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2008年11月 7日

合掌

 NYと東京の時差は冬時間になった今は14時間。その時刻に僕は『沖縄タイムス』のための記事を書いていた。Yes We Can。オバマの勝利演説から勇気を奮い起されたこと。言葉のちからを信じること。その同じ時刻に筑紫哲也さんは息を引き取った。新しく生まれた人をウォッチするサイトで、去り逝くひとを送る。とてもとても残念で悔しい。そして心から言いたい。筑紫さん、安らかにお眠りください。僕たちにテレビニュースがこんなにもやりがいのある仕事なんだということを教えてくれたことに、こころの底から、ありがとうございます。筑紫さんの遺志は、こころある人々が必ず引き継ぎます。どのような困難と妨害があろうとも。

2008年11月 6日

7100万人がテレビの大統領選挙特番をみていた

 オバマ政権の輪郭づくりが始まった。ラム・エマニュエル下院議員が首席補佐官に決まったのをはじめ、ABCによれば、デイビッド・アクセルロッドがオバマ大統領の上級顧問になるという。アクセルロッドは、オバマ陣営の戦略ブレイン。国務長官には、スーザン・ライスのほかに、何とジョン・ケリーの名前が囁かれたり、あるいは国防長官にコリン・パウエルとかの名前も出ているそうだ。まあ、これらはブログ上の噂なのであてにはならないけれど。

 さて、おとといのオバマ大統領誕生が決まった選挙特別番組をテレビでみていた人の数は、何と7100万人にも達していたのだという。2000年の6160万人、2004年の5920万人をはるかにしのぐ数字で国民の関心の高さがうかがえる。激しい数字競争を繰り広げているアメリカのテレビ報道の世界で、当夜の午後8時から11時までのあいだ、最もチャンネルを合わせられていたのは、①ABCで8.0%、続いて②NBCが7.2%、③CNNが6.7%、④FOXNEWSが5.2%、⑤CBSは4.8%、⑥MSNBは3.2%だったそうだ。一方、インターネットで結果をチェックした人の数も選挙当日に激増し、CNNのデジタルネットワークへは1284万人余り、MSNBCへは1211万人あまりと、倍増以上の勢いだったそうだ。オバマ陣営のインターネット対応は、マケイン陣営の追随を許さない勢いだったようで、両者のホームページへの投票日当日の個人アクセス数は、オバマHPへは121万人、マケインのHPへは47万9千人と大きく差が開いている。ついでに書けば、当選確実の第一報を報じたのは、テレビやラジオや通信社ではなくて、人気ブログHuffington Postだったと自画自賛している記事があった。CNNの1時間以上も前だそうだ。アメリカの様子をみていると、日本の選挙報道も近未来に速報自体の意味が変わってくるのかもしれないとの予感がする。(http://www.news.com.au/technology/story/0,25642,24606384-5014239,00.html
 
 アリアナ・ハフィントンがまとめ風に記している今回の大統領選挙の「勝者」「敗者」は面白い。いわく、「勝者」:オバマ・キャンペーンの責任者The Davids - Axelrod and Plouffe組。CBSのイブニングニュースのキャスター、ケイティー・クーリック(彼女のサラ・ペイリンへの連続インタビューで流れが変わった)、ミシェル・オバマ夫人。「敗者」:民主党から転じてマケインを応援したジョー・リーバーマン上院議員。落選したリディ・ドール上院議員。Joe the Plumber(配管工のジョー)。なるほどね。

2008年11月 5日

オバマからのメール

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勝利演説をするオバマ(オバマ公式HP動画より)

 一夜あけてから(と言っても1時間半の仮眠の後でだけれど)、きのうという日がこの国にとってどれだけ大きな意味をもっていたのかがじわじわと伝わってくる。こちらの新聞をみたら、『ワシントン・ポスト』紙、『USAトゥデー』紙、『ウォール・ストリート・ジャーナル』などにHistory、Historicという文字が見出しに踊っている。 「Obama Makes History」という見出しがすぐに目に入ってきた。昨夜のシカゴでの勝利集会でのスピーチが行われる前に、オバマ選対はバラク・オバマの名前で、支持者に感謝のメールを送ってきていた。HPに登録した人間ならだれにでも送られてくる。僕のアドレスにも送られてきていた。そこでも「我々はまさに歴史をつくったのだ」という文言があった。こういうところが(そのタイミングと中身のスマートさ)、今回のオバマ陣営のインターネット対応型戦術のとてもすぐれたところだと思う。これがマケインからのメールだったら、迷惑メール扱いされかねないものなあ。

