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« 「全力で」と言っても出口が見えない普天間移設──野田は外交でも"没官僚"に逆戻り?
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山口一臣:これが判決文コピペ事件だ! »

山口一臣:陸山会裁判の判決要旨を読んで気がついたこと(1)

(※これは、あくまでもいま分かっている情報を元にした拙速分析です。判決の全文を読んだ後に訂正する部分があるかもしれません。あらかじめご了承ください。また、事実関係の間違いや誤解は指摘していただけると助かります。よろしくお願いいたします)

 問題とされたふたつの政治団体は西松建設がその社名を隠して政治献金を行うための隠れ蓑だったとする論法は、私にも違和感はない。その理由も丁寧に説明されている。したがって、大久保隆規元秘書が寄付の主体が西松建設であるということを認識していたというのも、普通に納得できる。

 ところが、ここから先、迷走が始まる。

 判決は〈岩手県や秋田県では、公共工事におけるいわゆる本命業者の選定に関して、小沢事務所の意向が決定的な影響力を持っており、その了解がなければ本命業者になれないという状況であった〉と、何の根拠も示さず断定しているのだ。その上で、大久保氏が「天の声」の発出役を務めていたと認定する。

 これらはいかなる証拠に基づくものなのか、判決要旨からはわからない。そもそも「天の声」の存在自体は、09年7月の西松建設 国沢幹雄元社長の判決で明確に否定されている。献金をして「天の声」をもらって、工事を受注するといった単純な話はもうないといってもいい。

 しかし、今回の判決がここまでハッキリ断定しているということは、国沢元社長の裁判でも出て来なかった何らかの根拠や証拠があるのだろうか。もしないとしたら、登石郁朗裁判長は頭がどうかしていると考えるのが、自然かつ合理的だ。

 判決によると、岩手県等の公共工事の受注を希望するゼネコンはまず小沢事務所の秘書に陳情し、了解が得られると鹿島建設の仕切り役にその旨を連絡し、小沢事務所の意向に沿った談合が行われていたという。これについても、認定した根拠は示されていない。

 それはさておき、ごく普通に一般社会で仕事をしている人間にとって、この判決に書かれたようなことが本当に行われていたとはにわかに信じ難いだろう。公共工事の受注は建設会社にとっては経営上、きわめて重要な問題だろう。それが、いくら地元の有力政治家とはいえ、一野党議員の一秘書(事務所)が「天の声」を発して差配していたと考えるのは無理がある。

 裁判官は何を根拠にこう認定したのか、要旨だけではわからない。しかし、ここまでハッキリ書いている以上、何らかの証拠があるのだろう。もしないとしたら、登石裁判長は頭がどうかしていると考えるのが、自然かつ合理的だ。

 ちなみに、東北の公共工事の談合について徹底的に取材したという政治評論家の森田実氏は、9月29日付の日刊ゲンダイで、「岩手県や秋田県では公共工事の談合において小沢事務所が決定的な影響力を持っていたと判断しましたが、そんなことはありません」と断じている。森田氏の取材の結果は「結論は小沢事務所に出る幕はなかったというものです」というものだ。ごく普通に考えて、公共工事の受注になぜ、発注者でもない小沢事務所の許可が必要なのか? 裁判官はどう考えたのか。有力政治家ならば、経済合理性を超えて何でもできると思っているのだろうか? 今回の判決をくだした裁判官らの頭の中を見てみたいものである。

 もちろん、だからといって、小沢一郎氏が与党の実力者として権勢を振るっていた時代には、そうした仕組みがあったであろうことまでは否定しない。小沢事務所と公共工事の実態については、久慈力・横田一著『政治が歪める公共事業 小沢一郎ゼネコン支配の構造』(緑風出版)に詳しい。しかし、この本で指摘されている事実は、今回の裁判で扱われた時期よりずっと前のことである。

