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小林恭子:ウィキリークス 米ニューヨーク・タイムズとのしこりで新たな「一片」

 米ニューヨーク・タイムズ(NYT)は11月末から公開されている米外交公電の元データを、告発サイト「ウィキリークス」から直接受け取っていないのではないかー?「公表前には受け取っていなかった」「直接は受け取っていなかった」−そんなコメント(前回のウィキリークスに関する記事を参照のこと)が、どうも気になった。だとしたら、リークを行ったとされる米兵に、どことなく厳しいようであることの説明がつくからだった。

 ロンドンの2日朝の時点までに、すでに日本語でも同様の点(NYTが直接受け取っていない)を指摘した報道がいくつか出ていた。

■ウィキリークス情報で"暗闘"する米メディア(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/101202/amr1012021833012-n1.htm

「ニューヨーク・タイムズ紙側は、以前からウィキリークスの機密文書公開に際し協力関係にあった英紙ガーディアンから、公電を入手し掲載に踏み切った。」

 また米ワシントン・ポスト紙にも、11月29日で同様の主旨の記事が出ていた。

■WikiLeaks spurned New York Times, but Guardian leaked State Department cables(washingtonpost)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/11/29/AR2010112905421.html

 なぜ、ウィキリークスは、NYTに直接データを渡さなかったのだろう?

 産経が聞いたところによれば、
「ワシントン・ポスト紙によると、ウィキリークスが今回、ニューヨーク・タイムズに情報を事前に提供しなかったのは、同紙が10月、ウィキリークスの創始者で編集長のジュリアン・アサンジ氏に批判的な記事を掲載したためとみられ、ウィキリークス側の"報復"との観測もある。」(小林注:この中で、「事前に提供しなかった」とあるが、その意味は「ウィキリークスが」であって、ガーディアンが公表時のはるか前にNYTに情報をあげていたことになる。)

 ワシントン・ポストの記事のほうには、NYTのビル・ケラー編集長の話が出ている。編集長は、なぜ今回(イラクやアフガニスタンに関わるリークのときは協力した)ウィキリークスが、NYTに情報を直接渡さなかったかを聞くと、「はっきりしない」と答えている。

 しかし、ケラー編集長が推測では、産経が書いたように、NYTが10月に出した、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏のプロフィール記事がアサンジ氏にとって厳しい内容であったためでないか、と述べている。

 NYTはまた、8月、マニング兵(リークの本人とされる)に関しても、厳しい記事を出したという。マニング氏を「自称ドラッグ・クイーン」と関係を持っていたことや、10代の頃、同級生がマニング氏のことを「おタクで...同性愛者」として馬鹿にした、と書いたという。

 やっぱりなあ、と私は思った。ここでまた、ジグソー・パズルの新しい一片が見つかったような気がした。

 別に、ドラッグ・クイーンと関係を持ったこと、おタクで、かつ同性愛者であるとして馬鹿にされたことが嘘・フィクションだと言っているのではない。また、こうした言葉遣いそのものが「ひどすぎる」と思っているわけではない。また、アサンジ氏のプロフィール記事は良いことばかりを書けばいい、と思っているわけでもない。

 しかし、言葉や表現の選択で、書き手の思いはにじみ出てくるものだ。

 今回に限り、直接記事を渡さなかった理由が、NYT編集長やワシントン・ポストが言うように、「厳しい記事が出たから」なのかどうかは、分からない。

 ただ、「新たなジグソー・パズルの一片」が見つかったと思った、というのは、ウィキリークスとNYTとの間にしこりが「あるらしい」ことが推測できたためだ。前回、前々回と私が書いてきた、NYTのウィキリークスへの厳しい目・表現説が確認できた感じがしたのである。

 私が現在見たところでは、NYTには、ウィキリークスや関係者(アサンジ氏、マニング氏)に対する見方・表現の仕方に、「より体制寄り」の姿勢があって・あるいは出てきており(つまり、ウィキリークスや関係者を当局の視点から見る、つまり、違法な行為をした人たち、という意識で見る)感じがする。

 ワシントン・ポストと産経の記事によれば、ウォールストリート・ジャーナル、CNNに対し、ウィキリークスは一部の情報を事前提供する代わりに、報道解禁の期日を守ることを条件とした。もしこの条件が守られないと10万ドルの罰金を払うことを要求したとう。ウォール・ストリートジャーナルもCNNも、申し出を却下した。

 ワシントン・ポストはガーディアンにコンタクトを取り、事前に情報を共有させて欲しいといったが、拒否されたという。2つの記事を見る限りでは、紹介されたどの米メディアもウィキリークスの振る舞いに怒りあるいは割り切れないものを感じているようだ。

 2日昼、事の次第を確かめるため、ガーディアンの調査報道記者デービッド・リー記者に聞いてみた。が「匿名の人物から外交公電情報を得た」とサイト上でことの経緯を説明したとき、「極秘人物」とはガーディアンなのかどうか、その他、ワシントン・ポストの11月29日付記事の真偽は?

