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シリーズ小沢一郎論(6) ── TPP参加は小泉構造改革路線か?

日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)

 TPP(環太平洋パートナーシップ)に言及した11月9日の閣議決定を読むと、「強い経済」を実現するには国を開かなければだめだ、国を開けば「強い経済」が実現する、という趣旨のことが書いてある。菅首相も同様の発言を繰り返している。しかし、市場原理万能主義的に、規制を取っ払い、自由化しさえすれば、すべて良くなる、というようなことを言っていたのが、小泉--竹中型の構造改革路線だった。

 地方自治の現場の感覚からすると、今、日本経済を強くする基本路線は、地域資源の発掘・育成を丹念に進めることだと思う。安全で質の高い農林水産物を、それぞれの地方色豊かな食文化を生かしながら、加工品にしたり料理にしたりして付加価値を高める。食文化のみならず、豊かな自然と歴史に育まれたそれぞれの風土を魅力にして、観光も振興する。文化をベースにクリエイティブ産業が花開く。安さを競う価格競争で勝負するのではなく、ものが分かる人たちや中国富裕層などが「他では得られない本物」と認め、高くても買ってくれるような物を作り、高くても来てくれるような地域づくりをするのが、グローバル時代の必勝戦略ではないのか。流行のB級グルメは、安さの競争ではなく付加価値の競争である。

 もちろん、価格が競争力の重要な要素となるような、大量生産型の工業製品を輸出して稼ぐのも、とても大事である。誘致企業の地方経済に対する貢献度は高い。しかし、バブル絶頂期の90年の日本の輸出額41兆円に対し、リーマンショック直前の07年の日本の輸出額は80兆円であり、TPPが無い中で倍増している。この間、落ち込んで、低迷しているのは、内需=国内消費だ。日本が直面しているのは、輸出競争力の危機もさることながら、内需低迷という危機だ。

 貿易自由化に日本が遅れをとれば、輸出も危機になる、という心配は分かる。しかし、今ここにある危機は、日本の国内消費の低迷である。それは即ち地方の疲弊であり、地方が潜在的に持っている魅力ある商品やサービスが十全に開発されていないということだ。日本の輸出依存度は07年で約16%。裏を返すと、内需がGDPに占める割合が84%。日本経済を強くするためには、地方経済を強化しなければならない。

 21世紀に入り、本来強くするべき地方経済に壊滅的な打撃を与え、地方の疲弊をもたらしたのが、小泉構造改革だった。全国的に、生活破壊が進んだ。それに対して、「生活が第一」のスローガンを掲げ、セーフティネットの充実と、地方を強くする地域主権改革で、内需拡大型の成長路線を実現しようとしたのが民主党であり、それに国民が賛成した結果が政権交代だったのではなかったか。

 今、地方で注目されている魅力ある商品やサービスの、かなりの部分が、今までの農林水産業生産者達の努力と工夫や、今に残る農山漁村の文化をベースにしている。貿易自由化に対応するためそれらをガラガラポンとしてしまえば、日本はかけがえの無い地域資源を大規模に喪失してしまうだろう。

 ちなみに、小沢一郎氏は日米自由貿易協定が持論だが、それは所得補償制度で農業・農村を一定程度守ることと(自給率の目標は100%であるべきだ、とも言っている)、一括交付金化などの地方分権で地方を強くすること、そして様々なセーフティネットの充実(内需拡大の基礎である)と、セットで主張しているのである。また、小沢氏が交渉すれば、日本が不利になるような不平等条約を押し付けられることは無いだろう。

 TPP拡大の主役はアメリカなのだろうが、そこに日本がうかつに飛び込むことは、小泉構造改革が日本を丸裸にしてアメリカに差し出そうとするものだったことを思い出させる。

