Calendar

2011年2月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28          

Recent Entries

« 2011年1月 | メイン | 2011年3月 »

2011年2月28日

TPPでは生きられない!座談会 「会場はこんなとこでした」

全国各地の農民、市民がつくる「TPPに反対する人々の運動」は26日、東京都内で「TPPでは生きられない!座談会」と題する集会を開いた。

TPP_110226_4.jpg
200席の会場は開始前5分の時点でほぼ埋まり、最終的には壇上で座る人も

TPP_110226.jpg
中野剛志京大院助教「人を叩けばなんとかなるような時代は終わった。"当たり前に生きる"ためにもこれからは誰かのせいにしてはいけない」

TPP_110226_3.jpg
韓国から招聘した郭氏は自由貿易推進によって韓国がどう変わったか報告(後日記事を掲載予定)

TPP_110226_19.jpg
集会には393人とメディア関係者が参加し、「3分スピーチ」のコーナーでは農家だけでなく消費者、学者、ファイナンシャルプランナー、地方首長などがTPP反対への思いや意見を語った

TPP_110226_5.jpg
共同代表・菅野芳秀氏「このTPP反対は絶対に勝利しなければいけない運動だ」

anti_tpp.jpg
この座談会にむけて同会が作成していたTPPパンフレットは当日だけで約1,300部が売り切れた

☆ ☆ ☆

4時間にもわたるイベントを終え、17時半からはキャンドルデモを開催した。

TPP_110226_7.jpg
イベント会場裏手の錦華公園を出発し、約2キロの道のりをデモ行進。そして行き先は...

TPP_110226_8.jpg
ビル上部に「KEIDANREN」の文字

TPP_110226_9.jpg
共同代表・天明氏が経団連会長あての要請文を読み上げる

TPP_110226_13.jpg
要請文を渡そうとする天明氏の前に4人の警備員が立ちはだかる。その後方に経団連関係者の姿

TPP_110226_14.jpg
TPPでは生きられない!

26日は政府の国家戦略室が主催する「開国フォーラム」がさいたまで、TPPに反対する民主党国会議員や有識者でつくる「TPPを考える国民会議」の対話集会が甲府でそれぞれ開催され、翌日の新聞はTPP推進ばかりではないという紙面になっていた。中でも率先して「開国」を煽ってきた朝日新聞は「TPP機運に失速感」と現状を伝えている。10月の所信表明からTPP推進一色だった大手マスメディアにも、少しずつ変化の兆しがある。(TPP推進のメディア状況は「世論調査の「TPP推進すべき」は本当?」(2011.1.13)を参照)

「TPPに対して慎重に考える動きが広まっている。農家だけでなく、あらゆる業界、市民団体と手を結んで一緒に声をあげていきたい」共同代表の菅野氏によると、今後日本医師会や地方自治体、「TPPを考える国民会議」などとの協力も視野に入れて行動するという。

(撮影:天明伸浩・上垣喜寛 写真提供:「当たり前に生きたい ムラでも、マチでも」)

【関連記事】
TPP反対派に押される「開国フォーラム」とは?
TPP反対訴え=農家ら都内で座談会(ウォールストリートジャーナル)
TPP参加をめぐり賛成派・反対派が集会(日テレNews)

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

シリーズ小沢一郎論(16)── 渡辺、豊田両氏は政権交代の貢献者

日本一新の会 達増拓也
(岩手県知事)

 あの、16人の「民主党政権交代に責任を持つ会」(通称:民主党国民の声)、会長の渡辺浩一郎氏と会長代行の豊田潤多郎氏は、細川連立政権が誕生した平成5年(1993年)の衆院選で当選した、改革の政治のフロンティアランナーである。渡辺氏は日本新党、豊田氏は新生党で当選し、その後、新進党、自由党、民主党と歩んできている。

 自由党と民主党の合併の際、選挙区調整で、それまで総支部長をしていた小選挙区を譲ったり国替えをしたりと、政権交代の大義のために犠牲を払ったお二人である。平成8年(196年)の衆院選以降、議員ではなくなったが、党の総支部長などの役職に就き、党活動を展開していた。私も、党関係の行事など、さまざまな機会にご一緒していたので、よく知っている。

 その積み重ねの上で、平成21年(2009年)の政権交代選挙で、当選を果たしたのである。お二人の長年の労苦が報われたのだと思い、私も本当にうれしかった。

 その政権交代の大義が、今、大きく損なわれようとしているときに、渡辺氏を会長、豊田氏を会長代行として、16人が決起したということは、心から理解できる。

 決起した16人は、他のメンバーも知る人ぞ知る、改革の政治に身を捧げた勇者たちである。そのような16人に対し、不勉強から理解を示さないマスコミ論調や、一部政治家の恥ずべき侮辱的発言があるのは、非常に情けない。

 政権交代の大義を守り、改革の政治を力強く進めていくために、日本政治はもう一段の大転換を必要としているのではないだろうか。

★   ★   ★

◎日本一新の会事務局からのお願い

◎日本一新の会事務局からのお願い
この論説は「メルマガ・日本一新」の転載で、日本一新の会が、週一回発行しています。購読を希望される方は、「 http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi 」から仮登録してください。折り返し案内メールが届きますので「規約」をお読み頂き所定の手続をお願いします。

少なからず不着メールがありますので、仮登録後に数日経っても案内メールが届かない場合は、「info@nipponissin.com」へご一報下さい。

2011年2月26日

《第3回》陸山会事件公判傍聴記 ── 「こんなものサイドストーリーだ!」と目の前で調書を破った吉田正喜検事

2月24日曇り。小雨が降るなか東京地裁に9時前に到着すると、なぜか今日は傍聴希望者がゼロ。「これは日時を間違ってしまった!」と思って、警備員にたずねてみると、やっぱり今日の日程に間違いはないという。そう言われてみれば、東京地裁の玄関前に長い列があったので、警備員に「外で並んでるのは傍聴希望者ではないですか?」と言ってあげると、警備員は「えっ!」と驚いて、急いで外の行列を東京地裁構内の傍聴希望者待機所に誘導しはじめた。結果、最初に待機所を教えてもらった筆者は1番の傍聴券番号をゲット。ちょっとうれしい。

でも、ここで少し考えた。こんなことになってしまったのは、おそらく、一番最初に間違って地裁前の門前で並んだ人が列の先頭となってしまって、そこに後続の人たちが疑いもせずにズラズラと並んでしまって、途中で修正されることもなく、気がついたら大行列になっていた・・ ということだと思う。最初にボタンのかけ間違いがあっただけなのだろうが、何だか、09年3月の西松事件以降の陸山会事件を象徴するような出来事だなあと思った。

ちなみに、今回の傍聴希望者は280人で定員は約55席。1番の傍聴券は3回目の傍聴で初当選だった。

午前10時開廷。今日は石川知裕衆院議員が被告人として初の質問を受けることになっていて、まずは弁護側の質問から。なお、弁護側の質問は昼休憩と午後休憩をはさんで16時40分まで行われていて、なかには内容が重複したり前後したりすることもあるので、今回は事実関係の要点をまとめて記述することにする。

※以下の概要は傍聴人のメモから主要部分のみを抜粋して再構成したものです。

■いわゆる「期ズレ」の動機

石川:2004年10月29日に土地代金の支払い(約3億5200万円)をすると2004年の収支報告書(2005年9月ごろ発表)に記載されるので、2005年に支払いをすれば、2005年分の公表(2006年9月ごろ)になると思った。その時期は小泉さんが首相で、郵政法案が通らなければ解散になり、そこで民主党が敗退すれば岡田代表(当時)が引責辞任をして代表選になることも考えられ、公表の時期を1年のばした方がいいと考えた。

そこで大久保さんに不動産会社に土地の購入を1月まで延期するように言ってもらったが、不動産会社に断らた。だが、不動産会社に紹介された司法書士は、10月29日は仮登記にし、翌年1月を本登記にすれば正式な所有権の移転は1月7日になると言われた。司法書士は法律のプロなので、(それを疑わずに)「そうしてほしい」と言った。

■銀行から融資を受けた理由について

石川:28日に銀行からのお金を集約するために振替伝票などの作業をしていた。そのとき、小沢氏から「貸した資金はちゃんと戻すように」と言われていたことを思いだし、過去に預金担保で同様の融資を受けていたことを思い出して、融資を受けることを決めた。

■銀行から借りた4億円を記載しなかった理由について

石川:結果的に(小沢氏からの4億円を含め)8億円を借りたことになるが、実質的には4億円なので書く必要はないと思った。定期預金を組んで預金担保融資を受けたのは、陸山会の前の担当者からそう聞いていたからで、資金を「とかさない」ためだった。

弁護士:サラリーマンが手持ちの金があるのにローンを組んで車を買うようなものか。

石川:はい。

弁護士:そうなると、陸山会の運転資金と切り離される。

石川:はい。


■水谷建設からのウラ金

石川:そのような事実はない。

■大久保氏や大久保氏への報告・了承について

石川:平成16年の報告書について、大久保さんには報告していない。小沢事務所に入ったのは、大久保さんよりも私の方が3年半先輩で、年齢は大久保さんの方が上でも、私のことを「石川」などと呼び捨てにすることはなかった。職務の分担がはっきりしていたので、指示されるようなこともなかった。

小沢氏への報告もしていない。小沢氏への報告は毎年12月末ごろで、忘年会の前に報告していたが、そこで報告するのは主に寄付やパーティー券の収入だった。

続いて、逮捕後の取り調べの様子について弁護側の質問。主なやりとりを一問一答形式で紹介する。

■取り調べについて

── 逮捕後、検事はどういうことを聞いてきたのですか

水谷建設からの裏金の1億を隠したいために提起を組んだり、時期をずらしたと追及してきました。

── どう答えたのですか

私は何度もそういう事実はないと申し上げましたが、検事は受け入れてくれませんでした。最初の取り調べのとき(2009年12月)には「この事件はどうおさめるかだ」と言われました。

── 吉田検事はどのような取り調べでしたか

ほとんどが水谷建設の取り調べでした。


■田代検事による保釈後の再聴取(2010年5月17日)について

── 小沢氏からの4億円を隠すつもりはなかったのに、なぜ、再聴取ではこのようなあいまいな言い方なんですか

全否認すれば徹底的に闘うということを言われたので、それが怖くて曖昧になったのだと思います。

── おずおずしていた理由は

ひとつは個人的な政治資金について逮捕もあると言われていたり、(否認すると)小沢氏に累が及ぶことを考えていました。

── 大久保さんについては

大久保さんも2010年1月15日に逮捕されていたので、自分も再逮捕はありえないと思いました。再逮捕は怖かったです。

── あなたには4億円の記載漏れについて「書き忘れたのでは」という調書がありますが

何度も「小沢一郎の4億円と書いた」と言いましたが、それを検事が否定するので、「書き忘れたのではないですか」という話をしたら、そういう調書を取られました。

■政治資金規正法違反の容疑を認めるまでの経緯

── どうして認めることになったのですか

1月14日夜に主張したのですが「特捜部は何でもできる。恐ろしい組織だ」と言われました。(検事に)「この事件をどうおさめるかだ」と言われていたこともあり、小沢氏や小沢氏の奥さん、事務所に捜査が行くと思いました。

── あなたのずさんな経理で小沢氏へ累が及ぶことを避けたかったということか

はい。そうです。

── 弁護士に「調書にサインするな」と言われませんでしたか

はい。言われました。

── それなのになぜサインしたのですか

弁護士は逮捕されたことがないのでわからないと思いました。

── 調書を訂正しようとするとどんなことを言われましたか

「あんたはオレに嘘をつくのか」と怒られました。

── それは検事のテクニックだとは思わなかった?

そのように思いもおよびませんでした。

■石川氏の女性秘書がダマし聴取された時の様子

── その後、何がありましたか

私の女性秘書が1月25日か26日に13時〜23時まで事情聴取を受けました。PCに子どもの写真を出されながら取り調べを受けたと聞いています。

── 翌日、僕(弁護士)が説明したことですね

そうです。

── 女性秘書はどうやって事情聴取から解放されたのですか

弁護士が解放のお願いをしたと聞いています。

── (弁護士が大きな声で)私がどなり上げたんですよ! それを聞いてどう思いましたか!

私の後援者の逮捕や私自身の再逮捕もあると思いました。

■「こんなものサイドストーリーだ!」と目の前で調書を破った吉田正喜検事

── その後、検事が交代していますね。

その後、27日午後の調べに行ったら知らない人がいました。

── それが吉田検事ですね。

はい。

── 吉田検事の聴取の中心は何でしたか?

水谷建設からの5000万円の調べでした。水谷を認めないと、私の政治資金について攻めてきました。

── それはどういう内容ですか?

政治資金がワイロにあたると言われました。

── 何がワイロにあたると言われましたか

言われていません。

── なぜ、その後に調書にサインしたのですか

水谷の件は別にして(筆者注:絶対に認められないとの意味)、ほかはしょうがないと思いました。

── ワイロを認めた調書以外に、もう一つ何か書いたのではないですか?

「議員を辞職します」という調書を書かされました。

── なぜ認めたのですか。絶望感からですか。

はい。

── 再逮捕については田代検事に聞きましたか。

田代検事に「再逮捕はありますか」と聞いたら、「ないとは言えない」と言われました。

── 調書が取られた日は

2010年1月29日だとおもいます。

── その調書はどうなったか

目の前で破られ、「こんなものサイドストーリーだから」と怒鳴られました


その後、検事の反対尋問も行われたが、20分程度だったので次回にまとめて記述する。

今回の傍聴記は事実関係が中心となったが、次回傍聴記には筆者なりの裁判序盤戦のまとめも入れて記述する。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月24日

北アフリカ・中東の民主革命はどこまで広がるのか ── 深まる米国のダブル・スタンダードの矛盾

takanoron.png 北アフリカ・中東の下からの民主革命の激動はますます拡大している。この地域にどういう国があって、その政体、人口、石油事情、GDPなど基本データを一覧表にするとこのようになる(表1)。

※クリックすると拡大します
newsspiral110224.png

 中東あるいは中近東という地域呼称は実は定義曖昧で、Wikipediaの「中東」が書いているように、普通にはイラン以西、スエズ運河及びトルコ以東のイスラム諸国及び非イスラムのイスラエルやキプロスを含めたまとまりを指すが、地理的には北アフリカに属するエジプトは、自他共に認める「アラブの盟主」で各次中東戦争の直接当事者であるため、当然の如く中東あるいは中近東の一部と考えられているし、場合によってはリビア、スーダン、ソマリアなどの北アフリカ諸国も、エジプト同様、中東政治の当事者としてそれに含まれる場合もある。この表では、さしあたり民主革命の広がりとは関係がないと考えられるトルコ、キプロス、西サハラ、ソマリア、イスラエル、パレスチナ自治政府は除いて、モロッコから東へほぼ地理順に20カ国を並べてある。

 当初、外務省「各国・地域情勢」に準拠しようとしたが、特に経済データが古いだけでなく規準が統一されておらず、ほとんど使い物にならないので、米CIAの「ザ・ワールド・ファクトブック」に頼ることにした。CIAは、GDPなどのデータを2010年推計値で統一していて使いやすい。但しGDP関連については、「購買力平価によるGDP」を重視し、それを人口割りにして「1人当たりGDP」を計算するという手法を採っていて、それのほうが実態に近いのかとも思うが、我々には余り馴染みがないので、「公式為替レートによるよるGDP」を用い、さらにそれを単純に人口で割って私が計算した「1人当たりGDP」を表に掲げてある。「購買力平価によるGDP」は、例えば中国と日本を比べる場合に、「公式為替レートにGDP」では、周知のごとく、2010年に中国5兆7450億ドル、日本5兆3190億ドル(推計値)で、昨年日本が中国にわずかながら逆転された訳だが、「購買力平価によるGDP」では中国9兆8720億ドル、日本4兆3380億ドルで、とっくの昔に追い抜かれている。このへんは数字のマジックとも言えることで、逆に言うとGDPとは何ぼのもんじゃという話でもある。

●14カ国にデモ波及

 さて、この表で政体を見ると、20カ国のうち、

(1)絶対君主制かそれに近いのがサウジ、オマーン、アラブ首長国連邦、カタールの4カ国、
(2)立憲君主制がモロッコ、ヨルダン、バーレーン、クウェートの4カ国、
(3)大統領=共和制ではあるが独裁的なのがエジプト、シリア、イランの3カ国、
(4)独特の軍部独裁型がリビアの1カ国、
(5)大統領制が曲がりなりにも行われているのがその他の8カ国、である。

 昨年12月中旬に始まったチュニジアでのデモ以来、最近までに民主化要求デモが起きた国は表2の通りで、

(1)のうちサウジ、オマーン、クウェートの3カ国、
(2)のうちモロッコ、ヨルダン、バーレーン、クウェートの4カ国全部、
(3)のうちエジプト、イランの2カ国、
(4)のリビア、
(5)のうちアルジェリア、チュニジア、ジブチ、イラクの4カ国、

----で、計14カ国、表中20カ国の70%に及んでいて、これが中東・北アフリカのイスラム圏のほぼ全体に及ぶ一大地殻変動であることが知れる。ということは、今後(1)のうち残りのカタール、(3)のうちシリアにも波及する可能性が高く、(4)の8カ国も安泰ではないことを予測させる。

