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原発は、もう終わった!(その3)── "脱原発"の主役はガス火力 »

原発は、もう終わった!(その2)── 原発がないと停電だぞという恫喝に屈するな!

takanoron.png 繰り返すが、政府=経産省が「短期的な原発安全対策は完了した」(6月18日付日経1面トップ)として停止中の原発の早期再稼働を自治体に求めているのは愚の骨頂で、 このやり方では地元の不安を解消できずに、かえって全原発の"頓死"を招くことになる。日経の同記事が解説で書いているように、原発立地を持つ自治体は「(1)福島原発の事故原因が十分に解明されていない、(2)政府が唐突に中部電力浜岡原発の停止を要請した、(3)稼働から30〜40年たつ古い原子炉の安全性----などに多くの自治体が疑問を持って」おり、「こうした問題に答えや対策が示されないうちは、住民の理解を得るのは難しい」からである。

 何よりも福島の事故がまだ収束しておらず、これからどんな破滅的な事態が起きるか分からないし、周辺の放射能被害がどれほど深刻化するかも分からない中で、どうして「安全対策が完了した」などと言えるのか、全く理解不能な無神経の極みで、「はい、そうですか」と再稼働に応じる自治体などある訳がない。浜岡ストップの唐突性というのもその通りで、立地や設備や性能や老朽度が1つ1つ異なるすべての原発を一定の指標を設けて精査した上で、短期の対策でしのげるかもしれないもの、堤防建設など中期的な対策が必須なもの、そんなことをするよりも老朽度からしてすぐにでも廃炉にした方がいいもの等々に区分けをして(私の言う"安楽死"シナリオ)、その中でも大地震の切迫性、堤防の不在、フクシマ級事故が起きた場合に放射能被害が首都壊滅をもたらす危険性などからして浜岡は特に優先度が高いということを位置づけてみせるのでなければ、他の自治体は納得しないだろう。

●「電力不足」で国民を恫喝!

 こうした無茶を押し通すために政府が懸命に取り組んでいるのが、「原発がなければたちまち停電だぞ」という恫喝的な情報操作で、その先頭に立っているのは、経産省主管の日本エネルギー経済研究所である。

 同研究所が6月13日発表したレポート「原子力発電の再稼働の有無に冠する2012年度までの電力需給分析」は、来年夏までに全原発が停止した場合、「発電能力が最大消費電力を7.8%下回り、全国規模の電力不足に陥る可能性」があり、また「火力発電所を高い稼働率で運転させるため、燃料の石炭・液化天然ガス・石油の消費が増え、3.5兆円の燃料コスト追加が必要」となって、「2012年度の標準家庭の電気料金が月1049円アップ」が避けられないという。

★エネ経研:http://eneken.ieej.or.jp/ →6月13日特別速報

 これを真に受けて、新聞各紙には「電気料金1000円アップへ」などの見出しが躍るが、果たして本当にそうなのか。全文を読むと、ただちにいくつかの疑問が湧く。

 第1に、来年夏の「最大電力」は電力各社の2005〜2010年度の月間最大電力の最大値を単純合計して算出しているが、これにどういう合理性があるのかよく分からない。それを、原発分がゼロとなり火力を目一杯稼働させた場合の発電能力と比べると7.8%の発電能力不足になると主張している訳だが、大震災の後でも、産業界も一般家庭も以前と同じマインドで電気を使い続けるという前提に立ってはいないか。

 もちろん、同レポートも「節電」の可能性を見込んではいるものの、第2の疑問は、その節電は東京電力と東北電力の管内で15%行われるだけとしていることである。東京電力の夏季最大電力6000万kWを15%節電して5100kW、東北電力で同じく1480kWが1258kWになり、その結果、節電時最大電力を上記(原発ゼロ・火力目一杯)発電能力と比べると、それでも全国的に1.7%の発電能力不足となり、さらに「電力安定供給のためには5%程度の余力が必要なのでさらなる節電が必要となって、「特に産業活動に甚大な影響が出る可能性がある」と言うのだが、ちょっと待って貰いたい、どうして東電と東北電管内以外は節電に参加しないのか。大震災とその後の計画停電の出鱈目を体験した関東・東北の企業や一般家庭は節電は当たり前というマインドになっているのに対し、関西以西ではそのマインドが薄いのは事実だが、産業界ではどこどこ管内ということとは関係なしに全国の事業所で節電対策を実施しつつあるし、一般家庭でもそのマインドはいずれ全国に波及するだろう。どうして全国的に15%の節電が実現した場合、さらにはもっと頑張って20%の節電が実現した場合のシミュレーションを避けているのか。