 繰り返すが、自動車や電機・電子等の輸出産業を守り育てることも大事である。先端産業に関連する研究開発、あるいは基礎研究に国が力を入れたり、貿易の条件整備に国が乗り出すことは必要である。また、そもそも一般論としては、自由貿易体制の発展は、世界経済を拡大し、途上国の発展を促す望ましいことである。しかしながら、それぞれの国にある貴重な地域資源を犠牲にしてはならない。それらの地域資源は、その国の人のみならず、世界中の人たちを幸福にし、人類共通の文化になる可能性を秘めているのだ。市場原理だけでは良いグローバルスタンダードにはならない、というのがリーマンショックの教訓だ。それぞれのローカルスタンダードを大事にし、その総合がグローバルスタンダードになるというのが、あるべき新世界秩序ではないか。

 日本は過去2回グローバル化の大波を受けた。戦国時代の大航海時代と、幕末の帝国主義時代である。どちらの時も、地方が強力で、グローバル化の荒波を受け止めた。中央が右往左往する間に、地方の勢力が、新しい時代を開いた。冷戦後、第三のグローバル化の波を受けた日本が低迷しているのは、地方が弱いからである。地方が強くなければ、日本はグローバル化に対応できない、という法則があると、私は思う。

★   ★   ★

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ザ・ジャーナル!
では、
アウンサン スーチー氏への 書き込みはないのでしょうか?
国内の”ボヤ騒ぎ”は 少々うんざりですが・・・


> 地方自治の現場の感覚からすると、今、日本経済を強くする基本路線は、地域資源の発掘・育成を丹念に進めることだと思う。

< この間、落ち込んで、低迷しているのは、内需=国内消費だ。日本が直面しているのは、輸出競争力の危機もさることながら、内需低迷という危機だ。

ブログオーナー 日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)氏
仰ると~~りです。
近々に これに気付き 政治家だったのは、
DNA的に蝦夷に近い 土佐ビトだったのでしょう。
それでも 世間には おっきな流れ・・・  “本流”が存在します。

この国は 一旦 これまで戦後続けられた 農業政策を放棄しなければ。
未来がないのは ご自身が一番歯がゆく お感じではないのでしょうか。

TPPの本流は 誰が“ほざきつづけても”本流です。

小沢一郎氏は ただ直面して、
衆院&参院で過半数を“得る”こと、 
ご自身なりの政治課題を実現させる最善の方策とされました。
その為には 法律に触れない限り、ありとあらゆる手段をこうじる。


それが 政治  政治家 では、ありませんか。
 

達増さま
お説の通りです。TPPで強い経済が実現するというのは、現在、発展途上国ならそうです。しかし失われた十年、二十年を過ごしてきた日本では、今それをすれば、日本が持っているものすべてを失う可能性があります。特に農業の自給率を上げなければ、レアメタルの件と同じような問題が将来起きます。本来であれば政権交代で小沢氏が政府のトップを担い、四年間で地方を強くし、農産物を始めとする食の確保を安定させ、世界にも供給できる新しい体制を確立すること、その前提があってこそ、世界にむけて規制を取り払り、自由な競争をすることができる国になるのです。
メディアや権力が小沢氏を潰したことで日本は今はめちゃくちゃです。小沢氏を先頭にして、また、急いで一からの出発をすべきです。日本が世界で誇れる国になるためには、数年間はある種の鎖国的な考え方も必要です。

TPPを管さんは消費税と同じく何の根回しもしないで突然言い出した。

TPPの意味は「突然言い出した・パーか・ポン助」の頭文字か・・・。


或いは「トンでもない・パープーで・ペラペラな政権」の頭文字か・・・。


いつの日か開国をしなければならないでしょうが、小泉の再来だけは止めてけれ!

