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2011年2月18日

大野和興:平成の不平等条約TPP

農業記者として約40年間日本とアジアの農村を歩き続けた大野和興氏にインタビューを行いました。大野氏は国際的な視野で独自取材を重ね、国内議論にのぼらないTPPの問題点を指摘してきました。

90年代との社会変化、「中央 vs 地方」という対立軸、そしてネットでは見えてこない女性農村運動の広がりも必見です。

*   *   *   *   *

大野和興氏(ジャーナリスト)
「平成の不平等条約TPP」
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─大手メディアのTPP報道をどう見ていますか

読売新聞の「平成の開国」という特集の中で、TPPに反対するのは「国賊」であると経産省の言葉を掲載していました。「国賊」とは問答無用、「それを言っちゃあおしまいよ」という言葉です。日本一の部数を誇る読売新聞が看板企画でこのような言葉を使ったことが既成メディアの退廃を示していると思います。

─大手メディアは「経済界 vs 農業」の構図で報道し続けました

TPPは農業だけの問題ではなく、さらに農業界全体が反対しているわけでもありません。ジャーナリストの西沢江美子(にしざわ・えみこ)氏によると女性農業者の中でもTPP推進派がいると聞きます。主に農水省の路線で起業した人たちでTPPをきっかけによりいっそう売れると思っているようです。農業界の意見の割れ方を見れば、「経済界 vs 農業」の構図は古いと言えます。

全国紙と地方紙が1つの問題をめぐってこれほど対立することは珍しいという印象を受けており、今回のTPP問題は「中央 vs 地方」という対立軸があると思います。

─対立軸がかわった背景は

ひとつは「貧困」の社会問題化があると思います。

1980年代後半から90年代の日本はまだバブルの時代で、みんなが「それ行けドンドン」とうかれていました。労働組合でさえ銀座の行きつけの店で高いお酒を飲んでいた時代です。

しかし1990年代後半から「貧困」の問題が表に出てくるようになり、状況は変わりました。2001年以降の小泉政権時代に労働法制がかわり、規制緩和が進むと、年越し派遣村に代表される「貧困」が社会問題になりました。

─「反貧困ネットワーク」を始めとする反貧困の動きは全国に広がりました

地方では農業所得と農外所得の両面に問題が起こっています。

食糧管理法が生きていた1995年ぐらいまでは農家の収入となる米価は横ばいでした。かわって成立した新食糧法によって米価が市場によって決まる仕組みができ、それ以降は農家の収入は毎年1割ずつ減るような状態が続いています。90年代に2万円/60kgを超えていた農協からの仮払米価は、今年は9,000円です。

もっと深刻な問題は農外所得です。地方工場は海外に移転し、国内で残っている工場では賃金切り下げと「もっぱら派遣」が横行しています。

─「もっぱら派遣」とは

ある工場が自前の派遣会社をつくり、そこで採用したスタッフを自分の工場に派遣するのです。

ある東北の企業を例にあげます。そこは社員が1人、他は派遣スタッフという100人規模の企業です。雇用責任は総務部に置かれた別の派遣会社にあり、いつでもリストラできるという実にひどい雇用破壊が進んでいます。

地方農村を見ると、農業所得と農外所得の両側から貧困が迫っていることがわかります。

☆ ☆  食料高騰とTPP ☆ ☆

日本のTPP議論に欠けているのは、ニュージーランドやオーストラリアで取り上げられている論点です。それはTPPの決定事項が国内法や国内制度よりも優位に働く点です。

米国企業が日本に進出して問題を起こした場合、日本の法律で裁けなくなる可能性があります。例えば、モンサント(米国)が自社のGM(遺伝子組み換え)大豆を使った豆腐をつくって食品表示をしなかった場合、当然日本政府は国内法に照らして操業差し止めなどモンサントに罰則を与えられるはずです。しかしモンサント側は逆に国際機関に日本政府を訴えることができるようになります。そうなれば日本政府は保護しすぎだと罰せられ、米国企業に罰則金を払うことになります。

戸別所得補償のような国内セーフティーネットもTPPのもとでは違反の対象になってくるでしょう。

─外資企業に治外法権を認めるTPPですね

外資企業によって市場どころか生存権まで握られてしまいます。幕末の不平等条約そのものです。

─途上国にとってはメリットがあるのでしょうか

途上国の論調に変化が起こっています。WTOの前身であるGATT・ウルグアイラウンドで、途上国は欧米諸国への輸出が増える狙いで賛成側に回りました。しかし結果的には逆に輸入の増加を招き、途上国の間で「話が違うじゃないか」という声が上がりました。今のTPP問題を見ていると、当時の途上国と今の日本が重なってみえます。

─TPP参加の理由に「日本の輸出が増える」というものがありました

TPPの本質は米国の市場拡大であって、米国の尻ぬぐいにすぎません。米国は成長するアジア太平洋地域への市場拡大を狙っているだけです。

─逆に輸入農産物が増えれば、日本の食生活は国際価格に左右されることになります
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農水省「世界の食糧事情と農産物貿易の動向」より

天災の影響で穀物価格が世界的に上昇しています。大手メディアは穀物価格高騰報じながら、TPP、つまり食料自由化と結びつける論理がありません。

2008年の食料価格高騰は米国のリーマンショックと金融緩和政策が密接に絡んでいました。現在米国はそれ以上の金融緩和政策をとっており、大増刷されたドルは米国から海外に流れて食料市場への投機にまわっています。

また、中国は使い道がない米国ドルで世界の土地を買っています。

私はアジアの農村をまわっていますが、中国資本がカンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの農民を追い出してる現場を目にしてきました。米国発の過剰資本が生んでいる現象です。

☆ ☆ グローバリゼーションとどう向かい合うか ☆ ☆

─TPPと平行して、FTAやEPAなどの二国間協定が進んでいます

私は2003年に脱WTO草の根キャンペーンをつくり、活動してきました。貧困社会の増大、環境破壊の拡大でWTOが行き詰まってくると、二国間・地域間の自由貿易協定FTAが現れ、脱WTO"/FTA"草の根キャンペーンにして反対し続けました。しかし我々の運動自体の戦略も練り直す時期に来ていると思います。

私は今後の流れは「WTO改革」だろうと思います。WTOまで否定してしまうと身動きがとれません。とは言え今のWTOは強者の論理で動いており、医療や介護、食料、環境など基本的人権や生存権に関わる分野の自由化を規制化すべきと思います。