 ちなみに、ゼネコン各社は独禁法改正前の2005年末にいわゆる「脱談合宣言」している。宣言後も談合事件が発覚したケースはあるが、これをきっかけに公共工事の受注の仕組みが大きく変わったことは間違いない。しかし、今回の判決はそうした基本的事柄も考慮されていないように見える。また、小沢事務所の公共工事発注に対する影響力の変化についても、検討された形跡はない。

 当時の小沢氏の立場を考えるなら、森田氏が言うように「出る幕はなかった」と考えるほうが合理的かつ自然ではないか。

 と、ここまで書いて古い資料をひっくり返していたら、驚くべきことに気がついた。

 先ほど指摘した、判決要旨に書かれた岩手県等における公共工事の受注に関するくだりは、西松建設事件の裁判のときの検察側冒頭陳述の丸写しだったのだ。一言一句がほぼコピペされているといっとも過言ではない。こういうことは、よくあるのだろうか? 判決の文章が検察側冒陳と同じということは、やはり判検が癒着していることの証拠ではないか。

 それはさておき、このくだりを読み返してもうひとつ指摘したいのは、百歩譲って小沢事務所が当時もまだ、公共工事に影響力を持っていたとしても、小沢事務所が陳情を受けて働きかける相手は、談合の仕切り役ではなく、発注者である首長もしくはその周辺ではないか。そうでなければ「天の声」など出せるはずがないのである。

 判決の要旨をざっと読んだだけでも、次から次へと矛盾が出てくる。まだまだ指摘したいことがたくさんあるが、少し長くなったのでいったん休む。続きはまた。

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コメント (18)

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前半の件に関しては、大久保被告自らが(検察調書ではなく)法廷尋問の中で、土建業者に対してかなり高圧的に賄賂や接待を強要していた事実を認めています。
「天の声」というキャッチーなフレーズから連想されるほどの絶対的権力があったかどうかはともかく、少なくとも一野党議員の秘書であるからゼネコンの業者選定に何の影響力もないと言い切れるほど、発言力がなかったとはとても言い切れません。

後半の件については山口さん、自ら答えを出しているのではないですか?岩手県の首長が誰で、小沢氏とどのような関係であるかは誰でも知っていますよね?
県知事の名前が出てこないのは、小沢サイドにとってもゼネコン業者にとっても、そして検察にとっても有益性がないから出ないだけであり、その関係をわざと明確にしないために「天の声」という曖昧なフレーズでごまかしているに過ぎません。

[判決要旨に書かれた岩手県等における公共工事の受注に関するくだりは、西松建設事件の裁判のときの検察側冒頭陳述の丸写しだったのだ。一言一句がほぼコピペされているといっても過言ではない。]

ことの顛末の一々を事細かく指摘すること自体を笑っちゃう程の「世紀の茶番劇」だが、コピペが本当なら笑いも引き攣る・・国民を愚弄するにも程がある(まあ、当事者は喝采を送っているのであるが・・)ではないか。

山口氏は癒着の証拠と仰るが、そもそも、この大茶番に証拠など必要であろうか・・体制側に与する既得権を持つ者の結託した悪事の一環に過ぎず、自らの心象風景を基にした判決文を作らざるを得なかったこの判事の採ったコピペなのであろう・・