●真の敗北者は米国

 表の「親米度」は、私が諸資料に基づいて◎=同盟国、○=親米国、△=?、×=反米国を色分けしたのもので、これで見ると、

(1)絶対君主制かそれに近いのサウジ、オマーン、アラブ首長国連邦は◎、カタールのみ△。
(2)立憲君主制のうちモロッコとヨルダンは○、、バーレーンとクウェートは◎。
(3)大統領=共和制ではあるが独裁的なエジプトは◎、シリアとイランは×。
(4)リビアは昨今は○。
(5)のうちアルジェリアとスーダンとレバノンは×、モーリタニアとイエメンは○、チュニジアとジプチとイラクは◎、となる。

 見るとおり、◎でまだデモが起きていないのはアラブ首長国連邦とイラクのみ。○で起きていないのはモーリタニアくらいで、そこにイラク戦争開始の際のブッシュ・ジュニア&ネオコンの「中東民主化」という屁理屈の欺瞞性が露呈している。この事態の真の敗北者は米国にほかならない。

 今更繰り返すまでもないが、ブッシュ政権は、アル・カイーダとは直接に何の関係もないイラクに戦争を仕掛け、その口実としてサダム・フセインが今にも「大量破壊兵器をアル・カイーダに渡そうとしている」という「ゴロツキ亡命イラク人の与太話」(注)を口実に用い、さらにフセイン打倒を手始めに「中東民主化」を推進するという誇大妄想的な大義名分を口にした。そもそも、相手国の独裁が気に入らないからといってその首都を空爆して指導者の爆殺を謀り、それが果たせないからと地上軍で占領して探索して絞首刑にかけ、その物理的・政治的瓦礫の上に「米国式の多数決民主主義」を移植して花咲かせようとした。そんなやり方でどこにせよ他の主権国家を「民主化」を持ち込めると考えること自体が頭がおかしい。しかも、人口的に少数派であるスンニ派が政治と軍事を取り仕切ってきたイラクの国柄で、そのスンニ派支配の象徴たるフセインを殺して多数決選挙を実施すれば多数派のシーア派主導の政府が出来て、それを誰よりも喜ぶのはシーア派の本家である隣国のイランであることは分かりきっている。なぜ少数派支配が長きにわたって続いてきたのかと言えば、この国に限らずアラブ遊牧民世界では、古代から続く部族社会レベルと宗教レベルとに重層化した一種の「熟議の民主主義」が働いてきたからで、それを単純な「代議制民主主義」に置き換えるなどというのは、歴史のない米国人だけが思いつく浅はかな考えにすぎない。

 あまつさえネオコンは、「中東民主化」をさらに推進しようとして、06年にパレスチナ自治政府で自由な総選挙を実施させ、それでは過激派ハマースが台頭するに決まっているじゃないかというイスラエルやパレスチナ主流のファタハの意見に耳を傾けなかった結果、ガザ地区はハマースの支配下に置かれてパレスチナ自体が分裂し、問題解決は一層困難になった。さらに米国は、「民主化と言うなら、なぜ真っ先にサウジに侵攻しないんだ」という当然の批判をかわすため、サウジにも自由選挙を強要、05年春に初の自治協議会選挙を行わせたが、これはもちろん茶番である(注2)。

 結局のところ米国は、「独裁はけしからん」と言いながらも、反米独裁は許さない、しかしサウジやリビアなどは独裁国であったとしても、米国に石油を輸出してくれたり、イスラエルに融和的もしくは無害であったりする限りは許容し優遇してきた。その二枚舌の米中東外交が致命的に破綻したのが今日の事態の本質である。民主主義は米国が外から中東に持ち込むことは出来ない。かといって、内からの本当の民主化が始まれば、米国はそれを支持していいものか、それとも独裁を擁護すべきか、思考停止に陥る、

 エジプトの事態に対し、米政府がムバラク擁護と市民支持の間で無様に揺れ動き、最終的には米軍事援助と直結するエジプト軍による事態沈静化に期待をかけるしかなくなっているというのは、漫画的としか言いようがない。▲

(注1)と私は04年6月14日付インサイダー(高野『滅びゆくアメリカ帝国』P.191)に書いた。そんなことは諜報世界ではとっくに常識だったが、このゴロツキが00年3月にドイツに亡命して「カーブボール」の暗号名で独情報局に雇われた自称科学エンジニアで、当時「フセイン大統領追放のチャンスだ」と思い、可動式の生物兵器施設や秘密工場の話を捏造したことを11年2月16日付英紙「ガーディアン」に初めて告白した。

(注2)05年1月1日付インサイダー(同上書P.200)

TPP反対派に押される「開国フォーラム」とは?

読売、朝日、毎日、産経、日経の他、関東地区の13の地方紙紙面に2月11日、「開国」広告が掲載された。

0211_saitama.jpg
2月11日の新聞広告。5段1/2サイズの広告料金は約880万円(読売新聞広告料金表より計算)

国家戦略室が企画している「開国フォーラム」で、政府公報によると第2,3回目の広告もすでに18の地方紙に出している。菅首相が掲げる「平成の開国」について、「各界の関係者間で議論をいただき、国民の暮らしとの関係について理解を深めることを目指」すイベントのようだ。

大々的な広告を出しているにも関わらず、その内容はいまだにナゾが多い。

第1回目のさいたま会場は2月26日開催予定で、先週2月17日に参加募集を締め切った。しかし肝心のパネリストは締め切り日を迎えても発表されず、昨日23日にようやくウェブ上で公開された。

* * * * *

20110224_kaikoku.jpg
編集部に届いた参加証にもパネリストは書かれていない

<出席者>【政府】
玄葉 光一郎(国家戦略担当大臣)
平野 達男(内閣府副大臣(国家戦略担当))
五十嵐 文彦(財務副大臣)

【有識者】
伊藤 聡子(キャスター・事業創造大学院大学客員教授)
逢見 直人(日本労働組合総連合会 副事務局長)
小川 惠弘(群馬県農業経営士協議会会長・全国指導農業士連絡協議会副会長)
落合 寛司西武信用金庫 理事長)
戸堂 康之東京大学新領域創成科学研究科 教授)

* * * * *

独自に入手したフォーラムの資料案によると、当日の内容は少子高齢化や雇用減少、農家の担い手不足、若者の「内向き化」などを克服するための「開国」をうったえる模様で、「地域や企業がアジア等と直接つながることで誰もがグローバル化の恩恵を享受できる経済社会を作る」とされている。スローガンは「尊農開国」で、「食と農林漁業の再生」とTPPを含む「経済連携の取り組み」の両立を図るというものだ。

菅政権が理念に掲げる「開国」のイベントにも関わらずそのアピールが進められない要因のひとつに、TPP反対の意見がある。

《THE JOURNAL》インタビューで反対論を展開した山田正彦元農水相は、民間人や野党を巻き込んだ反対運動を展開する目的で「TPPを考える国民会議」の発足を発表している。本日12時に開かれた設立発表会によると、2月26日の開国フォーラムにぶつける形で山梨県で説明会を開催、4月上旬にはニュージーランドで反TPPの活動を繰り広げているオークランド大学教授ジェーン・ケルシー(Jane Kelsey)氏を呼ぶとのことだ。

東京でも開国フォーラムと同日に、市民主導で国会議員を巻き込んだ「TPPに反対する人々の運動」がデモイベントを開催し、中野剛志氏(京都大学大学院助教)や韓国の農民・郭吉子氏が駆けつける。TPPをめぐる対立構造はますます激化する模様だ。

民主党のAPEC・EPA・FTA対応検討PT(山口壮座長)では開国フォーラムの説明会が行われ、議員の中からは開催自体を中止すべきとの意見が出ていた。しかし、9ヶ所それぞれの地方紙に"平等"に広告が出され始めているところをみれば後戻りできないのが本音だろう。4ヶ月前に金子勝氏が「Uターンする日本」で表現した「帰りたい 帰れない」状況はますます悪化している。

【関連記事】
開国フォーラム 民主・プロジェクトチームで異論(日本農業新聞)
TPP慎重派も開催へ 政府の地元説明会と同じ日に(tv.asahi)

【TPP関連記事】
中野剛志:TPPはトロイの木馬
山田正彦(元農水大臣):TPPは農業だけの問題ではない!
TPP報告書を公開!──"情報収集"とはいかほどのものか
TPP「開国」報道に"待った"の動き
続・世論調査の「TPP推進」は本当?地方議会の反対決議

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月23日

《有料会員限定》田中良紹:2011年を歴史から読み解く

izakayatanakajuku1011.JPG

→ http://www.nicovideo.jp/watch/1298362074 ←

 ジャーナリストの田中良紹さんが、長年の記者生活と歴史に関する豊富な知識から分析した「永田町のカラクリ」と「これからの世界と日本」について参加者と語り合う『居酒屋田中塾』。

 今回のテーマは「2011年を歴史から読み解く」です。

 激動の予感がする2011年を考えるとき、どういう歴史的視座を持っておくべきか。田中良紹さんが長年の政治記者としての経験を交えながら、「創造的破壊」の予感のするこの一年を展望します。

 現在、下記URLで公開中です。有料会員に登録されていない方は、この機会にぜひご登録下さい!

↓   ↓   ↓

■田中良紹:政治の読み方(4月30日まで配信)
→ http://www.nicovideo.jp/watch/1298362074 ←

■《THE JOURNAL》@ニコニコ支局 番組一覧
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch711

────────────────────────
※上記URLからは新規会員登録もできます。なお、視聴にはニコニコ動画へのログインが必要となりますので、チャンネル登録の際に使用したメールアドレスとパスワードでログインしてください。不明な点がある場合は、ニコニコ動画のヘルプページをご利用下さい。
http://help.nicovideo.jp/channel/

────────────────────────
■有料会員制度スタートのお知らせ
《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月20日

シリーズ小沢一郎論(15)── 恣意的な、あまりにも恣意的な菅政権

日本一新の会 達増拓也
(岩手県知事)

 菅民主党が小沢一郎氏の党員資格停止処分を決めつつある。いかなる正義を実現しようというのか。

 小沢氏と石川議員や秘書達が司法の場で疑われているのは、政治資金の収支報告書で、不動産取得の時期や小沢氏本人による立替払いについて、不正確ではないか、ということである。収支報告書の正確さが疑われただけで党の処分が必要だというなら、収支報告書の記載漏れや誤りを認めて訂正を行った議員(毎年何件もある)には、より重い処分が必要だということになる。不正確な収支報告は「虚偽記載」だから、とうてい許されるものではない、疑われただけで罰を受けるべきだ、という原理原則を明らかにしなければおかしい。

 菅執行部は「起訴されたことが悪い」という主張のようだが、政治資金収支報告の正確さの問題で、しかも正確と解する余地が大きい今回のようなケースで、逮捕や起訴をすることこそが正義に反するのである。国民のために糺(ただ)すべきは「検察の暴走」問題だ。

 菅政権が小沢問題を国家の一大事として扱っている割には、菅執行部は事実関係を詳しく調べている様子が見られない。ちょっと調べれば、検察と検察審査会の異常さが、たちまち見えてくるはずだ。

 本当に大事なことについて、必要な情報収集をせず、いいかげんな行動をとる、というのが菅政権の一大特徴である。TPPについては、やろうと決めてから情報収集に乗り出すという、国の舵取りとして論評に値しないような姿勢である。

 こういうのを、恣意(しい)的と言う。手元の辞書によれば、「恣意的=1論理的に必然性がないさま。2自分の好みやそのときの思い付きで行動するさま。」とある。恣意的な、あまりにも恣意的な菅政権ではないか。

 脳科学者の茂木健一郎さんが、「小沢一郎さんはプリンシプル(原理原則)の人だ」と喝破し、ツイッターで「プリンシプルの問題として」小沢攻撃を痛烈に批判している。原理原則を大事にすることは、恣意的であることの正反対である。

 公(おおやけ)のリーダーたる者、自分が恣意的になっていないかどうか、常に自ら戒めるべきだ。リーダーが恣意的であるということは、専制的であることと同義だからである。

 私のような者でも、知事として恣意的にならぬよう、自戒している。今話題の岩手県知事責任編集・「コミックいわて」の発行についても、約半年、県庁内で検討を重ねた上で決めている。県立病院問題は、大変重要な問題なので、徹底的に情報収集した上で決定を行った。県議会に深々と頭も下げたが、へき地・地域医療学会や全国自治体病院学会に招かれ全国大会で講演するほど、地域医療問題に詳しくなった。自分の色をどう出すかではなく、「岩手県」という人格が仮に存在するとして、その架空の人格ならばどうするだろうか、という考え方で知事の言動を決めている。リーダーは、無私、無我の境地であるべきだと思っている。

 菅政権は、高度に専制的である。専制的な政権は、許されない。「岩手県」という人格は、菅政権を認めないであろう。私も認めてはならないと考える。

PS:民主党の有志議員に会派離脱の動き、とのニュースが飛び込んできた。フランスがナチスの傀儡政権に支配された時、国外(イギリス)に「自由フランス政府」というものが作られ、国内のレジスタンスと連携して戦ったことを思い出す。『パリは燃えているか』ならぬ「民主党は燃えているか」である。打倒専制!民主党を解放せよ!

★   ★   ★

◎日本一新の会事務局からのお願い

◎日本一新の会事務局からのお願い
この論説は「メルマガ・日本一新」の転載で、日本一新の会が、週一回発行しています。購読を希望される方は、「 http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi 」から仮登録してください。折り返し案内メールが届きますので「規約」をお読み頂き所定の手続をお願いします。

少なからず不着メールがありますので、仮登録後に数日経っても案内メールが届かない場合は、「info@nipponissin.com」へご一報下さい。

2011年2月18日

大野和興:平成の不平等条約TPP

農業記者として約40年間日本とアジアの農村を歩き続けた大野和興氏にインタビューを行いました。大野氏は国際的な視野で独自取材を重ね、国内議論にのぼらないTPPの問題点を指摘してきました。

90年代との社会変化、「中央 vs 地方」という対立軸、そしてネットでは見えてこない女性農村運動の広がりも必見です。

*   *   *   *   *

大野和興氏(ジャーナリスト)
「平成の不平等条約TPP」
ono091211_2.jpg

─大手メディアのTPP報道をどう見ていますか

読売新聞の「平成の開国」という特集の中で、TPPに反対するのは「国賊」であると経産省の言葉を掲載していました。「国賊」とは問答無用、「それを言っちゃあおしまいよ」という言葉です。日本一の部数を誇る読売新聞が看板企画でこのような言葉を使ったことが既成メディアの退廃を示していると思います。

─大手メディアは「経済界 vs 農業」の構図で報道し続けました

TPPは農業だけの問題ではなく、さらに農業界全体が反対しているわけでもありません。ジャーナリストの西沢江美子(にしざわ・えみこ)氏によると女性農業者の中でもTPP推進派がいると聞きます。主に農水省の路線で起業した人たちでTPPをきっかけによりいっそう売れると思っているようです。農業界の意見の割れ方を見れば、「経済界 vs 農業」の構図は古いと言えます。

全国紙と地方紙が1つの問題をめぐってこれほど対立することは珍しいという印象を受けており、今回のTPP問題は「中央 vs 地方」という対立軸があると思います。

─対立軸がかわった背景は

ひとつは「貧困」の社会問題化があると思います。

1980年代後半から90年代の日本はまだバブルの時代で、みんなが「それ行けドンドン」とうかれていました。労働組合でさえ銀座の行きつけの店で高いお酒を飲んでいた時代です。

しかし1990年代後半から「貧困」の問題が表に出てくるようになり、状況は変わりました。2001年以降の小泉政権時代に労働法制がかわり、規制緩和が進むと、年越し派遣村に代表される「貧困」が社会問題になりました。

─「反貧困ネットワーク」を始めとする反貧困の動きは全国に広がりました

地方では農業所得と農外所得の両面に問題が起こっています。

食糧管理法が生きていた1995年ぐらいまでは農家の収入となる米価は横ばいでした。かわって成立した新食糧法によって米価が市場によって決まる仕組みができ、それ以降は農家の収入は毎年1割ずつ減るような状態が続いています。90年代に2万円/60kgを超えていた農協からの仮払米価は、今年は9,000円です。

もっと深刻な問題は農外所得です。地方工場は海外に移転し、国内で残っている工場では賃金切り下げと「もっぱら派遣」が横行しています。

─「もっぱら派遣」とは

ある工場が自前の派遣会社をつくり、そこで採用したスタッフを自分の工場に派遣するのです。

ある東北の企業を例にあげます。そこは社員が1人、他は派遣スタッフという100人規模の企業です。雇用責任は総務部に置かれた別の派遣会社にあり、いつでもリストラできるという実にひどい雇用破壊が進んでいます。

地方農村を見ると、農業所得と農外所得の両側から貧困が迫っていることがわかります。

☆ ☆  食料高騰とTPP ☆ ☆

日本のTPP議論に欠けているのは、ニュージーランドやオーストラリアで取り上げられている論点です。それはTPPの決定事項が国内法や国内制度よりも優位に働く点です。

米国企業が日本に進出して問題を起こした場合、日本の法律で裁けなくなる可能性があります。例えば、モンサント(米国)が自社のGM(遺伝子組み換え)大豆を使った豆腐をつくって食品表示をしなかった場合、当然日本政府は国内法に照らして操業差し止めなどモンサントに罰則を与えられるはずです。しかしモンサント側は逆に国際機関に日本政府を訴えることができるようになります。そうなれば日本政府は保護しすぎだと罰せられ、米国企業に罰則金を払うことになります。