また、WTOは一種の法廷でもあります。現在は協定違反をすれば訴えられますが、基本的人権を重視する仕組みに変えて、もし権利を侵害されるような事態が起これば逆に訴えられるような法廷にすべきです。もう一度WTOに立ち返って協議するべきかと思います。

─WTOが実質機能しなくなった背景には、途上国の反対論と中国やインドなどの新興国の存在があると思います

その中国は国内で農民問題を抱えています。農業人口が減り、農業生産力が減り、輸入国へと転換しています。土地問題が内部で起こり、反乱が起こっています。

中国人民大学教授の温鉄軍氏が「三農問題」を取り上げています。中国共産党の中央委員会で問題提起して、党に「三農問題」というとらえ方を定着させた人です。「三農問題」とは、過小零細農の世界は農業、生活、共同体の3つの視点でとらえなければいけないという考えです。僕が20代の頃の記者時代は、農業経済はそういうとらえ方をするよう学んだものです。

60年代の農業基本法以降、日本は農家・農村の問題を農業問題としてしかとらえられていません。農業と暮らしと村を一緒にとらえないといけません。農業問題としてアプローチすると、どうしても規模拡大して生産性を上げることが解決策になってしまいます。

─大野さんは反グローバリゼーション運動を展開してきました

グローバリゼーションそのものは否定できなくなっています。今問題になるのは環境破壊や貧富の格差、基本的人権の侵害といった"グローバリゼーションによる暴力"です。スーザン・ジョージの「オルター・グローバリゼーション」にもつながるところですが、暴力を発揮させないようなグローバリゼーションにしていくことが大切かと思います。TPPについてもその視点から反対論を展開していきます。

─2月26日には国内の零細農家や消費者だけでなく、韓国からの農民も集まり、デモイベントが企画されています

「TPPでは生きられない!」と百姓が農協など既成の組織と関係なく自前で立ち上がり、呼びかけています。さらに、農業という枠内にとどまるのではなく、グローバリゼーションの中で苦しむ非正規労働者や中小零細事業者、野宿者などへ大きく「ともに」と呼びかけています。

そして女性の動きにも注目です。「反TPP百姓女性の会」では北海道から沖縄まで、全国の農村女性の間で回覧ノートがまわっています。回覧ノートを書いて、郵送で送るという戦後農村女性運動の手法です。FAXと電話と手紙が入り乱れ、暮らしの中から意見が集まっています。

小さい輪は、次第に広がってきています。

(取材日:2011年2月10日 構成:《THE JOURNAL》編集部・上垣喜寛)

【TPP関連記事】
中野剛志:TPPはトロイの木馬
山田正彦(元農水大臣):TPPは農業だけの問題ではない!
TPP報告書を公開!──"情報収集"とはいかほどのものか
TPP「開国」報道に"待った"の動き
続・世論調査の「TPP推進」は本当?地方議会の反対決議

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【プロフィール】大野和興(おおの・かずおき)
1940年愛媛県生まれ。農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」運営委員会代表、本誌ブロガー「大野和興の農業資料室

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【編集部よりお知らせ】
当たり前に生きたい、ムラでもマチでも TPPでは生きられない!座談会
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日時:2月26日(土)午後1時から
場所:東京千代田区神田駿河台、明治大学リバティータワー2階 1021教室
参加費:500円
内容:中野剛志・京都大学助教授の基調講演、韓国農民の報告、参加者の3分間スピーチ、キャンドルデモなどが予定されている。

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2011年1月19日

中野剛志:TPPはトロイの木馬──関税自主権を失った日本は内側から滅びる

TPP反対論を展開する中野剛志氏にインタビューを行いました。10月以降政府・大マスコミが「開国」論を展開する中、中野氏は「日本はすでに開国している」「TPPで輸出は増えない」「TPPは日米貿易だ」と持論を展開してきました。

TPPの問題点はもちろん、今までのメディアの動き、そしてインタビューの後半には、TPP議論の中で発見した新たな人々の動きについても触れていただきました。

*   *   *   *   *

中野剛志氏(京都大学大学院助教)
「TPPはトロイの木馬」
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TPP問題はひとつのテストだと思います。冷戦崩壊から20年が経ち、世界情勢が変わりました。中国・ロシアが台頭し、領土問題などキナ臭くなっています。米国はリーマンショック以降、消費・輸入で世界経済をひっぱることができなくなり、輸出拡大戦略に転じています。世界不況でEUもガタがきていて、どの国も世界の需要をとりにいこうとしています。1929年以降の世界恐慌と同様に危機の時代になるとどの国も利己的になり、とりわけ先進国は世論の支持が必要なので雇用を守るために必死になります。

このような厳しい時代には、日本のような国にもいろいろな仕掛けが講じられるでしょう。その世界の動きの中で日本人が相手の戦略をどう読み、どう動けるかが重要になります。尖閣、北方領土、そしてTPPがきました。このTPP問題をどう議論するか、日本の戦略性が問われていたのですが、ロクに議論もせずあっという間に賛成で大勢が決してしまいました。

─TPPの問題点は

昨年10月1日の総理所信表明演説の前までTPPなんて誰も聞いたことがありませんでした。それにも関わらず政府が11月のAPECの成果にしようと約1ヶ月間の拙速に進めたことは、戦略性の観点だけでなく、民主主義の観点からも異常でした。その異常性にすら気づかず、朝日新聞から産経新聞、右から左まで一色に染まっていたことは非常に危険な状態です。

TPPの議論はメチャクチャです。経団連会長は「TPPに参加しないと世界の孤児になる」と言っていますが、そもそも日本は本当に鎖国しているのでしょうか。

日本はWTO加盟国でAPECもあり、11の国や地域とFTAを結び、平均関税率は米国や欧州、もちろん韓国よりも低い部類に入ります。これでどうして世界の孤児になるのでしょうか。ではTPPに入る気がない韓国は世界の孤児なのでしょうか。

「保護されている」と言われる農産品はというと、農産品の関税率は鹿野道彦農水相の国会答弁によればEUよりも低いと言われています。計算方法は様々なので一概には言えませんが、突出して高いわけではありません。それどころか日本の食糧自給率の低さ、とりわけ穀物自給率がみじめなほど低いのは日本の農業市場がいかに開放されているかを示すものです。何をもって保護と言っているかわかりません。そんなことを言っていると、本当に「世界の孤児」扱いされます。

