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どんな小事故でも、起こしたらすべてお終いに ── 大飯原発再稼働の綱渡り

(※本記事は7月16日に配信された「高野孟のTHE JOURNAL」の一部を掲載したものです)

takanoron.png 野田佳彦首相の"決断"で再稼働した関西電力・大飯原発3号機、18日にも起動される予定の4号機に、何やら不吉な兆しが漂っている。3、4号機を司る中央制御室で7月14日午後、送電線の接続状況を監視する装置の異常を示す警報が6回作動した。無線信号を変換する部品の故障らしく、いずれにせよ3号機からの送電や4号機の再稼働準備には影響はないというが、しかしこの手の事故には至らない小トラブルは再稼働決定以来、何度も起きていて、制御システム全体がきちんと整備されているのかどうか疑わせるほどである。以下、関西電力のプレスリリースなどから拾う。

●クラゲも再稼働に抗議?

・6月19日21時51分、3号機の冷却水タンクで水位が標準より-100mm以上低下したことを示す警報が鳴ったが、確認したところ、水位は標準より約-30~-50mmであり、警報が発信されるレベルではなく、漏えいは確認できなかった。

・6月23日23時35分から24日8時12分にかけて、送電線に異常があることを示す警報が断続的に26回鳴った。が、送電線に異常はなく、再稼働の行程に影響はない。

・6月29日12時39分、1次冷却材ポンプ(RCP)電動機の軸受冷却水の流量が低下したとの警報が鳴ったが、同40分にリセットされた。また同13時9分にも同警報が鳴ったが、すぐにリセットされた。設備の故障はない。

・7月7日0時47分、大飯原発1、2号機の中央制御室で原発の南西約13キロのおおい町鹿野にあるモニタリングポスト(放射線測定装置)で異常があったとする警報が鳴ったが、調べたところ、機器や設備に異常はなく、雷の影響によるデータ回線の一時的伝送不良によるものと推定される。3、4号機の再稼働の工程に影響はない。

・7月8日11時35分、再稼働に向けた作業中の4号機で「情報伝送盤軽故障」警報が鳴り、3分後に消灯した。発電所内において異常は確認されなかった。警報が発報した原因については現在調査中。

・7月8日14時55分頃、3号機の海水取水口付近でクラゲが大量発生したため、冷却に必要な海水の取水量を制限したことにより、発電効率が落ち、電気出力が1.7%低下した。9日午前1時に予定していたフル稼働を延期すべきかどうか8日21時に判断する......。

 首相官邸前の金曜日デモに呼応したのかどうか、クラゲまで取水口にデモをかけてフル稼働入りを妨害しようとしたかのようで、不気味である。クラゲはともかく、3週間に6回も警報が誤作動するとは一体どういうことか。

●福島第一4号機に吹いた"神風"

 もちろんこれらは、事故とはほど遠い小トラブルであり、本来なら発表する必要もないものだが、今は全国注視の中での再稼働で政府も特別の監視体制をとって「すべてを公表せよ」と言うから仕方なしに発表しているのであって、今までもしょっちゅう起きていたことなのだろう。ちょうど、旧ソ連が崩壊してロシアになってから、同国内での飛行機事故がやたらに増えて、何故かと思えば「共産党体制が崩れて正直に発表するようになったからだ」という笑い話があったが、それと同じである。とはいえ、こんなことが頻発していると、一方では、狼少年的な慣れが生じて、重大な警報が鳴っても「またどうせ誤作動だろう」と思って迅速に対応しないということも起こりうるし、また他方では、逆に、誤った警報に誤った対応をして重大事故を招く可能性もある。

 米国の核政策研究者ジョナサン・シェルが「原発は複雑な高度技術だが、その異常は、例えば1人の作業員がスイッチの前で居眠りしていたといった、取るに足らないレベルで起きる」と述べていたのを思い出す。まさにこういう取るに足らないレベルのミスの連鎖が事故に繋がるのであって、そうならないのは単なる偶然にすぎない。

 民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームの荒井聡=座長に聞いた話では、福島第一の4号機が大爆発を起こして、それこそ首都壊滅といった事態に至らなかったのは、ただの偶然にすぎなかった。それによると、米原子力規制委員会(NRC)のヤッコ委員長は、全電源喪失を知って直ちにシミュレーションを開始、1〜3号機がすでにメルトダウンを起こしていること、4号機の取り出したばかりの使用済み核燃料を貯蔵したプールの構造上、余震で建屋ごと倒壊するか、真下にある圧力制御室が爆発するか、電源喪失で冷却水が循環しないかなどいずれかの原因で大爆発を起こすことが確実であること、を結論づけ、それに沿ってオバマ大統領に在日米国人の「50マイル(80キロ)以遠」への避難勧告を進言した・・・


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