最大の問題は、実質的な被告である小沢氏の言い分に対して、大方(八割方)の国民が悪代官辺りの「逃げ口上」と信じて疑わないことにある。

誤植がひとつありますよ。

撤退的→徹底的

撤退的→徹底的

 もし、本当に、証拠ではなく、推測、さらにメディア、検察と一体となってつくられた小沢像に影響された「天の声」といった、根拠なき妄想によって、一人の社会的生命を脅かす有罪判決がなされたとすれば、また、特に、判決文の内容の矛盾が多く、思考障害を疑わせるようなものであれば、医療、及び保護が必要ということで、精神保健福祉法第29条の「措置入院」の要件に該当するか診察を受けてもらう必要がある。警察官や検察官が通報するのが多いようだが、一般人でも通報できる。ただ、これも都道府県知事知事の命令という政治的判断の割り込む隙がある法律になっている。
 いい方に思えばだが、どこかの「鉄砲玉」みたいに利用される、妙な正義感を持った裁判官もいるということのなのか。悪い方に思えば、確信犯的に一線を越えた政治的判決をする裁判官が出現し、マスメディアもそれを支持し、そういった裁判官が、特捜部と同じ役割を引き継いでゆくということである。ただ、裁判過程は、検察の取調べと違い、衆目の下に公開されているので、いくらでもつっこまれてゆくことになる。山口さんや、裁判傍聴した記者氏による判決検討記事を、今後も期待しています。
 

山口さん、声を上げて頂いて感謝します。陸山会の判決の後、マスコミは歓声を上げて「小沢叩き」をするはずなのに、ほとんどの新聞、テレビが沈黙しています。そこまでやるのかと、同調してしまって後で取り返しがつかない恐怖と、ここまで官僚組織が全力で「国家」をむき出しにしてきた歴史は戦前の軍官僚に近いものがあり、心あるジャ-ナリストも一瞬怯んだに違いない。彼ら官僚独裁者は必死である。馬脚を現したとも言えるのではないでしょうか。今、勇気を持って声を上げなければこの国の国民は再度「国家」に殺されてしまいます。

前半の西松建設は、実態がないから賄賂にされたのでしょう?
その西松建設の裁判で、検察側の証人によって、「実態が有るのに何故検察側がその様に言われるのか解らない」と裁判の時に証言してまさに無罪になるところ、陸山会事件に切り替え、訴追変更したはずです。

西松建設が理解できるとは、私には
到底思えない。訴追変更は禁じてと
聞いています。

投稿コメントを見て気がついたのですが、岩手県知事は増田氏だったと思いますが、それでも小沢事務所の発言力があったとは意外です。増田氏本人への取材があればもっと状況が明らかになると思うのですが。裁判での証人に呼んでもよかったのでは。

寒太郎さま

誤植のご指摘をありがとうございました。
お詫び申し上げすとともに、訂正させていただきます。

すみません。訴追でなくて、訴因でした。訴因変更です。

日本がまともな民主国家だと思うから頭が変になるわけで、ここがイランかビルマかとか思えば、気持ちが落ち着きます。多くの国民は、小沢は悪いに決まっている。その子分となれば正義なんてどうでもいいということなんでしょう。

しかし、こんな裁判、今に始まったことではなく、全く当たり前のことではないですか。裁判とは、無罪、有罪を判断するところではなく、単なる量刑をきめるところ。取り調べも、恫喝、嘘、証拠の改ざんはへっちゃら。だから、アメリカも起訴前に米軍の身柄を拘束させない。まともな司法制度でないと判断しているからです。

我々はほんとうに不幸な国民です。こんなことは自分には起こらない、もし取り調べがあっても正しいことをしゃべれば絶対に犯罪者にされることはないと信じきっています。しかし、えん罪で泣いているのは、菅谷さんだけではありません。

マルティン・ニーメラーの詩を思い出します。
ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、
私は社会民主主義ではなかったから。
………
そして、彼らが私を攻撃したとき、
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。

また、北京オリンピック前のハンドボールで問題になった「中東の笛」。フェアじゃないとさんざん、非難していても同じようなことをやっている国民。どこかの国の民度が低いとか言っていますが、人のことを言えた義理ではありません。

小沢さんのことだとか、石川さんのことだとか人ごとではなく、とんでもないことが日本で起こっているという現実をみんなで認識しないと、今度は我が身ですよ。

山口様

私が疑問に思い、このジャーナルに投稿したのと同じです。
なぜ野党の小沢事務所が工事業者決定権を持つ地方か中央の官僚に対して天の声を発せられるのか、不思議です。
当時与党の自民党議員はなぜ天の声を発しないのか。
そうではなく、検察が書いたような談合で工事業者が決まるのであれば、そこに小沢事務所が天の声を発するのであれば、それを裁判すべきではないか。全く不思議な判決である。