「TPPに入ってアジアの成長を取り込む」と言いますが、そこにアジアはほとんどありません。環太平洋というのはただの名前に過ぎません。仮に日本をTPP交渉参加国に入れてGDPのシェアを見てみると、米国が7割、日本が2割強、豪州が5%で残りの7カ国が5%です。これは実質、日米の自由貿易協定(FTA)です。

TPPは"徹底的にパッパラパー"の略かと思えるぐらい議論がメチャクチャです。

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ニュージーランド、ブルネイ、シンガポール、チリの4加盟国+ベトナム、ペルー、豪州、マレーシア、米国の5参加表明国に日本を加えたGDPグラフ。日本と米国で9割以上を占める。(国連通貨基金(IMF)のHPより作成(2010年10月報告書))

─菅首相は10月当初、TPPをAPECの一つの成果とするべく横浜の地で「開国する」と叫びました

横浜で開国を宣言した菅首相はウィットに富んでいるなと思いました。横浜が幕末に開港したのは日米修好通商条約で、これは治外法権と関税自主権の放棄が記された不平等条約です。その後日本は苦難の道を歩み、日清戦争、日露戦争を戦ってようやく1911年に関税自主権を回復して一流国になりました。中国漁船の船長を解放したのは、日本の法律で外国人を裁けないという治外法権を指します。次にTPPで関税自主権を放棄するつもりであることを各国首脳の前で宣言したのです。

APECでは各国首脳の前で「世界の孤児になる」「鎖国している」と不当に自虐的に自国のイメージをおとしめました。各国は日本が閉鎖的な国だと思うか、思ったフリをするため、普通は自国の開かれたイメージを大切にするものです。開国すると言って得意になっているようですが、外交戦略の初歩も知らないのかなと。すでに戦略的に負けています。

世界中が飢餓状態にある今、世界最大の金融資産国である日本を鵜の目鷹の目で狙っています。太ったカモがネギを背負って環太平洋をまわっているわけで、椿三十郎の台詞にあるように「危なっかしくて見てらんねえ」状態です。

─TPPは実質、日米の自由貿易協定(FTA)とおっしゃいましたが、米国への輸出が拡大することは考えられませんか

残念ながら無理です。米国は貿易赤字を減らすことを国家経済目標にしていて、オバマ大統領は5年間で輸出を2倍に増やすと言っています。米国は輸出倍増戦略の一環としてTPPを仕掛けており、輸出をすることはあっても輸入を増やすつもりはありません。これは米国の陰謀でも何でもないのです。

オバマ大統領のいくつかの発言(※1)を紹介します。11月13日の横浜での演説で輸出倍増戦略を進めていることを説明した上で、「...それが今週アジアを訪れた大きな部分だ。この地域で輸出を増やすことに米国は大きな機会を見いだしている」と発言しています。この地域というのはアジアを指しており、TPPのGDPシェアで見れば日本を指しています。そして「国外に10億ドル輸出する度に、国内に5,000人の職が維持される」と、自国(米国)の雇用を守るためにアジア、実質的に日本に輸出するとおっしゃっています。

米国の失業率は10%近くあり、オバマ政権はレームタッグ状態です。だからオバマ大統領はどこに行っても米国の選挙民に向けて発言せざるを得ません。

「巨額の貿易黒字がある国は輸出への不健全な異存をやめ、内需拡大策をとるべきだ」とも言っています。巨額の貿易黒字がある国というのは、中国もですけど日本も指しています。そして「いかなる国も米国に輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と続けています。TPPでの日本の輸出先は米国しかなく、米国の輸出先は日本しかない、米国は輸出は増やすけれど輸入はしたくないと言っています。

米国と日本の両国が関税を引き下げたら、自由貿易の結果、日本は米国への輸出を増やせるかもしれないというのは大間違いです。米国の主要品目の関税率はトラックは25%ですが、乗用車は2.5%、ベアリングが9%とトラック以外はそれほど高くありません。日米FTAと言ってもあまり魅力がありません。

─中国と韓国がTPPに参加するという話が一部でありました

中国は米国との間で人民元問題を抱えています。為替操作国として名指しで批判されています。為替を操作するということは貿易自由化以前の話ですから、中国はおそらく入りません。韓国はというと、調整交渉の余地がある二国間の米韓FTAを選択しています。なぜTPPではなくFTAを選んだかというと、TPPの方が過激な自由貿易である上に、加盟国を見ると工業製品輸出国がなく、農業製品をはじめとする一次産品輸出国、低賃金労働輸出国ばかりです。韓国はTPPに参加しても利害関係が一致する国がなく、不利になるから米韓FTAを選んでいるのです

日本は米国とFTAすら結べていないのに、もっとハードルが高く不利な条件でTPPという自由貿易を結ぼうとしています。戦略性の無さが恐ろしいです。

<関税はただのフェイント 世界は通貨戦争>

米国は輸出倍増戦略をするためにドル安を志向しています。世界はグローバル化して企業は立地を自由に選べるので、輸入関税が邪魔であればその国に立地することもできます。現に日本の自動車メーカーは米国での新車販売台数の66%が現地生産で、8割の会社もあります。もはや関税は関係ありません。それに加えて米国は日本の国際競争力を減らしたり、日本企業の米国での現地生産を増やしたりする手段としてドル安を志向します。ドル安をやらないと輸出倍増戦略はできません。

日米間で関税を引き下げた後、ドル安に持って行くことで米国は日本企業にまったく雇用を奪われることがなくなります。他方、ドル安で競争力が増した米国の農産品が日本に襲いかかります。日本の農業は関税が嫌だからといって外国に立地はできず、一網打尽にされるでしょう。グローバルな世界で関税は自国を守る手段ではありません。通貨なんです。

─関税の考え方をかえる必要がありそうです

米国の関税は自国を守るためのディフェンスではなく、日本の農業関税という固いディフェンスを突破するためのフェイントです。彼らはフェイントなどの手段をとれるから日本をTPPに巻き込もうとしているということです。

─農業構造改革を進めれば自由化の影響を乗り越えられるという意見はどう思いますか

みなさんはTPPに入れば製造業は得して農業が損をすると思っているため、農業対策をすればTPPに入れると思うようになります。農業も効率性を上げればTPPに参加しても米国と競争して生き残れる、生き残れないのであれば企業努力が足りない、だから農業構造改革を進めよと言われます。

