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それでも民主党革命は終わらない ── 改正NPO法と寄付税額控除の導入が日本を変える!

 菅内閣の月内退陣が濃厚となり、またしても約1年で首相が交代することになった民主党。しかし、その見るも無様な民主党が、日本の社会を激変させるかもしれない2つの重要な法案を今国会で成立させた。それは、認定NPOの要件を緩和した「NPO法」と寄付金税額控除を導入した「税制改正法案」だ。

 この2つの法案は、鳩山政権時代から「新しい公共」を広く展開するための最重要法案として位置づけられていた。この法案の内容とそれがもたらすインパクトについて、法案成立に尽力した岸本周平民主党衆院議員に聞いた。

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岸本周平氏(民主党衆院議員)

最大約50%の寄付金額が減税される

──今国会で、NPO法と市民公益税制が改正されました。関係者の間では「画期的な法案が成立した」と評価されています。そのポイントはどこにあるのでしょうか

日本全国にある4万3000のNPO団体のうち、寄付控除の対象となる「認定NPO」はこれまで215しかありませんでした。これは認定要件(パブリックサポートテスト)が厳しく、全体の収入のうちの20%以上が寄付金収入である必要があったため、事業収入を中心に運営している団体が対象にならなかったからです。

そこで、改正NPO法では二つの新しいパブリックサポートテストをつくりました。ひとつは3000円以上の寄付を毎年平均で100人以上から集めること、もうひとつは事務所がある自治体の条例で個別に指定できるようにしました。

また、設立されて5年以内の団体は会社でいうとベンチャー企業と同じですので、ベンチャー支援の意味で「仮認定」の制度を設け、3年間は控除対象となるようにしました。これで新設のNPO団体も「来年4月からは寄付金が減税されます」と言って寄付を集めることができます。

さらに、この寄付税制は今年の1月1日からの寄付にさかのぼって適用できるようにしました。東日本大震災で活動したNPOに寄付したお金も、その団体が控除対象となれば、来年の確定申告で税額控除の対象となります。ですので、東日本大震災で活動されたNPO団体は、ぜひ3000円×100人をクリアして、認定を受けていただきたいと思います。

──市民公益税制では、これまで寄付には所得控除しかなかったものに「税額控除」が加わりました

認定NPOの基準を簡素化した上で、さらに寄付額の約50%が「税額控除」として寄付者に還付される仕組みにしました。厳密にいうと、100円の寄付が税額控除の対象となると事務作業が膨大になりますので、寄付総額から2000円を引き、その金額の50%を還付される仕組みにしています。たとえば、10万円を寄付すると[(10万円ー2000円)×0.5]で4万9000円が還付されます。税額控除は、最大で納税額の25%までが対象となります。

ちなみに、他の先進国の寄付税制は所得控除が基本で、税額控除にした制度は世界でも例がなく、今回の法改正で画期的な制度になりました。

市民自らが補助金を配る!

──寄付に税額控除を導入したことで、どのような影響があるのでしょうか

これは何を意味するかというと、10万円をNPOに寄付しても、寄付者は実質5万1000円しか負担しなくてよいということです。つまり、本来は国が分配する税金を、市民がどこに配分するか決めることができるということです。本来であれば、そのお金は税務署に行き、東京のお役人が補助金として配っていたのですが、「補助金の行き先は私たちで決めますから」ということになります。これは政府の仕事が減ることになるので政府の規模が小さくなり、市民が中心となる社会につながります。

また、今回は社会福祉法人、学校法人、公益法人なども税額控除の対象になっていますので、幅広い団体に寄付ができるようになります。この制度がスタートすれば、地方の小さな幼稚園や小さな老人ホームに寄付することで、その団体は補助金を受けることと同じ意味を持ちます。

