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2010年3月14日

「密約」有識者委報告書・第四章の支離滅裂

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↑ 9日に発表された日米密約についての報告書

 怒りとか憤慨とかそれ以前に、不条理感というか、G・オーウェルの小説を読んだ直後のような、胃液が逆流するような思いを抱いた。「ある」は「ない」の意味。クロはシロ。この欄でも以前、日米密約に関しては触れたことがある(2009/9/21「誰が核密約文書の破棄を命じたのか?」と2009/12/31の文章の一部)。3月9日に公表された日米の外交密約問題に関する有識者委員会の報告書に一応全部目を通した。108ページのものでそれほど長大な報告書ではない。「密約」の定義を広く解釈し、「文書の存在」にとらわれないで、暗黙の合意や了解にまでも広げて、検証の対象にしようとした点や、公文書以外の証言・学術研究・報道の成果をも照会して深く検証しようとした姿勢(特に第二章の「核搭載艦の一時寄港」に関する密約の検証によくその姿勢が表れている)、さらには公文書の保存・公開・破棄についての世界に通用するルールづくりを提言している点、そして最後に、意図的な公文書破棄(これ自体が犯罪行為を形成する)を強く示唆している点など、評価すべき点が多々あったことも確かだと思う。だが、それらの成果を水泡に帰しかねないような論理破たん、支離滅裂がみられたのが、この報告書の第四章「沖縄返還と有事の際の再持ち込み」の考察と結論である。

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2010年2月19日

ますますG2化してきた米中関係

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↑ ダライ・ラマ14世と会談するオバマ大統領(ホワイトハウスHPより)

 オバマ大統領は今日2月18日、ホワイトハウスでダライ・ラマと会談した。1時間を越える親密な雰囲気の会談だったようだが、ホワイトハウスも中国側の反発を十分に織り込み済みで、大統領執務室のオーバルオフィスではなく、マップルームで会った。報道陣のカメラは締め出され、会談後にホワイトハウス撮影の1枚の写真が配布されただけだ。人権問題や民主主義全般、さらにチベットの地域文化・宗教の独自性について意見を交わしたとされている。だが、チベット独立問題に関する突っ込んだ言及は避けられた。それでもホワイトハウスに賓客として迎えたことは象徴的な意味をもっていることは確かだろう。中国政府はさっそく「強い不快感」を表明し、チベットは中国の一部であり、チベットの独立は支持しないという相互了解に違反するものだと反発している。

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2010年2月14日

売春婦の費用まで請求していたブラックウォーター

 ニューヨークはバンクーバー冬季五輪で沸きかえっている。開会式のセレモニーは、平和への希求のメッセージが随所に感じられた。K.D.ラングが歌ったレナード・コーエンの曲「ハレルヤ」はよかったなあ。で、この欄ではそれとは正反対のことを記すことにしよう。戦争企業についてだ。

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2010年2月 2日

反転攻勢とまでは行かなかった一般教書演説


↑ オバマ大統領の批判に首を振りながら「not true」とつぶやいたように見えるアリトー判事(0分10秒すぎ、画面左端)

 オバマ大統領の初の一般教書演説(1月27日)から5日たった時点でこれを書いている。演説直後にCBSテレビが行ったインスタント投票によれば、83%の視聴者がオバマのスピーチを肯定的に評価したという結果が出ていた。けれども、5日たった現時点で考えると、The Atlantic誌のJosh Green が直後に指摘していたように「よいスピーチだったが、長続きするインパクトはない」という分析が当たっているように思う。72分のスピーチのうち、外交に触れた部分はわずか9分。およそ8分の1。残りの8分の7の演説の大部分のうち、つなぎ的な部分を除いても、8割以上が内政、とりわけ経済に当てられていた。中心テーマは「雇用の創出」だった。「雇用回復が2010年の最優先課題だ」とオバマは明言していた。だから、雇用創出に結びつくものならばどんな政策でもやるぞ、という印象が強く残った。中間層に照準を当てた教育減税や中小企業への資金融通など、さまざまな提案を謳いあげていたが、具体的には、アメリカ版新幹線などインフラ建設への大規模投資、原子力発電所の建設、クリーン・エネルギー分野への投資拡大などこれまで耳にしていたものだ。さらに一般歳出の3年間凍結や、財政赤字解消のための超党派委員会の創設、輸出促進など総花的な提言が多かったのだが、5日たった時点でも大きく尾を引いているのは、実は次のようないくつかのきわめて個別的・具体的な言及ではないだろうか。