戸別所得補償のような国内セーフティーネットもTPPのもとでは違反の対象になってくるでしょう。

─外資企業に治外法権を認めるTPPですね

外資企業によって市場どころか生存権まで握られてしまいます。幕末の不平等条約そのものです。

─途上国にとってはメリットがあるのでしょうか

途上国の論調に変化が起こっています。WTOの前身であるGATT・ウルグアイラウンドで、途上国は欧米諸国への輸出が増える狙いで賛成側に回りました。しかし結果的には逆に輸入の増加を招き、途上国の間で「話が違うじゃないか」という声が上がりました。今のTPP問題を見ていると、当時の途上国と今の日本が重なってみえます。

─TPP参加の理由に「日本の輸出が増える」というものがありました

TPPの本質は米国の市場拡大であって、米国の尻ぬぐいにすぎません。米国は成長するアジア太平洋地域への市場拡大を狙っているだけです。

─逆に輸入農産物が増えれば、日本の食生活は国際価格に左右されることになります
110218_price.jpg
農水省「世界の食糧事情と農産物貿易の動向」より

天災の影響で穀物価格が世界的に上昇しています。大手メディアは穀物価格高騰報じながら、TPP、つまり食料自由化と結びつける論理がありません。

2008年の食料価格高騰は米国のリーマンショックと金融緩和政策が密接に絡んでいました。現在米国はそれ以上の金融緩和政策をとっており、大増刷されたドルは米国から海外に流れて食料市場への投機にまわっています。

また、中国は使い道がない米国ドルで世界の土地を買っています。

私はアジアの農村をまわっていますが、中国資本がカンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの農民を追い出してる現場を目にしてきました。米国発の過剰資本が生んでいる現象です。

☆ ☆ グローバリゼーションとどう向かい合うか ☆ ☆

─TPPと平行して、FTAやEPAなどの二国間協定が進んでいます

私は2003年に脱WTO草の根キャンペーンをつくり、活動してきました。貧困社会の増大、環境破壊の拡大でWTOが行き詰まってくると、二国間・地域間の自由貿易協定FTAが現れ、脱WTO"/FTA"草の根キャンペーンにして反対し続けました。しかし我々の運動自体の戦略も練り直す時期に来ていると思います。

私は今後の流れは「WTO改革」だろうと思います。WTOまで否定してしまうと身動きがとれません。とは言え今のWTOは強者の論理で動いており、医療や介護、食料、環境など基本的人権や生存権に関わる分野の自由化を規制化すべきと思います。

また、WTOは一種の法廷でもあります。現在は協定違反をすれば訴えられますが、基本的人権を重視する仕組みに変えて、もし権利を侵害されるような事態が起これば逆に訴えられるような法廷にすべきです。もう一度WTOに立ち返って協議するべきかと思います。

─WTOが実質機能しなくなった背景には、途上国の反対論と中国やインドなどの新興国の存在があると思います

その中国は国内で農民問題を抱えています。農業人口が減り、農業生産力が減り、輸入国へと転換しています。土地問題が内部で起こり、反乱が起こっています。

中国人民大学教授の温鉄軍氏が「三農問題」を取り上げています。中国共産党の中央委員会で問題提起して、党に「三農問題」というとらえ方を定着させた人です。「三農問題」とは、過小零細農の世界は農業、生活、共同体の3つの視点でとらえなければいけないという考えです。僕が20代の頃の記者時代は、農業経済はそういうとらえ方をするよう学んだものです。

60年代の農業基本法以降、日本は農家・農村の問題を農業問題としてしかとらえられていません。農業と暮らしと村を一緒にとらえないといけません。農業問題としてアプローチすると、どうしても規模拡大して生産性を上げることが解決策になってしまいます。

─大野さんは反グローバリゼーション運動を展開してきました

グローバリゼーションそのものは否定できなくなっています。今問題になるのは環境破壊や貧富の格差、基本的人権の侵害といった"グローバリゼーションによる暴力"です。スーザン・ジョージの「オルター・グローバリゼーション」にもつながるところですが、暴力を発揮させないようなグローバリゼーションにしていくことが大切かと思います。TPPについてもその視点から反対論を展開していきます。

─2月26日には国内の零細農家や消費者だけでなく、韓国からの農民も集まり、デモイベントが企画されています

「TPPでは生きられない!」と百姓が農協など既成の組織と関係なく自前で立ち上がり、呼びかけています。さらに、農業という枠内にとどまるのではなく、グローバリゼーションの中で苦しむ非正規労働者や中小零細事業者、野宿者などへ大きく「ともに」と呼びかけています。

そして女性の動きにも注目です。「反TPP百姓女性の会」では北海道から沖縄まで、全国の農村女性の間で回覧ノートがまわっています。回覧ノートを書いて、郵送で送るという戦後農村女性運動の手法です。FAXと電話と手紙が入り乱れ、暮らしの中から意見が集まっています。

小さい輪は、次第に広がってきています。

(取材日:2011年2月10日 構成:《THE JOURNAL》編集部・上垣喜寛)

【TPP関連記事】
中野剛志:TPPはトロイの木馬
山田正彦(元農水大臣):TPPは農業だけの問題ではない!
TPP報告書を公開!──"情報収集"とはいかほどのものか
TPP「開国」報道に"待った"の動き
続・世論調査の「TPP推進」は本当?地方議会の反対決議

-------------------------------------------------------------------------------------
【プロフィール】大野和興(おおの・かずおき)
1940年愛媛県生まれ。農業ジャーナリスト。
四国山地の真只中の村で育ち、農業記者として約40年を日本とアジアの村を歩く。「日刊ベリタ」現編集長、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」事務局長、「アジア農民交流センター」世話人、「国際有機農業映画祭」運営委員会代表、本誌ブロガー「大野和興の農業資料室

-------------------------------------------------------------------------------------
【編集部よりお知らせ】
当たり前に生きたい、ムラでもマチでも TPPでは生きられない!座談会
hyakusho_top.jpg

日時:2月26日(土)午後1時から
場所:東京千代田区神田駿河台、明治大学リバティータワー2階 1021教室
参加費:500円
内容:中野剛志・京都大学助教授の基調講演、韓国農民の報告、参加者の3分間スピーチ、キャンドルデモなどが予定されている。

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月17日

民主党所属衆院議員16人が会派離脱! 「菅おろし」が本格化

 民主党に所属する比例選出衆院議員16人が17日午前、同党議員が所属する衆院会派「民主党・無所属クラブ」からの離脱願いを岡田幹事長宛に提出した。また、離脱を表明した16人の議員は同時に横路衆院議長宛に新会派「民主党政権交代に責任を持つ会」の届け出も行った。

 一方、離脱届を受け取った岡田幹事長は同日午後に行われた記者会見で、「同じ民主党に属しながら会派を離脱するということはできない。いまの(民主党の)規約上、そういうことは想定されていない」と語り、離脱届は無効との認識を示した。

 しかし、現行の規約には党所属の国会議員が民主党系会派の離脱を禁止する条項は存在せず、岡田幹事長の論理は「会派離脱は想定されていないので、禁止されている」という個人的な解釈を示したにすぎない。現に、執行部のなかでも輿石東参院会長は同日午後の記者会見で「私の知る限りでは、会派を離脱すればこうするといった規約はないだろう」と述べていて、岡田幹事長とは異なる解釈をしている。

 そもそも、一つの党に所属する議員が異なる会派に所属することは過去にも例があり、1993年には社会民主連合に所属する4人の国会議員うち3人が社会党の会派に、1人がさきがけ・日本新党の会派に所属したこともある(参照:中日新聞)。また、地方議会をみれば、金沢市議会には「金沢民主議員会」と「民主クラブ」の2会派があり、党所属議員が議会で複数の会派に分かれることは珍しいことではない。

 いずれにしろ、会派離脱届の扱いや規約の解釈をめぐって民主党内がまたもや紛糾することは必至で、今後、菅首相の求心力はさらに低下するものと思われる。

────────────────────────────────

【参考URL】
■民主党規約
http://www.dpj.or.jp/governance/policy/

■岡田民主党幹事長記者会見(2月17日 16:00〜)
http://www.dpj.or.jp/news/?num=19753

■輿石東民主党参院会長記者会見(2月17日 14:00〜)
http://www.dpj.or.jp/news/?num=19756

────────────────────────────────

【新会派「民主党政権交代に責任を持つ会」所属議員一覧】
※カッコ内の数字は当選回数

■会長
渡辺浩一郎(比例東京・2)

■会長代行
豊田潤多郎(比例近畿・2)

■副会長
三輪信昭(比例東海・1)
熊谷貞俊(比例近畿・1)
菊池長右ェ門(比例東北・1)
高松和夫(比例東北・1)

■幹事長
笠原多見子(比例東海・1)

■幹事長補佐
水野智彦(比例南関東・1)

■副幹事長
渡辺義彦(比例近畿・1)
石田三示(比例南関東・1)
川口浩(比例北関東・1)

■事務局長
石井章(比例北関東・1)

■事務局次長
大山昌宏(比例東海・1)
小林正枝(比例東海・1)
相原史乃(比例南関東・1)

■事務局補佐
川島智太郎(比例東京・1)

────────────────────────────────

【約束を果たす民主党への回帰宣言】

 「今の菅政権は、国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない」今、民主党議員の多くが強くそう感じている。「国民の生活が第一」の政治理念は、おととしの衆議院総選挙での、民主党と国民との最大の約束だった。しかし今の菅政権ではどんな事態が進行しているだろうか。

 総選挙では、予算のムダを徹底的に削り、新たな政策の財源に充てるとしたマニフェストを掲げ、政権交代を実現した。しかし、「予算の総組み替えなどを行う」と主張していたのに、ほぼ手つかずの一方で、先週、菅総理大臣は、「衆議院の任期中上げない」としていた消費税については、「来年度末までに法的な対応をしなければいけない」と発言し、増税への意欲をあらわにした。

 菅政権は国民との約束、マニフェストを捨てたのである。

 また、政治家主導で日本を立て直すはずが、目玉とされた国家戦略局の設置法案は実現せず、公務員制度改革も反古にされている。官僚に頼り放しだが、尖閣問題や北方領土問題など、もっとも政治主導であるべき案件で失敗すると官僚のせいにする。

 菅政権は政治主導の御旗も捨てたのである。

 菅政権は、民主党の理念、そして「国民の生活が第一」という国民の皆様への約束をも捨て去ったのである。

 菅政権が本来の民主党の政策を捨て、本来の民主党の政治主導を捨て、本来の民主党の国民への約束を捨て去って省みないならば、それは国民が願いをかけた本来の民主党そのものを捨て去ることになる。

 そして、このことは、本来の民主党への支持の上に比例代表で当選した我々の存在意義すらも打ち消すことになる。

 我々は民主党と国民との約束の上に存在する比例代表の議員だからこそ、本来の民主党の姿とはかけ離れた今の菅政権にはもう黙ってはいられない。みすみす旧来からのしがらみにはまり込み、無原則に政策の修正を繰り返す菅政権に正当性はない。我々は今こそ「国民の生活が第一」の政策を発信し、国民の信頼を取り戻していかなければならない。

 しかし、我々は、民主党に対する信頼が地に落ちた今となっても民主党を捨てるつもりはない。歯を食いしばっても、国民との約束であるマニフェストの実現に取り組む我々こそが、本来の、そして真の民主党であるからだ。

 従って、我々は、国民との約束を果たす議員集団であることを、改めて国民の皆様に行動で示すために、衆議院での民主党・無所属クラブとは分かれ、新たに院内会派を設立する。そして同志一同が結束して、「国民の生活が第一」の政策を実行すべく今後、行動を展開していくこととする。

2月17日 民主党・衆議院比例代表単独議員有志一同
────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月16日

中野剛志:「TPP亡国論」発刊にむけて

 TPP論者の代表格として大手メディアに登場してきた中野剛志氏が新刊「TPP亡国論 」を発刊し、その印税の半分相当を東北関東大震災義援金へ寄付しました。中野氏から《THE JOURNAL》読者へのメッセージを紹介します。

☆ ☆ 3月20日のメッセージ ☆ ☆

中野剛志氏(京都大学大学院助教)
nakano_110320.jpg

 《THE JOURNAL》編集部のご厚意を得て、拙著「TPP亡国論」(集英社新書)の刊行にあたり、恐れながら、一言、申し上げさせていただきます。

 まず、このたびの東北関東大震災により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆様に対しまして心からお見舞い申しあげます。

 さて、3月17日、本書の印税収入の半分に相当する金額を、日本赤十字社東北関東大震災義援金として寄付させていただきましたのでご報告させていただきます。さらに、今後、仮に本書が重版になった場合は、

1、日本赤十字社の当該義援金の受付期間である本年9月30日
2、政府がTPP交渉参加を正式に見送った日

のいずれか早い日まで、上記の形式による寄付を続けることをお約束いたします。このような少ない金額の寄付行為を公表することにつきましては、躊躇がなかったわけではありません。

 しかし、それ以上に、もし国家の非常時を尻目に自著の出版にかまけていたとの誹りを受けたら痛恨の極み、末代までの恥となることをより恐れたことから、まことに勝手ながら、この場を借りて、事の次第を敢えてご報告させていただきました。

 皆様におかれましては、いろいろご異論もあろうかと存じますが、なにとぞ、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。最後に、被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

 中野剛志(3.20 記事更新)

tpp_nakano.jpg
「TPP亡国論」(集英社新書)

【おもな内容と目次】
TPP参加の方針を突如打ち出し、「平成の開国を!」と喧伝する民主党政権。しかしTPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの。TPPが日本にもたらす危機は食糧自給率の低下だけではない。それは、デフレの深刻化、雇用の悪化、米国への更なる従属など、日本経済の根幹を揺るがしかねないものなのだ。

第一章 TPPの謎を解く
第二章 世界の構造変化を読む
第三章 貿易の意味を問い直す
第四章 輸出主導の成長を疑う
第五章 グローバルな世界で戦略的に考える
第六章 真の開国を願う

☆ ☆ 以下、2月17日の記事 ☆ ☆

 私は、これまで個人的な諸事情もあって、政府の個別の政策に対する批判はできるだけ控えてまいりました。しかし、今回のTPP(環太平洋経済連携協定)の危険さ、TPPを巡る議論の出鱈目さ、そして財界や主要マス・メディアが軒並み賛成するという異様さは、さすがに常軌を逸しています。物には限度というものがあり、堪忍袋には緒というものがあります。私は、もはや黙っているわけにはいかなくなりました。そこで我が身を省みず、論考を発表したり、慣れない講演をしたり、恥を忍んでインターネットの動画に出演したりしてきました。

 しかし、劣勢はいかんともしがたいことから、ついに一冊の新書を書き下ろしました。それが3月17日発売の「TPP亡国論 」(集英社新書)です。

 TPP問題という穴をのぞくことで、世界の構造変化や日本が直面する問題の根本が見えてきます。本書は、TPP問題だけでなく、それ以外の政治経済的な問題に対処するにあたっても役に立つものと思います。

 TPP問題は、実に根の深い問題です。論文や講演では語りつくせないこともたくさんございます。本書をご覧いただき、TPP問題の全貌をご理解いただければ大変、嬉しく、幸甚です。どうぞよろしくお願いいたします。

 中野剛志(2.17)
* * * *

 《THE JOURNAL》で掲載したインタビュー「TPPはトロイの木馬」は2月16日現在7万pv(ページビュー)を超え、推進一色のTPP議論に一石投じる記事となりました。新刊ではインタビューで語られなかったことが盛り込まれており、TPPの根深さを改めて感じさせられる一冊です。ぜひご予約、お買い求め下さい!

(ネット書店 →Amazon←でお買い求めいただけます)

【TPP関連記事(NewsSpiral)】
中野剛志:TPPはトロイの木馬
山田正彦:TPPは農業だけの問題ではない!
舟山やすえ:米国基軸のTPPよりアジア中心の経済圏を
TPP報告書を公開!
TPP「開国」報道に"待った"の動き
続・世論調査の「TPP推進」は本当?

(構成:《THE JOURNAL》編集部 上垣喜寛)

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月14日

小沢氏への党員資格停止処分で「菅おろし」がはじまる

 民主党は14日、役員会を開き、検察審査会による2度の「起訴相当」議決で強制起訴された小沢氏に対し、裁判が終わるまで「党員資格停止」とする方針を15日の常任幹事会に諮ることを決定した。

 今日の決定に先立ち、9日に開かれた「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」では検察審査会の法的根拠に疑問を投げかける国会議員が代理出席も含めて50名以上参加。会の最後には「現在、民主党執行部が行おうとしている小沢一郎議員に対する処分は、議会制民主主義の否定」という内容が含まれた決議文を採択し、処分を行うとすれば犯罪事実の明確な証拠を提示するよう呼びかけることも訴えた。

 一方、執行部は「検察による起訴と検審による起訴は同等」と考えており、さらに、政倫審へのすみやかな出席を小沢氏が拒否したことも処分理由にあげ、犯罪事実の明確な提示は必要なしとの立場を崩していない。

 執行部が強硬な姿勢を貫くことを受けて、党内ではすでに「菅降ろし」の動きが水面下ではじまっている。永田町事情通の間では「政界再編の狼煙(のろし)があがった」と分析する見方も出ていて、明日以降、その動きの方向性が見えてくる。

newsspiral110214.jpg
↑ 「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」決議文

2011年2月11日

今週の小沢一郎会見──主催は"自由報道協会(仮)" 

110210_22.jpgのサムネール画像

2月10日(木)「自由報道協会(仮)」が主催する小沢一郎衆議院議員の記者会見が開かれました。今回も《THE JOURNAL》からは官邸締め出しメンバー西岡、上垣が参加しました。

110210_2.jpg
今回の会場は永田町1丁目1番地、憲政記念会館

110210_6.jpg
誰でも入場できるようになっただけにセキュリティは強化せざるをえませんでした。その分コストも...

