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« AIGボーナス問題で世論に怒りの火がついた
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悪いのはAIGボーナスだけか? »

AIGはPIGだという見出し

 朝方、Deliに立ち寄って、新聞スタンドをみたら、New York Daily Newsが大見出しで、「AIG is a PIG」(AIGは豚野郎だ)とデカデカと報じていた。キャピタリズムの総本山みたいなこの国で、公的資金(=国民の税金)を導入して一私企業を救済するという矛盾を棚上げしたとしても、その企業が尋常ならざるボーナスを受け取って恥じないとなると、それを知らされた国民のフラストレーションはとどまる所をしらない。もはや暴発状態になりつつある。このままだと、AIGは本当の意味での「存亡の危機」を迎えるだろう。規模は比較にならないけれども、かつての日本の長銀や山一と同じようになくなってしまうのではないか。17日、こちら時間の午後になって、ニューヨーク州のクオモ司法長官は、このAIGのボーナス支給の詳細を公表した。その内容がアメリカ国民の怒りの炎にさらに油を注ぐだろうことは容易に想像できる。それによれば、

▼73人が100万ドル(約9854万円)以上のボーナスを受け取っていた。
▼ボーナスの最高額は一人640万ドル(約6億3千万円)だった。
▼上位7人のボーナスは、400万ドル(約3億9400万円)以上だった。
▼上位10人だけのボーナス合計額は4200万ドル(約41億3800万円)にのぼる。
▼22人が200万ドル(約1億9700万円)以上のボーナスを受け取っていた。

 根本的な疑問は、何でこんな会社を救済しなきゃならないのか、ということだろう。オバマ政権は本気だ。

 さて、話題を変える。

検閲から自己検閲へーーー「反動」ということ

kane090318.JPG
シンポジウムで挨拶するドナルド・キーン教授

 ちょっと前のことになるが、今月の6日と7日に、コロンビア大学のドナルド・キーン日本文化センター主催のシンポジウムが開催された。テーマは、CENSORSHIP, MEDIA AND LITERARY CULTURE IN JAPAN: FROM EDO TO POSTWAR(日本の近現代における検閲)である。発表の分野は、文学や映画、ニュース映画、歌舞伎からはたまた紙芝居にまで及び、今の世の中の動向を考える上で示唆に富んだものだった。江戸期に、民衆娯楽の真ん中にあった浮世絵や歌舞伎の表現が、お上の意向によって自由を奪われていく過程や、戦争中の軍部による統制が文学者たちに及ぼした影響、アメリカ軍占領下でのGHQによるメディアへの検閲などを、アメリカ、フランス、カナダ、日本の研究者らがそれぞれのスタイルで発表していた。権力者らによる表現への外的な介入=検閲のちからが、いつのまにか表現者たちに内在化されてしまって、自己検閲(auto censorship)へと転化していくさまは、まるで今現在の僕らのおかれている状況を語っているように、発表を聞きながら、思っていた。つまり「反動」ということ。なかでも個人的に興味を引いたのは、戦時下で軍部の検閲を受けた川端康成の作中での伏字の使い方だった。これがとても可笑しくて、「○○○とは何だ!」などと記して、案外楽しんでいるのである。戦時中、『改造』誌上に発表された石川達三の小説作品は伏字だらけで、今から振り返ってみると、かえって検閲の実態を浮かびあがらせていた。GHQは、検閲した痕跡が残らないように発表せよというのが基本方針だったが、それに対するメディア側の抵抗の痕跡をたどるのは面白い作業だ。バージニア州メリーランド大学の「プランゲ文庫」に足を運べば、そのようなに痕跡に接することができる。発表のなかでは、何と言っても2日目の平野共余子さんの「占領期の日本映画に対するGHQの検閲」の話が圧倒的に面白かった。自己検閲の卑近なサンプルを、僕らは先日、ローマのG7財相会議の記者会見のあとにみたばかりだ。

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コメント (5)

ザ・ディリー・ショーのスチュワート:CNBCのジム・クレーマーこけおろしは面白かったですね。
http://www.thedailyshow.com/full-episodes/index.jhtml?episodeId=220533
日本で言うと、みのもんたが竹中氏を呼んだようなもの?
AIGを攻撃するのは簡単だけど、前政権とベンのミスだろ。金を入れる時にやる事を忘れていただけ?それよりも、こちらの方が問題。政府資金の半分が有力行へ流れる
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200903160016.html