 そもそも節電には、需要者の自覚任せではなく政府として思い切ったイニシアティブが必要だろう。例えば、同研究所の別のレポート「LED照明による省電力ポテンシャルと費用対効果の試算」では、現在使用されている白熱灯及び蛍光灯をすべてLED照明に代替した場合、日本の年間早電力消費量の9%=922億kWh=原発13基分の省エネとなる。これを一遍にやろうとすると16兆円の初期費用が必要だが、白熱灯をLEDに置き換えるだけなら交換費用は8500億円で、3.4%=273億kWh=原発4基分の省エネとなって、政府がその気になって、一般家庭に対するエコポイント、企業に対する省エネ投資への税制優遇や補助金制度を整備すれば、出来ないことではない。やればいいのではないか。

★エネ経研:http://eneken.ieej.or.jp/ →6月16日研究レポート

●決め手は天然ガス火力では?

 疑問の第3は、原発がゼロになる場合の火力発電の増強について、その運転優先度を「石炭→天然ガス→石油」とし、それらの稼働率を石炭85%、ガス70%、それで足らざるところを石油としているのは、「過去の実績、燃料受け入れ能力の実態、業界ヒアリング等を通じて年間平均の最大値を想定」したものだそうだから、それなりに根拠があるように見える。しかしこれは、既存の火力発電能力が大震災前までは50%程度の稼働率に据え置かれていたのを、どこまで掘り起こせるかということを言っているだけで、逆に、来年夏までに全原発が止まることを覚悟した上で、火力の中で最も効率がよく、相対的に燃料費が安く、CO2排出量も多くない天然ガス火力を思い切って拡充するという方針を採用すれば、また話は大きく違ってくるのではないか。

 国際エコノミストの齋藤進は6月11日付朝日のコラムで「原発を全部止めれば、電気が足りなくなるし、電気代も上げざるを得ない----。これが現在のところ、大方の日本人が抱いている『常識』かもしれないが、私の解答は『否』である」として、次のように述べている。

▼既存の火力発電設備だけでも電気は余るし、昨年の原子力発電実績を新型発電設備のガスタービン・コジェネレーション(熱電併給)に置き換えても、必要な新規投資額は8000億円程度で済む。この新規設備能力に30%増しの余裕をみても1兆円程度だ。

▼燃料の天然ガスは、原油と異なり、世界的には供給量が増えており、長期的には安定供給が見込まれる。天然ガスを液化する段階で硫黄・窒素分などの有害物質は除去され、環境負荷は極めて小さい。

▼しかも、日本の大手重工業メーカーには上記の設備を短期に製造・設営する能力がすでに備わっている。

▼日本が得意とする国家総動員態勢で当たれば、早ければ1年、遅くても2年以内にすべての原発に代わる新規発電設備ができる。

 賛成である。これを裏付けるように、今週発売の週刊エコノミスト6月21日号は「脱原発の本命/ガス復権」の大特集を組んでいる。そこでも、「発電効率の高い最新型のガスタービン(コンバインドサイクル)を110万kW級原発と比べれば、建設コストは原発の数千億円に対して数百億円。工期も最短ならば1年程度で済む」と言われている。来年夏に原発がゼロになると腹をくくりさえすれば、(1)まずは省エネの徹底、(2)既存火力のフル稼働、(3)それでも足りないと見込まれるなら、1〜2年のうちに最新型ガスタービンの増設----で難なく乗り切って"脱原発"を達成できるのではないか。

 まずは人々が、原発がなければ日本はお終いみたいな支配的イデオロギーの恫喝から自らを解放しなければならない。ガスタービンがなぜ脱原発の決め手なのかについて詳しくは次回に譲る。▲

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

やはり高野論説がいつも一番説得力があり、現実をふまえてのからの議論ですっきりします。政府民主党は、こんなの読んでいないの?経済産業省の海江田大臣もなにやってるの?ドイツ、イタリアが原発を捨て、日本でも孫正義が、脱原発に動き、村上春樹が反核を主張する動きが大きな潮流になるだろうに。利害もあるだろうけど、人のこころの保守性と現状維持への惰性の力が強い気がします。

高野さん、こんにちは(いま6月20日10:40頃です)

おそらく、かなりの高い確率で高野さん、齋藤さんの言っていることは正しいのだと思います。
ただ、海江田さんや菅さんが言った「停止中の原発の再稼動」は政治的な判断でしょう。河野さんもその気持ちはわかるがと言ってました。
政治的な判断とは、ここで全部停止といったときの影響の大きさがある。
それは政府のなかにもある推進派とのソフトランディングへの模索(なんとしても全量買取制度の実現をするための方便的言説か)。あるいは、原発立地地区での影響最小化などがある。