それは根本的に間違いだと思います。関税が100%撤廃されれば日本の農業は勝てません。関税の下駄がはずれ、米国の大規模生産的農業と戦わざるを得なくなったところでドル安が追い打ちをかけます。さらに米国は不景気でデフレしかかっており、賃金が下がっていて競争力が増しています。関税撤廃、大規模農業の効率性、ドル安、賃金下落という4つの要素を乗り越えられる農業構造改革が思いつく頭脳があるなら、関税があっても韓国に勝てる製造業を考えろと言いたいです。

自由貿易は常に良いものとは限りません。経済が効率化して安い製品が輸入されて消費者が利益を得ることは、全員が認めます。しかし安い製品が入ってきて物価が下がることは、デフレの状況においては不幸なことなのです。デフレというものは経済政策担当者にとって、経済運営上もっともかかってはいけない病だというのが戦後のコンセンサスです。物価が下がって困っている現状で、安い製品が輸入されてくるとデフレが加速します。安い製品が増えて物価が下落して影響を受けるのは農業だけではありません。デフレである日本がデフレによってさらに悪化させられるというのがこのTPP、自由貿易の問題です。

農業構造改革を進めて効率性があがった日には、日本の農家も安い農産物を出荷してしまうことになり、さらにデフレが悪化します。デフレが問題だということを理解していれば、構造改革を進めればいいなんて議論は出てきません。

こういう議論をすると「農業はこのままでいいのか」ということを言い出す人がいます。しかし、デフレの時はデフレの脱却が先なのです。インフレ気味になり、食料の価格が上がるのは嫌なので農業構造改革をするということはアリだと思います。日本は10年以上もデフレです。デフレを脱却することが先に来なければ農業構造改革は手をつけられません。

例えばタクシー業界が競争原理といって規制緩和の構造改革をしました。デフレなのに。その結果、供給過剰でタクシーでは暮らせない人が増えて悲惨なことになりました。今回は同じ事が起ころうとしています。

─TPP参加のメリットを少しだけ...

デメリットは山ほどありますが、メリットはないんです。

米国が輸出を伸ばし日本が輸入を増やして貿易不均衡を直すこと自体は、賛成です。ところが、関税を引き下げて輸入をすると物価が下がるので、日本はデフレが悪化します。経済が縮小するので、結局輸入は増えません。農産品が増えれば米国の農業はハッピーですが、トータルで輸入は増えません。

本当は日本がデフレを脱却して経済を成長させれば、日本の関税は低いんだから輸入が増えるんです。実際に米国はそれをしてほしかったのです。ガイトナー財務長官は昨年6月、日本に内需拡大してくれという書簡を送りました。ところが日本は財政危機が心配だと言って財政出動をしないので、内需拡大をしようとせずに輸出を拡大しようとするので、米国は待ち切れずにTPPに戦略を変えたのでしょう。米国は「とりあえずTPPを進めれば農業は儲かるからいいや」となったのでしょう。

デフレを脱却し、内需を拡大し、経済を成長させれば、関税を引き下げることなく輸入を増やすことができます。環太平洋やアジアの地域は、例えば韓国がGDPの5割以上、中国も3割以上が輸出に頼っており、シンガポールやマレーシアに至ってはGDPよりも輸出が多いです。つまり輸出依存度が高く、その輸出先となっていた米国が輸入したくないと言っているので環太平洋・アジアの国々は困っていることと思います。

今、東アジアが調子が良いのは、資金が流入してバブルになっているからで、本当はヤバイ状況です。環太平洋の国々は経済不況に陥った米国やEUに代わる輸出先を探しています。日本は世界第2位のGDPがあり、GDPにおける輸出の比率は2割以下という内需大国です。その日本が内需を拡大して不況を脱し、名目GDP3%程度の普通の経済成長をしたとすれば、環太平洋の国々は欧米で失った市場の代わりを日本に求めることができるので、本当の環太平洋経済連携ができます。これなら、どの国も不幸になりません。

─あえてTPPを推進する狙いをあげれば、TPP事態は損だとしても今後FTAやEPAなど二国間貿易を進めるきっかけにしたいということなのでしょうか

それも無理筋ですね。自由貿易を進めている国として韓国をあげ、日本はFTAで韓国に遅れをとっているという論調があります。しかしFTAは、一つ一つ戦略的に見ていくべきもので、数で勝ち負けを判断すべきではありません。韓国はGDPの5割以上が輸出で得ており、自由貿易を進めなければ生きていけません。韓国人はやる気があるとか、外を向いているとかいった精神論ではありません。しかし、自由貿易は格差を拡大するものであり、それが進んでしまったのが韓国なのです。

韓国がなぜ競争力があがったかのでしょうか。韓国はこの4年間で円に対するウォンの価値が約半分になっている。韓国の競争力が増したことはウォン安で十分説明できます。日本がTPPで関税を引き下げてもらったとしても、韓国のウォンが10%下がれば同じ事ですし、逆にウォンが上がれば関税があっても十分戦えます。

グローバル化の世界は関税じゃなく通貨だということがここでも言えます。なんで全部農業にツケをまわすんだと言いたいです。とっちにしたって世界不況ですから海外でモノは売れませんよ。失業率が10%の米国で何を売るんですか。

<TPP議論の女性の反応>

─中野さんがおっしゃるような問題点が出されないままに大マスコミが一斉に推進論を展開し、有識者も賛成論がほとんどでした

外国から見ればこんなにカモにしやすい相手はいません。環太平洋パートナーシップ、自由貿易、世界平和など美しいフレーズをつければ日本人はイチコロなんです。

なぜこんなにTPPが盛り上がってしまうのでしょうか。TPPは安全保障のためだという人がいますが、根本的な間違いです。まずTPPは過激な自由貿易協定に過ぎません。軍事協定とは何の関係もありません。

米国はかつての黒船のように武力をちらつかせたり、TPPに入らなければ日米安全保障条約を破棄するなどと言ったりしていません。日米同盟には固有の軍事戦略上の意義があり、経済的な利益のために利用するためのものではありません。さすがに米国でもTPPで農産物の輸出を増やしたいので、その見返りに日本を命をかけて守れと自国の軍隊を説得できませんよ。TPPを蹴ったから日本の領土が危なくなるなんてことはありません。

