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« 高野孟流外交論─TPPを機に自由貿易と農業を考えよう
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シリーズ小沢一郎論(9) ── 岡田幹事長を憐れむ小沢一郎の目線 »

TPPを切っ掛けとした、食と農林漁業再生推進本部の設立

篠原孝氏(農水副大臣、民主党衆院議員)

■突然でてきたTPP

 10月1日の臨時国会冒頭の菅総理の所信表明において、TPP(環太平洋包括連携協定等)への交渉、参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAPP)を目指すということが突然表明された。

 これを切っ掛けに、党内は騒然となり政府の調査会で白熱した議論が行われた。政府内では関係副大臣会合に任され、私はその副大臣会合に10回参加し、事後調整に追われることになった。

 その結果、11月9日にやっと包括的経済連携の基本方針が決まり、交渉には参加せず当面情報収集を中心とした協議を行い、TPPに参加するかどうかは別途判断することとなった。それと同時にその間に自由化にも耐えうる日本の農林漁業の体制を構築する為に、異例のことだが官邸に「食と農林漁業再生推進本部」を設け、6月中旬までに基本方針を定め、10月に行動計画をうたって、それに伴う予算措置を講じることになった。

■小国間のTPP

 私は、10月1日以降完全にTPPに掛かりきりになった。

 TPPは大畠経済産業大臣が、9月17日組閣し、その後の大臣レクで始めて知ったと正直に述べたが、それほど唐突なことだった、もちろん一般の国会議員は知る由もない。もちろん、関係者の間では、TPPの存在はつとに知られていたが、国際的にもほとんど関心を呼ばなかった。なぜかというと、2006年にシンガポール、ブルネイ、NZ、チリといった小国が、非常に自由度の高い経済協定を結んだだけのことだからだ。いずれの国も人口は数百万、自国で必要な物を作ったりすることは完全には出来ず、必要なものは諸外国から輸入しなければならない。そういった延長線上で、自由貿易が生きていく上に一番都合のいいことであり、4カ国が結託して自由貿易協定を結んでいた。

■アメリカのTPP参加表明

 それが一変して大きく取り上げられるようになるのは、2009年の11月14日、オバマ大統領がサントリーホールでTPPの参加も検討していくと宣言してからである。これには政治的背景もあり、小沢一郎氏(当時民主党幹事長)が中国に国会議議員140数人をつれて行ったりしているところに、鳩山総理が東アジア共同体構想をぶち上げ、日本は中国にいかにも接近しているというムードが漂い始めたのに対し、オバマ大統領がけん制したものと思われる。その後、2010年になってから、アメリカだけではなく、オーストラリア、ベトナム、ペルー、フィリピン、そして最後はマレーシアの5カ国が新たに名乗りをあげ、3月から2ヶ月に1回ずつ会合を開いていた。

■FTAを推進した韓国

 一方、韓国は2007年にアメリカとのFTA自由貿易協定を結び、2010年10月にはEUとのFTAも署名し終わっていた。その結果、2011年7月からはEUへの輸出は関税がゼロになる。それに対して、日本の自動車には10%、液晶ディスプレーの入った家電、テレビなどは14%の関税がかけられる。これにビックリ仰天したのが日本の財界である。そうでなくとも韓国の追い上げは厳しく、現代自動車、サムスン、LGといった家電会社の追い上げが激しく、困っているところに関税で差をつけられてはたまらんということで、何をしているのかと外務省、経産省をつっついたのは明らかである。そういった声におされて、突然所信表明にTPPが出てくることになっていた。

 私は、前のブログにあるとおり、鹿野農水大臣から突然韓国出張を命じられて行ってきたが、韓国は全ての関税をゼロにするということをせずに、二国間で応用がきく、例外を認めさせる自由貿易協定を着々と進めていた。

■日本の思いつきのEPA/FTA

 TPPと他のEPA/FTAとの違いは、完全自由化を宣言し、10年以内に全ての関税をとっぱらうのがTPP。EPA/FTAは二国間で例外措置を設けつつ、なるべく自由貿易を推進していくというものである。

 日本も、あまり大国ではなく、結びやすい国、最初はメキシコ、そのあとスイス、シンガポール、チリといった国と結び、つい最近でいうとインド、ペルーなど、13カ国と結んでいる。ところが、全貿易額に占める割合はたった16%である。一方、韓国の場合は最大の貿易相手国中国やライバル日本が入ってないが、45カ国とFTAを結び、貿易額の36%に達し、かつ、米・EUといった大国が入っている。計画的に着々と手を打ってきた韓国と格好だけつけてきた日本の違いである。

■「先対策後開放」という周到な準備

 それに加えて韓国は、チリとのFTAを結んだのを切っ掛けに、国内農業のてこ入れを始め、10年間で9.1兆円の農業予算をFTAが発行する前に注ぎ込んでいる。だからこそ私が韓国に出張した時も、農業団体はそれほど騒いでいなかった。これを「先対策後開放」と呼んでいた。

 前原外務大臣に言わせると、日本はGDPが韓国の5倍なのだから、5倍の予算を出してもいいのだそうだ。それにあわせると、約48兆円を10年間に投入することになり、年間4.8兆円の予算となる。現在の農林水産省予算が2.5兆円であり、約倍の予算を10年間注ぎ込むことになる。農業生産額で言うと約3倍ぐらいなので、27兆~30兆になるが、それでさえ今の予算ではとても追いつかないことになる。