110210_3.jpg
公的な身分証を見せれば全員入ることができます

110210_5.jpg
事前申込者は黄色、当日参加者はピンクのリボンをもらい、

110210_4.jpg
金属探知機をパスすれば会場へ入れます

110210_6.jpg

110210_7.jpg
「自由報道協会(仮)」設立準備委員会メンバーということで気持ち前側の席に座ることができました

110210_8.jpg
すでにみなさん準備を進めてました。ケツダンポトフのそらのさん

110210_8.jpg
フリーランスライターの畠山理仁

110210_9.jpg
IWJの岩上氏

110210_10.jpg
予定時間は来てますがなかなかゲストは到着せず

110210_11.jpg
と思ったら会場がざわざわし始め...

110210_12.jpg

110210_25.jpg
小沢一郎・民主党元代表、いよいよ到着です

110210_14.jpg
司会・上杉隆氏で会見開始です

110210_16.jpg

110210_26.jpg
最初の1分間だけストロボOKです

110210_17.jpg
一緒に石川知裕氏の裁判を傍聴している江川紹子氏は小沢氏と水谷建設との関係性について質問

110210_18.jpg
常岡氏の質問には、まずは「アフガンでは本当にご苦労さんでした」(小沢氏)と一言

110210_1.jpg

110210_19.jpg
終了予定時間(17:40)をまたもオーバーしてしまいました

110210_19.jpg
どうしても質問したいとの参加者の声に「次回の会見で」と次を約束してくれました

110210_20.jpg
お忙しいところありがとうございました

今回も一部の報道機関からは「インターネット番組」との誤報があったようですが、改めて、この日はあくまで「自由報道協会(仮)」が主催した記者会見でした。

「小沢氏、ネットメディア頼み...新聞・TV嫌い?」(読売)
「首相、小沢元代表に処分手続き入り通告 離党拒否で直接会談、物別れに」(日経)

ちなみに産経新聞はインターネット上で詳細を報じていました。

会見の模様は参加者がそれぞれの手法で配信しています。ぜひ多様な報じ方をお楽しみ下さい。

■畠山理仁のブログ
http://hatakezo.jugem.jp/?eid=18

■岩上安身オフィシャルサイト
http://iwakamiyasumi.com/archives/6107

■週刊・上杉隆
http://diamond.jp/articles/-/10911

(撮影・キャプション:《THE JOURNAL》編集部・上垣喜寛)

────────────────────────
【関連記事】
小沢一郎緊急記者会見 「会場はこんなとこでした」(NewsSpiral 1.28)

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月10日

《第2回》陸山会事件公判傍聴記 ── 本当に小沢氏の説明の矛盾が明らかになったのか?

←前回(第1回) │ 次回(第3回)→

2月8日曇り。東京地裁に入ると、すでに傍聴券を求める人たちの列が。某紙記者によると、「政治家の裁判で2日目も抽選になることは珍しい」とのこと。

本誌スタッフは3人で傍聴人の列に並ぶ。しかし・・・、12時25分に全員ハズレが確定。

がっくり肩を落としていたスタッフ3人組が「どうしようかなあ」とさまよっていたところ、突然、「傍聴希望の方ですか?」と某大手新聞社の方に声をかけられる。「そうです」と答えると、「ウチでとりすぎちゃったので、お分けしますよ」とのこと。ありがとうございます! スタッフ全員分の傍聴券をゲットし、法廷内に入る。

13時15分開廷。石川氏、大久保氏、池田氏の3人が入廷。その後、証人2人が出廷する。

今回の証人2人は、銀行員として小沢氏関連の銀行口座の入出金に関わったことがあり、不動産購入の際に用意した4億円に関連する入出金のやりとりについて語ることになっている。

ちなみに、本連載では、筆者の目から見た法廷の様子をありのままに語ることに専念し、できるだけ論評や解説は控えるようにしているのだが、今回は【ちょっと長めの追記】という形で、事実関係の解説をすることにした。

というのも、第2回公判終了後に報じられたニュースには、発言の一部をフレームアップしたものや事実関係についての理解不足から書かれたと思われる記事があり、これはちゃんと軌道修正しておく必要があると感じたためだ。

ということで、今回は最初に証人尋問のQ&Aの流れを掲載し、その後に【ちょっと長めの追記】として解説を行うことにする。

────────────────────────

《第2回公判 Q&A概要》
※この概要は傍聴人のメモから主要部分のみを抜粋して再構成したものです。

■証人A氏 証人尋問

── あなたはX銀行衆議院支店で支店長をしていましたか?

はい。

── 衆議院事務局支店の特徴は?

お客様の属性として、政治家や秘書、国会関係者などの方が多いです。

── 仕事をする上で気にかけていたことは?

お客様の申し出を正確に行うことを心がけていました

── 小沢氏に融資をしたことがありましたか?

はい。平成16年に行いました。

── どのような理由でしたか?

秘書である石川氏から、陸山会が世田谷区に秘書の寮を建設しようと考えているとのことでした。

── 融資額は?

4億円です。現金担保でということでした。

── 土地の代金の決済を融資より先にするということでしたか?

はい。

── ということは、土地代金を支払う資金は手元にあると考えましたか?

はい。8億円以上の手持ち資金があるのだろうと思いました。

── 融資を受ける理由をどのように感じましたか?

不動産を購入する資金を持っていることが詮索されないためだと思いました。

── 預金担保融資の理由について確認しなかったのはなぜですか?

以前にも預金担保融資を行っていたためです。

── 支店長として気をつけていたことは?

融資の詳細な理由については立ち入って聞かないことにしていました。

── 融資の理由を聞いたことは?

ありません。

── なぜ聞かなかったのですか?

衆議院事務局支店という属性ですので、そういったことは立ち入って聞かないことにしていました。


【弁護側の質問】

── 平成16年10月28日の遅い時間に石川さんと(融資の相談で)会ったということですが、アポイントはありましたか?

夕方の遅い時間、午後4時〜5時に内容をはじめて聞きました。

── この融資が実行されるのは何時になると思いましたか?

翌日の不動産の決済時間には間に合うと思いました。

── 銀行の窓口は午後3時までですよね。それでも間に合うのですか?

書類がそろえば間に合います。

── いろいろな社内手続きをして、資金も用意して、そういうこともすべて翌日の午前10時に間に合うのですか?

銀行の中は8時ぐらいから仕事をはじめていますので、9時には間に合います。

── それに間に合わせる予定だったのですか?

書類がそろっていれば間に合います。

── 石川氏にはそれを伝えましたか。

はい。石川氏は、「土地代の決済は29日午前で、融資が間に合わない可能性もあるので、決済後でも融資できますか」との話でした。

── それは何時ぐらいの話ですか?

夜の8時〜9時ごろの電話で話したのだと思います。

■証人B氏(Y信託銀行の元嘱託職員(女性)) 証人尋問

【検察による尋問】

──平成14年の3月に小沢さんの妻と息子名義の口座から払い戻しを行いましたか?

はい。小沢さんの妻から依頼を受けました。

── 金額は?

6000万円です。

── 払い戻しの理由は?

自宅にお客さんを迎え入れる迎賓館のような建物をつくるとのことでした。

── 建物の場所は?

自宅の土地内ということでした

── 建築費用は?

金額は聞いていませんが、6000万円では足りないということでした。

── 現金の届け方は?

高額ですのでこちらは振り込みでお願いしたのですが、現金で自宅まで持ってきてほしいとのことでした。


【弁護側質問】

── あなたの調書の日付は平成22年2月1日になっていますが、何回ぐらい事情聴取に応じましたか?

2回です。

── もう8年も前の話なのに、よく覚えていますね?

政治家の自宅に行くということでとても緊張していたので、記憶にありました。

── すぐに思い出せたのですか?

すぐに思い出せなかったが、徐々に思い出せました。

── その後、迎賓館の建築については聞きましたか?

お聞きしておりません。

── では、小沢氏の妻に会ったのはその時だけですか?

はい。

以上

────────────────────────

【ちょっと長めの追記】

この証人尋問のやりとりを読んだ読者のなかには、「検察の意図はどこにあるんだろう」と感じた方もいると思う。実際、筆者も公判終了直後は「これをどうやってまとめて傍聴記にしようか...」と考えてしまったほどだ。

ところが、その後の報道はこうだ。まずは時事通信。


元支店長は、石川被告が土地購入前日、「秘書寮用地を購入するので、陸山会が新たに組む定期預金4億円を担保に小沢元代表に4億円を融資してほしい。元代表が陸山会に転貸する」と申し出てきたと証言。一般的な不動産担保ではないことや、融資を受けるのが購入者でない点が気になったが、特に問題はないと考えて融資を決めたと説明した。

また、以前にも陸山会が預金担保融資を受けたことがあり、その際の稟議(りんぎ)書に「世間的な影響を考えて」とあったため、今回も同様と考えて特に理由は尋ねなかったと述べた。

他の顧客から同様の預金担保融資の申し込みを受けたことはないとも証言。石川被告側が「銀行は政治家には預金担保以外では融資してくれない」と主張している点も否定した。

2011/02/08-18:53
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011020800815


たしかに、元支店長は検察側の証人尋問で「土地の購入資金を詮索されないためだと思った」との主旨の発言をしていて、過去の稟議の内容にもふれている(※1)。

だが、支店長はその後に「(支店長の方針として)融資の詳細な理由については立ち入って聞かないことにしていました」とも述べていて、当時、融資を希望する理由について石川氏に確認していないことも認めている。つまり、記事の内容は誤報とまでは言えないが、支店長の証言だけでは石川氏が本当に「詮索されたくない」という理由で融資を希望したかどうかを確定するのは困難だ。それを証明するのであれば、さらなる証拠が必要だろう。

※1:筆者も過去の稟議について同様の発言を聞いたが、傍聴メモに残っていなかったので詳細が再確認できないため、Q&Aには掲載していない。


また、産経新聞ネット版に掲載された「小沢元代表主張に「矛盾点」? 銀行担当者が証言」という記事にも疑問点がある。


 小沢元代表は昨年1月の会見で、東京都世田谷区の土地購入の原資となった4億円について、(1)東京・湯島の自宅を売却して自宅を購入した際に残った2億円(2)家族名義の口座から平成9年に引き出した3億円(3)家族名義の口座から14年に引き出した6000万円-を事務所に保管。この中から土地購入時に4億円を陸山会に対して貸し付けたと説明した。昨年1月23日の事情聴取でも同様の供述をした。

 証言台に立った女性嘱託職員は14年3月末ごろ、小沢元代表の妻から「応接(間)が手狭になり、自宅に迎賓館を建てたいので6000万円払い戻してくれ」と依頼を受け、家族名義の口座から引き出して手渡したことを証言した。

 初公判で採用された証拠によると、小沢元代表は14年に自宅の建設費用として1億2990万円を支出している。検察側は小沢氏の妻が引き出した6000万円はこの建設費に充てられたため、土地購入の原資となった4億円には含まれていないと主張。小沢元代表の主張の矛盾点を突いた格好だ。

2011.2.8 19:33
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110208/trl11020819340009-n2.htm


同様に記事は読売新聞にも掲載されているが、はっきり言って、この記事の内容だけでは小沢氏の説明のどこが矛盾しているのか、理解できない。

ためしに記事にあるとおり計算してみよう。

・記事内にある(1)(2)(3)を合計すると5億6000万円

・それに自宅の建設費用として利用した1億2990万円を引くと、残金が4億3010万円

・この残金のうち、平成16年の土地購入の際に4億円が陸山会に移動

こう考えれば、小沢氏の主張に何の矛盾点もないことがわかる。「矛盾」があるのであれば、記事内容だけでは説明不足であり、もっと証拠を提示する必要がある。

百歩譲って、「4億円の原資に6000万が含まれていた」という説明と、「6000万は自宅建設費に使われた」ということに「矛盾がある」という意味で、この記事が書かれたとしよう。しかし、そうであればなおさら小沢氏の説明を正しく理解していないといえる。

それは、昨年1月23日付で発表された小沢氏による原資の中身の説明を読めば明らかである。以下、小沢氏のオフィシャルサイトより転載する。


■陸山会に4億円を貸し付けた経緯
秘書の数も増え、妻帯者も増えたので、事務所兼用の住居を提供したいと思っていたところ、秘書が本件土地を見つけてきて、これはいいのではないかということになりました。それで、秘書に不動産業者にあたらせたところ、土地売買代金額が金3億4000万円余りと決まりました。

そこで、この土地を購入することになりましたが、当時陸山会の経理を担当していた秘書から各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、そうすると各政治団体の活動費がほとんどなくなってしまうので、私に何とか資金調達できないかと言ってきました。

そこで、私は自分個人の資産の4億円を一時的に陸山会に貸し付けることとしたのです。

■平成16年10月に私が陸山会に貸し付けた4億円の原資について

(1)昭和60年に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から平成元年11月に引き出した資金2億円、(2)平成9年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、(3)平成14年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6000万円を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していました。平成16年10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けました。

4億円の一部は建設会社からの裏献金であるやの報道がなされておりますが、事実無根です。私は不正な裏金など一切もらっておりませんし、私の事務所の者ももらっていないと確信しています。
http://www.ozawa-ichiro.jp/massmedia/ctr/column.php?cmd=a_back&cat=5


つまり、法廷で証言された6000万円は、もともと平成16年の土地購入代金として引き落としたものではなく、小沢氏の資金を元赤坂の事務所内の金庫に保管していたにすぎない。このことがちゃんと頭の中に入れていれば、公判で証人が述べたことは、小沢氏の説明が正しかったことを補足したにすぎないことがわかる。もっと言えば、この2人の証人は供述調書で同様の内容を話しているにもかかわらず、なぜ、法廷で証人として呼ばれたのかもよくわからない。

第2回公判を傍聴したジャーナリストの江川紹子さんも、弁護側が入出金のやりとりを説明しただけの証人の調書を不同意にし、法廷に呼んだことについて理解できなかったとTwitterで語っている。そこで、江川氏は公判終了後に弁護側にその意味を確認し、その真意についてこう解説している。

「支店長の調書には、その筋書きに沿って「なんか表に出せないことがあって、形ばかりの融資申し込みではないかと思った」みたいな、検察官の"願い"を代弁する記載がたくさんあるらしい。なので弁護側は調書を不同意にし、支店長は証人として出廷しなければならなくなった、というわけ」
http://twitter.com/#!/amneris84


結局のところ、第2回公判では、小沢氏の説明の矛盾を明らかにするような決定的な内容はなく、裁判自体もまだまだ前哨戦にすぎない。裁判の本番はこれからということだ。

なお、第3回公判は2月24日に開かれ、石川知裕氏が被告人質問を受ける予定。ここで最初の山場が訪れる。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月 9日

シリーズ小沢一郎論(14)── 小沢攻撃をめぐる最終戦の行方

日本一新の会 達増拓也
(岩手県知事)

■小沢攻撃をめぐる最終戦の行方

 1月31日、小沢一郎氏が検審起訴された。マスコミが総じて「起訴される=(イコール)悪」という決めつけ報道を垂れ流し、反小沢の政治家たちがそれに便乗している。ネットでは、そのような理不尽な報道や政治に対する批判が怒涛のように書き込まれている。マスコミ論調が支離滅裂さの度を深めるのに対し、ネット論調は資料分析の的確さや論旨の合理性に磨きをかけている。

 ネットの盛り上がりは、質、量、共に、去年の民主党代表選の時をはるかに上回る。また、多くの政治家、ジャーナリスト、有識者が、より直接に、より濃密に、ネットに関わるようになり、ネットとリアルの相互作用が格段に深まっている。脳科学者の茂木健一郎氏はツイッターでの発言を基盤にしつつ『週刊朝日』や『新報道2001』にも登場した。森ゆうこ参議院議員はツイッターでリアルタイムの発信を続けながら、国会やその周辺でリアルの活動を展開し、その成果を資料満載のホームページにまとめている。さらに、ネットでの呼びかけを活用した、草の根のリアルの運動に、多くの人々が参加している。

 菅首相が、消費税引き上げ、TPP参加と並ぶ、政権の三大重要事項の一つとして小沢攻撃を位置づけた(政権の最重要事項としているようにも見える)ため、小沢問題は小沢一郎氏に関する問題から、天下人となっている菅直人氏のありようの問題に広がった。天下のありようが問われる問題となったのである。小沢攻撃を天下の重要事と位置づけた菅直人という人が天下人でよいのか、日本はそういう国でいいのか、という問題になっているのだ。マスコミは総じて「それでよい」という側に立ち、ネットは総じて「それではまずいのではないか」という側に立っている。

 小沢問題は、そもそも、よくある一政治家の疑惑問題ではなく、政権交代つぶしにつながる検察の攻撃だった。小沢氏は、検察の暴挙のせいで衆院選が混乱し、政権交代がつぶされないように、自ら犠牲になって代表を辞し、総理への道を鳩山氏に譲った。参院選前に幹事長を辞したのも同様の自己犠牲である。これで終わっていれば、小沢問題はせいぜい(といっても歴史に残る大問題だが)検察暴走問題で済んでいたのだ。それが、菅首相が小沢問題を国を挙げての大問題と位置づけて、小沢攻撃の先頭に立ち、小沢攻撃で自民党にすり寄ろうとしたため、小沢問題は菅問題となり、総理のあり方や日本のあり方が問われる問題に発展したのだ。

 もはや天下の大問題なので、小沢攻撃に加担するか、それとも小沢攻撃を批判するか、あらゆる人が、そのスタンスを問われる。政治家や言論人はもちろん、全ての人が、天の仕分け、お天道様の仕分けを受ける時が来たのだ。

 小沢攻撃に加担する側が、総じて知識・情報を軽視するのに対し、小沢攻撃を批判する側は、総じて知識・情報を重視している。

 マスコミ対ネットの図式にも見えるが、ネット論者はマスコミをかなりフォローした上でネットをもフォローしているのであり、知識・情報を軽視する「マスコミ従属」と、知識・情報を重視する「マスコミ+(プラス)ネット活用」の対立なのである。1月31日をもって小沢攻撃をめぐる最終戦が始まったわけだが、知識・情報を軽視する側は滅びへの道を歩むであろう。勝敗は既に決したと思う。

★   ★   ★

◎日本一新の会事務局からのお願い

◎日本一新の会事務局からのお願い
この論説は「メルマガ・日本一新」の転載で、日本一新の会が、週一回発行しています。購読を希望される方は、「 http://www.nipponissin.com/regist/mail.cgi 」から仮登録してください。折り返し案内メールが届きますので「規約」をお読み頂き所定の手続をお願いします。

少なからず不着メールがありますので、仮登録後に数日経っても案内メールが届かない場合は、「info@nipponissin.com」へご一報下さい。

2011年2月 8日

《第1回》陸山会事件公判傍聴記 ── 水谷建設からの5000万円は断じてありません!