それにも関わらず日本が勝手にそう思い込んでいるのです。尖閣や北方領土の問題を抱え、軍事力強化は嫌だなと思っているときにTPPが浮かび上がってきて、まさに「溺れる者は藁をもつかむ」ようにTPPにしがみつきました。でもこれにしがみついたって何の関係もないです。もし米国が日米同盟を重視していないのであれば、TPPに入ったって日本を守ってくれません。

その中で無理に理屈をつけようとするから、アジアの成長だの農業構造改革だのと後知恵でくっつけるからきわめて苦しくなるのです。TPP参加論は、単なる強迫観念です。

─推進派が根拠にしているのは経産省が算出したデータです(※2)。どこまで信用できるものなのでしょうか

経産省はTPPに入らなければ10兆円損をするというデータを発表しました。その計算方法は、日本がTPPに入らず、EU、中国とFTAを締結せず、韓国が米国、韓国、EUとFTAを結び発効した場合は10兆円の差が出るというものです。

なぜ中国とEUを入れているのでしょうか。おそらくTPPに加盟しても本当は経済効果がないことがわかったからでしょう。反対派の農水省と賛成派の経産省は数の大きさで争っているので、試算自体に水増しがあります。もっと言えば、なぜTPPとFTAが混ざった試算をするのかが疑問です。日本がTPPで韓国がFTAと試算していることを見れば、韓国がTPPに興味がないことを政府が知っていることがわかります。こんな不自然な試算を見ていると、TPP参加の理屈をつけるのはさぞかし大変だっただろうなと同情したくなります。

─理屈が通らずに「平成の開国」というフレーズに飛びついた

「黒船の外圧でも、幕末・明治は変にナショナリスティックにならなかったからうまくいき、戦後はGHQによって屈辱的に占領されたものの日米安保を結び平和になり経済が繁栄した」ということをみんなが思っているから、今回も「開国」と聞いた瞬間に飛びついたのではないでしょうか。それまでは尖閣の問題できわめて「攘夷」の雰囲気がありましたから「開国」のフレーズに心理が動いたのでしょう。

しっかりと考えて欲しいのは、幕末・明治の開国がそのイメージと違うことです。富国強兵をして戦争に進み、関税自主権の回復を目指した、つまり開国した後の日本は独立国家になるために戦い抜いた歴史があるんです。それ以前に開国したのは江戸幕府であり、外圧になすすべなく国を開いた幕府の方が倒されたんだよ、と。そこからしてもう歴史観が間違っているんです。

─TPPの議論は「思考の停止」が起きているように見えました

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議論が複雑でやっかいかもしれませんが、せめてGDP比を見て「TPPは日米貿易に過ぎない」とか、米国が輸出拡大戦略をとろうとして輸入しないようにしているということぐらい知ってもらわないと、戦略を立てようがありません。推進派の人たちが国を開けとか、外を向けとか言っていますが、本当に外を向けば、TPPでは何のメリットもないことがわかるんです。そういう意味では推進派の頭の方が鎖国しています。

この程度の議論は、私みたいな若輩者が言わなくても、偉い先生が言うべきなのに誰も声を上げません、もはや民主主義国家じゃないですよ。

─「反対」はもちろん「わからない」と言いづらい雰囲気がありました

一般の人の方が正常な感覚を持っていたのですが、偉い先生が賛成しているから反対する自信がなかったんだと思います。それこそ下級武士が目を覚ませということで、それにかけるしかない状況です。

私は今回のTPPを見ていて女性の反応に驚きました。男どもが開国ごっこ、龍馬ごっこをやっていて、その安っぽいロマンチシズムのせいで自分たちの大事なものが奪われるかもしれないと不安に思っているのでしょうか。

「明治の開国は関税自主権の回復であり今回はそれを放棄しようとしている」と言うと、多くの女性がまさにその通りと言ってくださいました。女性の方が戦略性というものには敏感なんでしょう。

─日本史を教えている高校教師が「幕末・明治の開国を教えるときは、1911年・小村寿太郎をセットにして教えるほど関税自主権は基本的で大事なこと」と言いました。関税をゼロにするという話に飛びついた政府やマスコミは歴史に何を学んでいるのか疑いたくなります

幕末の開国はペリーが武力で迫ったものですが、今回はそんなことはありません。世界第2位のGDPがあり、何度も言っているようにすでに開国しています。なぜ自爆しようとするのでしょうか。こんな平成の開国の歴史を、僕らの子どもや孫にどうやって教えますか。雰囲気で決めるようなこの時代を、将来、歴史の教科書でどう教えるのですか。

─私は欧米に輸出している液晶モニターメーカーの営業経験がありますが、社員の関税に対するイメージが悪かった思い出があります。EUが関税を引き上げる度に域内の製品価格が上がり売上やマーケットに直結するため非常にセンシティブになります。関税に対するイメージの悪さが、関税撤廃を後押しする雰囲気につながっていることはありませんか

あるかもしれませんね。EUは関税が高いし、戦略的に関税をつかっていますし、そもそもEUはそのための関税同盟です。でも思いだして欲しいのは、TPPはEUと関係ないんです。日本はEUとFTAを進めたいけどフラれています。それはEUにとって得にならないからです。どの国もひとつひとつ損得を考えて進めているんです。

<迫り来る食糧危機と水不足>

─結局TPPで困る人は?

国民全体です。農業界だけじゃありません。あるいは日本でデフレが進行すれば日本が輸入しなくなり、世界全体も困ります。

心配なのは食料価格の上昇です。世界各国がお金をジャブジャブに供給していて、お金の使い道がないから金や原油の価格が上がっています。食料価格は豪州は洪水と干ばつなどの影響ですでに上昇しており、投機目的でお金が流れてくるとさらに上がることが予想されます。

─TPPの問題は家庭の食卓にも迫ってくるわけですね

1970年代の石油危機がありましたよね。石油の問題はみなさん心配されますが、石油よりも危険なのは食料です。中東の石油は生産量のほとんどを輸出用に回していて、外国に買ってもらわないと経済が成り立たないため、売る側の立場は意外と弱いものです。ところが穀物の場合は、輸出は国内供給のための調整弁でしかなく、不作になれば売らないと言われかねません。