金平様
お邪魔致します。
AIGについては、その日本法人も強大な企業群ですし、旧客でもあり、思うところがあります。日本法人の幹部職員の給与も相当高水準でしたが、今はどうなのでしょうか。こういう報道に接すると、合衆国と言うのは民主主義国家だな、と感じます。日本とはまったく異なる国家です。

>GHQは、検閲した痕跡が残らないように発表せよというのが基本方針だったが、それに対するメディア側の抵抗の痕跡をたどるのは面白い作業だ。
==========
民主化のため検閲します、というGHQ検閲は「戦争が終わり、みなが自由の味をかみ締めた」「戦後のメディアは戦前を反省し、報道の自由に立ち上がった」という所謂”戦後民主主義”の正統性にかかわる問題なので、かつてはそもそもこれ自体がタブー、無視されていました。
これが注目を浴びるようになたのは江藤淳氏の地道で緻密な調査や問題意識(先立って福田恆存氏や山本七平氏も論じてましたね)の賜物ですね。最初のころは彼らの指摘は、それこそ「反動」だ!とレッテルを貼られたものでしたが、今、GHQ検閲をメディアが取り上げるのは感慨深いです。
まあ、痕跡をたどると「抵抗」より「迎合」のほうが多そうですが。


>自己検閲の卑近なサンプルを、僕らは先日、ローマのG7財相会議の記者会見のあとにみたばかりだ

私は某国や某国の首脳が、某民放で「市民と対話」した時や、秘書給与の問題を指摘された政治家が、その人の出馬を促したジャーナリスト(※大連立を推進したナベツネのフィクサー活動とどこが違う?)の番組に出演したときにそのサンプルを観ました(笑)。


あと、ついでながらもう少し「自己検閲」の例を。
http://www.the-journal.jp/contents/tamaki/2007/06/tbs.html

『本番開始5秒前になったとき、突如ADらしき人物に「清原選手には触れないでほしい」と…』

http://nyt.trycomp.com/modules/news/print.php?storyid=1030
「あれはナショナリズムの集会だったから放送しなかった」

※どうしても長文の投稿になってしまいすいません。
他のエントリを見て、外部からのTBが有効だと知りました(すばらしい!)ので、今後は基本的には外に書いて、TBを送る方式にさせていただきます。
今後の金平様の更なるご活躍をお祈り申し上げます。


~地下鉄サリン事件14年目の日に記す。

このAIGへの米国民批判も十分理解できるものですが、一方、AIG社員にも理解に足る憤りがあります。 それがあまり掘り下げて報道されていないところに、メディアの劣化を垣間見る思いです。

AIGは、米国基準で言っても巨大企業であり、特に金融コングロマリットの特徴として当然かと感じます。 その為、金融商品の取り扱い種目は、ほぼ世界中で販売されている全種目を取り扱っていた訳です。 今回の米国金融破綻騒動の発端は、その中でもDerivative商品がきっかけでした。

現在も未だ在職するAIG社員、幹部の憤りは、この甚大な損失を会社と社会にもたらしたDerivative商品部門の幹部は「ランチとケーキ」をとっくの昔に食して、あとかたもなく蒸発してしまっているという事実なのです。その上、在職社員、幹部にすれば自らの部門は以前として利益を得ているという誇りがあるのです。

この点では、日本国民として朝日新聞の「南京捏造報道」、「朝鮮売春婦捏造報道」等で今も苦い思いをする我々にも共感を覚えるところです。

AIGの隠れたる闇給与、、麹町のアメリカンスクールですがAIGが多額の寄付をしているためAIG幹部の子弟はほぼゼロコストで通学可能です。通常ですと年間300万弱の学費がかかるはずですが。現在でもかなりの数のAIG幹部子弟が通学中です。給与に現れないこういったコスト(節税になります)も米国民は負担させられているわけです。

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Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

BookMarks

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『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


『米原万里を語る』
2009年5月、かもがわ出版、共著


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『ホワイトハウスから徒歩5分』
2007年6月、リトル・モア


慶應義塾大学出版会、部分執筆


『ジャーナリズムの条件4』
2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

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1997年12月、太田出版

『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

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