2月7日晴れ。公判初日ということで、東京地裁前にはたくさんのメディアが集結。門の前では傍聴者へのインタビューも行われていて、テレビレポーターに呼びかけられて傍聴を希望する理由を聞かれる人も。ちなみに、筆者が耳にした50歳代ぐらいの女性の回答は、

「西松事件にはじまる一連の東京地検特捜部の捜査は何も証拠がないと思う。そのことをたしかめるために、傍聴にきました」

との旨でレポーターに話していた。冷静で説得的な回答だったけど、「放送では使われないのかなあ」と心配になりながら傍聴希望者の列に並ぶ。ちなみに、最終的に傍聴希望者は452人、開放された傍聴席は55席だった。

10時に開廷。石川知裕衆院議員、大久保隆規氏、池田光智氏の3人が入廷。

最初に罪状認否で発言したのは大久保氏。以下のように述べる。

「会計事務やその内容についてはまったく知りませんでした。西松建設の事件では会計への関与を認めていましたが、それは石川や池田に捜査が及ぶのを避けたかったためです」

そして、水谷建設からの5000万円を受け取ったとの疑惑については、

「断じてありません」

と力強く答え、発言を終える。

続いて石川氏。

「収支報告書には正しく報告したつもりです。陸山会の収支だから、小沢氏の4億円については、身内の間のやりとりにすぎず、寄付という認識はありませんでした。大久保さんとの共謀もありません。大久保さんは陸山会の経理に興味はなく、言っても関心はなかったと思います」

と語った後、

「水谷建設からの5000万円は断じてありません」

と強く主張して、発言終了。2人とも水谷建設のワイロに関する部分で語調が少し強くなったことが印象的だった。

最後に発言した池田氏も大久保との共謀を否定。3人そろって無罪を主張する。

■前田元検事の取調べが批判される

続いて冒頭陳述。こちらはすべてを記述すると膨大になるので、要旨は下記のリンクでご確認を。

検察側の冒頭陳述要旨
弁護側の冒頭陳述要旨

注目点は、大久保氏の冒頭陳述を朗読する弁護士が、大久保氏の取調べをした元大阪地検特捜部の前田恒彦氏の取調べ方法を批判したところ。

「大久保氏の供述の任意性には問題がある。大久保氏は、前田恒彦元検事から長時間の取調べを受けた。前田元検事は書記官を取調べに同席させず、時には号泣したり、《逆らえばどんなことになるかわからない》と脅したり、釈放をほのめかしたりするなど、脅迫・誘導的な取調べをした。また、《石川さんはオヤジ(小沢元代表のこと)を助けるためにしゃべり始めている。あなたが話さなければ石川さんも困るし、池田さんも困る。大久保さんも認めてください》とも大久保氏に話した。これらの調書は誘導であり、信用できない」

続いて、

「水谷建設の5000万円は本件とは関係なく、立証の対象とされるのは問題だ。検察側はその5000万円が(土地購入の担保を受けるために)りそなに入金した金だと主張するが、この件は期日間整理手続では《そうであるとも、そうでないとも主張しない》としたものだ。検察の主張は証拠にもとづかない空中楼閣だ」

ちなみに、前田元検事が大久保氏への聴取で取った5通の供述調書は、検察によってすべて証拠採用が取り下げられている。

ここで午前の部が終了。休憩へ。

■あなたの子どもは保育園でどうなるんだろうね

13時15分に午後の部が開廷。石川氏の弁護士による冒頭陳述がはじまる(要旨はコチラ)

大久保氏の冒頭陳述に続き、供述の任意性について主張するところで、弁護士の声が少し強くなる。

「石川氏の供述は、田代検事から《特捜部はおそろしい組織だ。何でもできる》と言われて恐怖し、調書にサインしてしまった。吉田正喜特捜副部長(当時)には水谷建設から5000万円を受け取ったと認める調書にサインするよう繰り返し迫られ、その際に贈収賄で別件逮捕できるんだぞ》と脅された。また、石川議員の女性秘書は民野健司検事から事情聴取を受けたときに《あなたの子どもは保育園でどうなるんだろうね》と言い、13時から23時まで拘束した」

続いて池田氏の冒頭陳述。ここでも取り調べの手法が批判される。

冒頭陳述終了後、裁判官が公判の争点を提示する。

(1)収支報告書の不記載・虚偽記載について
(2)被告人の認識および共謀

これらについて弁護側は供述の任意性を否定し、検察側が不記載の背景としている水谷建設の裏金についてもその事実性を否定し、今後の公判で争うことが確認された。

■石川氏が録音した再聴取の内容が朗読される

裁判長による争点の整理も終わり、第1回公判も終盤へ。検察側と弁護側がそれぞれ用意した証拠資料の概要を一つずつ読み上げる。検察側の証拠の読み上げ終了後に15分程度の休憩をはさみ、弁護側の証拠の読み上げから再開。

10時から公判が行われているので、傍聴者や記者にも睡魔に襲われる人がチラホラ。かくいう筆者もさすがに眠い。ところが、証拠を17〜18ほど読み上げたとき、突然、裁判長が発言する。

「その証拠は長くなるから、最後にしましょう」

一瞬にして頭の上に「?」マークが点灯する傍聴席の人たち。その後、「そうか。ICレコーダーの録音資料で、何か重要な説明があるんだな・・」ということがわかり、傍聴者の頭の上の「?」マークが、徐々に「!」マークに変わる。もちろん眠気もさめる。

そして、録音資料以外の証拠がすべて読み上げられた後、裁判長が指示する。

「それでは、28号証(=録音資料)をお願いします」

弁護団の一番後ろに座っていた女性が、5時間半の録音資料のうち、弁護側が抽出したICレコーダーの中身を朗読しはじめる。

朗読の主な内容は下記の通り。

the_journal110207_6.jpg
※画像をクリックすると拡大します。PDFをダウンロードしたい方は →コチラ←

弁護側の朗読終了後、検察側が抽出した部分を裁判官が読み上げる。検察側が抽出したものには、石川氏が検事に対して「無罪になるとは思っていません」と語ったことなども含まれている。が、それでも一方的に弁護側に不利になるような内容に感じさせないほど、様々な手段を使って調書を誘導しようとする検事の姿が再現されていた。


以上で第1回公判が終了。第2回公判は7日に開かれる。


(注)記事内にある発言部分は、傍聴時のメモから再構成したものです。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

舟山やすえ:米国基軸のTPPよりアジア中心の経済圏を

2009年政権交代から昨年の民主党代表選まで約1年間農水省大臣政務官を務めた舟山康江(ふなやま・やすえ)氏にTPPの問題点を聞きました。

舟山氏は現農水副大臣・篠原孝(しのはら・たかし)氏をきっかけに政治家となり、1期生ながら政務官として活動してきました。後半の農業提言もぜひご覧下さい。

*   *   *   *   *

舟山やすえ氏(前農水省大臣政務官・民主党参院議員)
「米国基軸のTPPよりアジア中心の経済圏を」
110127_funa5.jpg

─菅首相はAPECで「開国」を叫びました

「我々は遅れてました、もっと国を開きます」と素っ裸で出て行ってしまいました。国際交渉の場は騙し合いです。駆け引きをする前に開国宣言することは戦略的にみて疑問でした。

─マスコミや政府は「農業vs輸出産業」という対立構造でTPP問題をとらえ、農産物にかかる関税を下げて開国せよと言っています

私は昨年11月の参議院本会議(リンク:参議院映像)で「農業をとるか、輸出産業をとるかという問題にすり替えてはいけない話です」と菅首相に投げかけました。すると「舟山さんに質問をいただきましたが、農業はしっかり守ります」と答えられました。私は農業を守ってくれなんてことは一言も言っていません。

TPPは「農業vs輸出産業」「農業保護vs国益」ではありません。各国が独自で持っている規制制度や風習、慣行などがTPPによってどう変わっていくのか、きちんと可能性を分析した上で考えなければなりません。今の日本独自のシステムでは生きていけなくなる、思い切って変えていこうということを問い、それに対して多くの人が賛同するのであればわかります。

変わるのは農業だけで、しかも農業は競争力がつくんだというような一部の情報だけで判断を迫るのはまったくおかしな話だと思います。

─舟山さんは昨年11月の参議院本会議で「多様性に配慮しながら、各国の経済成長を持続させる」というAPECの理念に触れていました(※1)

110127_funa3.jpg
APECは首脳会談の他に様々な分野の会合が開かれます。今回のAPECでは初めて農業大臣の会合が開催され、その名も「食料安全保障担当大臣会合」というものでした。つまり世界各国で食料の供給が不安定になり、自由にアクセスできない状態であることを示しています。APECというのは自由貿易を進める組織ですが、そこであえて食料安全保障と言っている意味を真剣に考えなければいけません。

宣言の中では、農業は食を提供する役割以上に国土保全や景観保持など「正の外部性」に寄与し、いわゆる多面的機能があることが確認されました(※2)。

─TPPの議論は唐突に始まった印象がありますが、舟山さんがTPPを初めて聞いたのはいつごろですか

私は9月まで農水大臣政務官でした。一般の方々よりも情報が入りやすい場所にいたはずですが、TPPは知りませんでした。突然TPPが出てきたという印象は私もあります。

─山田農水委員長はインタビューでTPPの情報は催促しても出してくれなかったと言っていました

私が渡されたのは外務、農水、経産、財務の共同資料で、中身は何もありません。具体的にどのような議論が進められているかと聞いても「お答えできません」と言われてきました。

─当初は農業だけでなく24の作業部会があることすら触れられていませんでした。
110124_TPP.jpg
TPP交渉では24の作業部会が開かれる。赤く塗りつぶした3作業部会のみが関税に関するもの

規制制度、保険、サービス、郵政などがどのように進められるのか、ある程度の枠組みは教えてもらわないと困ります。なんらかの形で妥協を迫られる可能性があります。

輸出産業の競争力をつけるためにTPPに乗ろう言いますが、確かに海外展開できる一部の輸出産業は短期的なメリットがあるかもしれません。しかしその裏には医療制度や郵政が絡んできます。

日本は平等に医療が受けられる国民皆保険制度が整っていますが、その医療制度に対して米国は関心を抱いています。日本は混合診療をすべきではないか、病院に競争原理を働かせて株式会社が病院を持てるようにすべきだ言っています。もし医療制度が変わるようなら、所得水準に関係なく平等に医療を受けられるかどうかわからなくなるでしょう。

数年前に話題になった郵政民営化は今は売却が凍結されていますけど、「日米貿易フォーラム」では郵政関連の問題が関心事項として上がってきました。

─TPPに参加している国々、及び参加を検討している国々のGDPを比較すると、日米両国でTPP諸国のGDP合計の約9割を占めます。今後の方向性は日米基軸に転換するように見えますが舟山さんはどうお考えですか

アジア太平洋地域の国々をぐるりと囲む「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の構想があります。「新成長戦略」を出した去年6月の段階ではどういうステップを踏んでいくか模索していました。当初はASEANプラス3、またはASEANプラス6を進めていく方向性で、実際に東アジア米備蓄構想も進めていました。

私は日本が目指すべき方向性は米国中心のTPPでなく、鳩山前首相が明確に言っていたアジアだと思います。世界の成長センターとして注目されているアジアとどう向き合うか、アジアの発展をどのようにリードするのかにこそ神経を注ぐべきと思います。

日本は中国や韓国を含めたASEAN諸国など同じような土地・気候・風土条件を持った国々と連携し、アメリカとEUの両基軸に向き合うのが今後の生きる道だと思っています。

<"価格の裏にある価値"が農業の鍵を握る>

─TPPでは必ずセットになって「強い農業はどのように実現するか」が議論されてきました

世界の農業政策の潮流は価格支持から所得補償へという流れです。あれだけ広大な面積で効率的な農業を展開している米国でさえ、相当程度の財政出動をして所得補償しています。場合によっては輸出補助金をつけています。農業に対して財政支援をして農家の生活を守って生産を維持しています。

─生産者の生活さえ守れば輸入関税ゼロにしてもいいという意見は

机上の空論です。それぞれの国の経済的、歴史的、社会的背景の中で品目ごとに自主的に選択して貿易を進めることは当たり前です。米国でさえ砂糖に高関税をかけたり、乳製品については2国間協定を結ぶ豪州に対して不利だということで除外品目にしています。今は国内の所得補償を進めていますが、それと関税を大幅に下げて自由化を進めるというのは違う議論だと思います。

─山田前農水相は戸別所得補償と関税ゼロはセットではないと言っています
110127_funa4.jpg
戸別所得補償制度はもともとWTOの貿易ルールを前提として制度づくりを進めてきました。コメは778%と高関税率ですが、価格低迷の中で所得が上がらず、平均すれば赤字経営という状況です。赤字状況を何らかの形で解決しなければ再生産は不可能です。赤字であれば産業としては続きません。そのような産業には当然人も来ないし、担い手も育ちません。戸別所得補償制度は欧米並みの補償の形をまずつくり再生産できる仕組みにしようというもので、自由化を進める上でのセーフティーネットではありません。

─競争力をつければ農業は強くなるという意見があります

逆でしょう。農業産出額に対する財政負担の割合は世界でも圧倒的に少ないです。米国は65%、ドイツ62%、フランス44%、日本は27%です。総所得に対する財政負担、つまり戸別所得補償のような直接支払いの割合でみても日本は約15%です。個人の農業所得に対する財政負担の割合は、日本は2割以下で、米国は5割、EUでは国によって8割、9割です。つまりどの先進国でも土地利用型の農業は価格の低迷にあえいでるわけです。グローバル化が進む世界ではどうしても発展途上国の価格にひっぱられて下落します。EU各国が自給率ほぼ100%を達成できるのも、米国が農産物の大輸出国として君臨できるのも手厚い保護があるからです。

私は規模拡大や効率化をすべて否定するつもりはありません。大規模で人は大いに頑張ってもらいたいですけど、それだけで強い農業になるのでしょうか。自然条件はどの国も違い、同じ土俵で競争することは不可能です。

日本の農業を強くするためには、美味しくて安全で付加価値の高いものをつくることが必要です。さらに言えばEUで強調されている農業の多面的機能の役割に目を向けるべきでしょう。農産物の"価格の裏にある価値"を支援する仕組みをつくることが重要かと思います。

─「TPPに参加しようがしまいが日本の農業はすでにダメだ」を前提に農業議論されていることはどう思いますか

地域や国全体としての農業は厳しい状況です。「点」の存在として、大規模にやっている人よりも複合経営をしながら近所の消費者と結びついているような農家は一番強いと思います。たとえ物価が上がっても電化製品や洋服は買いづらくなっても食いっぱぐれないでしょう。

ところが「面」として、地域や国家の農業となれば話は別です。食べものにアクセスできない人は中長期的に増加していくと思います。そうなったとき必要な分を本当に輸入品ですべてをまかなえるようになるかは難しい問題だと思います。

食料の安定供給は国家の基本的責務で、安全保障の根幹です。

(取材日:2011年1月27日 構成:《THE JOURNAL》編集部・上垣喜寛)

【脚注・関連記事】
■(※1)やすえの活動日記(2010年11月5日)
■(※2)「食料を生み出す農林水産業は、国土の保全、水源の涵養、景観の保護、生物多様性の保全といった正の外部性に貢献し得る」(農水省「APEC閣僚宣言・行動計画(仮訳・pdf資料)」)
第18回政治家に訊く:舟山康江

【TPP関連記事】
中野剛志:TPPはトロイの木馬
山田正彦(元農水大臣):TPPは農業だけの問題ではない!
TPP報告書を公開!──"情報収集"とはいかほどのものか
TPP「開国」報道に"待った"の動き
続・世論調査の「TPP推進」は本当?地方議会の反対決議

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月 7日

石川議員が録音した取調べの文字おこしテキストを公開 ── 陸山会事件初公判で再聴取の詳細が明らかに!