穀物はまず国内を食わせて余剰分を輸出します。当然不作になれば輸出用を減らして国内へまわすものです。もともと農業は天候に左右されるため量と価格が変動しやすく、特に輸出用は調整弁なので変動が大きいのです。変動リスクが大きいから、穀物の国際先物市場が発達したのです。

日本のトウモロコシはほぼ100%米国に依存しているので、僕らは米国の調整弁になっているということです。不作になったら安く売ってもらえなくなります。そのトウモロコシの大生産地である中西部のコーンベルトで起こっていることが、レスター・ブラウンが警告する地下水位の下落です。水不足の問題です。

米国は水不足がわかっているから、ダムのかさ上げ工事を始めています。例えばサンディエゴ市に水を供給するダムは、将来の水不足に備えて市民の1年分の水が追加的に貯められるようになる計画が進められています。米国のフーバーダムひとつで、日本の約2,700のダムの合計貯水量を上回ります。ところが日本は「ダムはムダ」とか言っています。世界が水不足になる中で、日本の水源地はどんどん買われていると聞きます。本当におめでたい国です。

このようにして国は外からでなく内側から滅びるんです。カルタゴを始め、歴史上別に滅びなくてもいいような国がバカをやって滅んでいきました。日本もそういうサイクルに入ったということかもしれませんね。

欧州では「トロイの木馬」の教訓があります。それは「外国からの贈り物には気をつけよう」という言い伝えです。外国から贈り物を受け取るときはまず警戒するものですが、日本はTPPという関税障壁を崩すための「トロイの木馬」を嬉々として受け入れようとしているのです。

<TPP問題の側面にある世代抗争>

こんな状況が広がっている中で、TPP推進派が「日本には戦略が必要だ」と言いながら米国に依存しようとしています。

米国の庇護の下で経済的な豊かさだけを追って、何をしても成功し、ちょっとバカをしても大した損はしなかった世代の人々が90年代以降に企業や政府のトップになり、それ以降日本のGDPが伸びなくなりました。この世代の人たちが「日本の改革のためには外圧が必要だ」「閉塞感を突破するためには刺激が必要だ」という不用意な判断をするので、ものすごい被害を及ぼすことになるのです。

例えば日本は13年連続3万人の自殺者がいます。その前までは、日本は先進国の中でも自殺率が低い国として有名でした。バカなことをすると一気に転げ落ちてしまうんだという真剣さに欠けている人たちが、今の日本を牛耳っているんです。「最近の若者は元気がない」と言う人たちが元気だったのは、彼らが若いころはバブルだったからです。愛読書は「坂の上の雲」と「竜馬が行く」のこの世代は、「開国」と聞くと条件反射的に興奮するようです。

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先日朝日新聞社から団塊の世代の方がインタビューに来た時に、彼らの世代の口癖を指摘しました。このままでは日本が危ないという話をすると必ず「そんなことでは日本は壊れない」という口癖です。しかし、日本はもうすでに壊れているんです。政界はもちろん、私も含めた官僚、財界そして知識人は、毎年3万人の自殺者の霊がとりついていると思うぐらいの責任感をもって、もっと真剣に国の行く末を考えないといけません。

私は1996年に社会人になり、以来、一度も名目GDPの成長を経験していません。私より下の世代はもっとひどい。この世代は「いい加減にしろ」という気持ちになっているのでしょうけど、へたっている上、少子高齢化で上の世代が多すぎて声が出ないんです。でも「最近の若者は元気がない」などと偉そうに言わせてる場合じゃないんです。

今回は地べたを耕している農家、ドブイタ選挙をやっている政治家、女性、この人たちの「危ない!」と思った直感を大切にしなければいけません。全体が賛成派の中で黙っていた人、発言の機会さえ与えられていない人、真剣に生きている人たちに声を上げてもらいたいと思います。(了)

※インタビューの内容は中野氏個人の見解です。

2011年1月14日《THE JOURNAL》編集部取材&撮影 

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2010年10月22日

【インタビュー】和嶋未希:今でも続く陳情という名の大名行列

「数万円の交通費を出し、泊まり、食事をしに来る陳情が東京の"一大産業"と言われ、いまだに続いています」

2、30人の団体が国会議員の部屋を訪れる。そんな地方自治体の陳情について、和嶋未希(わじま・みき)衆院議員は「ナンセンスだ」ときっぱり答えた。

「届ける相手が不在でも構わないのです。とにかく陳情したという事実だけが大切なんです」

2009年の政権交代以降も未だに続く陳情システムは単なるパフォーマンスにすぎないと批判する。お上の意向を伺うような陳情をやめ、地方自治体が自分達で予算を作り物事を決定することが本当の地域主権への道であり、民主党政権だからこそ実現できると《THE JOURNAL》取材班に訴えた。

【第38回】政治家に訊く:和嶋未希
http://www.the-journal.jp/contents/politician/2010/10/post_5.html

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2010年9月17日

【インタビュー】玉城デニー:菅政権に普天間問題は1%も期待していない

「小沢氏587票、菅氏212票」(※)

沖縄県の党員・サポーター票は、小沢氏への支持で固まっていた。「日米合意を踏まえて沖縄の負担軽減に全力を尽くす」(代表選直後の菅首相の記者会見)という3ヶ月間変わらない菅政権の基地政策に対して、沖縄は「ノー」を突きつけた。

菅政権はこのメッセージをどう受け止めるのか。

12日の名護市議会選挙では基地移設反対派が圧勝し、市長と市議会による「反対」スクラムが組まれることになった。名護市の現状や、11月に控える沖縄県知事選に向けた民主党の動きについて、名護市を選挙区に持つ玉城デニー衆院議員にインタビューした。

玉城氏は「菅政権に普天間問題は1%も期待していない」と批判し、今後菅政権に期待することや、問題に対する自身の取り組み方についても語ってくれた。

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2010年9月12日

【インタビュー】石川知裕:検察の焦り─鈴木宗男上告棄却と村木裁判の関係性

 受託収賄の罪などに問われた鈴木宗男(すずき・むねお)議員は9月10日、上告を退けた最高裁判所の決定に対し、異議を申し立てました。申し立てが退けられれば、鈴木議員は懲役2年の実刑が確定し、今後、収監されます。

 鈴木宗男氏上告棄却のタイミングや、村木裁判との関係性、鈴木宗男氏が世の中に与えた影響について、鈴木氏と同じ足寄町出身の石川知裕(いしかわ・ともひろ)議員に語っていただきました。

「今後鈴木氏に対して我々は何ができますか」との質問には、先日まで拘置所に入っていた石川氏ならではの意外な答えが待っていました。ぜひご覧下さい。

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2010年9月10日

[インタビュー]郷原信郎:鈴木宗男議員上告棄却の意図的なタイミング

 最高裁は受託収賄の罪に問われた鈴木宗男(すずき・むねお、62)衆院議員の上告棄却を決定した。

 なぜ最高裁は民主党代表選を来週に控えたこのタイミングで上告棄却を決定したのか。郷原信郎氏にはニュースを聞いた瞬間の感想とともに、今のタイミングで決定した要因を聞いた。映像の後半の「鈴木議員へのメッセージ」は必見です!