 午前中に、ブッシュのお祝いスピーチ、それに加えて何と、午前11時半からは、ライス国務長官の大統領選挙の結果に対する「個人的な見解」の発表があった。ライスは「アフリカ系アメリカ人の一人として、メチャ誇らしい」(As an African-American, I'm especially proud.)などと瞳を濡らしながらオバマ大統領の選出を祝福していたが、何だかすべてが勝ち馬に乗ってきている(switch to the winning side)ような気がして、どこの国、どこの人間集団も同じだな、と思えた。

http://www.huffingtonpost.com/2008/11/05/rice-congratulates-obama_n_141414.html
 
 オバマ新政権がどのような顔ぶれになるのか、1月20日の大統領就任式まで、実質2か月。何人かの側近の名前があがり始めている。オバマの地元のラム・エマニュエル下院議員が首席補佐官候補だとか、ロバート・ケネディ・ジュニアが環境長官になればいいとか、スーザン・ライス女史が外交分野のポジションにつくとか、自薦他薦含めての情報があがっていきている。急務になっているのは、財務長官が誰になるのかだという。ジョン・コージン・ニュージャージー州知事、サマーズ元財務長官、ルービン元財務長官(ともにクリントン政権時代)らの名前が取りざたされているが、どうなるのか。この分野の知識に欠けているので何も言えない。今後、ホワイトハウスの変容がどのように進むのかは見ものだ。

歴史的な一日に立ち会う

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1)タイムズ・スクエアのイルミネーション
2)ロックフェラーセンター
3)ハーレムに繰り出した人々

 アメリカの歴史のうえで、今日11月4日という日は忘れられない日となるのかどうか。今日はさすがに僕も忙しいので、このカウントダウン日誌も時間をみて細切れ的に書き継いでいくしかない。

 今は午後5時前だが、断片的に入ってくる情報は、オバマの優勢を覆すまでの材料はない。

 午後7時45分。出口調査の結果が入ってきた。これはオバマの圧勝を示す兆しが濃厚だ。数十万人の聴衆がシカゴの集会に集まる可能性があるという。

 NY時間の午後11時から始まるCS特番のための準備をしていて、ジェラルド・カーティス教授と青木富貴子さんと打ち合わせをしながら開票状況をみていたら、10時50分くらいの時刻に、どうやらCBSの予測で、283人の選挙人をオバマが獲得しそうだという情報が入ってきた。いよいよだ! それで、1階にあるスタジオに座るやいなや、CBSがオバマをコールした! オバマが次期大統領に当選を決めた! こんな歴史的な一報を伝えられるとは何という幸運だろうか。1776年の建国以来、アメリカで初の黒人大統領の誕生である。第44代大統領にバラク・オバマ候補が当選を確実にした。

(この間、2時間あまり中断)
 
 生番組を流しているあいだに、まずマケイン候補の敗北宣言(Concession Speech)が行われ、続いて、こちら時間の午前0時に、シカゴの屋外集会にオバマは姿を現して勝利宣言を行った。演説は、アメリカン・ドリームの再興を呼びかける感動的な内容で、マーティン・ルーサー・キング牧師の「I Have A Dream」演説に匹敵するような、いわば「Yes,We Can」演説とでも言えるような歴史的な演説だった。
 
 今は日付が変わって、午前3時になってしまったが、NYの町には祝福する人々が繰り出して大変な人出になっている。歴史的な一日に立ち会った興奮が続く。

2008年11月 4日

Tomorrow is a new day.(明日は明日の風が吹く)

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 とうとうと投票日まで泣いても笑っても、あと今日1日を残すだけとなった。何か動きがとても慌ただしい。各種のメディアの直前予測は、いずれもオバマがかなりの差をつけている。