今回の法改正にはいろんな意味が含まれているのですが、その一つに、NPOが成長すれば、いままで無償で働いていた事務局員に年収300〜400万円程度の給料を支払うことができるようになり、雇用も生まれます。そうすると、公務員に給料を払うよりも効率よく、現場に近い方に給与が支払われることになるわけです。たんに「寄付金を戻します」ということだけではなく、この法律の本質は仕事革命にもあるのです。

──今後、日本のNPOの役割はどう変化するのでしょうか

これまでよりも認定NPOになりやすくなることは確実ですが、一方でNPOのみなさんにもお願いしたいことがあります。というのも、NPOの多くはこれまで「善意でやっているから」ということが前提で、会計報告もあいまいな団体が多かったわけです。しかし、これでは事務局の人に正当な給料が出せず、組織が大きくなりませんでした。ですので、将来的には会計帳簿も単式簿記から複式簿記にすることで透明性を高くし、情報公開も積極的に行って、企業と同じように経営することを明記しました。法律では移行期間を設けていますが、できれば2〜3年以内に実現していただければと思っています。

というのも、NPOとは「Non Profit Organization」の略ですが、日本人は「Non profit」は「利益を出さなくていい」と勘違いしている方が多い。本来は「Non profit」とは「投資家に配当をしない」という意味で、その逆の「For profit」は「配当する」という意味です。株主がお金を出すのはProfitを求めているのだから「For profit」、しかし、NPOへの寄付には「配当や利息は求めません」ということなんです。ですから、アメリカではNon profitであろうとFor profitであろうと普通の会社と同じく効率よく運営するということです。

たとえば、アメリカの大きなNPOのほとんどは株式会社を持っています。NPOが株式会社を持つことで、出版事業など、確実に利益の出る部分については株式会社で行う。もちろん株式会社では利益が出れば配当がもらえ、残ったお金は本体のNPOに寄付するわけです。その株式会社の社長と理事長はだいたい同一人物で、NPOと株式会社が車の両輪で活動しています。日本のNPOにも将来的にはそこまで目指してほしいと思っています。

なぜ、メディアは大事なニュースを伝えないのか

──改正NPO法は超党派で立法したことも特徴ですね

最初のNPO法が12年前にできた時も議員立法でした。今回も12年前の法案成立に尽力された加藤紘一先生が代表で、顧問には鳩山由紀夫前首相、事務局長に中谷元元防衛庁長官、そして公明党の谷合正明参院議員と私が事務局次長でお支えするという形になりました。また、辻元清美衆院議員が幹事長で、辻元さんは12年前の議員立法の立役者でもあります。

今回、私は国会議員としてはじめて法律を書き、改正NPO法は超党派で議員立法ができました。そのほかにも、津波対策推進法や改正障害者基本法も超党派で全会一致で成立しています。ただ、報道では政局のところばかりが取り上げられますので、これらのことはあまり知られていません。メディアの報道の陰でこういった重要な法律がちゃんと成立しているので、メディアには、政局と政策はちゃんとわけて報道していただきたいですね。

──大幅な認定要件の緩和で、悪用を警戒する声もあったのではないでしょうか

仮認定も控除の対象となったことで、心ない団体がこの制度を悪用するのではないかという意見はありました。特に「マネーロンダリングに利用される」という意見は財務省の殺し文句で、そこでみんなが思考停止していました。しかし、これが政権交代によって「100人のうち1人だけ悪い人がいることで、残りの99人を泣かせていいのですか」ということになり、「悪い奴は後で捕まえればいい」とマインドセットが変わったわけです。

アメリカではそこのあたりをもっと徹底していて、悪質なNPOを摘発するNPOがあるんです。ちゃんとしたNPOからすると、悪いNPOがあることは自身の評判が落ちることにつながります。そこで、NPO団体からお金を集め、悪いNPOを情報公開して摘発するんです。つまり自分たちで自律的に襟をただす。私たちは、将来的には日本もここまでやってほしいなと思っています。