※画像をクリックすると拡大します。PDFをダウンロードしたい方は →コチラ←
the_journal110207_6.jpg

 小沢一郎民主党元代表民主党元代表の土地取引をめぐる事件で、政治資金規正法違反に問われた石川知裕議員、大久保隆規氏、池田光智氏の元秘書3人の初公判が東京地裁で開かれた。

 石川氏らは冒頭陳述で容疑事実にある虚偽記入の故意性を否定、水谷建設からのワイロを受け取ったこととも否定し、あらためて無罪を主張した。

 また、本日の公判では、石川氏が小沢氏が検察審査会で一回目の起訴相当議決を受けた後に行われた再聴取の模様が、弁護側によって明らかにされた。そのなかには「(東京地検特捜部は)おそろしい組織なんだから」といった脅迫ともとれる取調べの様子が、法廷で生々しく読み上げられた。なお、弁護側が公判終了後に配布した資料は、下記リンクからダウンロードできる。



※なお、編集部スタッフによる公判傍聴記も後ほどアップします。

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月 6日

村上良太:TPPを考える1冊 「異常な契約 TPP」(No Ordinary Deal)

 21世紀の通商条約と言われ、菅政権も参加を検討しているTPPだが、その実態は日本ではまだあまり知られていない。そこで参加予定国のニュージーランドで反TPPの活動を繰り広げているオークランド大学教授ジェーン・ケルシー(Jane Kelsey)さんが編集した本を紹介する。

 原題は'No Ordinary Deal' (Unmasking the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement )である。訳せば「普通ではない契約」になる。副題は「TPP協定の正体を暴く」

http://www.bwb.co.nz/store/viewPrd.asp?idcategory=10&idproduct=254

 オバマ大統領にとって再選のためにはアメリカ経済を立て直さなければならないが、その人身御供にTPP参加国が供せられる、というのがずばりその正体だという。オバマ大統領はアメリカ市場をがっちり外壁で守った上で、TPP協定国をアメリカの大企業に都合のようように規制を緩和し、市場を準備するのだという。

 ケルシー教授が「異常な契約」と呼ぶ理由もそこにある。ニュージーランドや日本などが、TPP協定のデザイン(内容作り)からはずされているのに、そうした国々が一体いかにしてアメリカ市場に参入できると信じられようか、というのである。

 そもそもトレードアグリーメント(通商条約)と銘打っていること自体が誤解だという。TPPは輸出入がメインの協定ではそもそもない。TPPの中核部分は参加国の国内政策をTPPによって改変することにある。その背後にはワシントンでうごめいているアメリカの各業界のロビーストたちがいる。

 たとえばアメリカの製薬業界はTPP協定国の保健医療行政を米製品の売り込みに都合のいいように変えて行きたい。ニュージーランドなら、Pharmac(薬の輸入を管轄)、オーストラリアならPharmaceutical Benefits Scheme などを操作することが予想されるというのだ。さらに、食品管理の基準や知的財産権についても同様にアメリカにとって都合のいい形に参加国を変えていくことになるだろう。

 その最も恐るべき局面はひとたびTPPに参加してしまったら、TPP協定に反する規制をした場合、海外の投資家から政府が訴えられることも可能になるというのだ。その裁判も当事国の国内法廷ではなく、WTOや世界銀行などがもうけた法廷で行われる。こうなると、一国の国内政策もなしくずしにされてしまう。選挙で改革を望んでもTPP協定に反する政策は不可能となる。

■本書の寄稿者一覧
Jane Kelsey, Bryan Gould, Patricia Ranald, Lori Wallach, Todd Tucker, José Aylwin, Paul Buchanan, John Quiggin, Warwick Murray, Edward Challies, David Adamson, Geoff Bertram, Tom Faunce, Ruth Townsend, Susy Frankel, Jock Given, Ted Murphy, Bill Rosenberg, Nan Seuffert

 執筆者の1人、ロリ・ワラック(Lori Wallach)氏はアメリカの市民団体Public Citizenに参加し、Global Trade Watchを主催している。これまでWTOやNAFTA,CAFTAなどの自由貿易協定の実態をウォッチしてきた。米議会でも30回以上証言を行っている。もともとハーバードロースクールを出た弁護士である。インターネット新聞ハフィントンポストにもブログを掲載している。「自由」貿易を推進しようとしているまさにアメリカ国内の事情がワラックさんらの情報からうかがえる。

■グローバル・トレード・ウォッチ
http://www.citizen.org/trade/

■ハフィントンポストのワラックさんのブログ
http://www.huffingtonpost.com/lori-wallach

(この記事は「日刊ベリタ」から許可を得て転載しました)

2011年2月 4日

民主党に集う人々よ、今こそ原点に立ち返ろう

鳩山由紀夫氏(前内閣総理大臣)

 本日は歴史ある日本外国人特派員協会にお招きを頂き、お話をさせて頂く機会を賜ったことにお礼を申し上げます。承れば、私がこのマイクの前に座るのは1996年10月以来、本日で9回目になることとのこと。議員になって25年目になりますが、今日までのこのおよそ15年間の政治活動を振り返りますと様々な思いが甦ってまいります。

 最初の講演は、新党さきがけを離党し、(旧)民主党結党直後の、小選挙区制による初めての衆議院総選挙の前ではなかったかと思います。当時、菅現首相や弟邦夫などと民主党を結党するにあたってのリベラル結集の政治理念は、「戦後の日本の政治、経済、社会の仕組みが現代の国民の要請に適合しないという制度疲労が極限に達しつつある中で、経済的な繁栄や効率性を追求するあまり、人々の心からうるおいや『共生』の理想が失われ、本格的な高齢化社会の到来を前に、将来不安を抱える国民が多く、今こそ社会的責任の自覚と友愛の精神を持った自立した市民を基盤に、自由、公正、平等、共生の価値観の再構築を図り、過去の責任にけじめをつけて、『未来に責任を持つ政治』を興さなければならない」という基本理念を下に、『市民中心社会への転換』『行政の質的改革と量的縮小』『新しい時代を展望した活力ある産業社会の構築』『歴史認識の共有と平和・共存への貢献』等々に代表されるものでした。

 これらの基本的な考え方は、旧民主党が合併、自由党の合流を経て現在の民主党になった今も全く色褪せておらず、現在も私の政治的信条であるとともに、民主党政権綱領の根幹を成すものであり、政権交代により、時代の流れを読まず膠着状態に陥って身動きが取れなかった前長期政権に代わり、新たな時代認識とともに新しい政権が実行するべき政策の基本理念として、私が総理に就任した際の原点となった考え方です。

 総理就任後、前述の考え方に基づいて、様々な柱となる政策を掲げましたが、本日は時間の制約もありますので、その中で「新しい公共」と「日本外交の進め方」について私の考えをお話したいと思います。

 まず「新しい公共」とは、人々の支え合いと活気のある社会を作ることに向けた様々な当事者の自発的な協働の場を意味しています。これはある意味当たり前のことで、私が総理になって初めて言い出したことではありません。ただ古くから日本の地域や民間の中にあった、今や失われつつある「公共」を現代にふさわしい形で再編集し、人や地域の絆を作り直すことこそが重要だと考えたのです。

 すべてを自己完結できる人はともかく、自分以外のことで困っている人、自力では色々なことができない人、子供やお年寄り、障害を持った方々を含めたこの社会をどうするのか等ということが「公共」だとすると、一義的にはそれは役所や法制度が「公共」の名の下にカバーするべきものでしょう。国家、自治体の役割でもありましょう。しかしながら現実的には、今日の国や地方の事実上の財政の危機的状態を考えると、社会サービスの劣化を何とか防ぐのに精いっぱいの現状であると認めざるを得ません。もちろん財政が厳しいのだから仕方がないと開き直るわけではなく、行政コストをより合理的に見直しながら、国民に対する「公共」の質を落とさないように努力しなければなりません。

 それでも右肩上がりの経済状況の時代には、景況感とともに物質的な公共政策というものが当然のごとく示され、認められたのかも知れません。しかし、見通しの甘いハードウェアの整備などに偏った政策がなされた結果、自然破壊や不必要な事業が増え、それが元で財政危機を招き、未だに解決の道が無くもがいている自治体も少なくありません。今、我々が考えなければならないのは、これからの公共及び公共政策には、物質的より精神的な要素、いのちを大切にするという視点が不可欠だということと、また、それを担うべきは、必ずしも公務員に限らなくてもいいのではないか、ということです。そのような考え方が新しい公共の根本なのです。

 具体的には、医療、介護、保育、教育、防犯などのサービス分野、さらには環境、農業、林業、文化、芸術などの事業分野において、NPOやボランティアなどの市民団体や地域組織、企業、そして政府が一定のルールと役割をもって当事者として参加し、協働します。その仕組みを円滑に働かせるための政府の役割として、画期的な税制改正を行うこととしました。認定NPOを大幅に増やしながら、NPOだけでなく、公益財団・社団、学校法人、社会福祉法人に対して寄付を行うときに、所得税、地方税合わせて寄付金の50%について税額控除ができるようにします。これによって、民間と政府の協働がより柔軟で愛のある社会を創り出すことができるようになるのです。

 外交においては、日米関係を基軸にしつつも、歴史的に深いつながりのあるアジア諸国との間で正しい歴史認識を共有し、強い信頼関係、友好関係を構築すること、すなわち、アジア地域での経済的安定性と安全保障の枠組みを作る努力を進めることが急務だと思います。明治以来の「追いつき追い越せ」の100年間は、同時に脱亜の100年間でもあり、日本の成長や繁栄は、アジアや沖縄に多大の犠牲や負担を強いることなしには達成されなかったという、私たちの歴史の負の部分をありのままに見つめることが大事なのだと思います。また、米国発の金融危機を例にするまでも無く、世界は米国一極主義から多極化の時代に確実に移行しています。しかし、その多極化のイメージは漠然としていて、新しい世界での政治と経済の姿が明確でないことが、現在我々が直面している危機の本質でもあります。米国は今後とも経済力、軍事力で世界の第一人者であり続けるでしょう。他方、圧倒的な人口をもつ中国が軍事大国化し経済も益々超大国化していくのも事実であり、先ごろの報道では、予想通り中国は日本を抜いてGDPで世界第二位となりました。日本はその両国の狭間に位置しているのです。

 このような位置関係は日本だけでなく、他の東南アジア諸国においても同様です。これらの国々では、米国の軍事力に頼らざるを得ない反面、政治経済においては、余りの依存は避けたいと思っているでしょう。また中国に対しては軍事的脅威の減少を望み、経済活動は秩序をもって実行されることを期待しています。これを彼らは本能的に持っており、そこに地域的統合を加速化させる要因があるのです。また、グローバリズムや超国家主義が克服された現在、再びナショナリズムが台頭しポピュリズムと結合し、政治的混乱を引き起こす可能性もあります。そこで、各国の過剰なナショナリズムを克服し、経済協力と安全保障のルールを作り上げる方策を考える大いなる知恵が必要となってくるのであり、私が提唱した東アジア共同体構想の意味もそこにあります。

 日米関係は今後とも重要ですが、私たちは活力に満ち、ますます緊密に結びつきつつあるアジア・太平洋の全体を、この国が生きていく基本的な生活空間と捉えて、APEC、東アジア、ASEANと北東アジア・環日本海という重層的な多国間外交の舞台を重視しつつ、その中で日米、日中、日ロ、日韓、日印、そしてASEAN、太平洋、中南米の諸国との2国間関係を発展させていくことを念頭に置かなければなりません。

 そのような観点からASEAN、APECなどの会議に積極的に参加するだけでなく、北東アジアでもそれと同様の多国間における信頼醸成・紛争予防のための地域的安全保障システムの構築と非核地帯化や多角的な経済協力を進め、いわゆる「極東有事」が起きない国際環境を作り出していくために全力を挙げることが必要です。

 私は総理在任中、各国のとくにアジアのリーダーと会合を重ね、真摯に向き合い胸襟を開き話し合うことでその信頼醸成に努めてきました。結果、戦略的互恵関係が深化したことも事実で、総理辞任後も、中国、ロシア、韓国、ベトナム、インド等を訪れ、各首脳との人間関係構築に努めています。これが必ず我が国の国益に沿うものだと確信しているからです。

 菅首相は先ごろ民間団体で行った外交演説の中で、日米同盟を機軸とする外交・安保の5本柱を挙げられました。当然その中にはアジア外交も掲げられていますが、私は政権交代後、日本の新政権が東アジア共同体構想を掲げた時の、アジア各国の賞賛が昨日のことのように思い出されます。つまり、日本がやっと地政学的なものだけではない、アジアを中心に動き出すという事に対する評価だったのだと思います。

 私は再三申し上げますが、日米関係が重要だということを否定はしませんし、その通りだと思っています。しかし、同時に、中国をはじめ今後とも急成長を続けるであろうアジア各国とのつきあい方、彼らへの目線の置き方に、我が国がより質の高い尊厳ある国へ飛躍できるかが係っていることを、彼らを決して失望させてはならない、ということを、菅総理には是非ご理解を頂きたいと切望しています。

 民主党内の様々な軋轢が報道されています。何とか挙党一致の体制を再構築し、国民の信頼回復に努めなければなりません。

 しかし、先ごろ開かれた野党第一党の党大会において、そのリーダーは、とにかく政権が再度交代すれば、すべてがうまく進むというような発言、アピールをされたように聞いています。

 民主党が国民によって選ばれた政権政党であり、その国民の信頼なくして政権維持は在りえないし、そのために不断の努力を続けなければならないことは当然です。しかし、前政権は冒頭に申しあげた通り、余りにも長く権力を持ちすぎたために、世の中の変化についていくことが出来ず、しがらみ、癒着構造を解消できず、閉塞感を露呈したのです。そのことの総括もなく、また、しっかりとした理念と時代認識を表わさず、政権交代さえすれば何とかなる式の発言は、国民に対する愚弄であるとも思います。

 民主党に集う全員が原点に立ち返り、自分達の正当性を確認し、改めて世に問うことこそ、今、最も必用なのではないか、と思っています。

 ご清聴ありがとうございました。

★   ★   ★

本記事は、鳩山前首相が2日に日本外国特派員協会で行ったスピーチを、鳩山由紀夫事務所の許可を得て掲載しました。

民主党に集う人々よ、今こそ原点に立ち返ろう(英訳)

Yukio Hatoyama(Former Prime Minister)

 Ladies and gentlemen, good afternoon.

 It is a great pleasure to be invited to the Foreign Correspondent's Club of Japan, an esteemed organization with a long and illustrious history, and to receive the opportunity to address this distinguished group. I believe this is the ninth time I have spoken here, with my first visit coming in October of 1996. I have now served as a Diet member for 25 years. Today, I would like to reflect back on the most recent 15 years of my political career.

 If I remember correctly, my first talk here came after leaving the New Party Sakigake, soon after the formation of the original Democratic Party of Japan. That was just prior to the first Lower House election under the single-seat electoral system. Along with current Prime Minister Naoto Kan, my own younger brother Kunio and others, we launched the DPJ as a gathering of liberals. The guiding political ideology that we brought to this new party may be described as follows:

 The political, economic and social structures of postwar Japan were declining into condition that I would label as extreme institutional fatigue. Simply stated, they no longer conformed to the demands of the Japanese people. The trend has come to be distinguished by excessive pursuit of economic affluence and efficiency, with the ideals of true prosperity and "coexistence" vanishing from people's hearts and minds. Japan was on the verge of becoming a full-fledged aging society, and many Japanese sensed uncertainty about the future. The time was right, we believed, to rebuild the values of freedom, fairness, equality and coexistence, on a foundation of self-reliant citizens, steeped in self-awareness of social responsibility, and the spirit of fraternity. This included the need to acknowledge past responsibilities, and rise to advance "politics instilled with accountability for the future."

 Under this basic philosophy, the DPJ positioned itself as the agent of change to a "citizen-focused society," "qualitative reforms and quantitative reductions in government," "the forging a vigorous industrial society rooted in vision for a new era," "shared recognition of history and contributions to peace and coexistence," and other progress.

Our Democratic Party subsequently merged with the Liberal Party, thereby emerging as the DPJ of today. The basic thinking that I have described, remains fully alive and well at present. It continues to serve as our political creed, and comprises the very essentials of the DPJ platform. With the regime change in 2009, our party took control from the previous administration. This brought an end to a series of governments that had held onto power over the long term. As a result, the administrations grew unable to read the emerging trends, eventually descending into rampant collusion in which nothing could be accomplished. The DPJ, in contrast,championed the ideas I have mentioned as our awareness of a new era, and the fundamental ideology of policies to be implemented by a new government. Briefly stated, then, this was the thinking that served as our starting line, when I assumed the position of Prime Minister.