西松事件は天の声としても陸山会の水谷建設のような下請け中小建設会社、売上400億弱で半分は海外売上であるのに一億の裏金を小沢事務所に出す根拠は何なのか、確か10%程度のダムの売上からして全く採算は取れないのではないか、これも大いに疑問である。元受に裏金を出すのならわかるが、それとも元受から頼まれたのか、全くあいまいである。
私は裁判官と同じで推認しかないですが、是非山口様の方で事実解明を行ってください。

マスコミは小沢が黒と読者および視聴者を洗脳しだしている。
マスコミの手口は検察のリークをテレビ、新聞で流し、世論形成して世論調査し、その結果で裁判に影響を与える、そして裁判結果が世論と同じ結果になったと大賞賛する。
山口様くらいです、まっとうなマスコミ人は。
日本は自民党時代よりはるかに強力な官僚国家になりました。
官僚の報道機関としてのマスコミは強しです

投稿者: 無名 | 2011年10月 3日 09:02 様

引用<岩手県の首長が誰で、小沢氏とどのような関係であるかは誰でも知っていますよね?
県知事の名前が出てこないのは、小沢サイドにとってもゼネコン業者にとっても、そして検察にとっても有益性がないから出ないだけであり、その関係をわざと明確にしないために「天の声」という曖昧なフレーズでごまかしているに過ぎません。>

該当する県知事は、増田寛也氏だと思います。【 1995年(平成7年)4月30日
- 2007年(平成19年)4月29日】
この人は、その後、自民党政権の総務大臣をなさってますが、小沢さんとどのような関係があったんでしょうか?
それとも、現岩手県知事の達増さんのことをおっしゃってるんでしょうか。
ご教授いただければ幸いです。

昨年の西松公判で検察側が呼んだ証人によって検察側の主張を覆す証言がスルーされてるな。
岡崎元部長のダミーと思っていなかった証言。

実体があれば罪にならない。
http://blogs.yahoo.co.jp/voteshop/12695691.html

その岡崎氏が証言した証拠がある。上記がダミーと言うならこの国の司法は滅ぶ。

 たいへん好感をもって拝読しましたが、一つ、根本的な勘違いなさっているのではないでしょうか。山口さんは次のように書いておられます。

「今回の判決がここまでハッキリ断定しているということは(…)何らかの根拠や証拠があるのだろうか。もしないとしたら…」
「ここまでハッキリ書いている以上、何らかの証拠があるのだろう。もしないとしたら…」

 そうではないと思います。
 たとえ百歩譲って仮に何らかの証拠があったとしても、それを明示せずに、途方もない事を「ここまでハッキリ断定し」たり、「ここまでハッキリ書い」たりする「登石郁朗裁判長は頭がどうかしている」か、あるいは、もともとレベルの低い法匪なのです。

信貴明様 2011年10月 3日 22:27のご投稿、見過ごしていました。
私にはとても納得のいく内容でした。
特に二つの点で勉強になりました。
一つは、米軍が何故、日米地位協定の改定に応じようとしないのか?
日本の裁判が民主国家では当たり前の法と証拠に基づいて行われていないと受け止めているからですか。とても納得できます。
もう一つは私は知りませんでしたがマルティン・ニーメラーの詩です。
日本の国民、とりわけ、国会議員には知ってもらいたい詩ですね。
ご投稿、有難うございました。

山口様  非公開です。
 
まとめて記事を読ませていただきました。ありがとうございます。
マスコミがもう少しはっきり真実に肉薄するとよろしいですね。小沢問題として取り上げられている事柄などは某元総理の画策でしょうし、報道しているのもご出身の新聞社だったり、水谷建設なんかご承知のとおりの会社で、
http://www.zero-in.jp/archives/arc001.html
で誰でも知っているのかと思っていました。原子力絡みで上手くやってますよね。

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