 こういった事から、韓国並みの政策を打とうということで、官邸に食と農林漁業再生推進本部が設立された。私はその下の幹事会の共同座長を務め、10月の行動計画成案に向けて大忙しの仕事をしなければいけなくなっている。

■スピード審議が必要な実現会議

 少人数で濃密に議論が出来るように、有識者の人数を絞って実現会議を設置した。もちろん茂木JA全中会長とどうしても必要な人たちは入っているが、他はユニークな人達がいる。例えば歌手の加藤登紀子さんは、有機農業の信奉者で、ご夫君(故藤本敏夫氏)と作り上げた千葉の鴨川自然王国の理事をしておられる。第一回の会合は11月30日に開催したが、今後3ヶ月に2回、あるいは月に1回のペースで進めていくことになる。

 TPPの事前の情報収集であるが、今のところ当然のことながら、参加を表明しなかった日本には冷たく、傍聴だけさせてくれといった虫が良すぎるお願いは聞き入れられてはいないようである。私は、折角の機会なので、官邸に設けられたこの本部を中心に、駆け足ではあるが、6ヶ月で農林水産行政の今まで足らなかった分を補うべく、大きな改革案をまとめたいと思っている。

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※この記事は12月15日付「しのはら孝blog」より転載しました。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

篠原 様

農林漁業担当者の方からの、TPPに対する見解が伺え、心強く読ませていただきました。

この問題の重要な点は、民主党内で、日本の方針が明確にされていないのに、韓国の輸出攻勢を目の当たりにし、また、アメリカの強い要請によって、菅総理が、アドバルーンを揚げてしまったことに起因することである。

先ず第一に重要なことは、日本の農林漁業はいかにあるべきか、明確に方針を打ち出すことではないか。

韓国は、戦略的に行動していることが明確であり、日本もアメリカに振り回されることなく、国益を一番にして行動していただきたいと思います。

TPPにこだわることなく、韓国のように2国間協定を増やしていく方法も一つの方法ではないか。菅総理の勇み足で、TPPに限定した検討は、あまりにも他国に左右されたイメージが強すぎる。主体性が全く見られないのである。

このような悪条件下にあって、ご苦労は多いと思いますが、日本の農林漁業関係者篠原副大臣様たちの日夜のご努力に感謝すると同時に、未来を是非切り開いていただきたいとお願いしたい。

篠原さん、私はあなたの選挙区のものですが、この論考で述べているようなあなたの農業政策理念、および国土観に期待し、支持もしてきましたが、かえすがえすも残念なのは、あなたが自分の理念実現には小沢一郎というあなたを支えバックボーンとなる理念を持つ指導者を選べなかったことにあります。細部の技術的相違はともかく、あなたの自然観は小沢氏と共通のものはあるはずだ。こうしてみるとあなたはただの役人根性から脱却できなかったのですね。大平元総理に傾倒したといったあなたの最初の選挙での演説がむなしく思い出される。農業政策のスペシャリストである前に政治家としての素養を身に着けないとこのように大きな間違いを起こす。(菅支持に回ったこと)、

日本は昔から今に至っても米国にあらゆることで、過分な協力をさせられてきました。今度の突然のTPPのことも特に農産物の輸出拡大をはかりたい米国の思惑があって、圧力がかかり、急遽言い出したことでしょう。
カリフォルニア州の知事がきて、新幹線敷設の話をもってきた件も、おかしいと思いました。財政破綻しそうな州に何らかの援助をするための口実であったようです。副島氏が最近出した本にも、やはりこのことことの根拠は載っていました。米国への思いやり予算も防衛施設費からも出すということは、増やすことですよね。子ども手当てが足りないとか自給率を高める農業振興の予算がないとか、無駄を省いて、自国民の生活をよくするというのは民主党の理念はどうなっているのですか。幹事長のように、毎日、地方の選挙で負けているのに、それを隠すためなのか、仲間を血祭りにあげることしかできないのは、一政治家としてどう思われますか。彼やそれを画策している仲間にも親も子もいるのに、政治家である前に人間性を忘れています。
貴殿の農業に対する熱い思いや、お仕事を一所懸命されていることは評価いたしますが、どうぞ広い視野にたって物事を判断してください。お願いします。

とにかく農家の反対がすごい
地方の民主・自民県連も反対で
一致してますが?どうすんのかな

中国や東南アジアの安い労働力と真っ向勝負しろってことなんですよね

企業は出て行きます。当然。安い人件費があるのだから
国内では?
「中国産」と明示されたウナギの蒲焼は売れ残ってました
300円弁当だって、中国産の安い素材を使ってるからこそで

自民党政権時代の無策ぶり、さらに混乱させる可能性のあった鳩山小沢前政権から、やっと
見通しをもった方向が露見した菅直人現政権。
自由化の流れの中にいかに【耐性】を手当てし
農業基盤を整えていくか、
肌理の細かい消費者と肌理の細かい風土と
農業の深い歴史をもった日本に欠落しているのは
政治家の非生産性だけなのでここは一つの産業基盤を育てるくらいの気概をもって取り組んで頂きたい。

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2009年11月、日刊工業新聞社

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