 After becoming Prime Minister, I promoted various different pivotal policies, based on the fundamental positions described. Because of time limitations, I would like to present my thoughts on two of these ideas--namely, "New Public Commons," and, "Advancing Japanese Diplomacy."

 First, "New Public Commons." In a nutshell, this refers to an arena for spontaneous collaboration, between a wide range of stakeholders, in striving to build a society distinguished by communal support and vitality. In a certain sense, such a goal is hardly remarkable, and I had spoken of this concept before becoming Prime Minister as well. I did feel, however, that this sense of "public commons," a key part of the Japanese people and their communities from ancient times, was now being lost. I felt the need to retool this concept in a format appropriate for the current times, striving to rebuild the bonds between people and communities.

 Besides those who are truly self-sufficient, I believe we can view the concept of "New Public Commons" as a society that also embraces people facing troubles beyond their control, persons unable to do various activities on their own strength, children, senior citizens, and the disabled. If we accept this, then I believe it is of primary importance for government offices and the legal system to support these and other needs under the theme of "Public Commons." Such support may also be assigned to the responsibility of the state, and local governments. Realistically, however, considering the severely critical fiscal conditions of both our national and local governments at present, we are now locked in a struggle to largely fend off the further declines in social services. Naturally, I am not saying that we must resign ourselves to this situation, as a problem that cannot be helped because of harsh public finances. On the contrary, every possible effort must be mounted to ensure the quality of public services supplied to the Japanese people, while probing means to effectively review and reduce administrative costs.

 Back in the era of Japan's sustained economic growth, it may very well be that materialistic public policies were unfurled, hand in hand with surging business confidence, and approved as the normal state of affairs. However, overindulgent outlays for infrastructure and other lopsided policies led to increases in environmental destruction and unnecessary business operations. This, in turn, ushered in fiscal crisis, with many local governments still struggling, unable to chart the course to resolution. What we must instill in our public commons and public commons policies form here on, therefore, are spiritual, not materialistic elements, rooted in the vision of the precious value of life. We must also realize that, in moving toward that goal, it is not just public servants who need to shoulder the load. This, then, is the brand of thinking that provides the bedrock of what I choose to refer to as the "New Public Commons."

 In more specific terms, in health care, nursing care, childcare, education, crime prevention and other service sectors, as well as in the environment, agriculture, forestry, culture, art and other business-oriented fields, there is a need for non-profit organizations, volunteers and other citizens' groups, community organizations, companies and the government to participate and collaborate as stakeholders, operating under set rules and roles. As the government mission in supporting the smooth functioning of such a system, we chose to introduce landmark tax system reform. Under that policy, there will be a major increase in the ranks of certified NPOs. Meanwhile, when making donations not only to NPOs, but also to public interest foundations and corporations, educational corporations and social welfare corporations as well, 50 percent of the donations will be tax exempt, as the combined total for income and local taxes. This will help fuel more flexible collaboration between the private and public sectors, paving the way to a society more deeply steeped in human respect and love.

 Next, I wish to touch upon Japanese diplomacy. Naturally, U.S.-Japan ties continue to be the cornerstone of our foreign relations. Yet, there is also a pressing need for Japan to advance sharing of the correct view of the past with the countries of Asia, states with which we enjoy deep historical bonds, while likewise forging ties of lasting trust and friendship. In other words, we must advance wholehearted efforts to forge a framework of economic stability and security in the Asian region. The century commencing from the Meiji Period of Japanese history was defined by the slogan of "overtaking and surpassing the West." At the same time, however, it was also a century of so-called "quitting Asia." Clearly, Japan's growth and prosperity in that era would never have been possible without imposing great sacrifices and burdens on Asia, Okinawa and other parts of the world. It is critical, therefore, that we Japanese also take a keen and realistic look at the negative aspects of our historical legacy as well.

 From a related perspective, as seen in the global financial crisis that spread from the United States and other examples, the world is now undeniably shifting from U.S. uni-polarism to an era of multi-polarization. It must also be pointed out, however, that the image of that multi-polarization remains vague, with no clarity regarding what political and economic models will apply to this emerging new world. This ambiguity, in fact, can be viewed as the essence of the current crisis. There is no doubt that the United States will continue to reign as the global leader, in both economic and military strength, from here on as well. It is also true, however, that China, a nation with a massive population, is also developing as a military power, while the Chinese economy is destined to attain superpower status somewhere down the road. According to recent reports, China has in fact surpassed Japan, as predicted, to become the world's second largest GDP. In various definitions of the word, therefore, Japan is located between these two world powers.

 Then again, this type of positional relationship is not limited to Japan, but also applies to the other nations of East Asia as well. Though these countries have little choice but to rely upon America's military might, I believe they wish to avoid excessive dependence on Washington politically and economically. With regard to China, meanwhile, these nations yearn for a reduced military threat, while likewise pinning their hopes on the advance of more orderly economic activity. Such desires are instinctive to these countries, and may also be read as a factor that will escalate regional integration.

 On a related point, against the backdrop of the current globalism and the efforts to surmount ultra-nationalism, there is also the potential for nationalism to reemerge, and then combine with populism to trigger political turmoil. Such possibilities underscore the need for great wisdom in overcoming radical nationalism in each country, while formulating policies to support effective rules for economic cooperation and security. Therein also lies the significance of the East Asian Community Strategy --a concept that I strongly advocate.

 As I noted, U.S.-Japan relations will continue to be critical from here on. Japan, however, must also view the entire Asia-Pacific, a region teeming in vitality and with which our bonds are growing increasingly tight, as the basic life space within which this country will continue to function and develop. We need to attach critical importance to APEC, East Asia, ASEAN, Northeast Asia and the Japan Sea Rim as key stages for engineering multi-tiered, multilateral diplomacy. Within these regions, furthermore, we must keep our attention fixed on forging constructive bilateral relations with the United States, China, Russia, South Korea and India, as well as the countries of ASEAN, the Pacific Rim and Latin America.

 From this perspective, Japan must not limit its efforts to positive participation only in the conferences of ASEAN, APEC and other gatherings. In Northeast Asia as well, we must work hard to advance the deployment of regional security systems, moves to nuclear-free zones and diversified economic cooperation, in fostering the same type of multilateral trust and conflict prevention in that part of the world as well. In other words, concerted efforts are needed to foster an international environment where so-called "Far East crises" will not occur.

 During my time as Prime Minister, I met frequently with national leaders, especially those from Asia, engaging in sincere and candid exchanges aimed at cultivating mutual trust. I am highly confident that these efforts helped deepen Japan's strategic reciprocal relationships with those countries. I have continued in this path after stepping down as Prime Minister as well, making visits to China, Russia, South Korea, Vietnam, India and other destinations. There, I have met with state leaders, redoubling my quest to build up strong human ties. I am firmly convinced that such exchanges are directly in line with Japan's national interests.

 Prime Minister Kan, in a recent foreign affairs speech delivered at a private sector organization, spoke of the "Five Pillars" of diplomacy and security. He placed the U.S.-Japan alliance at the core. Naturally, one of the areas mentioned by Mr. Kan at that time was also Asian diplomacy. After the DPJ took over the controls of government, I announced that Japan's new policy focus would revolve around the East Asian Community Strategy. I remember, like yesterday, the ringing commendations that this statement earned from Asian countries. I personally attribute such praise to the declaration that Japan was at last ready to move not only from a geopolitical perspective, but also with Asia at the core of its concerns.

 Let me repeat, I am in no way denying the tremendous importance of U.S.-Japan relations. I heartily subscribe to the critical nature of that alliance. Yet, at the same time, how we engage China, and other Asian nations almost certain to continue to record swift growth over the years to come, as well as the viewpoints that we adopt toward those states, will be a key factor in determining if Japan can make the leap to a nation of even higher caliber and prestige. By no means must we disappoint our neighbors on this front. This is a line of thought on which I sincerely hope to gain the understanding and support of Prime Minister Kan.

 Recently, meanwhile, the media reports daily on the discord within the DJP. Taking this to heart, we must do everything in our power to rebuild a united party system, and restore the faith of the public in our ability to govern.

 In that regard, at the recent party convention convened by the No. 1 opposition party, I understand that the leader of that party appealed to the effect that, if only their party could take back control of the administration, everything would go smoothly thereafter.

 In response to that, allow me to note that the DPJ remains the ruling party selected by the voters. Without the people's trust, of course, it will be impossible to maintain the government, and we must certainly spare no time or effort in moving in that direction. However, as I noted at the outset, because the previous administration retained political power for so long, it became unable to keep pace with the changes occurring throughout our society. That government failed to pull away from its underlying structure of personal connections and collusion, with the increasing sense of stagnation and impotence clearly exposed.

 The party in question has failed to honestly reflect on these past actions. Nor has it displayed any constructive ideas or perception of the times. Instead, the statement was made that, as long as they can retake the government, there will somehow be smooth sailing ahead. In my mind, such a declaration is a gross insult that, by its very nature, displays disdain for the intelligence of the Japanese people.

 In closing, I feel that, for the Democratic Party of Japan, the most important demand at this time is for each and every member of our team to return to the basics, reconfirm the validity of what we seek to accomplish, and once again submit our case to the people.

 Thank you for your kind attention.

★   ★   ★

本記事は、鳩山前首相が2日に日本外国特派員協会で行ったスピーチを、鳩山由紀夫事務所の許可を得て掲載しました。

2011年2月 3日

TPP報告書を公開!──"情報収集"とはいかほどのものか

20110203_tpp-1.jpg
pdfデータは →コチラ← からダウンロード下さい。

政府は外務省、経産省、農水省を中心に、昨年12月から1月にかけてTPP交渉に参加している9カ国のうち、米国、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ペルーと「情報収集」を名目に個別協議していた。しかし、その情報は国会議員に公開されておらず(山田正彦氏インタビュー参照)、「国会でTPPの議論ができない」と反発が高まっていた。そういった声を受けてか、外務省は2月に入ってようやくTPPに関する交渉状況を公表した。

注目は、全部門の「TPP交渉における取り扱い」の部分で、ここが各国との協議で収集した情報となる。しかし、「原産地規制」では「現状では各交渉国間のFTA毎に異なる原産地規制が存在するため、TPPでは新たな原産地規制につき今後議論される」、「貿易救済(セーフガード等)」では「様々な議論が出されており、議論は収斂していない」と、この報告書からは新しい情報がほとんど見あたらない。

ちなみに、報告書には参考資料が別に書かれているが、ジェトロHPや、経産省HP国際貿易投資研究所HPからすでに公開されている情報が大半で、目新しいものはなかった。

110203_TPP.jpg
平成23年2月1日付け「TPP交渉の24作業部会において議論されている個別分野」(外務省)より、各分野の説明とTPPに関わる部分をスキャンし、一枚の画像データにあわせたもの

【参考資料】
■TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加を巡る論点 (石川幸一・亜細亜大学教授)
http://www.iti.or.jp/flash137.htm

【関連記事】
■米当局者からTPPの情報収集=日米協議、1日目が終了(時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201101/2011011400392

■TPP政府報告書、重要品目の例外扱いも?(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110202-OYT1T00918.htm

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月 2日

"熟議の民主主義"という新次元 ── 単なる"ねじれ国会"対策を超えて

takanoron.png 菅直人首相が24日の施政方針演説で「熟議の国会」にしたいと改めて野党に呼びかけたことから、"熟議"や"熟議の民主主義"についての論評が広がっている。

 例えば、早川誠(立正大学教授/政治学)は1月31日付読売新聞「"熟議"に潜む対立激化」と題したコラムで、「菅直人首相が主張する"熟議の国会"は、今のところ掛け声倒れとの評判のようだ。ねじれ国会でも低調な審議に、不満や不安を募らせている有権者は少なくないだろう」と書き出しつつ、次のように指摘する。

 1990年代に欧米で"熟議"が論じられるようになったのは、今までの多数決型=利益分配型の民主主義では解決不能な難題が登場して、単なる"議論"や"審議"では間に合わなくなってきたからで、かと言って"熟議"で議論を深めれば必ず解決を見いだせるかと言えばその保証はなく、熟議すればするほど逆に対立が激化することさえありうる。となると、政治家レベルでも市民=有権者レベルでも、結局は多数決に頼ろうとする衝動が働く。「熟議の質を左右するのは、市民による投票ではなく、市民による議論である。妥協しがたい課題についての熟議に、どこまで踏み込むか。試されるのは、むしろ有権者の覚悟と判断である」と。

 これは結構、本質をついた議論で、熟議しなければならないのは議会=政治家よりもまず市民であるという根本的な問題を提起している。

●民主主義の複線化

 例えば、岩見隆夫(毎日新聞客員編集委員)は1月29日付毎日新聞連載「近聞遠見」の「"熟議"という新しい思想」と題したコラムで、熟議を「字面から、熟した議論を十分にする、といった程度(の理解)なら、浅い」と断じている。彼は言う。

▼もともと、投票し多数決で決めるという《集計民主主義》は硬直化の傾向にある。数に対する信奉は、選挙至上主義にもつながった。それを補うものとして、欧米では90年代から《熟慮の民主主義》の考え方が取り入れられている。

▼《熟議》という日本語を当てはめたのは、民主党政権発足時から副文部科学相をつとめる鈴木寛(参院議員・東京選挙区)で、鈴木のいわば造語だ。教育界ではすでに鈴木のイニシアティブのもと、多様な《熟議教育》の実験が始まっている。

▼鈴木の著書『《熟議》で日本の教育を変える』(昨年9月、小学館刊)によると、《熟議の民主主義》はドイツの社会学者でコミュニケーション論の第一人者、ユルゲン・ハーバーマスが言い出した言葉で、彼は何十年も前に、民主的手続きの中からナチスが出てきたことを反省し、熟議が必要だと主張した。「大衆民主主義における議会での政治的討議は、それだけでは宣伝の対象にされ、選挙でさえ見せ物になってしまうと指摘した。日本でもそうなっている。民主主義を複線化して、代議制民主主義を現場での熟議で補完することが必要だ」(鈴木)。

▼《熟議》とは、熟慮して議論すること。まず自分の中で考えを磨き、温め、煮詰め、それから他者との議論の場に臨む。他者を批判する前に、《自分》を真剣に問う。そんな議論の収監が身に着けば、国会も面目を新たにするかもしれない。

 国会のねじれというのは現象に過ぎず、より本質的なのは、日本に限らずどの先進国でも代議制による多数決型の民主主義の限界が露わになり、議会に任せておいても何によらず社会が必要とする問題解決が得られないという事態が進んでいることである。当然にも政治不信が深まり、無責任で興味本位のマスメディアがますますそれを煽って社会の傷口を広げていく。御厨貴=東京大学教授によると(31日付読売「地球を読む」欄)、大正期の宰相=原敬はジャーナリストに向かって「君たちは出る釘、出る釘をみんな叩いている。そんな風にすると世の中に偉い人が出なくなって平凡な人間ばかりになるではないか」と言ったそうだが、まさにそのようにしてマスメディアが政党政治を潰し、軍部独裁への道を掃き清めたのだった。似たようなことが今、世界各所で起きていて、その打開策の1つがインターネットという双方向メディアも活用した熟議だと鈴木は言う。

「人々が自分の利害を実現するために、利益代表を送り込み、多数派を工作する代議制民主主義だけでは、足るを知らない分捕り合戦に陥ります。経済成長期ならば、大勝ちと小勝ちに分かれますが、成長が止まると勝ち組と負け組に分断されます。そこにステレオタイプなイメージを増幅するテレビポリティックスが加わると、衆愚政治になってしまうのです」

「コミュニティ・スクールというのは、みんなで熟議する学校です。熟議で変わる学校、熟議で変わる地域、そして熟議で変わる日本というふうに、日本社会全体が、家庭→学校→地域社会→国とポジティブに変わっていけばよいと私は思います」

●文科省の「熟議カケアイ」

 青臭い書生論のように聞こえるかもしれず、例えば池田信夫のような評論家からは「こういう"コミュニケーション的理性"で市民的公共性が形成されるとかいう類の啓蒙主義は、もう思想的には葬られたものだ。民主主義が合意による統治だというのは、井上達夫氏の言葉によれば"便利な嘘"にすぎない。論理と説得で政治が動くなら、政党も選挙もいらない。民主主義とは議論するための制度ではなく、利害の対立する中で国家意志を多数決によって決定する装置である」と一刀両断されてしまうが(昨年10月18日付池田ブログ)、鈴木のこの点に関する理論と実践は筋金入りと言っていい歴史を持つ。

 1986年に旧通産省に入った鈴木は、92〜93年にかけてシドニー大学に研究員として派遣され、この間に当時はまだ日本では解禁されていなかったインターネットの技術と文化を学んだ。帰国して3年間は山口県に出向し、そこで松下村塾の歴史に触れて「これからはITを駆使して社会を変えていく若者を育成しなければ」と思い立ち、95年に本省に戻ってからは、専ら電子政策、情報処理関係の仕事に携わり、神奈川県藤沢市の「市民電子会議室」の実験にも参加する一方、個人的に「すずかんゼミ」と称する若者塾を東京と大阪で起ち上げ、以後15年間に1000人を超える学生たちを育ててきた。このゼミ生や卒業生たちが取り組んだことの1つが、コミュニティ・スクールへの初歩段階とも言える「放課後子ども教室」「土曜学校」である。