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2010年1月26日

政治資金規制をめぐる日米の逆解釈


↑ 2004年の大統領選でジョン・ケリーに対して行われたネガティブ広告

 日本ではあまり大きく報道されていないようなので、記しておきたいことのひとつに、1月21日にアメリカ連邦最高裁で出された違憲判決のことがある。ニューヨークタイムズやワシントンポストなどはもちろん1面トップ記事として大きく報じていた。この判決が日本人の感覚とあまりにもかけ離れたものなので、ちょっと理解しにくいかもしれない。判決は、あらゆる企業や、労働組合、非営利団体が政治(選挙)広告に無制限に資金を支出することを規制した連邦法は、言論の自由を保障する憲法に違反するとの違憲判断を下したのである。構成判事9人のうちで、5対4という小差だった。判事の色分けが実に鮮明で、多数意見は保守・中間派の5名、少数意見はリベラル派の4名とくっきり分かれた。この違憲判決は、ほぼ1世紀近くにわたり公職選挙への大企業等の影響を制限してきた判例を覆すもので、ワシントンポスト紙でさえ「(ロバーツ長官率いる)最高裁の大胆な振る舞い」と記していた。ジョン・ロバーツ最高裁長官はジョージ・W・ブッシュ大統領によって任命された超保守派の判事で、オバマの就任式で宣誓の文言を間違えたあの判事である。この判決は、今後、中間選挙をはじめ、各方面に多大な影響を及ぼすとみられている。判決では、企業法人も個人と同様に、連邦憲法修正1条(表現の自由)を行使する権利を保障されているとして、無制限の資金流入による(日本風に言えば)「金権政治の腐敗」よりは、企業・団体にも政治活動=表現の自由を重く見る、という主張が尊重されたことになる。これによって、企業・団体は、特定の候補者の応援にあたり、無制限に広告資金を支出できることになり、大企業・利益団体、ロビイストの政治的な影響力が一層増すことになるだろうとの危惧の声が上がっている。政治資金の流れの監視を続けている市民団体Public Citizenのワイスマン代表は「連邦修正1条はあなたや私のような本当の市民の権利を守るために存在しているのであって、エクソンやファイザーやゴールドマン・サックスのような人工的な組織のためにあるのではない」と怒りをあらわにしている。オバマ大統領は、この最高裁判決を激しく非難する声明をさっそく発表するとともに、週末のラジオ・インターネット演説でも「この判決は特定の利益を目的とした資金が政治に流入することを認めるもので、小口献金で候補者を支える平均的なアメリカ国民の影響力をそぐものだ」との異例の非難を加えた。

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2010年1月22日

マサチューセッツの衝撃

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『Village Voice』1月13日号 表紙より

 ある程度予測されていたとは言え、いざ現実のこととなってみると、相当の衝撃がオバマ政権を直撃していることがわかる。19日に投開票が行われたマサチューセッツ州上院議員補欠選挙で、共和党のスコット・ブラウン(州議会上院議員)が、民主党の女性候補マーサ・コークリー(州司法長官)に5ポイント以上の差をつけて勝利した。マサチューセッツ州はもともと民主党の強固な地盤で、半世紀近く民主党が議席を確保してきたブルーステートだ。そもそもが、民主党の重鎮テッド・ケネディ上院議員が死去したことにともなって行われた補欠選挙であったわけだが、ここで民主党が敗北してしまったのだ。去年11月のバージニア州知事選、ニュージャージー州知事選に続いて、オバマ民主党は州知事選3連敗となった。明らかにオバマ政権に対して有権者の反応が違ってきたとみてよい。奇しくも翌20日はオバマ大統領就任1周年目にあたっていた。その20日付けのNYタイムズは「1年後、有権者は異なるメッセージを突きつけた」という見出しの分析記事を一面に掲げていた。Wake-up call=警鐘 という言葉や、Mass. Shockなどという造語も踊っていた。さらに21日の社説では「彼はここ一番という時に、カッコつけすぎでしばしば決断が遅すぎるきらいがある(he can be too cool and often waits too long to react at big moments)」などと痺れを切らしたような書きっぷりである。敗北の責任のなすりつけ合いがすでに民主党内で始まっている。全くどこの国も同じようなものだと思う。上院の民主党の議席は、これで絶対安定多数(共和党のfilibuster=議事妨害を阻止するのに必要な数)の60議席を割ることになり、短期的には医療保険制度改革法案が通過しづらくなった。より進歩的な内容の下院案が葬られてしまう可能性が強い。さらには、この勝利が共和党に追い風となって、今年の11月に予定されている中間選挙で民主党が後退し、共和党が盛り返してくる可能性が出てきた。それを裏付けるように、オバマ大統領の支持率がこのところじりじりと下がり続けている。なぜ、支持率が下がっているのか。失業率の高さ、雇用の確保がうまくいっていない、というのが各メディアの一致した分析だが、注目しなければならないのは、無党派層のオバマ離れが非常に顕著であるということだ。そして、公約破りの続出。たとえば、アフガン戦争への兵力増派とか、対テロ政策での人権侵害事案についての主張の大幅後退なども当初の支持層のあいだに失望感を広げている。根本的な政策の修正は命取りになりかねない。虐待・拷問で批判の強かったキューバのグアンタナモ基地内の収容所閉鎖でさえ、今は硬直状態にある。大銀行の救済策に対する国民からの批判も非常に根強い。