 CBS/NYタイムズの今日午後の調査では、オバマ/バイデンが51%、これに対してマケイン/ペイリンは42%と9ポイントの差となった。さらには期日前投票をした有権者の調査では、オバマ/バイデンが57%、マケイン/ペイリンが38%と19ポイントもの差がついている。その期日前投票では、時間が異常に長くかかるとか、投票用紙の仕組みがよくわからないとか、いろんなトラブルがすでに生まれてきているようだ。
 
 昨夜のオハイオ州クリーブランドでのオバマ集会は、8万人の市民が集まり、同市で開かれた政治集会では過去最大の規模になったそうだ。B・スプリングスティーンの威力もすごいが、その力だけではあるまい。
 
 笑ってしまったのは、何と昨夜になってから、チェイニー副大統領が公式にマケインを支持すると表明したそうだ。地元ワイオミング州の支持者集会でのことだが、この時期になってチェイニーに支持されても「ありがた迷惑」だろうなあ。さっそく昨夜、オバマは皮肉たっぷりに「マケインさん、チェイニー氏の支持が得られておめでとう」と祝福(!)していた。

*     *     *     *
   NYに来てから、僕は、取材の移動でタクシーを使うたびに、運転手さんに世間話で、どの国から来たのかと、誰に投票したいかを聞いたりしてきた。大体の運転手さんは「オバマ!」と答えてくれたが、中には「オバマは大嫌いだ」という人もいた。今日の午後に乗ったタクシーの運転手さんんは「俺はリベラルは大嫌いだ! マケインに絶対に投票する!」と言って苛立っていた。何でりベラルがそんなに嫌いなんだい?と訊いたら、「彼らはみんな社会主義者だ」という。それで、いつものように「どの国からここに来たの?」と訊くと「南ウクライナのオデッサからきたんだ」と。彼、レオニード・ズモイロ(Leonid Zmoyro)さんは、1979年にアメリカにやって来たそうだ。彼曰く、NYにいるロシア系アメリカ人の80%以上は共和党支持だそうだ。NYには実にいろんな人がいるのだけれども、ネガティブ・キャンペーンは、いろんなレベルで効果を果たすことがあるようだ。

2008年11月 3日

激戦州のゆくえと「社会主義」

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 早朝、コロラド州デンバーの空港近くのホテルで目を覚まして、窓からの風景をみると、何にもない荒野が延々と続いている。レンタカーを返してから、アバンギャルドな造りのデンバー空港に向かう途中でみた地元紙の『デンバー・ポスト』紙の見出しは、「Swinging Obama’s Way」(オバマになびいている)となっていた。いわゆる激戦州(Swing States)の勝敗のゆくえ次第で、今回の大統領選挙は大きくブレる。『デンバー・ポスト』紙掲載の激戦州調査では、以下のようになっていて、オバマの地滑り的な圧勝とはならないようにもみえる。この点は圧勝を予想する『ワシントン・ポスト』紙とかなり見通しが異なっている。

 コロラド州はオバマ(選挙人9人。オバマ49%:44%マケイン)、フロリダ州はオバマ(選挙人27人。オバマ47%:45%マケイン)、ミズーリ州はマケイン(選挙人11人。マケイン47%:46%オバマ)、ネヴァダ州はオバマ(選挙人5人。オバマ47%:43%マケイン)、ノースキャロライナ州はマケイン(選挙人15人。マケイン49%:46%オバマ)、オハイオ州はマケイン(選挙人20人。マケイン47%:45%オバマ)、ヴァージニア州はオバマ(選挙人13人。オバマ47%:44%マケイン)。この通りだとすると、オバマ陣営にとって、オハイオ州を落とすのはとても痛いだろう。いずれにしいても、もうこの段階に来たら、実際に蓋をあけてみなければわからないのだ。
 
 最新号の『ニューヨーカー』誌に、マケイン/ペイリン陣営の「オバマ=社会主義者」攻撃についての辛口の論評が載っていた。いわく、この選挙は1920年以来、もっとも「社会主義」が口にされた選挙だった、と。1920年には、実際にアメリカに存在していた「アメリカ社会党」からDebsという人物が選挙に立候補していた。彼は第一次世界大戦への参戦に反対して有罪判決を受けたりした人物だという。歴史的にみれば、共和党のゴールドウォーターやレーガンらも、民主党のJ・F・ケネディやリンドン・ジョンソンの医療保障制度(貧困層や高齢者に対する手厚い)を「社会主義」だとして非難していたそうだ。この論評では、ヨーロッパに根付いている社会民主主義の伝統を、ソビエトやナチスの国家社会主義や、もちろん北朝鮮のような全体主義とは峻別して一定の評価をしていて、こう記している。「アメリカがむしろ特殊なケースなのだ。なぜ社会主義がこの国では真の大衆運動とならなかったのかについては、それについて記された山のような書籍がある」と。
 