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2010年9月 4日

[インタビュー]郷原信郎:「政治とカネ」を代表選の争点にするな!

[前編]

[後編]

民主党代表選の「争点」について、名城大学教授・コンプライアンス研究センター長:郷原信郎(ごうはら・のぶお)氏が、その問題点を指摘。

今回も、"ノーカット"で配信します。

2010年9月3日、コンプライアンス研究センター:《THE JOURNAL》編集部取材&撮影

2010年8月 3日

東祥三:小沢一郎の時代は本当に終わったのか?

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2010年7月16日

<インタビュー>岸裕司:「新しい公共」を問う─学校を365日開放してスクール・コミュニティを目指そう!

【「新しい公共」と日本の将来ビジョン 】

「新しい公共」がつくり出す社会は「支え合いと活気がある社会」である。すべての人に居場所と出番があり、みなが人に役立つ歓びを大切にする社会であるとともに、その中から、さまざまな新しいサービス市場が興り、活発な経済活動が展開され、その果実が社会に適正に戻ってくる事で、人々の生活が潤うという、よい循環の中で発展する社会である...

─(「新しい公共」宣言(H22.6.4)より引用)─

 鳩山内閣総辞職の直前にまとめられた「新しい公共」宣言は鳩山氏肝いりの政策テーマで、菅政権にも引き継がれた。「理念的で現実がともなっていない」と批判され続けた鳩山元首相のもとで、新しい公共の形づくりは進んでいたのか。

 千葉県で唯一のコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)指定校である習志野市秋津小学校を拠点に、住民だれでもが参画できる生涯学習のまちづくりを実践してきた秋津コミュニティ顧問・岸裕司(きし・ゆうじ)氏に「新しい公共」に関わる地域や学校の課題を聞いた。

 *   *   *   *   * 

岸裕司氏(秋津コミュニティ顧問)
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──岸さんが運営している秋津コミュニティは「新しい公共」の先駆けとなる現場だと思います。学校の授業や施設を地域住民に開放し、そこを拠点に子どもから年配の方までが活動しています。学校が「居場所」であり、生涯学習の場になっていますね。

 僕らの取り組みは、いつでもどこでもだれでも学べる生涯学習の学校づくりです。

 改定教育基本法の第3条には「生涯学習の理念」が謳われ、その後に学校教育や社会教育が続いています。つまり教育目標の第1に生涯学習社会の実現が位置づけられたのです。

 2009年11月鳩山政権当時、政府に呼ばれて意見を出しに行きました。すでに秋津コミュニティに「生涯学習の理念」の実践例があることを話しました。既存の学校の授業と施設を開放すれば、身近な学校で十分生涯学習の推進効果があるということを説明しました。

──昨年政権が自民党から民主党へ変わりました。変化は感じられましたか?

 11月の説明で印象的だったのは横に座っている官僚たちです。2時間発言せずに座っていました。意見を求められないわけですから当然ですけどね。

──大臣の前に官僚が資料やデータをさっと出すような仕草もなかったのですか

 川端達夫文科大臣や鈴木寛文科副大臣は自信満々で、官僚の方を見向きもしませんでした。報道で聞いているのとは違い、政治主導の決意を目の当たりにした瞬間でした。

──「脱官僚主導」「脱中央集権」は進んでいるということですか

 その一方で地方自治体は変わっていません。

 国会で法律がつくられると、法律の所轄の中央省庁におりてきます。2004年に法制化されたコミュニティ・スクールの場合、文科省におりてくると理念が薄まり、さらに地方自治体までおりると文科省の顔色を伺うようになります。つまり地域に近づくにつれて理念が矮小化される傾向があります。

──地域に近い地方自治体の進むスピードが遅いのですね。

 例えば地方自治体がコミュニティ・スクールの規則をつくる際に、地域に合わせて独自につくればいいのに文科省の例示を真似てしまいます。自分たちの独自性を出すことに躊躇してしまうようです。

「指導行政」という言葉があります。それは文科省が都道府県を指導し、都道府県が市区町村の教育委員会を指導し、市区町村の教育委員会が学校現場の教員を指導するという明治時代からの一貫した上意下達の「指導」のあり方です。

 コミュニティ・スクールは生徒や保護者・地域住民が委員になれます。その委員に対して教育委員会が「指導・助言」という文言でコントロールするように規則で縛るケースが多いのです。

 なぜ保護者や地域住民が教育委員会に指導されなければいけないのでしょうか。指導されたくないですし、逆に法制化の理念を教えてあげたいぐらいです。

──今後のキーワードは

 コミュニティ・スクールが法律になったのは、まさに地域主権と民主主義を築くためです。

 約140年まったくタッチできなかった学校の人事にもようやく関与できるようになりました。納税者市民が教員の人事に意見できるようになったのは画期的で、実際に秋津小学校では教員を1人増やしてもらいました。

 今後のキーワードは「子どもとともに」です。「子どものために」「学校のために」「教育のために」と言っていると、いつまでたっても地域は学校や教員の下請け役から脱却できません。学校を365日開放し地域住民による自主運営型の生涯学習学校に変えれば、大人にもメリットが出てくるのです。

 こういうあり方の秋津モデルを、スクール・コミュニティと呼び、学校運営改革を意図するコミュニティ・スクールの上位と感じています。

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2010年7月10日

<インタビュー>神保哲生:参院選マニフェストを分析する──日本は増税・再配分二大政党制になった

政権交代が最大の争点だった昨年夏の衆院選では、全国各地でマニフェスト(政権公約)の冊子がなくなる現象が起こり、有権者が投票先を決めるため大きな要素の1つとなった。今回の参院選では、与野党ともに似通った政策が並び、明確な違いが見えにくくなっている。