 リー記者によれば、「残念だが、ワシントン・ポストのこの記事に関しては、全くコメントできない」。

 「全くコメントできない」といわれたら、その記事の内容がほぼ当たっている可能性が高いと私は解釈した。不正確なものであったら否定しているはずである。(あるいはまた、多くの人にワシントン・ポストが書いた記事の内容を信じ込ませたい、あるいはほかに真実があるが、それを明るみに出したくないと思っている、という解釈もあるだろう。)

 ワシントンポストなどの報道で事情がばれていても、NYTは「ガーディアンからもらった」とはサイト上に書かず、ガーディアンは「5つの媒体が事前に(ウィキリークスから)情報を得た」と説明してきた。これまでとは違って、ウィキリークスから直接 NYTは情報を提供されなかったことを、ガーディアンの側からは公表したくないのだろう。

 リー記者を含めガーディアンは調査報道に非常に慣れているので、真実を明るみに出すにはさまざまな手を使う。他の事件(大衆紙の電話盗聴事件が最近の例)でもNYTとガーディアンは協力体制にあるし、ある意味ではNYTに恩を売って、さらに何かを暴こうとしているのかもしれない。調査報道はガーディアンの最大のブランド・バリューの1つなのである。

 ウィキリークスによる米国関連の秘密書類暴露で、米国メディアが過度に右傾的・愛国的報道に陥らないかどうかー?しばらくウォッチングを続けたいと思っている。

* * * * *

「英国メディア・ウォッチ」ブログの最近のコメントの中にnofrillsさんからの以下の情報があります。ご関心のある方はご覧ください。(米Yahoo NewsのThe Cutlineというコーナーが、ガーディアンのデイヴィッド・リー記者に取材)

http://bit.ly/gbMK9y

* * * * *

「ウィキリークス(WL)とニューヨークタイムズの関係が、何らかの意味でこじれている」に関する記事について

■New York Times Strikes Back at WikiLeaks Founder(the daily beast)
http://www.thedailybeast.com/beltway-beast/julian-assange-vs-the-new-york-times/

■More on the media's Pentagon-subservient WikiLeaks coverage(Glenn Greenwald)
http://www.salon.com/news/opinion/glenn_greenwald/2010/10/27/burns/index.html

...などなど、うんざりするほどたくさんのゴシップのような記事があると思います。

 あと、ガーディアンは編集長が直接読者の質問を受け付けています。質問の数が多く、一度に回答できる量ではないので、少しずつ回答して今3日目かな。URLが長いので短縮しましたが、下記です。

http://url.ie/8c4x

 NYTは、自力で入手することができなかったファイルをガーディアンから受け取って、その内容を事前に米国政府側に伝えていました。そのことだけでも、報道機関が保つべきスタンスを逸脱しているとして非難され、例えば消費者からはボイコットされても当然だと思います。

【関連記事】
■小林恭子:ウィキリークス ニューヨーク・タイムズへの疑いの眼──ジグソー・パズルの一片(NewsSpiral 2010.12.2)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/12/post_706.html

(この記事は「日刊ベリタ」から許可を得て転載しました)

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

しかし…

もうやっちゃうんですね…

もうちょとインターネットが全世界に拡がってからやるのかと思ってましたが…

さて…上手くいきますかね…

パソコンとかインターネットとか専門的な事は解らないないんで;

全経過見させてもらいますよ…

メディアの本質は権力側に決してつかず、真実を人々に伝えることです。真実を伝えられないために、地球上で失っていくことが多すぎます。米国のメディアは、その基本の意味さえ忘れてしまったようです。権力側や闇の支配者について捏造さえも厭わないのですから。その手法は日本にもどっと入ってきてます。日本では権力側や闇支配者に都合のよい、記者クラブなるものが、ジャーナリズムの魂をないがしろにしてきました。
以前、米国の著名な方が、米国のメディアも商業なので、常に体制側につく流れは止まらない意味のことを言ってましたが、それでは読者や視聴者である消費者はますます離れるばかりです。今のところ真実を語る媒体であるネット情報に頼るのは当然のことです。真実を報道するところが潰されないように、見守り、育てることが一人ひとりに課せられています。

日本のマスゴミの反応しているようには「否定的」には受け止めてはいない。
そしてジュリアンは、なかなかに良い事も言っている。

しかし、何か目的が有るのか、それとも現段階では情報収集能力の限界が、「そこまで」なのかもしれないが、
アメリカ合衆国の情報しか流れてこない。
協力者が、そこにしかいないのかもしれないが、それにしても、情報がリークされるのが特定の一国という点には、少々疑問を持つべきだと思う。


中国やロシアの外務省や軍事機密なんかが流れてくると面白いんだけど・・・
ジュリアンは、そっちの方に友達はいないんだろうか?