※すずきかん公式HP:http://www.suzukan.net/

 藤沢市のプロジェクトは、NTTや慶応大学藤沢キャンパスのサポートの下、自治体がインターネットを活用して市民の提言を受け付け、それを政策に反映するという、電子的熟議の最初の本格的な実験として全国からも注目されたもので、97年に実験が始まり、01年から本格稼働した。この中心にいたのが鈴木、慶応の金子郁容、編集者の松岡正剛らネット社会論の先駆者たちである。この縁もあってか、やがて99年に鈴木は通産省を脱藩して慶応藤沢で教鞭をとり、そこにいた2年間のうちに金子と共同で「コミュニティ・スクール構想」を提唱、それを熟議する教育改革フォーラムをネット上に開設した。コミュニティ・スクールは、各学校にボードを作って、そのメンバーに学校側だけでなく保護者、地域住民が入って学校評価を行い、学生ボランティアなどにも参加して貰って地域に向かって開かれた学校を実現していこうというもので、まさに熟議する学校をさらに熟議する地域の拠点に育てていこうという考え方である。

※藤沢市市民電子会議室:http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/~denshi/

 01年参院選で初当選した鈴木は、すぐにコミュニティ・スクールのモデル事業を始めるよう働きかけ、02年から3年間の予定で7カ所で始まった。こういう事業は、最初の予定期間が終わるとそのまま立ち消えるのが普通だが、彼は04年、まだ野党議員だった時代にそれこそ自民党政権と熟議を重ねて「コミュニティ・スクール法案」を成立させ、それによって今ではコミュニティ・スクールは全国に約630校、藤原和博らが東京都杉並区で始めた「学校支援地域本部」が約3800、すずかんゼミが始めた放課後子ども教室・土曜学校が1万以上と、大きな広がりが生まれた。その実績の上に立って、文科副大臣としての鈴木が昨年4月に開設したのが、文科省「熟議カケアイ」である。

※文科省「熟議カケアイ」:http://jukugi.mext.go.jp/

 政務3役はじめ文科省の役人が、現場の教職員や保護者とリアルでもネットでも熟議を重ね、それを元に政策提言をまとめて中教審での議論や文科省の施策の中に持ち込んでいくという、鈴木に言わせれば「ポストモダン」のこの政策形成装置は確実に作動していて、開設から9月初めまでに12カ所で「リアル熟議」が行われ、さらに年度末までに計100カ所で行われる。また「ネット熟議」では最初の3カ月半で投稿1万件強、閲覧120万件強を記録した。最初の大きなテーマとして取り上げられた「教員の資質向上」では、参加者によって30ページ余りの文科省への提言書がまとめられ、それが中教審でも議論の参考とされている。この「熟議カケアイ」のシステムは、文科省の若手官僚とすずかんゼミ卒業生約40人が協力して6カ月かけて立ち上げたもので、鈴木に言わせれば「日本政策形成史の1ページを切り拓いた」画期的な仕事である。

●上からと下から

 民主主義には「上から」と「下から」という問題次元がある。民主党政権が発足して以来、言われているのは「官僚主導を排して政治主導を実現する」ということだが、政治家と官僚の双方が巧く間合いが取れずに不毛な睨み合いや駆け引きが続いている。そういうふうになりがちなのは、「上からの民主主義」の内部での空中戦的な綱引きに終わっているからで、そこへ今度は現場に近いところでの市民自身による熟議という「下からの民主主義」を噛み合わせることで、より現実的な問題解決に行き着くことが出来るというのが、鈴木の問題提起と考えていいだろう。

 思い返せば、96年旧民主党の結成宣言は、第1節「社会構造の100年目の大転換」で次のように述べていた。

▼明治国家以来の、欧米に追いつき追いこせという単線的な目標に人々を駆り立ててきた、官僚主導による「強制と保護の上からの民主主義」と、そのための中央集権・垂直統合型の「国家中心社会」システムは、すでに歴史的役割を終えた。それに代わって、市民主体による「自立と共生の下からの民主主義」と、そのための多極分散・水平協働型の「市民中心社会」を築き上げなければならない。いままでの100年間が終わったにもかかわらず、次の100年間はまだ始まっていない。そこに、政治、社会、経済、外交のすべてがゆきづまって出口を見いだせないかのような閉塞感の根源がある。

▼3年間の連立時代の経験をつうじてすでに明らかなように、この「100年目の大転換」を成し遂げる力は、過去の官僚依存の利権政治や自主性を欠いた冷戦思考を引きずった既成政党とその亜流からは生まれてこない。いま必要なことは、すでに人口の7割を超えた戦後世代を中心とする市民のもつ創造的なエネルギーを思い切って解き放ち、その問題意識や関心に応じて地域・全国・世界の各レベルの政策決定に参画しながら実行を監視し保障していくような、地球市民的な意識と行動のスタイルをひろげていくことである。

▼政治の対象としての「国民」は、何年かに一度の選挙で投票するだけだった。しかし、政治の主体としての「市民」は、自分たちがよりよく生きるために、そして子どもたちに少しでもまし未来をのこすために、自ら情報を求め、知恵を働かせ、別の選択肢を提唱し、いくばくかの労力とお金をさいてその実現のために行動し、公共的な価値の創造に携わるのであって、投票はその行動のごく一部でしかない。私たちがつくろうとする新しい結集は、そのような行動する市民に知的・政策的イニシアティブを提供し、合意の形成と立法化を助け、行動の先頭に立つような、市民の日常的な生活用具の1つである。(以下略)

 過去100年余りの官僚主導の中央集権国家体制の下では、「公」すなわち公共的な価値の創造は専ら「官」に委ねられてきた。しかし次の100年には「民」こそが「公」の担い手となって「官」を使いこなすのでなければ世の中が立ち行かない。鈴木が単独先行的に実践しているように、熟議のシステムを使って「民」の思い、夢、エネルギーを新しい公共圏の中に解き放つことこそ、真の政治主導ということではないのだろうか。▲

--------------------------------------------------------------
《参考》熟議カケアイとは(同HPより)

★関心ある方はHPを開いて貰えばいいのだが、参考までに文科省「熟議カケアイ」HPからその概要を示す部分を引用しておく。末尾の「熟議参加の5箇条」は勉強になる。

■教育を取り巻く環境の変化

教育を取り巻く状況は、地域や学校によって様々です。
どのような子どもたちを育て、どのような地域づくりをしていくのか。
それはまさに当事者の方々のみが考えられ、決断できる問題です。

教育政策も、行政が一元的に決め、画一的な展開を出来る状況ではなくなっています。

子どもたちを取り巻く変化を踏まえつつ、課題に立ち向かい、そして、より良い教育現場を創りだす知恵と実行力を生み出していくためには、教育現場に関わる様々な立場の方が、政策形成のプロセスにも参加し、真に現場の皆様に役立つ教育政策をつくり出していくことが求められています。

■「熟議カケアイ」とは

「熟議カケアイ」は、学校・家庭・地域の教育現場の方々の声を集め、「熟議」を通じて教育政策を創り出す、文部科学省公式インターネットサイトです。

今回の「熟議」による新たな意見の収集、政策形成の進め方については、 平成22年年2月4日に設置された「「熟議」に基づく教育政策形成の在り方に関する懇談会」(通称 熟議懇談会)に、教育現場やインターネット関連事業者等の委員の方にご参加いただき、検討を進めてきました。

その結果、下記のような形で「熟議」を実施していくこととなり、「熟議カケアイ」が開設されました。

現場の方との対面での現場対話と、インターネットでの熟議をハイブリッドで実施する。

教育現場の当事者が政策形成のプロセスに参加する意義は大きく、多くの人にその狙いを理解いただき、参加いただくためのコンテンツを発信する。

インターネットでは、Webサイト「熟議カケアイ」を開設し、下記のステップで熟議を実施する。
・政務三役が教育政策に関する検討課題について「熟議(コミュニティ)」を設置し、意見を募集
・教育現場に関わる方々は、会員登録をして「熟議」に参加し、議論をして頂く。
・約1ヶ月の間「熟議」を実施し、その後、政務三役は得られた意見を参酌しつつ、政策形成を行う。(得られた意見は中央教育審議会等の審議の材料としても活用する。)

なるべく開かれた形で政策形成を行うために、まずは参加人数を絞らずに熟議を 実施することとする。しかしながら「熟議に適切なコミュニティサイズ」の見極め は必要であり、熟議の実施状況如何では参加人数の限定を検討する。

■熟議カケアイ参加の五箇条

より多くの当事者の方にご参加いただき、より良い「熟議」が行われるよう、熟議懇談会から「熟議カケアイ」に参加いただくための五箇条が提案されました。

1.【発言する前に】資料やほかの人の発言をよく読んで理解しましょう。
2.【発言する時に】毎回、挨拶からはじめましょう。
3.【発言する時に】簡潔に、分かりやすく伝えましょう。
4.【発言する時に】人を傷つけない発言を心がけましょう。
5.【議論の途中で】共感や感想、考えの変化なども投稿しましょう。

※すべての発言は、利用規約に同意の上のものとしてみなされます。発言の際は、利用規約をお読みいただくようよろしくお願いいたします。またあわせて、熟議懇談会のワーキンググループであるサイト運営委員会にて、利用規約、プライバシーポリシーの内容も検討いただき、文部科学省にて定めています。▲

────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

2011年2月 1日

石川知裕議員女性秘書が語った「不意打ち10時間取調べ」の全貌

ishi110131.jpg

 小沢一郎民主党元代表の政治資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書をめぐる事件で、石川知裕衆院議員の弁護側は1月27日、石川議員の女性秘書が受けた取調べの様子を証言するため、証人採用を求める書面を提出した。

 石川議員の女性秘書は昨年1月26日に突然検察庁から呼び出されて約10時間におよぶ聴取を受け、その様子を「週刊朝日」が報じたことで話題を読んだ。

 今回、その女性秘書が《THE JOURNAL》のインタビューに応じ、当時の取り調べの様子や証人となって訴えたいことなどを語った。

(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部)

────────────────────────────────

──証人として立ちたいのはなぜですか?

証人になって取調べの可視化に貢献したいからです。

違法な取調べの実態をみなさんに知ってもらいたい。秘書や家族を人質に取ることは絶対に良くないことです。証人採用されないのは、取調べの可視化が進んでしまうことを嫌がる検察の気持ちが大きく影響していると思います。

──検察側は「石川議員の起訴内容に直接関係ない」と意見書を提出したと報道されていますが

「関係ない」ということに納得がいきません。

必要性も関連性もないのであれば、検察にとっても私にとっても、あの事情聴取は無駄な時間だったということなのでしょうか。私は、事情聴取の後に片耳が聞こえなくなり、仕事をする気力もなくなりました。それでも検察から謝罪もなければ、検察が週刊朝日に出した抗議文では「事情聴取は適正だった」と言いはられ、そんなことは絶対におかしいと思います。

──当時の状況を教えてください

検事から呼び出されたので、資料を返してもらって30分ぐらいで帰れると思ったので、コートも着ずにランチバッグだけで気軽に検察庁に行ったら、10時間拘束されました。子どもの迎えも行かせてもらえず、電話もさせてもらえませんでした。

「弁護士に電話をさせてください。その権利はあるはずです」と言っても、「弁護士に何ができるんだ」と電話すらさせてくれませんでした。あの空間の中では、自分のあるべき権利を主張したところで認めてもらえません。やりとりをしている間に、私も「あれ、本当に電話する権利はないんじゃないか」とも思いました。弁護士に電話するにしても検事から「おまえが雇ったのか」「おまえが選任届を出したのか」と言われると、私個人は弁護士との契約書を結んでいませんので「電話しちゃいけないのかな」と段々と洗脳されてしまうんです。

17時を過ぎても帰してくれませんでした。

──事情聴取はどのようなものでしたか

「監禁」という言葉がぴったり当てはまります。部屋からは出られませんし、トイレに行こうとすれば事務官がトイレの目の前まで付き添います。休憩を取るつもりでトイレに行っているのに、廊下で待たれてしまうと早く出ざるをえません。誰かとこっそり連絡を取っていると思われても困ります。とはいえ連絡を取ると言っても携帯は圏外なのでつながりません。帰りたくて涙が出てくるのに、検事からは「人生そんなに甘くない」と言われました。

イスの背もたれに背中がついても怒られました。その姿勢を強要されると次第に頭がもうろうとしてきます。「考えられないから休憩させてください」と言っても取り合ってくれません。呪文のように「お話ししてください」と言われ続けると、判断が鈍くなり、「ああ、こうやって冤罪がつくられていくんだ」と目の前で冤罪がつくられる過程を体験したかのようでした。お腹がすいて早く帰りたくなり、「ハイと言えば楽になれるのかな」と思う気持ちがよくわかりました。

──なぜ10時間も我慢できたのですか?

私は安田弁護士から、石川知裕議員が毎日10〜13時間事情聴取を受けているという記録を見せてもらったことがありました。私もせめてその時間を超えるまでは耐えなきゃいけないなと思っていたからだと思います。

また、30分間くらいの予定で出かけた人間が何時間も出てこないのですから、必ず弁護士か誰かが助けてくれるだろうと思っていました。でも誰も来ませんでした。検事には「弁護士に頼っても何もしてくれないことがわかっただろ」と言われました。こう言われると、たしかに自分が契約した弁護士じゃないし、やっぱり助けてくれないのかなと思ってしまうのです。

──最後はどのようにして出てきたのですか

22 時半の段階で、もう倒れそうになっていました。「石川さんの心証がが悪くなるぞ」と言われ続けましたが、「子どもが寝る時間も過ぎてるし、帰ります」と言いました。私が立ち上がると「座りなさい」と言われ、検事の声も段々大きくなってきました。

そういうやりとりをしていたら取調室の電話が鳴りました。おそらく木村主任検事から「帰せ」という話がまわったのでしょう。急に検事の態度が変わり、帰れることになりました。

しかし、「そのかわり明日また同じ時間に来い」と言われたので、無言で帰ろうとすると「待て。明日同じ時間に来ると約束しろ」と言って帰してくれませんでした。結局また弁護士に電話をして相談すると、「来ると約束して出てきて」と言うので、「約束しないといけないんだ...」と思いながら、「ハイ」と言って出てきました。

──出てきた時間は何時ぐらいでしたか?

23時ごろにようやく建物を出られました。1月26日ですから、今と同じような真冬でした。コートもなかったので外に出た瞬間に歯が"ガチガチガチ"と音を鳴らしました。最初に言ったとおり、30分で出られると思っていたのでタクシー代すら持っておらず、歩いて帰りました。

翌日はその弁護士さんも信じられなくて電話をとらず、検察からの電話も事務所からの電話も受けずに家に引きこもっていました。

──その後の取調べはどのようなものでしたか

当時は事情聴取を拒否し続けたら、本当に逮捕されてしまいそうな雰囲気でした。住民票の住所変更をしてないだけでも逮捕できてしまう世の中ですので、強硬に拒否するのではなく、きちんと弁護士を入れて事情聴取を受けることになりました。弁護士を選任して検察庁に出し、弁護士と一緒に検察庁に行き、入口で待ってもらうようにしました。

──前回より精神的には落ち着けましたか

検事は前回と違っていたし、弁護士も待ってくれているので安心感がありました。

しかし前回の10時間の取調べがひどすぎたのか、あまりの緊張で急にお腹が痛くなり、生理になってしまいました。そんな時期でもないのに。

さすがにその理由も言えず、「一度この建物から出させてください、絶対に戻ってきますから」とパニックになりながら言いました。最初は検事さんもダメだと言っていたのですが、「絶対に戻ってきます、30分でも15分でもいいので一度出させてください」とお願いすると連絡を取ってくれて、30分間の時間を与えてもらいました。

──弁護士には相談したのですか

取調室に戻ったら必ず出た理由を説明するよう言われました。だからきちんと言いました。調書には記録されているはずです。それほど前回の10時間がつらくプレッシャーになり、精神状態がおかしくなっていました。

──取調べの担当検事はどうでしたか

その日の検事は紳士的で理論的に聞きたいことを聞こうとしてくれる人でした。しかし前回の取調べがひどく、同じ特捜の人だったのでやはり緊張感はありました。

──その取調べが、検察は現在では「石川議員の起訴内容に直接関係ない」と主張しています

ひどい取調べをした上に、それが必要なかったかのように言われることに憤りを覚えます。議員秘書として経験があり、精神的にも強いと自覚している私でも、厳しい精神状態に追い詰められました。一般の方があの様な空間に閉じこめられればもっと取り乱すと思います。不本意ながらも検察がつくった調書にサインして、殺風景な部屋から抜け出せるものだったら抜け出したいと思うでしょう。

だからこそ、取調べの可視化が必要なのではないでしょうか。

(構成:《THE JOURNAL》編集部 上垣喜寛・西岡千史)
────────────────────────

■有料会員制度スタートのお知らせ

《THE JOURNAL》では10月に有料会員制度をスタートしました。本記事も、有料会員の皆様の支援によって制作されたものです。有料会員制度の詳細については下記URLをご参照下さいm(_ _)m
http://www.the-journal.jp/contents/info/2010/10/post_66.html

Profile

日々起こる出来事に専門家や有識者がコメントを発信!新しいWebニュースの提案です。

BookMarks




『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

→ブック・こもんず←




当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.