僕も、隔靴掻痒の感はあるが、いまは菅さんの自然エネルギー法案への戦略として受け止めたいと思う。

なんとしても、この期に「自然エネルギー法案(全量買取)」を実現させ、エネルギーシフトを図らねばならないと思います。

太陽光発電増設をアドバルーンに電力の買い取り制度の実施・電力の自由化・送電網分離売却等により先行的な利益の独占確保勢力と旧原発族・経済産業省の思惑が一致している所に向けて物事が動いているのではないでしょうか?そう考えれば、浜岡停止→安全確認された原発は再稼働→太陽光発電1000万世帯等の話がひとつに繋がります。ようするに従来の原発利権は温存かつ、新たなエネシフ利権も拡大。こういうことなんだと思いますよ。だいたい原発停めても電力が足りてるなら、原発は余分な電力だったわけですから、新たに太陽光発電増設なんかしたら無駄な電力を更に増やすことになるじゃないですか?ようは、原発推進派と脱原発派の両方を納得させる為に、我々国民から金を更に絞りとろうという政策が水面下で推し進められているのだと理解すれば、わかりやすいです。表で綺麗事ばかり叫んで、ろくな連中じゃないですね。商売がしたいなら、正直に先ずはそういいなさい。マスコミは変わり身の早さは我々国民も見習いたいものです。昨日まで原発CMで飯を食っていたと思ったら、今日になっていきなり原発は危険ですと言い出し、明日になったらもう太陽光CMに切り替わっているんですからさすがですね。我々国民も指を加えて待っていたら、資産を丸々奪われてしまいますよ。早く商売の流れにのって、新たな勝ち組を目指しましょう。定年した団塊プチブルエゴロジストのピッピーの思想になんぞくっついていったら将来は悲惨な目にあいますよ。若い人達は気を付けなさい。これが世の中ですよ。早く勝ち馬に乗りなさい。私はオジサンさんなんでそんなパワーはもうありません。せいぜい、送電網は国民の資産だ!勝手に只同然でもってくなこのヤロー!とか、なんで新太陽光ピカッと禿げ鷹利権族の為に、四月から我が家の電気料金に余計な請求が乗っかってんだ!えー!とか言いながら、ゴネマクルつもりです。

 高野氏の論説は解りやすい。
 専門的な知識を持ち合わせない私にとって、中庸を得た冷静な内容だと受け止めている。
 今や福島の原発事故はメルトダウンを加速させ地下堤防の建設さえ要する段階だという。
 原発事故の危機的状況が継続しているとはいえ、政府において事故の全容は想像に難くは無いだろう。
 しかし未だに現政権の施策は単発、後追いで、短中長期的見通しに立った総体的な方策が示されない。説明も場当り的に過ぎる。
 これでは国民をないがしろにしてきた今までの政権と変わらない。
 菅首相もあれやこれやと思い付きとも取れる施策を撒き散らすのではなく、一貫したエネルギー政策転換の展望を、国民目線に立って丁寧に、分かり易く示して欲しい。

関西も関電がいきなり15%の節電を発表しました。橋下知事が何の情報開示も無くとぶち切れていました。電力会社はどこもいっしょで、なんとか原発を維持したい。

しかし、こんなバカ高い電気料金を払わされて、事故が起きてもだれも責任を取らない。それで、何で原子力なん?という疑問に誰もまともに答えない。

それで、鉄道会社はこの節電を喜んで、間引き運転を発表する始末。一体、どこを見て商売やっているのやらです。節電にかこつけて経費節減をするのであれば運賃を下げろといいたいですね。

みんな自分の勝手な都合ばかりで、利用者のことなんか全く考えていない。本当に情けない国です。

東電は東北の生活を奪った、日本の企業の利益も損なった、日本をどん底に落としても無責任に、自社の株の下落を案じて、国の指示にも従わない。こんな東電を誰が潰すのか。潰すだけの責任を取って当たり前ではないか。Tvの東電の会見を日々見ていると、人事の様な会見。政治は何も言えないだけ、カネにまみれているのだろう。この期にいたっても値上げを口にする、民間企業では有り得ない事。是非JALと同じ目に合わせてください。

 蛇足&脱線
蛍光灯をLED照明へ交換する事が薦められているが、一寸待った。
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3波長蛍光灯の演色力はRa=90に近い。
一方現在売られているLED電球の演色力はRa=70程度で、初期の蛍光灯のレベルしかない。
我家は食卓は3波長蛍光灯を洗面台や化粧台は相変わらず白熱電球を使っている。
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 しかしLEDは点滅に強い。
省電力ではなく停電対策で、階段灯を2Wの人体感知LEDに代えた。
ニッケル水素電池3本 5.4Wh(電気代12銭)で3ヶ月以上もっている。
省電力には、照明や冷房を間欠的・スポット的に変える方がずっと効果が大きい。
夜間照明電力を1/200にするのも可能と思う。

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