小林 様

アメリカが、世界の警察を自任し、世界に諜報機関を張り巡らし、情報を一手に握り、外交を有利に進めてきたことは事実である。

其の行為は一方的であって相手国にとっては脅威である。日本などは、常にアメリカの監視下にありアメリカの意向を気にし、自立的な行動が全く阻害された状態にある。独立国といいながら、実質的にはアメリカの属国といえる。従って、日本に関する情報はほとんど漏洩してこないだろう。

アメリカ一国主義の強烈なナショナリズムは、政府だけでなく、もちろんジャーナリズムも共有しているといってよい。同じ穴の狢といえる。ニューヨークタイムズにしろ、ワシントンポストにしろ、真実を報道するわけはない。

英国のガーディアンが主導的役割を果たしたことは、評価したい。今回の漏洩をアメリカ一国主義の警鐘と受け取り、「アメリカ=正義」の傲慢さが緩和され、謙虚さが出てくることを期待したい。

ウイキリークスの暴露情報に在日米国大使館からの公電が多数含まれているという話を聞いて思い出されたことは、いわゆる世界的な盗聴システムと言われる【エシュロン】の存在である。欧州議会が米国は軍事のみならず経済活動でも大規模な盗聴活動を行っており、それを自国の経済活動に有利に悪用しているとして、だいぶ前に非難したことがあった。なんでも日本の三沢基地にも盗聴活動用のアンテナ装置のようなものがあったと、一時期騒がれたことがありましたよね。日本の国会で盗聴法の可決をめぐり、当時、盗聴法は通信利権であり、日本は米国を中心とする国際的な盗聴活動を始めとする情報コントロールに取り込まれてしまうと、声を大にして反対した自民党の国会議員がいて、党から除名処分(ご本人は自ら離党した)されました。
ウイキリークスの存在も、情報がいち速く社会の細部にまで流れていまう社会における政府のコントロールと各国の思惑、その社会の中に巻き込まれながら生きている私達との関係性の中に浮かびあがってくる問題ですね。日本のメディアはどう対応するのでしょうか?

当地、シドニーでは主力新聞シドニー・モーニング・ヘラルドが昨日から、ウィキリークから独占的に得た在豪アメリカ大使館の本国へのケーブルの内容を解説をつけて掲載し始めました、今朝の一面には、閣僚の一人が如何にアメリカに現政権、労働党の内部の動きを報告していたかが暴露されています。勿論これは国家の秘密に関するような内容のものではありませんが、アメリカの手先というような呼び方をしています。

もう一つの興味ある記事はオーストラリアの著名な人権弁護士のジェフリー・ロバートソンがジュリアン・アセンジを弁護するとして、夏休み休暇を返上して、英国へ向かったことです。オーストラリア連邦警察がこの件を調査していますがオーストラリアの法律では犯罪を立証できないようです。ロバートソンは国際的に活動している弁護士でカトリック教会内で頻発していた性的虐待をなくすためには、犯罪の隠れ蓑になっている教会法を廃棄させる必要があると言っている弁護士です。

エシュロンは英語を話す国が参加しているスパイ、諜報組織です。加盟国は英国、米国、カナダ、オーストラリアです。ニュージーランドは加盟していましたが、原子力空母の寄港に関して、米国と折り合いが悪くなり安保を離脱した時に、脱退したと思います。その活動は加盟国に繋がっている、光海底ケーブルの情報を全てキーワードでスキャンしています。つまり我々がそれらの国に送ったメール、ファイルはすべてスキャンされています。それとサテライトで上空から携帯電話も盗聴していると言われています。三沢のサイトは軍で使われている短波、超短波が常に傍受されているだけでしょう。
数年前、エアバス・インダストリーが米国でエアバスの売りこみに成功した時には、このエシュロンによる盗聴が売り込みの際のエアバス・インダストリーによる不正な取引を見つけ、この取引を無効にしました。多分、EUでエシュロンが取り上げられたのはこの事件の直後ではないかと記憶しています。


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2009年11月、日刊工業新聞社

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