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2010年1月18日

チェンジから漂流へ? 私たちはどこへ向かうのか?

 JOURNALへのアップデートをサボっていたら、2010年になって、とんでもない出来事が次々と生起した。これは何かの予兆だろう。本質的な、根源的な変化に向けての。

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2009年12月31日

あと3時間で終わる2009年を回顧する

 「いいことばかりはありゃしない」。そう歌っていた忌野清志郎がこの世を去ったのは、09年の5月だった。そうだよな。「いいことばかりはありゃしない」。NYに住んで1年半になるが、先日、ちょっとだけ日本に一時帰国して日本の様子を垣間見て、本当にそういう気持ちがこみ上げてきてしまった。「いいことばかりはありゃしない」。日本の判断基準とは相当ズレているかもしれないけれど、以下が極私的2009年10大ニュース。

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2009年12月17日

「正しい戦争」はアメリカの専売特許?

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↑ 反戦派のデモ

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↑ 反戦派のデモ

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↑ アメリカから参加したシンディ・シーハンさん

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↑ オバマ夫妻の滞在ホテル前では身動きとれず(いずれも筆者撮影)

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2009年12月 9日

オバマ大統領当選から1年後の現実を直視する(7)── オバマは第二のベトナム戦争の轍を踏むのか?

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↑ コロンビア大で講演するチョムスキー(筆者撮影)

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↑ ジョンの命日にストロベリー・フィールズに集まった人々(筆者撮影)

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↑ 陸軍ウエストポイント士官学校で演説するオバマ大統領(ホワイトハウスHPより)

 今日12月8日は、28年前にジョン・レノンが射殺された命日にあたる。お天気がいいので、マンハッタンのセントラル・パークにあるストロベリー・フィールドまで行ってみると、たくさんの人々が集まっていて、ジョン・レノンの歌を歌っていた。多くの花がたむけられていた。僕と同世代の人たち(つまり、おっさん、おばさん)に加えて、若い人たちも結構いるではないか。何人かがアコースティック・ギターを弾きながら、「レボリューション」「イン・マイ・ライフ」「ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」などを達者に歌っていた。それに合わせて集まっていた人々も唱和していた。ジョンが生きていたら、現下のアメリカの状況をどのように歌っていただろうか。

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Profile

金平茂紀(かねひら・しげのり)

-----<経歴>-----

1953年北海道旭川市生まれ。1977年に在京の民間放送局に入社、以降、一貫して報道局で、報道記者、ディレクター、プロデューサーをつとめる。「ニュースコープ」副編集長歴任後、1991年から1994年まで在モスクワ特派員。ソ連の崩壊を取材。帰国後、同局で筑紫哲也氏がアンカーマンをつとめるニュース番組のデスクを8年間つとめる。2002年5月より在ワシントン特派員となり2005年6月帰国。報道局長を歴任後、2008年7月よりニューヨークへ。

BookMarks

-----<著書>-----

ブログが本になりました!
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『報道局長業務外日誌』
2009年6月、青林工藝舎


『米原万里を語る』
2009年5月、かもがわ出版、共著


『テレビニュースは終わらない』
2007年7月、集英社

人気のWeb日誌、出版!
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『ホワイトハウスから徒歩5分』
2007年6月、リトル・モア


慶應義塾大学出版会、部分執筆


『ジャーナリズムの条件4』
2005年5月、岩波書店、部分執筆


『従軍のポリティクス』
2004年7月、青弓社、部分執筆


『二十三時的』
2002年11月、スイッチパブリッシング

『電視的』
1997年12月、太田出版

『ロシアより愛をこめて』
1995年3月、筑摩書房

『世紀末モスクワを行く』
1994年12月、パルコ出版

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