高野尖報:死んでも死にきれなかった金正日
(※本記事は12月22日に配信された「高野孟のTHE JOURNAL」の一部を掲載したものです)
心臓病と脳血管障害と糖尿病を抱えて、いつ命が尽きるかも分からない不安に駆り立てられながら、1日も早く金正恩(キムジョンウン)を後継者に仕立て上げようとして国内外を走り回っていた金正日(キムジョンイル)=前総書記は、「これでは、死んでも死にきれない。せめてあと半年あれば......」と悶えるような思いを噛みしめながら視察途上の列車の中で目を閉じたに違いない。
何しろ、さんざん迷った末に正恩を後継者と定め、昨年9月に異例の党代表者会議を招集して彼を党中央委員にすると同時に、3段階も4段階も飛び越えていきなり「党中央軍事委員会」副委員長の要職に就けてともかくも形を整えて、精力的に全国の軍部隊や生産現場を巡って息子のお披露目を始めてから、まだ1年3カ月しか経っていない。来年は、正日が「2012年までに強盛大国の大門を開く」と言い続けてきたその年で、なぜその年なのかと言えば、2月16日が正日70歳の誕生日、4月15日が金日成の生誕100年にあたるという金王朝にとってまことに縁起のよい巡り合わせとなるからである。それらのイベントを通じて、国内のみならず外国からの賓客にも3代目を大々的に売り込んで、後継体制の安定への踏切台にしようとしていた。そこまで見きわめずに死ねるか。だから。せめてあと半年なのである。
●複雑な権力構造
28歳の正恩を党中央軍事委員会副委員長に抜擢するに当たって、正日は、溺愛する実妹=金敬姫(キムキョンヒ)を党政治局員に、その夫=張成沢(チャンソンテク)を党政治局員候補に据えて、金ファミリーの身内で周りを固めて息子の安泰を図ろうとした。そのため、各種報道では、この2人が後見人となって一種の集団指導体制がとられるだろうとの観測がなされている。確かに当面は、それが正日の遺志であることを誰もが知っているし、服喪期間中にドタバタするわけにもいかないということもあるので、一見スムーズに体制移行が進むように映るが、内実はそう簡単ではない・・・
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投稿者: 《THE JOURNAL》編集部 | 2011年12月23日 17:42