ちなみに、今回の議員立法には3年後の見直し規定も入れています。使い勝手が悪かったり、悪用する人がいれば政治家の責任で見直すことにして、「まずはやってみようよ」ということでスタートしました。もちろん、その背景には新しい公共を担う市民運動が強くなってきたということがありますが、最初から100点満点を目指すと法案が厳しくなってしまって立ちすくんでしまいますので、そこを政治主導で責任を持つことで法案が成立できたのです。

民主党としては政権交代をしてもなかなか成果が出ていないのですが、これから10年経ったとき、この法律によって2011年というのは日本にとってエポックメーキングとなる年になるはずです。また、そうしなければならないと私は思っています。

(構成:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

改正NPO法と寄付税額控除の税制改正法案は、地味ですが極めて重要な意味をもった法案と理解しています。

民主、自民のこの法案に直接的に関わった関係者の努力は素晴らしい。岸本様は、衆議院議員になられて2年間の間に法案成立にこぎつけたわけで、NPO関係者の反応は大きいのではないか。

かなり幅広いNPOに寄付できるようになり、いままでは特定な機関しか認められていなかった寄付先が自分で選択できる制度ができた意義は極めて大きい。

<岸本様>
はじめまして。ご苦労様です。
さて、寄付控除が50%は、本当に革命ですか?確か民主党の野党時代の約束は年間10万円迄は全額控除だったはずです。
50%は結局「寄付してもいいよ~ん。ただし、財務省に半分は上納してね」と、いう事ですよね。
これじゃ「仏造って、魂入れず」ではありませんか?たとえ1万円でも国民が税金の使い道をきめられる事が背骨・コンセプトであり、国民主導とはそういう事でしたよね。
岸本様、1万円を寄付したら5千円を財務省に渡すのでは、結局1.5万円必要になります。
胸を張る前に胸に手を当てて考えてください。悲しくなります。

またしても、メディア批判でもある。代表選前後においても、メディアを賑わした言葉は、【小沢】・【連立】この二文字である。なんと貧困であろう、多くの読者や視聴者が知りたい情報は、果たしてこれに関する情報なのだろうか?
その間にもいろいろな情報が飛び交っている。けれど、どのメディアも、取り上げる情報は同じであり、同じ切り口である。
この法案にしても、メディアで取り上げられたようには、私には思えない。放射性物質の汚染状況にしても、私なりに調べた結果、4月頃から発表されている。確かに観測点は少ないが、それも日々に増えてきている。それを、【唐突に今頃汚染マップが発表された】とよく言えたものだ。何か発表されるごとに何百人集まる場合もあれば、見向きもされない場合もある。与えられる情報に慣れすぎて、自ら情報収集の努力を怠り、情報の持つ真意や多面性に気がつきもせず、ちんけな質問しかできないから訳の分からない情報となる。更に言えばどの報道機関もほぼ異口同音でしかない。【読者、視聴者に選択はない】こうした悲劇を生み出している。電力会社を選択できない現状と同じである。
前振りが長すぎた。
今回の法案の異議は、大きいと私も思う。
新しい公共の第一歩であり、納税の選択ができると言う面もある。
こうしたことを取り上げもしないメディアに存在価値があるか、甚だ疑問である。

先の投稿が、承認されたに付けての追加投稿です。
メディアが告知しないために、多くの方々は、支援金と義援金の違いすら知らないし、それぞれの会計処理や控除処理に大きな変化があることすら認識されていると思えない。
また、NPO法人の活動範囲が広がることによる効果も知らないでしょう。
NPO法人の新規登録手続きの簡略化や会計監査も収支計算書から活動報告書に変更されたことによる効果や問題点などもあることを捉えることもない。
私は基本的に人の善を信じているが、オレオレ詐欺のように、これを悪用する輩がいないと断言できない。会計処理やNPO法人の監査など容易に問題点が見受けられる。
メディアは、問題が発生した時に大々的に取り上げるが、事前に起こりえる問題を検証することは少ない。

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