿勢に・・は間違いない。】は正しいが、其処に置かれた重みが大き過ぎるのでは?
私自身、Obama大統領には「世界の新秩序創造」のために大いに期待しているが、それは全く次元の違う話であり、日本の多くの有権者は日本のハトヤマと混同はしていまい・・というよりも、混同される程には、Obamaの日本庶民層への影響力は大きくない。
混同云々の前に、少なくない日本国民(=世界第二の経済大国と言われる国の「相応に豊かであるべき民)が、憲法で保障された人間の最低限の生活を営み難いという「悲惨」な状態に置かれており、その「怒り」が政権交代を実現させた事実についての過小という誤認。

2)引用【民主党のどこが良くて民主党に票を投じたのか、明確に言える人はほとんどいないだろう】も、流石に的確なご認識です。然し、今回は絶対数では【ほとんどいない】が、過去の日本人有権者に比べれば、【民主党のどこが良くて民主党に票を投じたのか、明確に言える人は】格段に増えて、其れなりの勢力になっている。
日本人を初めとして農耕民族の習性は、俄かには変わらないのです、然し漸くジワリと一歩一歩変わり始めたのです。自民党の愚かしさのお陰で・・。

3.とはいえ、引用【主権在民の魂はいまだ、風に吹かれて】いる状態は、大局的には仰る通りです。然しながら、批判だけでは何も生み出せない、冒頭引用【客観的で理性的で的確な観方・考え方】の持ち主は、8/30で示された日本国民の政治のMomentumと vectorの行く末を、暖かく、厳しく、見守り、サポートし、意見を発信することに意味があるのでは?

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金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

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