昨年と今回の政権公約に見える変化や、その変化の背景について、ジャーナリストでビデオニュース・ドットコム代表の神保哲生さんに話をうかがった。

 *   *   *   *   * 

神保哲生氏(ビデオニュース・ドットコム代表) jimbo100630_1.jpg

──民主党のマニフェストを読んで、どのように感じましたか

「民主党らしさがことごとく落ちた」という印象を持ちました。マニフェストのとりまとめをした民主党の細野豪志さんは「現実的なものを並べた」と言っていますが、「現実的」という言葉の意味は「容易に実現可能」と「実現は困難だが、それを掲げて現実的な対応をする」では意味が異なります。今回の民主党のマニフェストは反対意見が少なそうな公約が多く、「現実的」が「物議をかもさない」「支持率に影響しない」という意味になっているように感じます。

──民主党と自民党のマニフェストの違いは

もともと民主党は、その結党宣言からして、欧州型の社会民主主義的な再分配を通じた公平・公正な社会の構築と機会均等を目指すことを掲げる政党です。党内にその理念と相容れない政治家も一部いるようですが、政党としての理念は、結党宣言を見ても政策集を見ても、社民主義的な再分配政党にその要諦があることははっきりしています。

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<インタビュー>渡瀬裕哉:「争点すり替え選挙」を読み解く

 参院選挙は明日11日に投開票日を迎え、昨年9月に発足した民主党政権が初めて国民の審判を受ける。候補者の選挙活動はラストスパートに突入し、全国各地で街頭演説が繰り広げられている。

 候補者がいっせいに最後の「お願い」に奔走する一方で、有権者の反応はまちまちだ。政権交代が争点となった昨年の衆院選に比べ、有権者の盛り上がりは感じられない。

 本誌編集部はInfoseek内憂外患編集部と共同で、選挙プランナーの渡瀬裕哉さんにインタビューし、今回の参院選が盛り上がらない理由や、選挙戦に勝利するための極意などをうかがった。

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渡瀬裕哉氏(選挙プランナー) watase100707.jpg

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2010年6月24日

《インタビュー》藤原和博:「天下り根絶」以後の官僚が生きる道

 先週各党が発表した政権公約には「天下り廃止」の文言が並んだ。

 官僚の天下り根絶など公務員制度改革をアピールして政権交代を果たした民主党は、2010年度予算の無駄を洗い出すために「事業仕分け」を行ってきた。省庁や公益法人のずさんな経営実態、天下りの構図を明らかにし、賛否両論さまざまな議論を巻き起こした。

 今回は実際に「事業仕分け」に参加し、評価者として官僚の天下りにメスを入れた元杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏にインタビューした。

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2010年6月 7日

《出演者インタビュー》嵐の中の⇒嵐の中だった小鳩政権!! ~ニッポンは何を守ろうとしているのか!?:宮崎学

 6月8日18:30ごろから生中継するシンポジウム「嵐の中の⇒嵐の中だった小鳩政権!! ~ニッポンは何 を守ろうとしているのか!?」。このパネラーであり、フォーラム神保町の発起人の一人でもある作家・宮崎学(みやざき・まなぶ)氏に見所を語ってもらった。

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高野孟:菅内閣発足へ!新首相は鳩山氏の"想い"を継承するのか!?

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2010年6月 4日

《緊急インタビュー》喜納昌吉:鳩山総理辞任と沖縄のゆくえ


《インタビュー映像(再生時間:6分25秒)》

 「残念なことに、私たち政権与党の姿が国民の心に映っていません」「その原因を2つだけ申し上げます。1つは普天間の問題でしょう」

 6月2日に鳩山総理は最後の演説を行い、8ヶ月半の鳩山内閣退陣を表明した。退陣の理由の1つに上げたのは、普天間基地移設問題だった。

 本誌取材班は沖縄県連代表として政府と最後まで交渉してきた喜納昌吉(きな・しょうきち)氏をインタビューした。

 鳩山総理の辞任は喜納昌吉氏の目にはどう映ったのか。そして今後、沖縄の基地問題の道筋は描けているのか。

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2010年4月11日

《映像インタビュー》メディア初登場!注目のくら替え候補者・河上みつえが参院選に向けた心境を語る

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 今夏の参院選京都選挙区(改選数2)の「2人目候補者」として出馬が決まった現職衆院議員の河上みつえ(かわかみ・みつえ)氏が、《THE JOURNAL》のカメラの前で現在の心境を語った。

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2010年4月10日

《インタビュー第2弾》石井一二:参院選予想!「小沢が辞めれば票が増える」の罠

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 新党の動きに引き続き、今夏に予定されている次期参議院選挙について政治評論家の石井一二(いしい・いちじ)氏にインタビューした。

─民主党が2人区に2人の候補者を擁立しますが、勝算はあるのでしょうか

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2010年4月 8日

《インタビュー》石井一二:新党結党「あの党はひどい、みじめな結果になるでしょう」

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「鳩山邦夫の自民党離党や、与謝野馨元財務大臣の執行部批判は愚行」
 リベラルタイム5月号の誌面で、内部批判をする与謝野氏を名指し批判していた政治評論家:石井一二(いしい・いちじ)氏に、今回の新党立ち上げに至った一連の動きについてインタビューした。

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2010年4月 7日

喜納昌吉:普天間問題は鳩山政権の試金石だ

 3月11日に《THE JOURNAL》のインタビューに登場し、沖縄県連代表として「(政府は)僕たちとしっかり話し合ってもいいのではないでしょうか」と訴えた喜納昌吉氏。その後政府へ直接意見し、また党内では小沢幹事長と直接会談にのぞみ、一貫して米軍基地の県外・国外移設を訴えてきた。

 普天間基地の移設はどうあるべきか。沖縄県連代表・喜納昌吉参院議員があらためて《THE JOURNAL》で提言する。

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2010年4月 6日

大島九州男:高校無償化法案 議員が失ってはいけない地方視点

 大島九州男(おおしま・くすお)参院議員は3月31日に成立した高校無償化法案について触れ、教育における都市と地方の認識のズレを指摘し、地方の視点の重要性を訴えた。

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日々起こる出来事に専門家や有識者がコメントを発信!新しいWebニュースの提案です。

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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