 非常に醒めて考えてみれば、この国には選択肢が2つしかない。つまり、民主党か共和党かという。
 
 昨夜の「サタデー・ナイト・ライブ」にマケインが妻のシンディとともに出演した。風刺されようが、揶揄されようが、テレビで露出した方が、集票につながるという冷徹な判断に基づくものだろう。そして、驚いたことに彼自身も結構ショーを楽しんでいた。さて、どうなるか。
http://www.huffingtonpost.com/2008/11/02/john-mccains-saturday-nig_n_140081.html

 夜になって、クリーブランドのオバマ集会にブルース・スプリングスティーンが登場。CNNのライブをみているだけでも、何だかとても温かい感じの盛り上がりぶりが伝わってくる。こういう空気はマケイン/ペイリンの側にはないものだ。

2008年11月 1日

この熱気はただごとではない

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↑いずれもプエブロで筆者撮影
1)集会に押し寄せた人、人、人 2)ミシェル・オバマまで10m
3)バラク・オバマまで10m 4)屋上の警官たち
5)屋上の警官たち

 秒読み段階位に入った大統領選挙の最後の週末。オバマ陣営の熱気がどのくらいのものか、実際に肌で触れてみたいと思い、人口10万人のコロラド州プエブロ市でのキャンペーン集会に出かけた。コロラド・スプリングスの空港から車で40分。直線道路の運転は疲れた。図書館の駐車場に車を止めて、そこから会場まで歩く。ものすごい数の人々が集会会場をめざして歩いているではないか。思ったよりも暖かくて、中にはTシャツ姿の人もいる。警備がやたらと厳しくなっている。そういえば、いくつかの白人至上主義者たちのオバマ暗殺計画なるものが発覚したことが報じられていたのはついこの間のことだ。銃が簡単に手に入るアメリカだから、候補者と至近距離になれる選挙集会では、何が起きてもおかしくはないのだから。(ちなみに、サラ・ペイリンは銃規制に強く反対しているプロ・ガン論者である。)
 
 それにしても道路を埋め尽くした人、人、人。ヒスパニック系の人が多いことが一目でわかる。午後3時にまず、ミシェル・オバマが登場した。至近距離からみる彼女は、実に堂々としていて品位がある。よく見ると、まわりの高い建物の屋上には武装警察官が目を光らせている。ステージの後ろにはオバマの2人の娘さん(マリアとサーシャ)がいて無造作に遊んでいる。こんなに無防備でいいのかな、と思うくらい。そこにオバマが登場した。登場の際の音楽はブルース・スプリングスティーンの『ライジング』である。思ったよりも痩せているな。ものすごい歓声が上がる。この熱気はただごとではない。「アメリカの根本的な変化が始まるまで、あと3日だ」と訴える。彼の演説は、マケインと比べて相手候補への攻撃が比較的少ない。
 
 この週末、オバマ、マケイン両候補は激戦州と言われる州を回る。オバマは、あしたはオハイオ州だ。クリーブランドの集会には、ブルース・スプリングスティーン本人が登場するというのだから、大変な騒ぎになるだろう。繰り返すが、この熱気はただごとではない。

Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

BookMarks

-----<著書>-----

ブログが本になりました!
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『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


『米原万里を語る』
2009年5月、かもがわ出版、共著


『テレビニュースは終わらない』
2007年7月、集英社

人気のWeb日誌、出版!
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『ホワイトハウスから徒歩5分』
2007年6月、リトル・モア


慶應義塾大学出版会、部分執筆


『ジャーナリズムの条件4』
2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

『電視的』
1997年12月、太田出版

『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

『世紀末モスクワを行く』
1994年12月、パルコ出版

→ブック・こもんず←



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