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中国人ジャーナリストが語る最新中国ネット言論事情(3) ── 中国で広がる「野次馬的な参加する民主」

■たりない日本の中国語情報発信力

 外交の手段としてもツイッターは使われています。

 たとえば、在中国のアメリカ大使館は、ツイッターのほかに、国内の人たちが普通に閲覧できる専門のブログページをつくり、自分たちが中国人に何を考えているか、何をやろうとしているかを呼びかけています。そうすることで、彼らは他のメディアに頼らずに自分たちの言いたいことを直接インターネットユーザーに届けています。

 僕としても、日本の外交関係者が直接ツイッターで中国語で情報を発信してほしいと思います。中国メディアに頼って情報発信をした場合、情報が変えられる恐れがあります。ですが、日本の外交関係者が中国語を使って直接ツイッターでつぶやけば、それに手を加えられることはありません。

■欧米は中国のインターネット・オピニオンリーダーと頻繁に交流会を開いている

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 在中国のアメリカ大使館では、毎月中国の有名ブロガー、または有名インターネットオピニオンリーダーを招いて会合を開いています。これがそのときの1回目の記念写真ですが、手前の2人が中国大使のご夫婦です。

 後ろから2人目(上から2列目真ん中)が僕です。この写真の僕の左側にいる彼が饒謹(ラオ・ジン)という有名なインターネットユーザーです。彼は、アンチCNNドットコムというサイトを運営していて、つまり、CNNの報道などをけなすことをやっています。その人もアメリカ大使との交歓会に参加しています。

 大使のすぐ後ろにいるのは孔慶東(コウ・ケイトウ)さんで、北朝鮮政府の支援者です。そういう方たちもアメリカ大使とのミーティングのゲストとして呼ばれています。

 こういうのを見ると、アメリカというのはパブリック・ディプロマシー(公共外交)で非常に賢い手法をとっているなと思います。

※「公共外交(public diplomacy)」とは、外交官を中心とする政府と政府の間で行われる「エリート外交」ではなく、外国の一般人を対象とする対市民外交のこと。

■魯迅が租界を利用したように、私たちはVPNを利用する

 魯迅は日本でもよく知られていると思います。彼は上海の租界に住んでいました。彼は中国の疎開について批判していたのですが、彼自身は(租界にいれば許される)発言の自由を活用していました。

 中国では色々な形でインターネットへのアクセスがブロックをされているわけですが、それを乗り換えて海外につながるため、VPNなどの技術を使って発言しています。僕はこのことを魯迅の例をもじって「VPN租界」とよんでいます。つまり、僕たちが100%の自由を利用してツイッターでつぶやいたものが、国内のマイクロブログ「新浪微博」でコピーされて人々に伝わる。そしてさらに次の人に伝わっていくのです。

■インターネットは中国に民主化をもたらすか?

 では、将来的にインターネットは中国に民主化をもたらすのでしょうか。

 現時点では、インターネットユーザーは4億人います。あと数年すれば中国の若者すべてがインターネットユーザーになると思います。

 そのとき、将来の中国のインターネットユーザーは次の3つを信用するようになると主います。

 1つめは、発言の自由はアメリカにあるものではなく、僕らが生まれた時から持っている自由だということです。発言の自由は(民主主義者ではない)民族主義者にも与えられているということです。

 2つめは情報も財産だということです。今年はじめにグーグルが中国から撤退する事件がありました。そのとき、僕らは民族主義者の立場ではなく、グーグルの側に立ちました。それはなぜかというと、「情報も財産である」という意識からです。たとえば、僕らが使っているGmail、あるいはGoogle Talkといったサービスによって僕らの情報は守られているという意識があります。なので、グーグルの立場に立ちました。

 そのほか、自分が語ろうとした言葉を削られることなく流す権利、つまり、自分がしゃべりたいことを誰かに勝手にくっつけられたり、短くされたり、ごまかされることなく自分が言いたいことを言いたいだけ発表する自由も含まれます。

 3つめは「参加する民主」が大事だということです。たとえば、現在ではフェースブック民主やツイッター民主ということが言われます。つまり、ツイッターやフェースブックを通じて自分が正しいと思ったものに一票を投じる(リツイートや賛意を表すボタンを押すことの意)。そういう参加の仕方で自分の意思を表し、そして民主に変えていくというやり方が現在語られています。

 これまでにアメリカや日本には伝統的な民主の形があったと思いますが、こういった「フェースブック民主」や「ツイッター民主」という形が、伝統的な民主のやり方も変えつつあるのではと思います。一方、中国の場合はいわゆる「伝統的な民主」はありませんでした。その中国に突然「参加する民主」、つまりフェースブックやツイッターで自分の意思や同意を表現する方法が現れてきています。

■ツイッターが変えるのは政治体制ではなく人の思考方法

 ただ、インターネットが変えられるのは政治体制ではなく、人の思考方法を変えるわけです。つまり、インターネットが人の思考を変えることにより、参加していくという形です。それが日本であれば議会民主主義につながりますが、中国はそこに至っていません。

 なので、インターネットによる民主化が政治的な民主化、または政治的な大きな改革に直接つながるという見方は単純にはできないと思います。

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↑ 草泥馬(ツァオニーマー)

 日本には「野次馬」という言葉がありますが、中国でも「草泥馬(ツァオニーマー)」といわれるインターネット上の言葉があります。これは発音を変えると、中国では人をののしる言葉なんですが、それをあるインターネットユーザーが、漢字を変え、アルパカ(=草泥馬)の写真を付けて広げました。これにより、インターネットで草泥馬というのはインターネット民主のアイコンになったわけです。

 インターネット民主というのは野次馬精神、つまり直接参与してデモをするわけではなくとも、デモに興味を持ち、デモに注目して自分たちの注目がそこに集まっているんだと表現することによって、それをパワーに変えていく。彼らの参与というのはデモを歩くことではなく、デモを見つめてデモに関心を持つという形での参与の仕方で自分たちの意見を発表する。そういう形がいまの中国のインターネット民主の参与の仕方です。

■ツイッターは中国にはじめて100%自由な発言空間をもたらした

 アメリカの雑誌「The Newyorker」にマルコム・グラッドウェルという方がいらっしゃいます。その方が「NYTimes.com」で「ツイッターは非民主国家に民主をもたらすか」という疑問を投げかけました。その中で僕も発言しています。

 僕自身はそれは不可能だろうという意見で、マルコムさんの視点に同意しています。ツイッターが100%非民主国家を変えることはできないだろうということです。

 ただ、僕が最後に付け加えたのは、中国を例にとれば、ツイッターは中国にはじめて100%自由な発言空間をもたらした。そこで自分の意見を発表し、今まで耳にすることのできなかった情報を手にすることができ、自分の意見を全国に伝えることのできる場所を持ったわけです。そこで、「ツイッター自体は革命ではないかも知れないが、ツイッターは革命的な効果をもたらすであろう」と僕は書き足しました。

 なので、最後の一言としてまとめたいのは、草泥馬は僕たちの代表議員ではありませんが、僕らの市民社会の行動のための希望のアイコンになっているのです。(了)

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