TPPなどは、阿呆の戯言。
まずは、対米FTAとの違いを説明してくんなきゃ、
こんなもの、ふざけるな・・・というモノだ。

ところで
ビルマも大変だろう。
アウン・サン・スー・チーさんも大変だろう。

だけど、足元をしっかりと見て行こう。
日本人の足元は、今、どうなってしまっているんだろうか。

しばらく前の「高野論説」で、中国の政治がドウノコウノというのが有ったが、
他人の国の事を心配する暇が有ったら、日本の「民主党政権」の、馬鹿騒ぎに気を配ったほうがいいのではないだろうか。

しばらく様子を見てやろう、長い目で見てやろうといった「菅内閣」に、心を配ったほうが良いのではないか。

さて、TPPだけど、
参加メンバーを見てみれば、一目瞭然。
アメリカとのFTAを、二者で、真っ向から向かい合って話し合うのと、どちらがいいのかという事だろう。

結論として、TPPは必要ない。

中国が色気を出しているというが、非関税障壁だらけの中国が、レアアースの輸出差し止めなどを平気でやる中国が、通関業務をさぼる中国が、
なにがTPPだ。
へそは茶を沸かす。

経団連の喜び方、騒ぎ方を見れば、亡国の論議だという事が良く解る筈だ。

総理がいわく

「農業の大規模化を進め、農地の流動化促を進するためにを取得制限等の緩和」だと!

日本で例えば水田で大規模化に因ってコスト削減ができないことは、日本と言う国土の特性、居住の実態、労働の実態を見れば明らかであり、既に妄想に近いのではないか。

遥か昔から多くの農民は兼業で農業を支えてきたんです。卓越した石工技術を持った集団もあったし、萱を打っていた農民もいたし、会社員もいれば公務員ももいたわけです。だから農業が継続できたというところが多々あるわけです。

農業用水の管理はどうですか?
上流優位の水管理において、下流の百姓に対する配慮を持って為される利他を基礎とした管理が200年以上も続いてきたわけです。経済合理性が経営の基盤である会社が農業に参入し利他が行えますか?

無縁社会と言われ地域共同体の重要性が言われ、引き受ける政治をやらなければという時に、ますます地域が流動化し崩壊しかねない農業政策が、未だに叫ばれていることは残念である。

強い兼業農業を再構築することも、厳しい農業を守り継続する重要な形である。昔からそうして生きてきた農村、農家を検証してみるべきでは。

コスト削減ではなくコストを大事にする農業です。そして人々の近接性です。大規模では近接性が失われます。大事な人のために食い物を作る、そういう形を日本農業の姿にすべきではないですか?

高齢者農業、何も悲観することはありません、しばらくは高齢者は死ぬまで百姓を続けてもらいましょう。
後継者問題は今現在の問題なのです。高齢者であろうとなかろうと現農業者の皆さんが、生き生きと食っていけると解れば、黙っていても後継者は出てきます。

どこの国だって、最重要政策は自前の食糧で国民を食わせることです。
その手段、手法は当然それぞれの国家、地域によって違ってくる。

単にTPPに参加する、農産物も自由化する、でも直接補てんで農業を存続させる、規模拡大だ、土地の流動化だで日本の農業、国土が守れるわけがありません。

先ごろの一時的な不作においてロシアを始めとする国々は小麦の輸出を禁止しました。地球規模の飢饉においては作物の輸出国の多くは同様の措置を取るでしょう。そうしたものを責めることはできません、自国民の飢えを凌ぐのが第一です。

TPPの話を聞いてつい思い出してしまうのが、豊臣秀吉の鳥取城攻略です。別名「鳥取城の渇殺」(かつえごろし)とも呼ばれています。事前に商人を派遣して高額の金銀で兵糧米のあらかたを買占めたのちに、城を包囲して干殺しで攻め落とした喩ですが、それでも開城後は多分の粥を振舞ったそうです。

地球の温暖化等々の天候異変が言われているさなかにおいて、農作物の自給の放棄と多量の自動車や工業製品の輸出による多額の金品との引き換えによるドルの蓄積に大きな危険性を感じない鈍感な首脳と経済団体が主導するこの国に危うさを感じます。

