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《書評》高野孟:高田昌幸編『@Fukushima/私たちの望むものは』(産学社)

(※本記事は1月23日に配信された「高野孟のTHE JOURNAL」の書評欄を掲載したものです)


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 高田は元北海道新聞の記者で、04年に「北海道警の裏金疑惑事件」を徹底追及して新聞協会賞、菊池寛賞など4つもの賞を受けるが、後に彼ともう1人の記者が道警から名誉毀損で逆襲告訴を仕掛けられた時に、会社は弁護士費用さえ出さずに彼らを見殺しにした。そのこともあって彼は昨年6月に会社を辞めてフリーランスになり、新宿歌舞伎町で開かれた彼の親しい若手ライター中心の祝賀会には私も参加した。事件そのものとその後の経緯については、共著『追及・北海道警「裏金」疑惑』(講談社)『権力vs調査報道』(旬報社)などに詳しい。

 さて本書は、マスコミが伝える福島原発事故渦中にある人たちの声がよそよそしい紋切り型に終わっているのに違和感を抱いた編者が、他の6人の記者と分担して現地に散って、61人の被災者を時間をかけて丹念にインタビューした聞き書き集である。飯舘村で35年間、酪農を営んできて、4世代8人の家族が散り散りになっただけでなく、家族同様に育て上げてきた牛たちもすべて屠殺に出すか人手に渡さなければならなかった長谷川健一さんが語る。

「無我夢中で働いてようやくここまで来て......。それが何にもならなぐなった。すべて、だめになった」「たとえ何年か経過して『はい、除染終わりました』と言われても、俺らから上の年代は戻ってくるよ。だけんども、若い衆は戻らねえ。俺は絶対、息子や孫は戻さねえ」「若い者が戻らねば、俺らで終わりだ......、つまり廃村だ」「家族がばらばらになって、ふんで、俺は一生を飯舘で終えるのか。それとも、俺らも村を出て、村の外で家族みんなで暮らして一生を終えるのか。これから何年か先にどっちがの決断をせねばなんねえべ、と思ってる」

 心の傷にまだ瘡蓋も出来ずに膿が流れ続けているようなこういう言葉に接すると、何をどうすることも出来ない自分がもどかしくて気が狂いそうになる。野田佳彦首相や細野豪志原子力相は、再稼働の条件だとかご託を並べていないで、たった一人、この長谷川さんのためだけにでも「きっぱり原発は止めます」と言い切ってせめてもの償いをしたらどうなんだ。

 こういう血の出るような肉声が、ここには61人分、並んでいる。さらにその向こうには、ここには収録されなかった何万人、何十万人の被災者たちの呻きが地鳴りのよう響いていて、それはこの列島から原発が消えるまで止むことはない。どうしたらいいんだ、本当に。▲

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