日本は、世界第二の経済大国の地位を中国に抜かれたことを、なぜ報じないのだろうか?
僕は日本に住んでいないので、ここニューヨークにいて、日本に関する大きなニュースで、アメリカやヨーロッパなど他国のメディアが大きく報じているのに、当の日本のメディアがほとんど報じていないという現象は、どこかおかしいのではないかと思ってしまうことがある。8月16日付のニューヨークタイムズの経済面トップ記事は、公表された第二・四半期の経済指標によれば、中国が日本を抜いて世界第二位の経済大国になったという記事を大きく掲げていた。AP通信やブルームバーグも同様の記事を配信し、アメリカのCNBCやABCニュースでも報じていた。ところが、日本のメディアではこのニュースがほとんど流れていないことを知った。これは一体どういうわけだろう。たかが指標じゃないか、というなかれ。その現象に潜む象徴的な価値がいかに大きなものであるかを考えるべき重要な意味合いを持つニュースだと僕は思う。アメリカに次ぐ世界第二位から、とうとう三位に転落、しかも中国に抜かれた。この現実に最もナーバスになっているのは、実は、内閣府および諸官庁と、それをカバーするメディアではないか。ここアメリカでの記事に目を通してみてそのように実感せざるを得ないのだ。The Second Largest Economy。この語の呪縛がいかに戦後の日本人の生活を縛り続けてきたか。ある時はそれは大いなる国民の「誇り」と「矜持」に結び付き、ある時は醜悪な「奢り」に結び付き、またある時は自らの境遇との比較においていかに無意味な数値にすぎないのかを思い知らされる「空虚」の象徴でもあった。さらには、幸福と言う概念と、この第二の経済大国という語がいかに無関係であったのかも私たちはある程度認識してきたはずだった。