個別の農家の収入の問題だけではないと思います。自給率をどれだけ確保できるのか、青写真なしに大海に投げ出す愚だけは避けなければなりません。

私はいわれている程、輸出産業が儲かって日本人が豊かになるとは思っていません。でも少しでもパイの拡大に繋がるなら良いかなぐらいです。農業については、不勉強な為に叱られてしまいましたが、私は日本の農業が弱いとは思えないんですね。食卓には先ず農産物は生協から出来るだけ国産物をとりますし、お米は食卓はもちろんタマの外食でも絶対に日本育ちの純国産米のほうが最後には勝ちますよ。なんか、外食産業は外国で作った日本米がわからないように入ってると言われましたが、何れはバレるんですから最後には日本の農家の作った日本の米が勝つんですよ。だから沢山つくり過ぎたら外国にブランド米として売るのは賛成ですが、日本には同一地域として日本人が食べられる今の価格でなんとかお願いしたいですね。

~産業空洞化の議論の消滅 - 日本企業の使命と挑戦は終わってない~

大学生の就職内定率が過去最悪の57.6%になった問題について、数字が発表された11/16の会見で、菅直人がどう応答したのか情報を探してみた。参院選や代表選で「雇用」のワンフレーズを連呼し、それを政策公約の看板に掲げていたのだから、当然、この事態には責任ある見解を国民の前で言わなければならない。説明責任を果たす必要がある。しかし、この会見の模様をニュースで伝えたテレビ報道はなかった。私を含めて、視聴者は不満に感じたのではないか。産経新聞のサイトの中に詳しい情報が載っている。産経はネットを使う者にとって重宝な存在だ。記事を見ると、菅直人は政府が講じている二つの対策を並べて説明に代えているが、特にこの数字に衝撃を受けている様子はない。あれほど「雇用」を売りにし、特に新卒者の雇用に熱心な姿勢を宣伝してきたのだから、この数字は一義的には菅直人の失政を意味するものであり、菅政権を直撃する深刻な問題として受け止めなければならないものだ。だが、菅直人に悪びれた様子はなく、ジョブサポーターとトライアル雇用の拡充の二つで平然と切り返していた。これは、学生の就職内定率が低い理由は、学生が大企業ばかりに執着するからで、中小企業で探せば職は容易に見つかるという認識と立場のものである。ミスマッチ論であり、学生側に責任を押し被せる議論である。何も問題解決にはならないし、新規雇用の創出策でも何でもない。
【続き - 以下は有料です 転載禁止】

達増様

TPPの推進は、グローバル資本主義時代の「開国」と位置付けられています。
知事の地域活性化論は、TPP推進に対する「アンチテーゼ」としての発言ならば理解できる。大いに議論すべきと思うからです。

本来、知事の立場であれば、開国が避けられないのであれば地域活性化議論を優先すると共に「自立と共生」実現のために補助金の一括交付や規制改革、農家への個別保障改革等々を主張すべきではないでしょうか。
その中で「世界経済の拡大は望ましいが、地域資源を犠牲にしてはならない」とあれば理解を得やすい。

今回の提言からは、知事は政治家でありながら、まるで評論家のような発言のように聞こえてしまうのは何故か?多分、菅政権を批判するため「批判」だからだと思う。
日本一新会のメンバーは、国家・国民のための活動をしているはずであり、菅政権が推進しているからと言ってTPPに反対するのは、問題を矮小化する恐れがあります。
特に、冒頭の「TPP参加は小泉構造改革路線か?」の問いかけは、「事業活動に関する規制は原則撤廃」方針とも「財政健全化」とも整合性がとれていません。

知事は、大企業が国内投資を抑制し、海外に活路を見いだそうと必死になっていることはご存じでしょう?
現在、失業率が5%強と言われています。30代を含めた若者の失業率が5%程度ではないこともご存じでしょう?

日本人は「開国」の荒波に耐えられないでしょうか?
10年もすれば「国破れて山河あり」になることを恐れます。

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『知らなきゃヤバイ!民主党─新経済戦略の光と影』
2009年11月、日刊工業新聞社

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