「密約」有識者委報告書・第四章の支離滅裂
怒りとか憤慨とかそれ以前に、不条理感というか、G・オーウェルの小説を読んだ直後のような、胃液が逆流するような思いを抱いた。「ある」は「ない」の意味。クロはシロ。この欄でも以前、日米密約に関しては触れたことがある(2009/9/21「誰が核密約文書の破棄を命じたのか?」と2009/12/31の文章の一部)。3月9日に公表された日米の外交密約問題に関する有識者委員会の報告書に一応全部目を通した。108ページのものでそれほど長大な報告書ではない。「密約」の定義を広く解釈し、「文書の存在」にとらわれないで、暗黙の合意や了解にまでも広げて、検証の対象にしようとした点や、公文書以外の証言・学術研究・報道の成果をも照会して深く検証しようとした姿勢(特に第二章の「核搭載艦の一時寄港」に関する密約の検証によくその姿勢が表れている)、さらには公文書の保存・公開・破棄についての世界に通用するルールづくりを提言している点、そして最後に、意図的な公文書破棄(これ自体が犯罪行為を形成する)を強く示唆している点など、評価すべき点が多々あったことも確かだと思う。だが、それらの成果を水泡に帰しかねないような論理破たん、支離滅裂がみられたのが、この報告書の第四章「沖縄返還と有事の際の再持ち込み」の考察と結論である。







